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更新日:2025.03.13 / 掲載日:2025.03.06
いい感じに育ってます、ホンダの異端児【ホンダ 改良新型WR-V】

文と写真●ユニット・コンパス
おもしろいホンダが、さらにパワーアップして登場です。装備や機能を削ぎ落としたコンセプトで話題となったWR-Vが、登場から1年で早くも改良新型となりました。ここでは、進化のポイントや実車に触れた感想、そして同時に発売開始となる特別仕様車「BLACK STYLE」をレポートします。
WR-Vの特徴と一部改良のポイントを解説

近頃のホンダ車は、スタンダードとプレミアムの間をねらった「ちょっといいクルマ」的なコンセプトが主流になっています。N-BOXやフリード、ヴェゼルなどを思い浮かべていただくとわかりやすいでしょう。デザインはシンプルで装備は充実という方向性です。
それに対してWR-Vはちょっと異質。SUVなのに4WDは無いし、ホンダ自慢のe:HEVも選べない。装備はほんとシンプルで実用重視。ホンダ社内でも議論があったようですが、あえて割り切ることで低価格を実現しています。手に入れやすい価格であることが、行動の自由につながるという考えがそこにはあります。開発時期がいわゆるコロナ禍であったこともあり、移動できる自由、みんなと過ごす自由、色々なことに挑戦できる自由……そういったことに強く思いを馳せて作られたクルマなのです。
そんなWR-Vが一部改良を受けて改良新型になりました。それを聞いて初期型ユーザーはびっくりするかもしれませんが大丈夫、買い換えたくなるほどの変化ではありません。じつは改良新型WR-Vは価格が上がっています。「Z」グレードで239万8000円、改良前が234万9600円なので4万8400円の値上げ。いわゆる物価上昇分との説明でした。値上げが不可避であれば、この機会にユーザーの声を反映したいと今回の改良につながったわけです。
発売は2段階になっていて、まずは「Z」と特別仕様車(「Z」および「Z+」ベース)が3月6日に発売開始。「X」と通常仕様の「Z+」は、2025年夏の発売予定で、価格もまだ未定となっています。
では、具体的な改良ポイントです。
・「Z」、「Z+」のインパネ下部とリアドアにソフトパッドを追加
・「Z+」の内装にブラウンのフルプライムスムースシートを採用
・「Z」、「Z+」に新色「オブシダンブルー・パール」を追加
その他の性能や機能には変更はありません。実車を確認しましたが、ソフトパッドの採用は大正解だと思います。触ったときの感触がいいのはもちろん、見栄えがかなりよくなりました。リアドアがフロントドアと同じ仕上げになったのも地味ですが嬉しい。こういうところが満足感につながりますよね。
「Z」と「X」では20万円以上の価格差がありますから、シンプルを極めた「X」と質感にもこだわった「Z」とキャラクターの違いがよりはっきりしました。そして「Z+」は、最上級仕様としてブラウン内装になります。これも「Z」との違いが際立つ変更点でしょう。





黒にこだわった特別仕様車「BLACK STYLE」

改良新型と同時に発表となったのが特別仕様車「BLACK STYLE」。これは、「Z」と「Z+」に設定されます。価格は、「Z」ベースが248万3800円。「Z+」ベースが258万600円です。
「Z」で比較すると8万5800円の差額で、エクステリアとインテリアを黒でコーディネイトしたスタイルが手に入ります。ホイールやドアミラーが黒になることで、ルックスは精悍な印象。そしてインテリアは、パネル類がピアノブラック調仕上げとなったことで印象がグッと上質になっています。また、夏発売予定の「Z+」がブラウン内装になるため、「Z+」のルックスでブラック内装がほしい人は、ぜひこの「BLACK STYLE」を選んでください。


定番モデルへの成長が期待される「ハイコスパ」SUV

改めてWR-Vに触れましたが、相変わらず魅力的なクルマでした。価格を重視して装備や機能をある程度割り切るったWR-Vは、ホンダにとってはある意味で異端児。しかし、そのエッジを効かせたコンセプトによって販売台数は順調。購入ユーザーの約半数が新規ユーザーで、20代〜30代の女性ユーザーが多いというのも興味深いデータです。
今回の改良によって、グレードごとの個性がさらにわかりやすくなりました。ボディカラー×黒で引き締まったカラーコーディネートを楽しめる特別仕様車「BLACK STYLE」も人気を集めそう。
クルマが高性能になるのは嬉しい一方で、それほど高機能を求めていない人もいるでしょう。そんな人たちにとって、クルマの楽しさを手軽に楽しめるWR-Vは嬉しい存在。これからも定番モデルとして成長し、ファンを増やしていくことに期待です!