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更新日:2019.03.07 / 掲載日:2019.03.07
オートメカニック流 スーパーカー入門:ランボルギーニ ウラカンエヴォ
スーパーカーってどうなってるの?をクルマ趣味実践派ライター、西川淳が解説。
スーパーカー界でも最先端となるコントロールシステム搭載

ランボルギーニ ウラカンエヴォ
ランボルギーニの主力機種で5.2LのV10自然吸気エンジンをミッドに積むスーパーカー、ウラカンがマイナーチェンジ、ウラカンエヴォへと進化した。注目ポイントはエンジンのパワーアップ、4WS(四輪操舵)と4VT(トルクヴェクタリング)の採用、空力の改良、そしてインフォテイメントシステムのアップグレードだ。
すでにウラカンの高性能グレードとしてリリース済みのペルフォルマンテから640PSエンジンを借用した。ただし、ペルフォルマンテで注目を集めたアクティヴ空力システムのALAは当然ながら省かれて、その代わり、従来型クーペに比べ7倍のダウンフォースが得られるよう前後横および床下に新たなパッシブ空力デバイスを設ける。
最も注目すべきは、その高性能パワートレーンを御すために、そしてスタンダードグレードとしての使い勝手を向上させるために導入された4WSと4VTであり、それらを進化した既存システム(ハルデックス式4WDやDCT、姿勢制御、可変ギヤレシオステアリング、マグネライドなど)と組み合わせて統合制御するシステムの構築であった。ウラカンエヴォにはランボルギーニがLDVIと呼ぶ最新の頭脳が与えられている。これは20ミリセカンドごとの解析によってフィードフォワード制御を行う=ドライバーの意思を汲み取って理想の走りを実現するという、スーパーカー界でも最先端となるコントロールシステムだ。
その威力ははたして絶大であった。ウラカンエヴォの国際試乗会は、イタリアが日本と同じ真冬ということもあって中東はバーレーンのGPサーキットにて開催されたが、決してドライビングのテクニシャンとはいえない筆者であっても、ウラカンエヴォであればすべてのコーナーでドリフト走行が可能なくらい、見事に制御されていた。
もちろん、クルマに運転してもらって楽しいの?という疑問もあるだろう。それが実に楽しい。それこそがフィードフォワード=先読み制御の素晴らしいところで、ドライバーにはついぞクルマに乗せられているという感覚が芽生えることはなく、ただただ自分で操っているという満足感のみが残った。心配になったのは、タイヤとブレーキの減り具合のみである。
もちろんウラカンエヴォは加速パフォーマンスも一級品。なにせペルフォルマンテやアヴェンタドールSと同等となる0→100km/h加速2.9秒を誇るのだから。
スーパーカーの新たなスタンダードが誕生したといっていいだろう。
V型10気筒エンジンは約649PS/61kg・mを発揮。レースモデル由来の新エキゾーストシステム、空力を考え抜いたエアロなども特徴。センターコンソールに8.4インチタッチスクリーンを採用するなど室内にも新たな技術を投入。