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更新日:2023.12.22 / 掲載日:2023.09.02
【ロータス エレトレ】ターゲットは超富裕層!スーパースポーツカー市場に参入

文●大音安弘 写真●ロータス
英国のスポーツカーメーカー「ロータスカーズ」の正規輸入代理店である「エルシーアイ」は、2023年9月1日、都内にて、ロータス初のSUVとなるEV「エレトレ」のジャパンプレミアを実施した。
新型車「ロータス エレトレ」は、今年6月23日、ノルウェー・オスロにて、世界初公開されたモデルだ。同社初のSUVとなるが、将来を見据えた先進的なBEVなだけでなく、SUVの中でも超高性能となるハイパーSUVとして送り出された。これまでロータスは、二人乗りや4人乗りの2ドアモデルを中心に展開してきただけに、ロータス史上からすれば異端的存在といえるが、それは今日までの常識だ。少量生産のピュアスポーツブランドから、フルラインスポーツカーブランドへの転身を目指すロータスのターニングポイントを意味するモデルでもある。

ロータス・エミーラなど2ドアピュアスポーツの面影を映したフロントマスクなど、SUVとしてはロータスらしい伸びやかなフォルムを持つボディは、コンパクトなイメージを持つロータスの常識を覆る巨大なもの。全長5103mm×全幅2135mm×全高2231mm(※デジタルドアミラー付き車)のラージSUVとなる。空気の流れを意識してデザインされたスタイルと各部の空気導入口は、まるで航空機の胴体のようでもある。スポーツカー顔負けのフロントスクリーンの傾斜角度からも想像させるように、空力特性の追求も徹底されており、Cd値は、0.26に過ぎない。
EV構造を活かした3019mmのロングホイールベースにより、最大化されたキャビンは、大人5人がゆったりと寛げる空間を確保。
オプションで後席が独立した4人乗りのショーファードリブン仕様も用意される。その際、後席もホールド性の高いバケットタイプとなるのは、さすがロータスだ。ラゲッジスペースもしっかりと確保されており、5人乗り仕様の場合、標準時688L~最大1532Lを確保。4人乗り仕様の場合は、後席可倒機能がないため、611Lとなる。さらにフロントボンネット下に、46Lの小物入れも用意される。

コクピットは、最新鋭のモニターを中心としたデジタルな空間に。これはエレトレより採用される「ロータスハイパーOS」が実現したもので、薄型のデジタルメーターと、スリムで展開可能な15.1インチHD OLEDデザインのセンターディスプレイを搭載。さらに助手席専用の薄型タッチスクリーンに加え、後席にもHDタッチスクリーンを搭載することで、どのシートポジションでも、最新のデジタル機能を楽しめるように配慮。その象徴となるのが、高性能オーディオシステムだ。エレトレには、KEFは英国を代表する高級オーディオブランドで、専用の3Dサラウンドサウンドシステムを提供。KEFプレミアムだと1380W出力と15スピーカーを装備。より上位のKEFリファレンスでは、2160W出力と23スピーカーまで性能向上される。

ロータスとして新たな取り組みと言えるのが、ADASの搭載だ。
世界初となる4つの展開式ライダー、6つのレーダー、 7つの8MP HDカメラ、 12の超音波センサーを含む、合計34 のセンサーを搭載。これらの多数のセンシング機能により周囲360度をカバー。得られた豊富なデータをリアルタイムで処理すべく、2つのNVIDIA Orin-Xチップを搭載し、1秒間に500兆回の演算を行うというから驚異的だ。この高度なシステムは、ソフトウェアや無線アップデートにより、最新仕様にアップデート可能なだけでなく、市場の規制が許せば、レベル4の自律走行機能も提供できるというから、今後の進化も楽しみだ。
基本構造となるプラットフォームは、EPAと名付けたロータス独自のモジュラープラットフォームが中心となっており、アルミニウム合金を積極的に使うことで、軽量化にも配慮。このEPAは、今後の展開が予告されるロータスEVにも使われるものだ。その床下には、112kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。システムの電圧は、800Vとすることで、同じ出力でも動作電流を半分に削減することで、システムの内蔵ケーブル径を小さくし、軽量化と効率の向上に繋がるだけでなく、熱の発生も抑えられるという。充電については、最大350kWの高出力まで対応できるが、日本仕様の詳細は現時点では明かされていない。

駆動方式は、前後にモーターを搭載した4WDとなっており、フロントアクスルは1速固定だが、リヤアクスルは最上位の「R」のみ、2速仕様となる。モーター性能は、「ベース」と「S」が、最高出力603hp、最大トルク710Nmを発揮。0-100km/h加速は、わずか4.5秒で、最高速度は258km/hとなる。
航続距離に関しては、最大600km(WLTP)と公表される。最上位の高性能モデル「R」は、最高出力905hp、最大トルク985Nmまで向上させ、0-100km/h加速が2.95秒まで短縮。航続距離は最大490km(WLTP)と公表される。その高性能を支える足回りにも拘り、持ち前のロータスハンドリングを実現するだけでなく、エアサスペンションによる快適な乗り心地も提供する。

日本仕様の価格も発表された。「エレトレS」が2332万円。「エレトレR」が2585万円と、これまでのロータス車と比べても、超高価。
確かに、BEVのハイパーカー「エヴァイヤ」より圧倒的に安いが、ロータスブランドとして初のSUVが、最後のピュアエンジンスポーツモデル「エミーラ」よりも、遥かに高額というのは、なかなかチャレンジングだろう。さらに、年内の受注目標が500台という高い目標を掲げている。将来的には年間で2000台を販売するともしており、そのためにディーラー体制の強化も図っていくという。
ロータスの在り方を激変させようとしている「エレトレ」は、ターゲットとなる超富裕層にどのように受け止められるのだろうか。日本向けモデルの生産が、2024年1月から始まり、来夏には、ディーラーでの試乗が可能となる見込みだ。