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更新日:2018.10.24 / 掲載日:2017.07.11
セダンの復権を目指す「大変身!」の新型トヨタ カムリがデビュー

「新型カムリ」とトヨタ自動車 専務役員 吉田守孝氏(中)、チーフエンジニア 勝又正人氏(左)、カムリアンバサダーのテリー伊藤氏(右)
文●ユニット・コンパス 写真●川崎泰輝
現行型プリウスから始まったTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)は、以降に登場したトヨタのニューモデルに次々と採用され、現在同社のクルマづくりは大きな変革の真っ只中にある。今回発表された新型カムリもTNGAを根幹とした開発がなされ、かつてないほど大胆な進化を遂げた。新型カムリの開発スローガンは「前例のない変革(Unprecedented Change)」。プラットフォーム、パワートレーンユニット、電子系パーツのすべてをゼロから刷新したのが、大きな見どころとなっている。

新型の内容を掘り下げる前に、ここでカムリの歴史について簡単におさらいしておこう。カムリが世に初めて登場したのは1980年、「セリカカムリ」というモデルに与えられたネーミングだった。当時のセリカは後輪駆動のスペシャルティカーで、セリカカムリはそのセダン版として登場。つまり、初代モデルはスポーツセダンというキャラクターを強く打ち出していた。しかし2代目からは時代の波により前輪駆動となり、その後カムリは北米市場をメインターゲットとしたミッドサイズセダンとして販売されてきた。落ち着いたデザインとゆったりした走りが売りの大人向けセダンというのが、ほぼ全世代にわたる共通のコンセプトである。そして今回登場した10代目はというと、今までの実用性に加えて乗ってワクワクする官能性をさらに高め、それまでのカムリにはあまり見られなかったエモーショナルな側面において大幅な進化を果たした。それは、初代(セリカカムリ)の持ち味だった走りへの原点回帰と言い換えることもできるだろう。
ボンネットを低く抑えたスポーティなエクステリア

今回のモデルチェンジの大きなトピックとなるのは、斬新なエクステリアデザイン。TNGAによる新プラットフォームを活かし、低重心とワイドスタンスを両立したスポーティなルックスが見どころとなっている。主要諸元による先代との全高差はわずか25mmであるが、ボンネットフードの高さが40mmも下がったことで、見た目の印象はかなり異なる。低フード化はドライバーの視界向上にもつながっており、フロントピラーのスリム化と相まって、大柄なセダンながら、見切りのよさ、取りまわしのよさが向上している。フロントビューは、トヨタ車の顔である「キーンルック」を採用しているが、立体的な造形のバンパー、大開口ロアグリル、クリスタルのような輝きを放つLEDクリアランスランプが与えられ、個性あふれる力強い顔つきとなった。サイドビューも特徴的で、前述の低いボンネットフードに加え、フェンダーやベルトライン位置も低くなった結果、筋肉質で躍動感を感じさせるフォルムとなっている。これは静的なデザインだった先代カムリとは対照的といえる。さらにホイールデザインも一新され、18インチは切削光輝+シルバー塗装の上品な形状となり、足もとを引き締めている。
プレミアム感を強く打ち出した快適な室内空間
新プラットフォームの採用により、フロア高が下げられた。当然ヒップポイントも下がったが、フロントウインドウ下端が低くなったことで前方視界はしっかりと確保されている。運転席は前後シートスライド幅が260mmと先代よりも20mm長い。チルト、テレスコピックによるステアリング位置の調整幅も広いため、ベストなドライビングポジションが取れる。また、かかとの位置がずれにくいオルガン式アクセルペダルを採用したのも注目点で、ドライバーの負担を軽減。一方、非対称なインパネデザインは未来的で、部品の小型化やレイアウトを見直し、インパネを薄くすることに成功している。加えて、ドアトリムやアームレストなど、身体に触れる部分にはソフトパッド表皮が採用され、光の反射を抑えたサテンメッキを随所に用いることで、全体的な質感が大きく高まった。メータークラスター中央には7インチTFTディスプレイを配置。そのほか、速度やナビのルート案内など、運転に必要な情報をウインドウシールドガラスに投影するカラーヘッドアップディスプレイを採用。先進技術もしっかりと取り入れられているのだ。
TNGAによる新世代シャシー&エンジンで低燃費と運動性能を両立
エンジンは、新開発の2.5L 4気筒「A25A-FXS」を搭載。これにハイブリッドシステム「THS II」を組み合わせることで、JC08モード燃費は33.4km/Lを達成(「X」グレード)している。パワートレーンを詳しく見ると、従来の「2AR-FXE」と比べてロングストローク化し、バルブ狭角を拡大、さらには高効率吸気ポートを採用して、強化したタンブル流と噴霧自由度の高いインジェクターを組み合わせることで高速燃焼を実現したという。またハイブリッドトランスアクスルの改良、小型軽量な高回転モーター、新開発素子を用いたパワーコントロールユニット、高性能リチウムイオン電池を採用したことも燃費の向上に繋がり、パワートレーン全体の最大熱効率はクラストップレベルの41%を達成した。また、新型カムリは足まわりの構造も一新。フロントには新開発されたマクファーソンストラット、リヤは先代のストラットに代えて新開発のダブルウィッシュボーンが与えられる。これに加えパワーユニット、乗員、バッテリーをより低くレイアウトすることで低重心化を実現したことで、ハンドリングは大きく改善された。このほかボディ剛性も見直されており、今までのカムリから大幅に走りの楽しさがアップしている。ここはTNGA真価がもっともわかる改善点と言っていい。
先進の安全技術「トヨタ セーフティ センス P」を全車標準搭載
安全面では、ミリ波レーダーと単眼カメラを用いた先進の安全技術「トヨタ セーフティ センス P」が全車に標準搭載される。これは、自動ブレーキによる衝突回避や衝突時の被害を軽減する「プリクラッシュセーフティシステム」、車線逸脱時にドライバーへ警告&ステアリングアシストを行う「レーンディパーチャーアラート」、夜間の視認性を高める「オートマチックハイビーム」、先行車両と距離を保って追従走行を行う「レーダークルーズコントロール」という4つの機能を搭載。さらにメーカーオプションで、車線変更時に後方確認をアシストする「ブラインドスポットモニター」、駐車場などでの事故被害を軽減する「インテリジェントクリアランスソナー」、後退時の死角を検知して警告および衝突被害を軽減する「リヤクロストラフィックアラート」の3つの機能も選ぶことができる。さらに7つのエアバッグを採用することで、高度な安全性が約束される。
プレゼントするチーフエンジニア 勝又正人氏。
【トヨタ カムリ G レザーパッケージ(CVT)】
全長 4885mm
全幅 1840mm
全高 1445mm
ホイールベース 2825mm
重量 1600kg
エンジン 直列4気筒DOHC+モーター
総排気量 2487cc
エンジン最高出力 178ps/5700rpm
エンジン最大トルク 22.5kgm/3600-5200rpm
モーター最高出力 120ps
モーター最大トルク 20.6kgm
サスペンション前/後 ストラット/ダブルウィッシュボーン
ブレーキ前/後 Vディスク/ディスク
タイヤ前後 235/45R18
販売価格 329万4000円~419万5800円(全グレード)
トヨタ純正用品装着車。
新型リチウムイオンバッテリー。
2.5LダイナミックフォースエンジンXハイブリッドシステム[YHSII]。
TRDパーツ装着車。
モデリスタ(MODELISTA)パーツ装着車。
トヨタ自動車 専務役員 吉田守孝氏
チーフエンジニア 勝又正人氏
カムリアンバサダーのテリー伊藤氏