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更新日:2018.11.15 / 掲載日:2018.07.20

【DS・DS7クロスバック】見せる技術を満載したフラッグシップモデルが登場

DS7クロスバック

文●内田俊一 写真●ユニット・コンパス

 プジョー・シトロエン・ジャポンは2018年7月17日、2017年の東京モーターショーで発表したDSブランドの最新モデル、DS7クロスバックを発売した。価格は469万円からで、現状においては同ブランドのフラグシップモデルとなる。

エクステリアは見せるテクノロジー

 注目のデザインは、2016年のジュネーブショーで発表されたコンセプトカー、E-TENSEをモチーフとされた。DSエンブレムをセンターに掲げ、大きく構えたフロントグリルがSUVらしさを表現。グリルを囲い左右に広がるクロームのDSウィングは従来モデルよりもさらに立体的に造形され、ダイナミックな印象を与えている。

 デザイン上のハイライトはいわば“見せる”テクノロジーだ。フルLEDとなったヘッドライトはリモコンキーによるアンロックとともに、ひとつずつ時間差で180度回転しながらほのかにパープルにきらめくのだ。

 リヤランプは立体的な効果を狙っており、ダイヤ模様を取り入れた独自のデザインだ。ユニットはクロームのモールディングで囲われ、左右をつなぐ水平基調のクロームラインがリアデザインの大きな特徴となっている。

パリらしさにこだわったインテリア

 インテリアもDSならではの斬新なデザインで、「その表現は徹底的にパリらしさへこだわりました」とは、プジョー・シトロエン・ジャパンマーケティング商品企画グループDSプロダクトマネジャーの水谷昌弘氏の弁。

 それはまず日本仕様に導入された3つのインテリアから表現されている。これは「インスピレーション」と呼ばれ、それぞれカスタマイズのテーマとともにパリ由来のネーミングが採用された。

 まずは「バスティーユ」だ。ブロンズを全体のテーマカラーとしたファブリックシート仕様で、インパネはフルデジタル。ダッシュボード中央のタッチスクリーンも上級グレードと同等となる。なお、DS7のコックピットはタッチスクリーン上にコントロールを集約したシンプルかつモダンな空間となっている。

 バスティーユは今を遡ること229年前の7月14日、革命勃発の地として人々に記憶されている。「旧体制に反旗を翻したその行動はフレンチラグジュアリーの先端を走るDSのイメージに重なり、アバンギャルドを標榜するブランドにふさわしいネーミングといえるでしょう」と水谷さん。

 アップグレードしたインスピレーションは「リヴォリ」だ。レザーシートに加え、ダッシュボード、ドアトリムには滑らかな質感のナッパレザーを使用。斜めに交差するダイヤ模様のステッチが特徴のこのインテリアは、ステアリングのセンターパッドをも本革で覆い、アナログ時計も装備して一段とラグジュアリー感が増している。

 このネーミングの由来となるリヴォリは、マレ地区を起点にルーブルチュイルリー庭園の北側に沿ってコンコルド広場へと西向きに走る通りの名前だ。通り沿いにはアーチが連続する美しいファサードを持つアパルトマンが建ち、名だたるハイブランドの旗艦店が並んでパリのラグジュアリーかつハイファッションの発信地といえる地域だ。

 最上級のインスピレーションは「オペラ」だ。シートにもナッパレザーを使い部分的に特別な処理を施したアートフィニッシュレザーとし、芸術性を高めたアバンギャルドさを表現。シート形状はDS伝統のウォッチブレスレットをモチーフとしており、水谷さんは、「多くの工数を要するこのシートへのこだわりがDSならではといえるでしょう」と話す。

 体の面圧がかかる部分にはパーコレーテッド加工を施し、フロントのシートバックにはベンチレーション機能も備える。また乗員用のグラブハンドルにもレザーがあしらわれている。

 豪華絢爛を誇るオペラ座歌劇場はナポレオン3世によって第二帝政をたたえる記念碑的建造物として19世紀に建てられ、華やかなパリを象徴するランドマークだ。「気品と優雅さ、吟味されたマテリアル、そして熟練伝統の技を注ぎ込んだインテリアのイメージに重ねた名称です」とその由来を述べた。

細かなパリ、フランスへのこだわり

 また、そのパリらしさはインテリアの細かい部分にまで及んでいる。センターコンソールに並ぶスイッチのフレーム部分や、インナードアオープナー周り、さらにエクステリアのドアエンブレムにも彫刻的な立体装飾が施された。これは「18世紀に考案されたギョーシェ彫りという金属加工模様のひとつで、高級機械式時計の文字盤加工として光を抑えるためにブレゲが使い始めたとされています。クルードパリ、すなわちパリの石畳と名付けられた模様なのです」と説明。

 ステッチもまた独特で、細かなパールを並べたように見えるのが特徴的なパールトップステッチもまたフランスの伝統工芸を取り入れたもの。「従来のステッチでは出せない、まさにオートクチュールの装いを醸しています」という。

 リヴォリ以上のインスピレーションに採用される、ダッシュボードのアクセントとなるアナログ時計は、エンジンスタートとともに現れる。フランスの高級時計ブランド、ベルナール・リシャール・マニュファクチャラー(B.R.M)の協力を得て取り付けられたものだ。

 オーディオシステムもフランス製だ。採用されたFOCALは振動板の素材やユニットの構造で多くの特許を持つスピーカー専業メーカーだ。今回市販車に初めて搭載されたエレクトラというシステムはDS7専用チューニングでサブウーファーを含めた14個のスピーカーからなり、合計出力は515Wと、余裕のパワーで室内をクオリティの高いサウンドで満たすという。

 DS7クロスバックはフラッグシップということで、先進テクノロジーもふんだんに採用。中でもCセグメントSUVにおいて世界初となる装備が4つある。

 DSといえば乗り心地で、ラグジュアリーブランドにふさわしい極上の乗り心地を目指して開発されたDSアクティブスキャンサスペンションを最初に挙げよう。ベースは、現在PSAグループのアッパーセグメントで主流となるEMP2プラットフォームとし、リアにはマルチリンクを採用。ワイドトレッド化によりロードホールディング性能を高めている。

 そしてDSアクティブスキャンサスペンションは、フロントガラス上部にあるマルチパーパスカメラが、常時、路面を前方25mまでハイスピードスキャニング。10mm以上の凹凸を検知し四輪それぞれのダイビングを調整することで、フラットライドを実現するシステムだ。

 映像解析により路面の状況を把握する他、様々なパラメータを駆使し可変ダンパー内のオイルの流れをソレノイドバルブで最適化。ドライブモードでコンフォートを選択し、車速は15km/h以上で作動する(全車標準装備)。

 運転支援機能ではDSコネクテッドパイロットがある。これは同一車線において加減速とステアリング操作をサポートし、アクティブクルーズコントロールとレーンキープアシストを統合したものだ。
 センサーはマルチパーパスカメラとミリ波レーダーを利用。また、車線内では中央に限らずドライバー任意のポジションを保持するレーンポジショニングアシスト機能を備えており、これは他社の従来システムにはない特徴だ。二輪車のすり抜けなどを回避するため車線内の左右いずれかに寄って走行するなどのような場合に便利な機能といえるだろう。
 トラフィックジャムアシストも備え、一旦停止した後、先方の車両が3秒以内に発進したときに、アクセル不要で追従することが可能となった(全車標準装備)。

 次にひとクラス上のDセグメントでも類を見ないナイトビジョンが採用された。
 このシステムはフロントグリル内にある赤外線カメラで、約300m先までとらえた映像をドライバー正面にあるインストルメントパネルにグレースケールで表示。この中で約150mまでの範囲に存在する歩行者や自転車、あるいは動物を捉えるものだ。
 赤外線カメラでとらえた対象が自車両の進路と交錯する可能性が高い場合、赤くハイライトすることでドライバーにアラートする。(上級グレードにパノラミックサンルーフとセットオプション)。

 最後はDSドライバーアテンションモニタリングだ。
 ステアリングコラム上に設置した赤外線カメラで常時、ドライバー顔の動きをチェック。視線や瞬きまでもモニタリングしてくれる。ドライバーが前方を注視しているか否かの判断をし、脇見の頻度が高まったり、疲労による居眠りの兆候が見られる場合、インジケーターと音でアラートする。3度のアラートが行われ、4度目のアラートで音が大きくなり、同時に休憩するようメッセージで促す(上級グレードに標準装備)。

2種類のパワートレインを導入

 日本に導入されるドライブトレインは2種類で、ガソリンを燃料とするピュアテック1.6Lターボは最高出力225馬力。吸排気双方に可変バルブタイミング機構を備え、コーティング処理パーツを増やして摩擦ロスを低減。欧州排ガス規制レベルユーロ6.2対応の微粒子フィルターを採用することで効率、クリーン、パフォーマンスの全てを両立させ、高回転域へのパワフルな伸びが特徴のエンジンだ。
 もう一方は日本導入から2年が経過した2Lクリーンディーゼルで、こちらもユーロ6.2に対応した最新バージョンだ。
 それらに組み合わされるアイシンAW製トランスミッションはPSA初搭載となる8段変速となる。より進化したADASへの対応と洗練されたトランスミッションを目指してシフトを電子制御化。樹脂やアルミ柄の素材変更によりギアを増やしつつも軽量化を実現し、従来の6速に比べ約4%もの効率アップを果たしているという。

 ラインナップはグレードが2つあり、エントリーとなるソーシックのインスピレーションはバスティーユで、エンジンはディーゼルのブルーHDiとなる。上級のグランシックのインスピレーションはリヴォリが標準で、エンジンはピュアテックとブルーHDiからチョイス。インスピレーションのオペラはグランシックにオプション設定される。

 水谷さんは、「CセグメントSUVでの最大ボディサイズを提供しながら、群雄割拠のSUVマーケットにおいてDSにしかないエモーショナルな商品性をアピールし、感度の高いお客様に届けていきたい」とコメントした。

好調なDS、店舗増強、ラインナップ強化へ

PSAグループ DSオートモビルズ副社長のエリック・アポッド氏

 日本でのDS7クロスバック発表に際し、PSAグループ DSオートモビルズ副社長のエリック・アポッド氏も来日。「日本市場は最もディマンディングなプレミアムなマーケットで、だからこそ我々にとっても重要なのです。全世界においても最も優先順位の高い市場のひとつです」と期待を語る。

 現在のDSオートモビルズについてアポッド氏は、「直近の第2四半期において32%増加。そして1万5,000台以上のDS7クロスバックがすでに受注されています」と述べ、フランス国内においても、「DS7クロスバックはCセグメントSUVセグメントで第1位です」と好調さをアピール。

 この好調さをもとに全世界でDSネットワークを増強中だ。現在グローバルで340店舗をオープン。これを年内に540店舗へ、そして、2021年初頭には800店舗まで増やす予定だという。なお現在日本では4店舗が稼働している。

 当然モデルラインナップも増強される。4年前に策定された戦略をもとに、2018年から1年に1モデル発表する計画で、DS7クロスバックがその第1弾だ。そして9月に開催されるパリモーターショーにおいては2番目のモデルが発表される。

 また電動化においてもプラグインハイブリッド、あるいはフルEVモデルのいずれかを各モデルにラインナップ。DS7クロスバックにおいてもプラグインハイブリッドの四輪駆動バージョンを来年にも発売予定だ。300馬力を誇り8速ATが組み合わされ、ゼロエミッションモードでの走行距離は50kmであるという。

 そして、2025年には内燃機関のみのエンジンではなく、プラグインハイブリッド及びフル電動化の車両に傾注する。
 「電動化は明らかに次なるラグジュアリーの段階です。我々のハイパフォーマンス、そして走る喜びを提供するすべてのクルマは電動化によって実現されるものなのです。もちろんそれは最もエネルギー効率の良いテクノロジーであり、そして全世界的に全ての環境問題に対応を測っていくものとなるでしょう」とコメントした。

DS DS7クロスバック グランシック(8速AT)

全長×全幅×全高 4590×1895×1635mm
ホイールベース 2730mm
トレッド前/後 1625/1605mm
車両重量 1570kg
エンジン 直列4気筒DOHCターボ
総排気量 1598cc
最高出力 165ps/5500rpm
最大トルク 30.6kgm/1900rpm
サスペンション前/後 ストラット/マルチリンク
ブレーキ前/後 Vディスク/ディスク
タイヤ前後 235/45R20




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