新型車情報
更新日:2019.12.27 / 掲載日:2019.12.27
GR本格始動 コペン&C-HRの2車にGR SPORT
走り好きのために特別に仕立てられる「GR」。設定モデルも増加の一方で、ついにコペンとC-HRに正式なカタロググレードとして追加されたのだ。いよいよグレード選びの選択肢として「GR」を真剣に考える時期がやってきたのだ!
C-HR GR SPORT 価格帯:273万2000ー309万5000円
GR共通の機能を形にした「ファンクショナル・マトリックス・グリル」の採用などで標準車と差別化。足回りも19インチアルミに合わせて最適化されている。
ハーフレザーのスポーティシートやダークシルバー金属調意匠など、GRスポーツ専用のインテリアが楽しめることも特権のひとつ。所有欲を大いに満たしてくれる。
定評のある足回りの仕上がりは 正直なところ予想以上
ノーマルでもハンドリングレベルが高いので伸び代があるか心配だったが、それは取り越し苦労だった。ステアフィールはより滑らか、19インチを履いているにも関わらずしなやかで優しい足さばき、そして無駄な動きが抑えられ、上屋がグラッと来る感じがない安心したコーナリングだ。まさに最新の「目線の高いスポーティハッチ」とも言っていい。

主要諸元(コペン GR SPORT MT) ●全長×全幅×全高(mm):4390×1795×1550 ●ホイールベース(mm):2640 ●車両重量(kg):1400 ●エンジン:1196cc直4DOHCターボ(116PS/18.9kg・m) ●ミッション:6速MT WLTCモード総合燃費:15.4km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●タイヤ:225/45R19 ●価格:273万2000円
コペン GR SPORT 価格帯:238万ー243万5000円

標準車とはまったく違う これがコペンの本来の実力だ
ステアリングを切り込んだ時の応答性とクルマの動きが全然違う。ノーマルとSだとワンテンポ遅れて急に荷重がかかるのに対して、GRスポーツは遅れがない上に一連の動きに連続性がある。ハンドリングは柔らかいけどやや頼りないノーマル、硬すぎて荷重移動が難しいSと比べて、GRスポーツは絶妙なバランスがある。これが標準であって欲しいと感じたくらいだ。
パワートレーン自体は標準車と共通だが、練り込まれた足回りのおかげもあって、軽快さが増したかのような印象を受ける。軽クラスでもスポーツな走りを楽しめることを再確認させてくれる。
ブレース類で引き上げられたボディ剛性とサスペンションのバランスが良く、タイヤを上手に使えている印象。結果的にトラクション性能も高い。
アンダースポイラーやバンパー側面の延長など空力効果も考慮して設計した専用エアロが装着される。走りの質感が高まる機能パーツの充実も見逃せない美点だ。
ホイールは専用開発されたBBS鍛造の16インチアルミを装着。これだけでも相当コストアップになるはずだが、コペン ローブに対して約40万円強の価格設定はリーズナブルに感じる。
主要諸元(コペン GR SPORT MT) ●全長×全幅×全高(mm):3395×1475×1280 ●ホイールベース(mm):2230 ●車両重量(kg):850 ●エンジン:658cc直3DOHCターボ(64PS/9.4kg・m) ●ミッション:5速MT ●WLTCモード総合燃費:18.6km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/リーディング・トレーリング(R)●タイヤ:165/50R16 ●価格:243万5000円
程よいチューンで楽しさ追求 手が届く万能スポーツが誕生
2017年9月、トヨタの新スポーツカーブランド「GR」の発表会が行なわれた。まずはトヨタの主要モデルに独自のチューニングを施した「スポーツコンバージョンモデル」を設定。どれもトヨタの中では少量モデルだが、販売比率が2割越えのモデルも存在する。
更に別ラインで独自開発の専用モデルも用意することになり、その一つが17年ぶりに復活を遂げた「GRスープラ」である。間もなく登場するヤリスにもWRCマシンのロードバージョン「GRヤリス」が存在している。
このようにGRは短期間でスポーツモデルのピラミッドを構築しているが、よりその裾野を広げるために、市販車ベースのスポーツコンバージョンモデルも用意される。今のところ台数限定で究極を目指す「GRMN」と、パワートレーンやドライブトレーンにも手が入る量産型スポーツ「GR」、そしてスポーティな走行を気軽に楽しめる「GRスポーツ」の3つのバリエーションが存在するが、今回は「コペンGRスポーツ」とコンパクトクロスオーバーの「C-HR GRスポーツ」が追加された。しかも従来までの持ち込み登録車扱いから、正式なカタロググレードとして投入されるのだ。
コペンはダイハツのフラッグシップモデルだが、GRスポーツは「コペンのスポーティイメージをより引き上げたい」と言うダイハツ側の想いと、開発が凍結したS-FRに代わる「86の弟分となるコンパクトスポーツカーが欲しい」と言うGR側の想いが一致したことで生まれた協業モデルである。ちなみに開発と製造はダイハツ、知見提供やデザイン&性能確認はトヨタが行なう。
一方、C-HR GRスポーツは好調なSUVマーケットで「ハリアーGRスポーツと並ぶ武器が欲しい」と言う販売現場からのリクエストと、C-HRシリーズの新たなフラッグシップが必要という判断から開発されたモデルだ。ノーマル仕様も走りや格好にこだわっていたが、GRスポーツはその魅力を更に引き上げるチューニングを行ないながらも、ノーマル比で約10万円高というこれまでのGRスポーツモデルと比べると、かなりリーズナブルなプライスで提供している。
どちらもの専用の内外装意匠に加え、1ランク高い走りと快適性を実現させるボディ&サスペンションチューニングが見所だ。その走りはスポーティな味付けではあるものの、「道を選ばず」「全速度域で」「どんな時も」を念頭に、トータルバランス重視のセットアップが与えられている。
口の悪い向きの中には「ノーマルにちょっと手を加えただけでスポーツなんて安易だ……」と言う人もいるが、モリゾウこと豊田章男社長が語る「全ての人にFun to Driveを!!」と言うキーワードこそ、GRスポーツの本質だと筆者は考える。普段使いを犠牲にせず、ワクワクした走りも味わえる。まさに「一粒で二度おいしいモデル」なのである。