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更新日:2025.02.17 / 掲載日:2025.02.17

【2025最新版】スバル読本〜Now & Future〜

水平対向ボクサーエンジンを搭載した4WDスポーツのイメージが強いSUBARUだが、クロストレックにストロングハイブリッド搭載車を追加するなど、電動化への対応を加速中だ。代名詞とも言える水平対向ボクサーエンジンが電気モーターに置きかわっても継承される「SUBARUらしさ」の本質を考察し、その視点から主な現行モデルを振り返ってみよう。

●文:横田 晃

電動化時代の「SUBARUらしさ」とは——

航空機開発に由来する独自の思想から発展
企業を、売り上げや従業員数といった規模の大小だけで評価することはできない。確かに、規模が大きければスケールメリットと呼ばれる数の論理で、安く大量の商品を売りさばくのも楽になるのだが、すべての企業がそうなることはできないし、さまざまな個性の企業が多様な商品の選択肢を用意してこそ、消費者の利益にもなる。
スバルの’24年3月期の決算資料に記された世界販売台数は97万6000台。規模でいえば同期間に1000万台を売るトヨタの10分の1だが、それでスバルを低く評価する人はいないだろう。
それどころか、スバリストと呼ばれる熱心なファンの数なら、トヨタをもしのぐかもしれない。そのようにユーザーから愛される個性こそ、スバルの最大の武器だ。
ただし、最初からそれで成功したわけではなかった。中島飛行機が前身のスバルは、航空機エンジニア出身の百瀬晋六氏が開発した革新的な軽自動車、スバル360で4輪車メーカーとなり、黎明期のマイカー時代を牽引した。
ただし、同じ百瀬氏の手になる初の小型車、スバル1000は、専門家からは高く評価されたものの、ビジネスとしては失敗だった。性能と快適性の高レベルでの両立を目指し、水平対向エンジンや前輪駆動などのハイメカニズムを採用したために高価な一方で、虚飾を排した広い室内は、庶民には殺風景と映ったのだ。
結果、買い得価格の日産サニーと上級戦略のトヨタカローラの販売合戦に弾き飛ばされたスバルは、自社の工場でサニーを受託生産するという屈辱的な経験もしている。
しかし、続くレオーネでも大事に育てたそのメカニズムが、世界でも珍しい量産4WD乗用車の誕生へとつながる。3世代のレオーネで熟成されたその技術の集大成として、シンメトリカルAWDを核心技術とするレガシィが’89年に生まれたのだった。

EV時代もファンから熱く愛され続けていく
小さい会社には、小さいなりの戦い方がある。スバルが小さくともきらりと光るための武器は、航空機メーカー譲りの理想主義的な走りと安全性へのこだわり。それは客の目が肥えてこそ理解されることだった。’90年代に日米の両市場で成功したレガシィとインプレッサを通じて、天候や速度を問わず安全、快適、かつ楽しく走れるシンメトリカルAWDの価値はついに広く認知された。
今日のスバルはそれを「安心と愉しさ」と呼び、ユーザーに提供する価値の核心としている。
事実、スバルのクルマはどれに乗っても上質な乗り心地や安心感と、思いのままに操れる愉しさを高度に両立している。ステレオカメラを使った独創的な運転支援システム「アイサイト」は、今や限りなく自動運転に近い機能まで実現して、その安全性と愉しさをアシストしてくれる。
その個性は、電動化が進むこれからも変わらないとスバル自身がメッセージしている。
’23年に発表され、’24年11月までに2度の更新がなされた同社の中期経営計画では、トヨタとの協業も活用しながら電動化技術の開発を進める一方、長年培ってきたシンメトリカルAWD技術を核とした、独自の走りと安全の追及も続けることが明記されている。
また、米国では「Love Promise」と呼ぶスバル車を愛してもらう活動を続けるなど、ファンを大切にする姿勢も強化していくという。車載プログラムを書き換えて走りをアップグレードする「e-tune」など、長く愛してもらえるようにクルマの価値を保つ、「減価ゼロ」と呼ぶ取り組みも始まっている。
スバルはたとえEVになっても、ユーザーに熱く愛されるブランドを目指して走り続けるのだ。

S210 PROTOTYPE

ボクサーターボも健在!
 スバルは電動化のトレンドにトヨタとのアライアンスを活かして対応する一方で、高性能ガソリン車で走る愉しさの追求も手綱を緩めていない。東京オートサロンで発表されたS210プロトタイプは、スバルのモータースポーツ統括会社であるSTIがかつてのWRCに代わって挑戦している、ニュルブルクリンク24時間レースで得られたノウハウをフィードバックした究極の2ペダルスポーツセダン。ホンモノのレーシングクオリティを持つロードカーだ。

SUBARU Line-up

OEM

軽自動車(OEM)

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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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