車種別・最新情報
更新日:2018.11.27 / 掲載日:2018.05.26
今、イチ推しのプレミアム9車
多少値は張ってもいい、特別な満足感を得たい、そんな人にはこちら。様々な方向性で「贅沢さ」を追求したクルマたちを厳選した。
TOYOTA アルファード/ヴェルファイア

●価格帯:335万4480~750万8160円
セダンにはない、ミニバンならではの 新しい“贅”の価値感を体現している
背の高いクルマやボックス型キャビンが一般化した時代のクラウンとも言える存在。最もスペース効率に優れる1BOX型ミニバンにして最大級のボディサイズ。当然、キャビンスペースも乗用車では最大級である。
興味深いのは「広さ」の使い方だ。ミニバン系ではスペース配分を積載性の向上などの多用途性に向けることも多いが、アル&ヴェルの最大積載量や多用途性は2L級1BOX型と同等かそれ以下である。サードシート格納時の荷室容量はミニバンでもトップクラスだが、汚れを嫌う内装もあって、アウトドアレジャーに荷物満載で出掛けるような工夫はない。
しかし、サードシートの設えはミニバンでも最も余裕があり、6名で楽しむラウンジとして寛ぎが優先された設計である。内装の仕立ては同価格帯のセダン系には及ばないが、各席間のスペースの広さを利用した寛ぎの機能や演出も備わり、最上級クラスをどのシートでも実感できる。
パワートレーンはガソリンの4気筒と6気筒、4気筒ハイブリッドの3タイプ。V6には重質なエンジンフィールとパワーがあり、時代の先端を行く2.5Lのハイブリッドは電動後輪駆動と組み合わせる4WDを採用。E-Fourと呼ばれるこのシステムは、前後2つのモーターを使用し、動力性能的にもプレミアムクラスに十分なスペックを備えている。
走行性能全般や快適性は高級セダンに及ばないが、広さがもたらす“贅”や、高いアイポイントの開放感と見晴らしはセダンにはないもの。多人数乗車の機会が減っても選ぶユーザーが少なくないのは、それらがセダン系にはない新しい“贅”として評価されているからだろう。その価値感はもはや特別なものではなくなりつつある。
イチ推し! ハイブリッドG/ハイブリッドV
プレミアム感を最も感じられるのはV6車だが、燃費の面から満タン航続距離が気になる。先進感も含めたプレミアムと燃費、走りの汎用性のバランスではハイブリッド車だ。
■主要諸元(アルファードハイブリッドG)
●全長×全幅×全高(mm):4945×1850×1950●ホイールベース(mm):3000●車両重量(kg):2150●駆動方式:4WD●パワートレーン:2493cc直4(152PS/21.0kg・m)+前モーター(105kW/270N・m)+後モーター(50kW/139N・m)●トランスミッション:電気式CVT●JC08モード燃費(km/L):18.4●燃料タンク(L):65(レギュラー)●最小回転半径(m):5.6●タイヤサイズ:225/60R17
推し! 乗用車の中でも最大級のキャビンスペース
例えば、はじめてLクラス1BOX型ミニバンに接した時、誰もがまず実感するのが圧倒的な広さ。同じく寛ぎが売りの高級セダンとくらべると、床面積こそ際立った優位性はないが、贅沢な頭上スペースのおかげもあり、その開放感は乗用車として最上レベルだ。推し! どのシートでも最上級の寛ぎを実感できる
箱型ミニバンであっても、ヴォクシー等のMクラスではスペースの都合上、3列目にどうしてもしわ寄せがくるため、3列目も快適に乗れるのはLクラスならではだ。さらに注目すべきは2列目キャプテンシート。クルマの座席とは思えない寛ぎがそこにある。推し! 開放的で見晴らしの良い運転フィール
走行性能を突き詰めれば、剛性面などで1BOX型よりもセダン型が有利なのは事実。だが、実際に運転してみると、高い視点で開放感のある運転感覚には捨てがたい価値がある。見晴らしが良く周囲を広く見渡せることにより、安心して気分よく走れるのだ。
TOYOTA ランドクルーザー

●価格帯:472万8240~683万6400円
本格的な踏破性を堅持しつつ仕立ては豪華
ひと昔前なら「SUVの頂点に位置する」のひと言で済んだのだが、SUVも多様化が進んで注釈なしでは頂点と言い切れなくなってしまった。ランクルの「頂点」は本格オフローダーとしてであり、セダン等々から移植されたプレミアムやスポーティとは異質。クロスオーバー系のSUVとは完全に区別する必要がある。
搭載エンジンは4.6LのV8。セダン系の頂点クラスにも匹敵するタイプだが、切れ味とか刺激的な加速感はない。悪路踏破性を向上する、大排気量がもたらすトルクと穏やかなコントロール性が狙いのひとつ。ほかにも4WDの各輪へのトルク配分を能動的に制御して悪路踏破性を向上を図った多様な機能が用意されるが、オンロード視点では無用の長物と言えるかもしれない。
一度でもランクルでハードクロカンをやったことのある人なら分かるが、ランクルの極限踏破性で特徴的なのは運転力量への依存の少なさ。オフロード向け運転支援機能をフルに使えば、無茶をしない限り初心者でもトライアルステージクラスでも走破できる。
ある意味職人趣味の高性能であり、一般的な使い方では経済性の悪さや快適性の質の違いでデメリットばかりが目立ってしまう。ゆとりの動力性能や乗員負担の少ない乗り心地は最上級クロカン車としての魅力だが、軸周りの揺動感などオフローダー特有の大味さは同価格のクロスオーバー系と比較すると洗練感に乏しい。
つまり、ランクルの評価は使い方による。悪路走行でのゆとりを求めるユーザーにとってこれほど頼もしく快適なクルマはないが、そうした狙いもなく漠然と車格や価格に見合った贅を味わいたいとするなら的外れになりかねない。優先事項を整理して選びたい。
イチ推し! AX Gセレクション
オフロード機能がフルになるのはZXのみ。価格も一気に高まってしまう。コスパを考えるならAX系が一般性の高い選択。オンロード操安も重視するならGセレクション。
■主要諸元(AX Gセレクション)
●全長×全幅×全高(mm):4950×1980×1880●ホイールベース(mm):2850●車両重量(kg):2530●駆動方式:4WD●パワートレーン:4608ccV8(318PS/46.9kg・m)●トランスミッション:6速AT●JC08モード燃費(km/L):6.7●燃料タンク(L):93(プレミアム)●最小回転半径(m):5.9●タイヤサイズ:285/60R18
推し! 選ぶべき第一の理由は本格オフ性能
がっしりしたフレームに余力のある大トルクのV8エンジンを搭載。流行のクロスオーバー系とは違い、舗装路にターゲットを絞った作りではないが、悪路踏破性に妥協はない。デザインモチーフとしてではなく、実用面での本当の「タフネス」を備えている。推し! 乗員に過度な負担を強いない乗り心地
国産本格クロカンとして最上の居住性を誇るモデルのひとつ。広さも装備も余裕を感じさせる仕立てで、舗装路の移動でもオフ車的な我慢大会にはならない。ただし、悪路性能を諦めれば、よりプレミアムサルーン的な乗り心地のクロスオーバーモデルもある。推し! 運転者の腕前をカバーする悪路踏破システム
同じ本格クロカンでも当然ながらジムニーのようなシンプル&ソリッド系とは異なり、運転支援が充実。トラクションやブレーキを最適に制御して4WD性能を高める5モードのマルチテレインセレクトやアンダーフロアビューなどが運転者を助けてくれる。
MAZDA CX-8

●価格帯:319万6800~419万400円
2列目キャプテンシートが選べるくつろぎ系SUV
ハードウェアの構成はCX-5のストレッチキャビン仕様と考えていい。ホイールベースとともに延長された室内空間を活かして3列シートを採用しているのが実用面のアドバンテージとなっている。ただし、サードシートは補助椅子のような設計。大人が長時間過ごすには狭すぎる。多人数乗車目的で選ぶのは厳しい。
しかし、プラス2席の余裕は4名乗車時のくつろぎを大幅に向上させた。下位2グレードにはベンチシートも設定されるが、セカンドキャプテンシートが標準シート仕様。キャプテンシートは運転席&助手席のような収まりの良さとスペースの占有感があり、セカンドシートのくつろぎを1ランクアップさせてくれる。最上級グレードでは大型センターコンソールなどを備え、ちょっとしたVIPカー気分も味わえる。
加飾パネルの質感や造作はCX-5と大差なく、車格標準を多少上回る程度だが、セカンドキャプテンシートの採用により上級のSUVに勝るとも劣らないプレミアム感を実現した。
パワートレーンは2.2Lディーゼルと6速ATの組み合わせのみ。燃費と動力性能で国内向けマツダ車の最上級仕様となる。大トルクを活かして回転変化を抑えながら幅広い速度をカバーする余力感が特徴だ。ガソリン車と比較するとエンジンフィールが多少ラフだが、ディーゼル車として最も洗練感のあるパワートレーンのひとつである。
国内向けマツダ車では実質的な最上級モデルということもあり、性能や安全&運転支援機能でも最新仕様を採用。走り全般のまとまりもプレミアムに相応しい。光り物や木目等の保守的高級を求めるユーザー向けではないが、4名乗車の居心地を求めるなら必見だ。
イチ推し! XD Lパッケージ(6人乗り)
コスパならプロアクティブがいいのだが、キャプテンシートがもたらすプレミアム感を重視して選ぶならば、1ランク上の設えを施している最上級仕様がより満足度が高い。
■主要諸元(XD Lパッケージ)
●全長×全幅×全高(mm):4900×1840×1730●ホイールベース(mm):2930●車両重量(kg):1830●駆動方式:FF●パワートレーン:2188cc直4直噴ディーゼルターボ(190PS/45.9kg・m)●トランスミッション:6速AT●JC08モード燃費(km/L):17.6●燃料タンク(L):72(軽油)●最小回転半径(m):5.8●タイヤサイズ:225/55R19
推し! 2列目キャプテンシートがもたらすくつろぎ
「3列目シートがある」のが特徴に思えるが、プレミアム視点で見れば「3列目があるから採用できた2列目キャプテンシート」が最大のポイント。パーソナルなくつろぎが得られ、Lパッケージはシートヒーターやアームレスト付きコンソールボックスも備える。推し! 大トルクで余裕の走りが可能なエンジン
最新のSKYACTIV-D 2.2を搭載。ディーゼルらしい豊かなトルクによってせわしない回転変化が抑えられ、静粛性の向上も達成。このエンジン特性が、滑らかなコーナリングをもたらすG-ベクタリングコントロールと相まって、上質な乗車感覚に寄与している。推し! 旗艦モデルに相応しい先進機能を満載
車種を問わず先進安全技術の標準装備化を進めるマツダ。当然、最上位モデルのCX-8も先進安全技術パッケージの「i-ACTIVSENSE」を全車標準装備するほか、前車追従クルコンや車線維持アシスト機能といった運転支援機能も充実させたPROACTIVEを設定する。
VOLVO XC40

●価格帯:389万~549万円
輸入小型プレミアムの新基準となり得る完成度
ボルボ車に共通する特徴はいくつかある。ひとつは先進的な安全&運転支援装備の充実。FMCやMC毎にバージョンアップを施すなど、安全&運転支援がボルボ車の基本性能として如何に重要かがよく分かる。もうひとつはエンジンラインナップ。基本ブロックの共用化を図りながら、特徴や適応用途に応じて多彩なバリエーションを展開する。そしてコスパの高さである。同級同ジャンルの輸入車同士で比較すると1割前後安価である。もちろん、性能や質に手を抜いているわけではない。逆にちょっと盛っているくらいだ。政策的値付けもあるのだろうが、プレミアム志向の輸入車全般の中でもコスパの高さはトップレベル。そうしたボルボの特徴を備える最新モデルがXC40だ。
エンジンバリエーションはまずT5を導入、T4も発表済み。その他は今後に期待という段階だが、現段階でもボルボ車の魅力が満載である。まず価格はベーシック仕様のT4で389万円。ボルボ自慢の安全&運転支援装備を16種類備えるインテリセーフも標準装備。ナビやパワーシート等の標準化や内装をグレードアップしたモメンタムでも439万円である。同クラスの輸入プレミアムSUVでは圧倒的に買い得だ。この価格設定ならば国産の上級SUVを狙う予算建てで十分に手が届くだろう。
しかも、走りの質感が高い。XC60/90のようなどっしりした味付けではないが、腰の据わったフットワークでコンパクトSUVの軽快さとプレミアムの落ち着きがいい按配で楽しめる。内装デザインも保守的な高級感とは異なる今風の家具や小物のセンスを取り込んだ感じで、それが若々しいプレミアム感を演出。それでいてケレン味がないのも好感。輸入SUVの注目車筆頭である。
イチ推し! T4 AWD モメンタム
T5は高性能モデルとしての設定。一般用途ならプレミアムを求めてもT4でも十分。装備面からモメンタムを推す。FFとの価格差も良心的な20万円である。
主要諸元(T4 AWD モメンタム)※欧州参考値●全長×全幅×全高(mm):4425×1875×1660●ホイールベース(mm):2700●車両重量(kg):-●駆動方式:4WD●パワートレーン:1968cc直4DOHC直噴ターボ(190PS/30.6kg・m)●トランスミッション:8速AT●JC08モード燃費(km/L):-●燃料タンク(L):53(プレミアム)●最小回転半径(m):5.7●タイヤサイズ:235/55R18
推し! 軽快感と落ち着きが同居する質感の高い走り
操舵初期反応のよさやフロントの逃げを意識させない軽快な運転感覚だが、ボルボの持ち味であるどっしりとした接地感や方向安定の高さは継承。エンジンはT5(252PS)またはT4(190PS)。今後、3気筒1.5LやPHEV、EVが追加予定となっている。推し! 若々しさと高級感が同居するインテリア
ボルボと言えばスカンジナビアンデザイン。ボタン類がすっきり整理されたシンプルな空間に、テーマに沿ってコーディネートされるトリム&シートの素材や色が映える。フレームレスのルームミラーや加飾パネルを照らすLEDライトなど、こだわりは細部におよぶ。推し! ボルボが注力する先進安全装備が揃う
16種類以上の機能を備える「インテリセーフ」を標準装備。自動ブレーキを核とする「シティセーフティ」は、歩行者や自転車、大型動物を夜間でも検知可能。全車速追従クルコンで走行時に車線維持をサポートする「パイロット・アシスト」も搭載する。
MAZDA CX-3

●価格帯:212万7600~306万2080円
上位クラスに匹敵する上質な走りと充実装備
コンパクトSUVと言えば新趣向スペシャリティかタウン&ファミリー用途向けが普通だが、CX-3はどちらにも当てはめにくい。「魂動(こどう)デザイン」はスペシャリティ志向が強いが、SUVでは寸詰まった感じになりやすく、CX-3はキャビン周りをワゴン的にデザインしている。ただし、キャビンは同車格でもひと回り狭い。ならば「推し」理由は? 走りのよさである。
車格からすれば搭載エンジンは1.5L級が標準的だが、CX-3のガソリン車は2L。ディーゼル車は1.8Lを採用し、同車格他車よりも1クラス上のエンジンを搭載。ミッションは滑らかさと巡航燃費のよさを特徴とするトルコン式の6速AT。これも上級クラス相応である。
パワートレーンを奢っただけではただの速いSUVになるだけだが、CX-3の走りの魅力はそこではなく、運転しやすさと安心感である。これは他のマツダ車にも共通する長所だが、初めての運転でも、アクセルもハンドリングも自然に馴染むような操作感なのだ。思った通りに加速しやすい、思ったラインに乗せやすいのである。しかも、高速操安にも優れ、ACC(追従クルコン)も設定。ディーゼルなら高速燃費も最良クラスである。安心感も含め、コンパクトSUVでは最も高速長距離適性に優れたモデルであり、それが“走りのプレミアム”に繋がっている。
キャビンユーティリティの点から4名乗車の頻度が多いユーザーには勧められないが、ポストファミリーの夫婦のように、2名乗車を基本に日常用途から長距離レジャーなど多様な使い方をするには最適。ハードクロカン向けではないが、ラフロードも含めて色々な場所へのドライブを楽しみたいと考えるならなおさらである。
イチ推し! XDプロアクティブ
走行距離があまり伸びないなら価格の安いガソリン車が得だが、高速長距離走行の頻度の高さからCX-3を狙うなら、動力性能の余裕と燃費の両面からディーゼルだ。
主要諸元(XDプロアクティブ・4WD・AT)
●全長×全幅×全高(mm):4275×1765×1550●ホイールベース(mm):2570●車両重量(kg):1370●駆動方式:4WD●パワートレーン:1756cc直4DOHC直噴ターボ(116PS/27.5kg・m)●トランスミッション:6速AT●WLTCモード燃費(km/L):19.0●燃料タンク(L):44(軽油)●最小回転半径(m):5.3●タイヤサイズ:215/50R18
推し! ライバルよりも余裕のある走りが得られる
一部改良モデルが5月末に発売。従来から評価の高いディーゼル車は1.5→1.8L(左)となり、2Lガソリン車は最新技術で熟成を進めている。方向性はそのままに性能や走行フィールの向上を図っており、ライバルに対する優位性がさらに強固になっている。推し! 2人乗車に最適なサイズ&スペース
後席スペースはミニマムだが、後席を畳めば2人で旅に出るにも十分な荷物も積める。上位クラスと同様の先進安全&運転支援機能やG-ベクタリングコントロール等を備えていて、2人暮らし+αなら日常使いから長旅まで安心・快適にカバーしてくれる。
MINI ミニ(3ドア/5ドア)

●価格帯:238万~450万円
クラシカルだが革新的、斬新な“プレミアム”
復古趣味の企画物、と見てはBMWの手による現行ミニの本当の魅力が分かっていない。ミニの本質は既存の価値感にとらわれないプレミアムにあるのだ。
低い全高にワイドトレッドで独特な雰囲気を醸し出しているが、ボディ形状はオーソドックスな2BOX。ヘッドランプは丸形で、吊り目流行りの中では愛嬌のあるフロントマスクだ。コックピットにはクルマには使われなくなったトグルスイッチが。
こういったデザインを安上がりに作ると安価なおもちゃのようになってしまうのだが、ミニにはそういった安物感がない。前記したトグルスイッチにしても、メッキの品質や操作感が汎用品とは段違い。シートの造形にしても縫製を活かした立体感など、手作り感がある。そういった質感や造り込みのこだわりが随所に見られる。
例えば、本杢パネルや高品質メッキの加飾を内装に施すのはプレミアム感を演出する常套手段だが、ミニはそういった記号性に頼っていない。プレミアム=保守的という図式には則らない、ミニが独自に構築したプレミアムの価値感と言ってもいいだろう。
後席は狭いし、乗り心地は落ち着かない。パワーフィールは活発だが、ゆったりとした気分にはなれない。ナビとかの機能装備もあまり使い勝手がよくない。走りや実用性にしてもキャラを立てながら細かく造り込んだ感じである。ただ、安全&運転支援装備の立ち後れは気になる。その部分では覚悟が必要である。
当然、一般性は低い。実用性とか走行性能で選ぶと何でこんなに高価なのか? と思いたくなるようなクルマ。多くのドライバーが気にしないような部分のこだわりやセンスに共感してこそ魅力が見えてくるのだ。
イチ推し! MINI ワン
ミニ的スポーツ性にこだわらなければ標準系となるワン。また、3ドアと5ドアが選択できるが、5ドアでも後席居住性は低く、雰囲気を楽しむなら3ドアがお買い得。
主要諸元(ワン・DCT)
●全長×全幅×全高(mm):3835×1725×1430●ホイールベース(mm):2495●車両重量(kg):1210●駆動方式:FF●パワートレーン:1498cc直3DOHC直噴ターボ(102PS/19.4kg・m)●トランスミッション:7速DCT●JC08モード燃費(km/L):17.8●燃料タンク(L):40(プレミアム)●最小回転半径(m):5.3●タイヤサイズ:175/65R15
推し! 愛嬌がありながら安っぽくないエクステリア
ミニらしさを堅持しつつ、それでいて現代的なエクステリア。直近の改良ではヘッドライトを囲むデイライトが馬蹄形→円形となり、まさに「顔」のようなフロントビューに。ユニオンジャックがモチーフのテールランプによる英国アピールもミニならではだ。推し! 独自のセンスにこだわったインテリア
トグルスイッチに象徴されるようなクラシカルなアイテムを用いながら、その仕上がりは決して旧車の再現ではなく、斬新。モデルチェンジを経てもオリジナルな世界観にブレはなく、そこに共感する人にとっては他に選択肢がないような魅力となっている。
HONDA N-BOX

●価格帯:138万5640~208万80円
先進安全フル装備! 軽の域を超える「上級車キラー」
軽乗用だし、実用志向のハイト系だし、「どこがプレミアムなの?」と言いたい気持ちはよくわかる。N-BOXを推す理由は「上級車キラー」だからだ。そして、その武器はホンダ・センシングだ。これまでもホンダの軽乗用には安全&運転支援装備として「あんしんパッケージ」が採用されていたが、市街地走行向けのAEBSを中心にしたもので、軽乗用としては標準的。これでもスモールクラスの標準以上だが、ホンダセンシングはその上を行く。
何とACC(追従クルコン)と半自動操舵型LKA(車線維持アシスト)が含まれているのだ。さらに道路標識認識や自動ハイビームも設定。2L級でもこれほど充実した国産車は少なく、安全&運転支援の充実ならプレミアムコンパクトと同等水準なのだ。
タウンユースを主とする軽乗用において高速長距離で最大の効果を発揮する運転支援装備の必要性を疑うユーザーも少なくないだろう。確かに、N-BOXも同系他車と同じくファミリーユースを主軸にした穏やかな走行感覚を採用する。完全新設計されたエンジンにしても、きっちりと軽乗用の主用途をターゲットにしている。しかし、ソフトな乗り心地ながら高速コーナーでも不安感のない操縦性や高速巡航でも比較的燃費低下の少ないエンジンなど、同クラスの中では高速走行にも強いタイプと言える。さらにターボ車ならば長距離対応力も高まる。つまり総合力でもクラスを超えているのだ。
なお、念のため付け加えておくが、Nシリーズと一括りにしているが、N-BOXはハードウェア面で他のNシリーズと別系統になり、前記した特徴はN-BOX限定と考えてもいい。運転支援と走りの汎用性では、ホンダ軽乗用の中でも抜け出た存在なのである。
イチ推し! G・L ターボ ホンダセンシング
「推し」の理由から当然ホンダセンシング装着車。高速用途も考慮すればターボは欲しい。軽乗用としては高価だが、使える用途と機能や装備からすればコスパ優秀だ。
主要諸元(G・L ターボ ホンダセンシング・FF)
●全長×全幅×全高(mm):3395×1475×1790●ホイールベース(mm):2520●車両重量(kg):910●駆動方式:FF●パワートレーン:658cc直3DOHC直噴ターボ(64PS/10.6kg・m)●トランスミッション:CVT●JC08モード燃費(km/L):25.6●燃料タンク(L):27(レギュラー)●最小回転半径(m):4.5●タイヤサイズ:155/65R14
推し! プレミアムコンパクト級の先進安全装備
N-BOXのホンダセンシングは、軽だからといって上位クラスに一切劣らないフル機能版。むしろ後方誤発進抑制機能をホンダ車で初搭載するほど。歩行者事故低減ステアリングまで備えており、プレミアムと呼んで差し支えない先進安全&運転支援装備となっている。推し! 高速ツーリングも快適な装備と性能
軽クラスが苦手とする高速道路にも高い適応力を見せる。やはりホンダセンシングの恩恵が大きく、ACCやLKAといった運転支援が大きなアドバンテージとなる。腰くだけにならない足回りや燃費低下などのネガを抑えたエンジンも高速長距離適性を支えている。
LEXUS LS

●価格帯:980万~1680万円
自他ともに認める国産車の最高峰セダン
最高価格モデルは1680万円である。最安価モデルでも980万円。不当に高い値付けならともかく、トヨタがプレミアムブランドとして展開するレクサスならば、価格に見合った内容を備えて当然だ。
搭載エンジンは全モデルとも3.5LのV6だが、ガソリン車はツインターボを採用、ハイブリッド車には2WDと電動前輪駆動系を付加した4WDを設定。エコ時代のダウンサイジングに合わせた以前のV8に代わる新世代V6として開発。サスは4輪マルチリンクで、全モデルが電子制御エアサスを装備する。エアサスは操安性と乗り心地の高レベルでの両立を図るだけでなく、乗降時に乗降しやすい高さに最大30mmで車高を変化させる「乗降モード」まで備えている。
運転支援では全車速型ACCや半自動操舵型LKAは当然採用され、ウインカーレバー操作と連動して半自動で車線変更を行うLCAも装備。LKAは車線逸脱予防だけでなく、走行ラインを適切に保つ補正機能も備え、運転支援能力の質を向上させているのも見所のひとつだ。
シートは全モデルが本革仕様。上級グレードでは質感の高いセミアニリン仕上げを採用し、OPでさらに風合いを高めたLアニリン仕上げも用意。もちろん、前席は全車パワーシート。調整機構は運転席が20ウェイ、助手席が18ウェイである。木目加飾には本杢目を採用し、トリム材も最上級だ。
要するにどこを取っても「最高」のスペックを備えている。もっとも、何をして最高とするかはユーザーの価値感次第。ただ、以前はスポーティに傾倒しすぎた感の強かったレクサスだが、最近はプレミアムのウェルバランスに戻しつつあり、同車はその代表的なモデルである。
イチ推し! LS500h・4WD
国産他車との価格差が大きく、プレミアムの費用対効果を図るのは難しいが、走行ハードウェアと価格を比較した場合、ハイブリッドの4WD車が買い得感が高い。
主要諸元(LS500h・4WD)●全長×全幅×全高(mm):5235×1900×1460●ホイールベース(mm):3125●車両重量(kg):2280●駆動方式:4WD●パワートレーン:3456ccV6DOHC直噴(299PS/36.3kg・m)+モーター(180PS/30.6kg・m)●トランスミッション:電気式CVT●JC08モード燃費(km/L):14.4●燃料タンク(L):82(プレミアム)●最小回転半径(m):6.0●タイヤサイズ:245/50RF19
推し! 先進技術を駆使した上質な走り
クラフトマンシップがもたらす内外装のプレミアム感だけでなく、走りの機能&装備もまたプレミアム。推し! 最高レベルの装備と機能が揃う
素材や質感を追求したインテリアや最新かつ最高の機能を誇るインフォ/エンタメ装備により、最高峰の贅沢さを満喫できる。また、先進安全&運転支援装備も操舵支援を含む高度な機能を備えている。
Mercedes-Benz Cクラス セダン

●価格帯:441万~1357万円
FRベンツの味わいを入門価格で
AクラスなどFF系ベンツの車種拡張によりCクラスはベンツの中級ポジションに格上げされているが、FRベンツに限ればエントリーモデルである。FF系のベンツも代を経る毎に走りの質感を向上させるとともに味わいもFR系に近づいてはきたが、それでも重質な味わいや挙動の違いがあり、やはりFR系が上級設定だと実感する。言い方を換えるならCクラスはSクラスやEクラスの縮小版のような印象が強いのだ。
もうひとつ評価したいのはセダンに対するこだわりだ。全長は4.7mを超えるが、大排気量エンジンまで展開するFR車であり、キャビン有効長はそれほど余裕がない。流行りのクーペ的ルーフラインを採用すれば後席は圧迫感が強く、乗降性も低下するが、Cクラスは後席ヘッドルームを大きく採ったデザインを採用。ちょっとぼってりした印象もあるが、後席も寛げてこそのセダン、というベンツのこだわりを実感できる。
車格と価格を考えれば当然だが、全車速ACCや半自動操舵LKAを設定。LKAは横からの突風を受けた時の補正を行うなど、機能的にも充実している。標準装着はハイブリッドのC350e以上になるが、エントリーモデルで受注生産のC180でもOP装着が可能である。
重質でゆったりした走りの味わいは良質と安心をもたらし、プレミアムセダンの基準器的でもある。動力性能を基準とした車格感では割高にも思えるかもしれないが、プレミアムの本質で評価するなら買い得とさえ言える。加えて多彩なラインナップも魅力だ。1.6Lダウンサイジングターボから2.2Lディーゼル、2Lハイブリッドを用意。価格レンジも相当広いのだが、プレミアム志向のダウンサイザーには最有力車である。
イチ推し! C180ローレウスエディション
C180をベースにAMGの内外装ドレスアップやスポーツサスを装備したモデル。C180と異なり標準生産仕様で500万円を切った価格設定も魅力である。
主要諸元(C180ローレウスエディション)●全長×全幅×全高(mm):4715×1810×1435●ホイールベース(mm):2840●車両重量(kg):1540●駆動方式:FR●パワートレーン:1595cc直4DOHC直噴ターボ(156PS/25.5kg・m)●トランスミッション:9速AT●JC08モード燃費(km/L):15.7●燃料タンク(L):66(プレミアム)●最小回転半径(m):5.1●タイヤサイズ:前=225/45R18 後=245/40R18
推し! ベンツらしいベンツ、王道の乗り味
ベンツらしいベンツと言えばやはりFRセダン。プレミアムの王道たる重厚感のある乗り味や後席の快適性など、その味わいを比較的安価に手に入れられるのがCクラスだ。受注生産のC180が441万円から、買い得なローレウスエディションは498万円から。
提供元:月刊自家用車