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更新日:2018.11.26 / 掲載日:2017.12.05

祝50周年! 世界で働くハイエースが自動ブレーキ搭載でさらに進化!

文●工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス

 商用バンとして日本でシェアトップの人気を誇り、海外でも多くのユーザーを抱えるハイエース
 何を隠そう、ハイエースのデビューは1967年で今年は生誕50周年にあたる年。そこで、11月22日に一部改良を実施した最新型ハイエースのお披露目を兼ねつつ、ハイエースの歴史を振り返りながら開発にかける想いを開発責任者自らが語るイベントが東京・お台場のメガウェブで開催された。
 「ハイエースは世界約150カ国で販売されていて、国内では毎月約7000台、海外では約9000台、あわせて年間20万台を販売している」と語るのはトヨタ自動車CVカンパニーでハイエースのチーフエンジニアを担当する野村淳さん。日本人としては意外だがハイエースは世界戦略車なのだ。

初代ハイエース

 日本初のキャブオーバーバンとして初代が発売されたのは1967年10月。ハイエースの登場は物流の現場に「トラックから屋根つきへ」という大きな変革を起こした。それまで荷物を運ぶクルマといえばトラックだったのだが、人々の生活が豊かになるのにともなって雨が降っても荷物が濡れることのない荷物運搬車の登場が求められていた。そういったニーズを満たすために生まれたのがハイエースというわけだ。
 3代目コロナをイメージさせるサイドラインを採用させるなどそれまでの商用車とは一線を画する乗用車ムードのデザインも特徴で、現行モデルにも受け継がれるビルトインフレーム式のモノコック構造によるフラットな荷室フロアも採用。サスペンションはダブルウィッシュボーンで、従来のトラックとは比較にならない乗り心地を実現したのもトピックだった。ちなみに当初はリヤドアがスライドドアのみだったが、途中からスイングドア車が追加されたのも興味深い。

2代目ハイエース

 1977年2月に発売された2代目は広くなった荷室が特徴で、全長を伸ばしたスーパーロングもラインナップ。ディーゼルエンジンやATが設定されたのもこの世代からだ。

3代目ハイエース

 1982年12月に発売された3代目では、バンやコミューターとワゴンで大きく異なるフロントデザインを採用。ヘッドライトを縦に重ねたワゴンのデザインは個性的で、またワゴンにはよりラグジュアリーなシートが与えられ、2列目に左右が独立したキャプテンシートが設定されるなど快適性がグッと高まってきた。ワゴンには乗り心地を重視した専用のサスペンションが与えられたのも大きな出来事だ。

4代目ハイエース

 ワゴンとしての快適性が頂点を迎えたのは1989年8月に発売された4代目。3列それぞれにサンルーフやパワースライドドアも用意された最上級グレードは豪華装備が自慢で、今でいうアルファードのような存在感だった。

5代目ハイエース

 いっぽうで2004年8月からの5代目からはポジショニングが変化。アルファードなどミニバンが発売されたことで快適ワゴンの役目はそちらに譲り、ハイエースはビジネスバン&コミューターに特化したのだ。そして5台目から追加されたワイドボディは、ハイエースに新たなる可能性を広げたバリエーションである。

チーフエンジニアの野村さんは「ハイエースの開発にあたっては乗用車とは異なる厳しい耐久性が与えられている」という。たとえば毎日何度も繰り返し開け閉めを繰り返すこともあるスライドドアは「普通の乗用車よりも1ケタ多い耐久テスト基準」が定められている。
 また、クルマが使えなくなってはユーザーの業務に支障が出るというユーザーサイドの視点を徹底的に重視して設計がおこなわれている。そのため長期間に渡って使い込まれた際には部品が壊れていく順番まで考慮していて、駆動系やサスペンションが壊れる際は「まず走行に支障がない部品から壊れ、トラブルの前兆をユーザーに知らせるよう考えている」というから驚きだ。
 開発にかける想いを聞いていると、ユーザーのことを考えた細かな心遣いが詰まったクルマなのだと強く実感する。そして、その積み重ねがブランドイメージを築き上げ、世界中で絶大な人気を集める理由のひとつなのだと改めて感じた。

ハイエースのチーフエンジニアを務めた野村さん

 さて、今回の一部改良で最新へとブラッシュアップされたハイエースの大きなトピックはふたつ。ひとつは衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」の採用、もうひとつは搭載するディーゼルエンジンの変更である。
 いまや新車の必需品ともいえる自動ブレーキ(プリクラッシュセーフティ)だが、ハイエースにはこれまで設定がなかった。そこで今回新たに採用されたわけだが、興味深いのはトヨタのシステムのなかでベーシック版の「Toyota Safety Sense C」ではなく高機能版の「Toyota Safety Sense P」だということ。コストが重視される商用車なのに高機能版を採用したのは意外だが、チーフエンジニアの野村さんは「開発者としてのこだわりです。ハイエースはビジネスユーザーが多いので事故でクルマが使えなくなると困る。だからお客様にご迷惑を掛けることが少なくなるように、人もしっかり検知するしプリクラッシュブレーキの作動速度域も高い高機能版にこだわった」と説明した。
 「Toyota Safety Sense P」は自動ブレーキのほかに、車線からのはみだしを知らせるレーンディパーチャーアシストやヘッドライトのハイビームとロービームを自動的に切り替えるオートマチックハイビームも組み込まれている。多くの「Toyota Safety Sense P」搭載車には組み込まれているレーダークルーズコントロールは搭載されていないが、これは「Toyota Safety Sense P」の搭載を急ぐべく開発し、クルーズコントロールまでは手が回らなかったからそうだ。
そんな「Toyota Safety Sense P」は全車に標準装備。グレードで差別していないのは評価できる。また安全性としてはスリップを防ぐVSCも全車に標準装備化。これもドライバーの運転ミスによる事故を防ぐ効果は高い。
 ディーゼルエンジンに関しては、ランクルプラドなどで実績のある「1GD-FTV型」と呼ぶ2.8Lのクリーンディーゼルエンジンを6速AT(従来は4速だった!)と組み合わせて新採用。走りが力強くなると同時に振動や騒音の低減で快適性が増し、また燃費が向上していることもニュースである。ちなみにディーゼルのMT車はラインナップから消え、新型のディーゼル車はすべてATとの組みあわせだ。

 ところで今回の一部改良においても外観はほとんど変わっていないが、これはハイエースのデザインがすでに完成されているからに他ならない。しかしよく見ると、フロントグリルの一部が樹脂になっているのが新型の目印(Toyota Safety Sense P非装着車を除く)。これはプリクラッシュブレーキのレーダーを組み込んだからである。
 インテリアも基本的に大きな違いはないが、ルームミラー付近に前方を捉えるカメラが備わったことと、ダッシュボードにオートマチックハイビームの、ステアリングにレーンディパーチャーアラートの作動スイッチが組み込まれたのが従来モデルとの差異だ。そして、従来モデルのオーナーにとって気になるのはメーターかもしれない。従来から組み込まれる上級グレードに加えてベーシックグレード「バンGL」であってもオプティトロンメーターが標準装備となり、上級感が大きく高まったのだ。
 現行型はモデルチェンジから13年を迎えるのでそろそろ次のモデルも気になってくるかもしれないが、50周年を迎えた今回の一部改良で完成度と魅力がより高まったのは間違いない。どうやら次期モデルの登場は“すぐ”ではなさそうである。

トヨタ ハイエース スーパーGL 標準ボディ 標準ルーフ(6速AT)
全長×全幅×全高 4695×1695×1980mm
ホイールベース 2570mm
トレッド前/後 1470/1465mm
車両重量 1930kg
エンジン 直4ディーゼルターボ
総排気量 2754cc
最高出力 151ps/3600rpm
最大トルク 30.6kgm/1000-3400rpm
サスペンション前/後 ダブルウィッシュボーン式トーションバー/車軸式半楕円板バネ
ブレーキ前/後 Vディスク/ドラム
タイヤサイズ前後 195/80R15

販売価格 228万5280円~356万2920円(バンのみ)

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グーネットマガジン編集部

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