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更新日:2024.05.30 / 掲載日:2024.05.30
新型キックス先取り解説 〜新旧&ライバル比較も〜
日産キックスの最新モデルが北米で発表された。すべてが最新世代にアップデートされた新型は、あらゆる部分が現行型を凌駕することは確実。国内仕様の動向は現時点では不明だが、発売の暁にはこれまで以上の人気を集めるのは間違いないだろう。ここでは現時点で判明している新型の概要をお伝えしよう。
●文:川島茂夫/月刊自家用車編集部
NISSAN 新型「キックス」北米で鮮烈デビュー


メカニズム&装備が大きくランクアップ! 国内でも相当な人気を集めるのは確実
プレミアムキャラを強化
1ランク上のSUVへ
キックスが国内に投入されたのは2020年。最近のフルモデルチェンジとしては早すぎると思うかもしれないが、実は現行型が世界市場に導入されたのは2016年で、そこを基準にすれば妥当な期間といえるだろう。実際、国内投入が遅かったこともあって、ノートの現行型と比べると、プラットフォームの差による基本性能の違いは明白で、そんな意味でもフルモデルチェンジが期待されていたわけだ。
今回、北米で発表された新期キックスは、一新されたエクステリアデザインからして、最新世代への期待を膨らませるに十分だ。その象徴ともいえるのがフロントマスク。現行型はノートの流れを汲んだデザインで、いかにも派生モデルらしいイメージが強かったが、新型はエクストレイルのダウンサイジング版、分かりやすく言うと、日産の次世代SUV戦略を予感させるものに変化した。キックスが重要な存在になったことを物語っている部分だ。
北米仕様の諸元によると、現行型に対して全長は約80㎜、全幅は約40㎜、全高は約25㎜拡大、文字通り一回り大きくなっている。とくに注目されるのはホイールベースだ。コンパクトSUVの中でも上級に位置するカローラクロスよりも約20㎜大きく、外観はプレミアム感を向上させつつ、キャビンスペースを拡大している。実用面でも進化が期待できる。
インパネ周りは、使いやすさと先進性を上手に融合したデザイン。全面液晶のメーターパネルや、それらと造形的に一体化されたセンターディスプレイなど、現行ノート系にも似たデザインを採用。液晶パネルとカラフルなグラフィックを用いたグラスコックピット感を強調するイメージが強まった。
技術面のハイライトのひとつは、冒頭でも述べた世代的に遅れていたプラットフォームの更新だ。現行型はマイナーチェンジ時にパワートレーンを現行ノート系と同型の第二世代e-POWERに変更しているが、新型はプラットフォームも含めて最新仕様にアップデートされる。
国内はe-POWERのみ
そう考えるのが自然だ
なお、今回発表された北米仕様車の搭載パワートレーンは2ℓNAにCVTの組み合わせ。最近の日産車の展開からすれば、国内仕様の新型のパワートレーンがe-POWERになるのは確実だが、現時点では詳細は不明だ。
また、北米仕様のキックスには4WDも用意されるが、これも内燃機パワートレーンとの組み合わせ。国内仕様は、現行型と同様にツインモーターのe-POWER 4WD、あるいは駆動制御精度を高めたe-4ORCEへのグレードアップの可能性も十分にありえる。いずれにしても4WDシステムも、日米では別仕様になる。
そこで4WD車で注目したいのはサス形式。現行型はFF/4WDともにリヤサスにトーションビームを用いているが、新型の北米仕様の4WD車のリヤサスはマルチリンク式を採用している。また、最低地上高は213㎜の設定で、悪路踏破性もセールスポイントにするようだ。後輪駆動系の設計は仕向地ごとに別仕様となるケースもあるので断定はできないが、国内仕様もリヤマルチリンクサスが投入されれば、4WD車のポテンシャルアップと適応用途拡大が期待できる。
安全&運転支援装備は、プロパイロットアシストが最上級グレード(SR)に標準装備されるが、次期国内仕様もノート系と同等、あるいはその進化型を採用するのは間違いない。仮に生産国がタイからメキシコに変わったとしても、輸入車ということで、現行型同様に全車標準装備されることが予想できる。
実車チェック前でもあり、走りや内外装の造り込みなどの細かな部分の出来は判断しにくいが、公開された資料を見る限り、走りや内装の質、プレミアム感が大幅にグレードアップするのは間違いないだろう。少し価格設定が気になるものの、エクストレイルとの関係からして現行型の価格にプラスαした程度になりそうだ。国内デビューの暁には、実用性もプレミアム性も求めるダウンサイザーにとって、最も魅力的なコンパクトSUVになりそうだ。












キックス《新》《旧》モデル比較
あらゆる部分が正常進化。新型の優位は明らか
現行型は少し価格は高めに設定されていたが、プロパイロットやe-POWERが標準装着されるなど、性能と装備のバランスが取れていたモデルだったが、新型はそれ以上の魅力が宿っていそうだ。新旧キックスの違いを改めて浮き彫りにしてみたい。
新型はプレミアム性を強化
走行性能向上にも期待大
現行キックスは、先代ノートをベースに開発されたコンパクトSUVだが、現行ノートはすでにプラットフォームを更新済み。つまり現行同士を比較すると、キックスはノートよりも一世代古い車体設計を採用していた。今回、キックスがフルモデルチェンジされたことで、この世代ギャップが解消され、車体設計も含めて最新仕様となる。また、新型の北米仕様車には、4WD車のリヤサスにマルチリンク式を導入するなど、ノート系とは違ったアプローチも垣間見ることができる。
また従来のキックスは、SUVパッケージを採用することで、ノート以上のキャビン実用性&ユーティリティを持たせた実用モデルという一面を持っていたが、新型はその強みに加えて、日産コンパクトカーの最上位モデルというキャラ付けがプラスされる。
実際、新旧のキックスを比べてみると、デザインのあり方が大きく変わっていることを確認できる。エクステリアでは上級プレミアムSUVを彷彿させるフロントマスク、インテリアでは運転席前から中央部に連なるデュアルディスプレイが印象的なキャビンレイアウトなど、洗練されたイメージが大きく強まっている。
また、現時点では予想の範疇になるが、新型にも第二世代e-POWERが採用されるのは、ほぼ確実だろう。さらには些か拡大解釈気味になるが、走りの魅力向上を目指して、上級電動4WDのe-4ORCEを展開することでエクストレイルに匹敵する動力性能が与えられる可能性もありえる。
現行型と同様に海外生産モデルを輸入するカタチになるならば、最近の円安傾向の強さもあって設定価格は気になるが、コスパを除けば、あらゆる部分が現行型以上に仕上がっている可能性が高そうだ。
新型キックス
価格は発表されていないが、装備機能や内装加飾の進化を考えれば値上げは必至。ちなみに北米での先代キックスは2万790ドル(約318万円)〜、現行ローグ(エクストレイル)が2万8850ドル(日本円で約442万円)〜だ。





現行型キックス
現行型の国内仕様車はタイ工場が生産を担当。そのため、国内向けは上級グレード相当のみに絞られる。豪華な内外装加飾に加え、プロパイロットも標準装備されるなど、お買い得な内容で人気を集めている。





《新型キックス》ズバリ、ライバルはこのモデル!
内外装仕立てはもちろん
走行性能もトップ級へ
キックスのライバルは、フィットやヤリスといったスモール2BOX発展型のコンパクトSUVだが、新型はそれらよりプレミアム感を強めたことで、車格アップを狙った印象を受ける。クラス的にはヤリスクロスやヴェゼルなどと同格になるのだが、その上のカローラクロスと同等、もしくはそれ以上になりそうだ。実際、車体サイズは2BOX発展型のモデルの中では最大級になる。
ただ、新型の最大のアドバンテージとなるのは走りだろう。なかでも4WD車に注目。現行型もe-POWER 4WDを搭載したことで、オン&ラフロードの性能はカテゴリートップクラスだが、さらにプラットフォームが最新仕様になることで、走りの質がもう1ランク高まる。乗り心地や静粛性の向上も期待できそうだ。
ちなみに新型・北米仕様の最低地上高は、SUV全体の中でも最大級。ゆとりある後輪駆動系の容量(トルク)の恩恵もあって、コンパクトSUVとしては、最もアウトドアレジャー適性に優れたモデルになるかもしれない。
TOYOTA ヤリスクロス

価格と性能のバランスの良さはクラストップ級で、いまでもコスパ目線では現行キックスは苦しい戦いを強いられている。だが、新型になれば、性能や質感で勝負できるので、ヤリスクロスとの関係は、良くも悪くも変わるはずだ。
TOYOTA カローラ クロス

現行キックスとの比較だと、サイズやパワートレーンで格上感が強いモデルだが、新型キックスは“小さな上級SUV”という、新たな価値観で対峙することができそう。特にハイブリッド車は影響が大きそうだ。
HONDA ヴェゼル

マイナーチェンジで、e:HEV(ハイブリッド)車中心の動きが強まり、さらに充実の装備機能もアピールしている。個性的な上級グレードの人気が高いこともあって、新型キックスの登場の影響を最も受けそうな一台だ。