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更新日:2021.02.22 / 掲載日:2021.02.19
【新型&定番大攻略】TOYOTA アルファード/ ヴェルファイア

【定番】2019・12改良
最上級ミニバンに求められる すべての要素を備えて無双状態
アルファード/ ヴェルファイア
アルファード 標準タイプ
アルファード エアロタイプ
ヴェルファイア 標準タイプ
ヴェルファイア エアロタイプ
●価格:352万~775万2000円
アルファードとヴェルファイアの外観の違いは、大型のグリルを強調するトラディショナルなアルファード、比較的スポーティで現代的なヴェルファイア、ということになる。それぞれ標準/エアロをラインナップ。エアロタイプはより“エグい”顔付きとなる。
押し出しもステイタスも最上級
豪華・勇壮がテーマのアルファードと大胆・不敵がテーマのヴェルファイア。ともに押し出しの強い外観と広々とした豪華な室内が際立ち、VIPカー的な使われ方もする。より安価でコンパクトなヴォクシー/ノアに迫る販売台数を叩き出す、Lサイズ高級ミニバンの絶対王者だ。2.5L直4、2.5Lハイブリッド、そして今や希少な3.5LV6をラインナップする。

■主要諸元(アルファード S“タイプゴールド”) ※オプションを含まず
●全長×全幅×全高(mm):4950×1850×1935 ●ホイールベース(mm):3000 ●最低地上高(mm):160 ●車両重量(kg):1960 ●パワーユニット:2493cc直4DOHC(182PS/24.0kg・m) ●トランスミッション:CVT ●WLTCモード総合燃費:10.6km/L●タイヤ:235/50R18
基本設計こそ古いが質感も装備も最上級
一人勝ちと言っても過言ではない状況だが、逆に考えれば最上級ミニバンの要素がすべて揃ったクルマとも言える。
パワートレーン設定はガソリン車の2.5Lと3.5L、ハイブリッド(2.5L)の3タイプ。搭載エンジンはいずれも一世代古いタイプだが、V6車のラインナップが見逃せない。同車を除いて現在のトヨタ乗用系でV6を搭載するのはクラウンのみ。燃費は厳しいものがあるが、V6は走りの車格感を高め、1BOX型高級車とするに十分な魅力がある。
また、VIP向けラウンジを思わせるエグゼクティブラウンジを筆頭とした豪華な内装や、セカンドキャプテンシートを標準として上級グレードになるほどプレミアム感が高まるシート設定も魅力。ちなみにセカンドベンチ仕様に限定されるのは2.5LのXのみ。
路面からの細かな振動の抑制の甘さやエンジン周りの静粛性に基本設計の古さを感じるが、サイズや重量をいい意味で意識させる乗り味も最上級ミニバンに相応しい。なお、2019年末のマイナーチェンジではトヨタセーフティセンスの最新仕様へのアップデートやディスプレイオーディオの全車標準化を実施。これで装備や機能ではトヨタ最新モデルと同等以上となり、トヨタの最上級車種に相応しい内容を備えた。
【攻略のツボ】グレード構成も価格も同じ。アル/ヴェルは見た目だけで選んで良し
実質的な違いはデザインとグレード名ぐらいのもの
エアロ系と中間グレードのグレード名が異なるが、基本グレード展開も走行ハード展開も共通。もちろん、装備設定も同じ。内装の設えも同様である。両車の差異はランプ類を含むフロントマスク、リヤガーニッシュとテールランプと考えていい。フロント周りはフェンダー部を除き専用に起こされたもので、アルファードは門構えともいうべき堂々とした雰囲気を、ヴェルファイアは切れのいい精悍さを覚えさせるデザインとなっている。この辺りはヴォクシーとエスクァイアのフロントマスクの違いにも似ている。「堂々」と「精悍」のどちらを選ぶかは純粋に嗜好的な問題である。
アルファード
ヴェルファイア
●寸法・広さはもちろん、雰囲気や装備にも違いはない。アル/ヴェルの違いよりもセカンドシートの仕様違いがポイントだ。
特別仕様のアル/ヴェルが大人気!
●アルファード S“タイプゴールド”
●ヴェルファイア Z “ゴールデンアイズ”
’20年春発売。金モチーフの内外装のほか、アダプティブハイビーム付3眼LEDヘッドランプや専用ホイール(ガソリン車)などを装備。
【攻略のツボ】巨体にふさわしいパワートレーンは? 走行性能&ドライブフィールをチェック
伝統的高級感のV6、現代的フィールのHV
最軽量モデルでも1.9トンを超える車重であり、2.5L車では車格相応の余力を求めるには厳しい。CVTの優位性で動力性能に不足はないが、高速加速や登坂などの負荷が大きい状況ではエンジン騒音も目立つ。「最上級」の車格相応のゆとりを求めるならハイブリッド車か3.5L車となるが、ドライブフィールが異なる。ハイブリッド車は小さなアクセルコントロールへの追従性のよさで余力感に優れる。3.5Lは加速応答で劣るがV6ならではの重質さと伸びやかな加速感が車格感のポイント。伝統的な高級車感ならV6だが、現代的な走りの質を求めるならハイブリッド車がいい。
●2.5L 直4
●3.5L V6
●2.5L ハイブリッド
●いずれもダイナミックフォースエンジン以前のユニットだ。ハイブリッドはトヨタらしい優れた制御、直4ガソリンは過不足なく、余力のあるV6は高級感向上にも寄与する。性能の違いは下の表の通り。
パワートレーン別インプレッション
●2.5L 直4
V6やハイブリッドには敵わないが、相応の実力
2トン級の車重に24.0kg・mの最大トルク。トヨタ新世代エンジン群と比べると低回転の力感にも乏しい。また、高負荷稼働の時間も増えるので静粛性も落ちてしまう。ただし、あくまでもパワートレーン別の相対評価であり、アル/ヴェルらしい雰囲気を損ねるほどではない。●3.5L V6
前輪荷重の増大もあって高級車らしいフィールは一番
重質かつ精度感の高いV6フィールは走行感覚の車格感向上に大きく寄与する。また、フロントまわりの重さが乗り味の腰の据わった印象を高めている。しかし、踏み込み時の加速タイムラグなど、コントロール性は今ひとつ。古典的な高性能エンジンの印象もある。●2.5L ハイブリッド
最新システムではないが走りの質感はベスト
カムリに搭載されたシステムと比べるとエンジンがひと世代古いのだが、要点を押さえた電動アシストなど巧みなハイブリッド制御で街乗りから高速走行まで安定したドライバビリティを発揮。E-Fourを採用したこのハイブリッドがシリーズで最も走りの質感に優れている。
【攻略のツボ】最大の魅力「くつろぎ」は 実際どうなのか
もてなす心をセカンドシートで表現する

アル/ヴェルの居心地やインテリアのプレミアム度で興味深いのは、グレードによる差異をセカンドシート周りの設えに置いたことだ。例えばフロントシートとサードシートはベーシック仕様のX以外共通だが、リフトアップ仕様を除いてもセカンドシートはグレード別に4仕様を設定、うち3仕様はキャプテンシート仕様。言い方を換えるなら前席の居心地は上級仕様を選んでも大差ないわけだ。ただ、車内の雰囲気はセカンドシートによって大きく変わる。ドライバー本位の快適性だけで語らないのがアル/ヴェル。ゲストをもてなすプレミアムこそがオーナーのプライドなのだ。
●エグゼクティブラウンジシート
●エグゼクティブラウンジ用の超豪華セカンドシート。テーブルや集中コントロールスイッチ付アームレストなど、VIPカー的装備が奢られる。V6車とハイブリッド車のみに設定される。
●6:4分割チップアップシート
●リラックスキャプテンシート
●エグゼクティブパワーシート
●セカンドシートはほかに3タイプ。キャプテンシートは手動調整式のベーシックタイプのほか、電動機構付きの上級タイプも用意されている。
●7人乗り
●8人乗り
●ミニバン=多人数乗車ではあるが、アル/ヴェルは7人乗りがメイン。8人乗りは直4ガソリンとハイブリッドの下位グレードに限られる。
●サードシートも座り心地優先ゆえ、格納時の張り出しが大きめ。
●13.3インチのリヤエンタメ(HDMI端子付)が用意される。
【攻略のツボ】安全&運転支援も抜かりなし
基本機能は全車標準、機能追加も可能
’17年のMCからトヨタセーフティセンスを全車標準装着化。エグゼクティブラウンジ系はBSM(ブラインドスポットアシスト)なども標準だが、他グレードもOP装着が可能であり、ベーシックグレードから安全&運転支援機能フル装備が可能。運転支援機能の実効性が高いだけでなく、機能にグレード間格差がないのも好印象。また、全車Tコネクト対応で、サービス内容は契約によって異なるが、ヘルプネットが基本サービスに含まれているのが心強い。
可能な装備・機能が惜しみなく投入されている。図は操舵支援により、車線中央をキープするレーントレーシングアシスト(LTA)。
【攻略のツボ】くつろぎと価格のベストバランスは?
コスパと高級感を両立する特別仕様

【おすすめグレード】 S“タイプゴールド”(写真)/Z“ゴールデンアイズ” ●424万円(ガソリン・FF)
アル/ヴェルの本気を求めればハイブリッド4WDのエグゼクティブラウンジがベストだが、価格は約760万円である。1BOX型のクラウンと考えれば納得もできるが、さすがに一般的とも言い難い。走りか内装かコスパのいずれかで投資を集中するのが賢明。高級感重視でコスパを求めるなら内外装のグレードアップとパワーバックドア等の利便装備を追加した特別仕様が魅力的である。