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更新日:2022.12.02 / 掲載日:2022.12.02

新型トヨタ プリウス 省燃費だけではないイメージチェンジの狙い

注目の5代目はスタイリングにも自信あり!

「プリウスの使命は終わった」なんて声もあったが、
そんな言葉はまったくの杞憂。
ワールドプレミアで披露された新型プリウスを紐解いていくと、
燃費プラスαの魅力が詰まっていることがすぐに分かる。
ハイブリッドの伝道師はまだまだ必要であることを実感できるのだ。

●文:川島 茂夫 ●写真:奥隅 圭之

現時点ではグレードは不明だが、最上級モデルに位置するのは外部充電機能+大容量駆動バッテリーが組み合わされるプラグインハイブリッド(PHEV)。今回はプロトモデルゆえにキャビンの撮影はNGだったが、外から眺める限りでは製品車と同等と考えていい完成度を伺うことができた。

愛されるモデルを目指し
大胆にイメージチェンジ
 初代プリウスは今から25年前、1997年に世界初の量販ハイブリッド車として誕生した。群を抜く省燃費性能を実用車で実現した画期的なモデルだった。その後、歴代プリウスはいずれも省燃費性能の高さを売り物としてきたが、ハイブリッド車のラインナップの充実と共に軽量小型車への展開が始まったこともあって、実用車燃費ナンバー1の座を明け渡すことになる。ちなみにWLTCモード燃費において現行トヨタ車の中で最も燃費に優れているのは、36㎞/ℓを達成するヤリス ハイブリッドである。
 もちろん、省燃費はプリウスには欠かせない要件だが、「燃費だけのクルマではない」と高らかに宣言したのが5代目となる新型だ。
 ワールドプレミアでは「コモディティ」「ラブ」という二つの単語で、これまでのプリウスと新型のコンセプトの違いを表現していたが、具体的には優秀な実用車から、ユーザーの嗜好や感性に響くクルマへと舵を取ったと考えると分かりやすい。
 まず「ラブ」の主要素となるのがスタイルである。先代が典型だが、プリウスのスタイルは空気抵抗減を軸にした空力性とセダン相応のキャビンスペースの最高の両立点を求めるべく開発されている。燃費もキャビンも評価軸は実用性であり、そういう面では確かに「コモディティ」である。
 今回登場した新型プリウスはそんな流れとは明らかに異なる。それを象徴するのが、低全高/低カウルトップで、ボンネットから連続するように寝かされたフロントウインドウまわりのデザイン。部分的にプリウスらしさを感じさせるものの、全体としてはまったく別の印象で、発表会場で初めて見た瞬間は新型の4ドアスポーツクーペかと思えたほどだ。
 スポーツ&スペシャリティ感を重視した結果であることは間違いなく、必然的にこれまでのプリウスが磨いてきた空気抵抗減とキャビンスペースの両立点は低下している。
 といっても燃費低下は許されるわけもなく、詳しくは別項で解説するが、このデザインを成立させつつ、なお省燃費のリーダーたる数値を実現したのが、新型の設計面の特徴になっている。
 技術面のハイライトは新パワートレーンの導入だ。ハイブリッドシステムは従来同様にスプリット式(シリーズパラレル)を採用するが、1.8ℓ仕様に加えてダイナミックフォースエンジンの2ℓ仕様も追加。上級モデルに相当するPHEVも2ℓ仕様をベースとしている。2ℓ仕様の狙いは言うまでもなく動力性能の向上にあるが、スポーティな外観に相応の走りを与えるためには外せないということでもある。
 4代目まではプリウスという型にはまり過ぎて、いささか自縄自縛にも陥っていたようにも思える。その型を打ち壊すのが新型の使命。燃費を蔑ろにしているわけではないが、それだけのクルマには終わらせない狙いが新型には込められている。

イベント冒頭から新型のデザインを熱く語るなど、スタイリングにはかなりの自信がある模様。なお、新型のイラストを見た時に豊田章男社長も「カッコいいね!」と賞賛したというエピソードも披露された。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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