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更新日:2023.10.04 / 掲載日:2023.09.29

新型ランドクルーザー250のメカニズム解説! ハイブリッドの日本導入は?

噂されていた300系ランドクルーザーの弟分モデルがワールドプレミア。サイズ的には少し大きくなったが、一目で「ランクル」と分かる原点回帰したフォルムが魅力。国内で発売されるのは来年になるが、待つだけの価値は大いにありそうだ。

●文:川島 茂夫 ●写真:奥隅 圭之

新型ランドクルーザー250【メカニズム詳細】

伝統のメカニズムを
最新技術を用いて大刷新

 プラットフォームは300系を基本としたもので、ラダーフレームの基本形状も共通。ただ、フレームの板厚を変更するなど軽量化を進めている。端的に考えれば頑強さは300系より低下するが、300系はフレーム強度などの安全率を過剰なレベルに設定しているため、250系は一般的なハードクロカンに見合ったレベルに再設計。そんな理由もあって、300系用と同じ形状でも250系専用フレームというわけだ。

 シャシー周りの見所は、減衰力制御サスペンション「AVS」の進化が挙げられる。AVSはプラドの最上級グレードにも採用されていたが、250系は可変減衰制御にリニアソレノイド式を採用。従来よりも素早くかつ細かく制御できることを強みにしている。H4(4WD)モードでは、オンロード走行での操安性と乗り心地の向上が主な機能となるが、L4モードでは、電子制御スリップコントロールと連動して空転輪の接地で生じるホッピングを抑制するモーグル制御が採用された。

 また、トヨタ初となるスタビライザーの切替機構(SDM)も採用。オフロード走行では左右が独立して長いストロークを使えるようにスタビライザーをオフ、オンロードではオンにして操安性の向上が図られた。オン&オフロードの両面での性能向上が狙いだ。

 4WDシステムは電子制御型センターデフ式を採用。センターデフとリヤデフにはロック機構が備わり、路面環境に応じた最適制御を行うマルチテレインモードやクロールコントロールも設定する。

 パワートレーンは、仕向け地別に5タイプのユニットが用意され、今回日本向けモデルとして正式発表されたのは2.8ℓディーゼルターボと2.7ℓガソリンの2タイプ。共にすでにプラドに搭載されていたユニットだが、250系ではドライバビリティを中心に改良が加えられる。具体例のひとつとしては、ディーゼルターボ車のミッションはプラドでは6速を採用したが、新型は8速に進化する。

 もうひとつ、時期は未定だが、新世代型2.4ℓターボ&8速ATをベースにしたパラレル式ハイブリッドも国内導入が予定されている。横置仕様はすでに展開しているが、250系の縦置き仕様は初披露。どのような性能設定になるかは不明だが、燃費とオフロード性能のバランスの良さでは300系を超える可能性もありえる。

 300系に採用されているアンダーフロアビューなどオフロード走行走行でのアシスト機能も多く採用。本気のオフローダーらしい機能と装備も目白押しだ。

GA-Fプラットフォーム

プラットフォームがTNGA世代の最新GA-Fに刷新されたことで、従来型(プラド)に比べると、フレーム剛性で50%、車両全体の剛性としては30%ほども向上している。
従来は薄板材と厚板材を重ね合わせていた曲線結合部に、世界初となる曲線結合技術を注ぐことで、剛性アップと軽量化を達成。設計の自由度が大きく高まっている。
硬さが異なる複数の超ハイテンションスチール材を、フレーム構造の適材適所に採用することで、剛性を強化。同時に軽量化も達成している。
ボディ側にも超高張力鋼板を採用したほか、溶接ポイントの増し打ちや、鈑金合わせ部に構造用接着剤を用いることで、ボディ側の剛性も大きく強化している。
全長とホイールベースは若干拡大しているが、ドアミラー最外端の実用全幅は従来型以下に抑えることで、取り回し性能も強化。

2.8ℓディーゼルターボ

2.7ℓガソリン

ガソリン車の2.7ℓエンジン(NA)もプラドで採用済み。スペックは120kW/246NmでATも6速仕様だが、低中速域でのレスポンス性を高める改良が実施されている。

2.4ℓターボハイブリッド

トヨタ/レクサスに採用が進む最新のターボハイブリッド。250系では横置きではなく、縦置きに配置される。現時点では北米・中国向けモデルに採用とされているが、将来的には国内仕様車にも採用されるようだ。

電動パワーステアリング

SDM(Stabilizer with Disconnection Mechanism)

マルチテレインセレクト

ブレーキ、サスペンション、エンジンを統合制御することで走破性を向上。250系では走行可能なモードを自動選択するオートモードが追加された。

マルチテレインモニター

250シリーズの国内発売は2024年前半期を予定

300系と同じ、リアルオフローダーオフロード好きには見逃せない一台
 大きくなった車体サイズはメーカーも気にしているようで、ドアミラーを含む全幅はプラドより65㎜狭いとのアナウンス。とはいえ、運転席に乗り込めばやはり大きい。適応用途だけを見るなら300系と同じで、気軽にタウンユースが出来るモデルではない。
 やはりターゲットは真剣にアウトドアレジャーを楽しんだり、オフロードを走りたい層だ。本気の上級オフローダーを狙ってるユーザーには、300系と同様に250系はかなり魅力的だろう。
 なお、国内仕様車の正式発売は2024年の前半期を予定しているとのこと。価格が手頃なら、相当ヒットしそうな予感がする。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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