カーライフ
更新日:2022.04.15 / 掲載日:2022.04.15
【スプレンドーレ東京】セレブたちがベントレーを愛する理由【九島辰也】

文●九島辰也 写真●豐田 亮
暖かくなってきました。プロ野球も開幕です。まだまだ自粛しなくてはなりませんが、過ごしやすい気候になるとなんだか気分も上がります。
となると、クラシックカー好きはジッとしていられません。ラリーイベントが毎週末のように行われ始めました。ボクがたまに顔を出すクラブミーティングもパーキングスペースはグチャグチャ。真冬の間はのんびりしていましたが、もうそうはいきません。みなさん、そこも自粛していたようで、今は張り切りまくっています。日曜日の通称“朝会”なんて集まりは集会の掛け持ちですね。「あれ、さっき◯◯にいませんでした?」、なんて。

先日そんなクラシックカーラリーのひとつに参加してきました。“スプレンドーレ東京”です。クラシックカー乗りであればご存知の方も多いと思いますが、“スプレンドーレ伊香保”の兄弟イベントです。主催は“伊香保おもちゃと人形自動車博物館”の横田館長。自らステアリングを握っていろいろなイベントにも参加している有名人です。
それじゃ参加車両は愛車ダットサン・フェアレディで……、ではなく、今回はベントレージャパンのご厚意で最新型ベントレーコンチネンタルGT V8で参加させてもらいました。ゼッケン1番のリードカー的なポジションです。
イベントは早朝港区にある東京プリンスホテルの駐車場をスタートし、首都高速から東関東自動車道で成田方面へ。途中、到着後発表される値段をピッタリ当てる買い物競技や、PC競技が行われます。PCは決まった距離を定められた秒数で通過する競技で、その誤差を最小限に抑えた者から順位が決められます。24回も行いますから、ちょっとしたミスで誤差は開くばかり。ラリー用タイムキーパーを持ち込んで臨みましたが、なかなか手強かったです。






それはともかく、久しぶりにステアリングを握ったコンチネンタルGT V8は快適そのものでした。高速道路の移動は特にそうで、エアサスが常にキャビンをフラットに保ちます。レインボーブリッジの付け根にある高速コーナーでもロールはしっかり抑えられ、安心してアクセルコントロールができます。そもそもスタビリティが高いクルマですから、コーナリングはスポーティでもそこに優雅さがあります。このバランスがベントレーなんですね。
もちろん、それでもドライブモードを“SPORT”にすれば、レーシングカーのようなエキゾーストサウンドを奏でながら、よりスポーティな加速を見せます。操作系がクイックレスポンスになることで、気も引き締まるってもんです。ベントレーがスポーツカーブランドとして誕生した系譜を疑う余地はありません。でもってドライブモードを“COMFORT”にすると、ウルトララグジュアリーブランドとしてのベントレーが顔を出します。英国王室御用達サルーンといったところでしょうか。プリンスになった気分。ただ、ボクの好みのドライブモードは違います。“SPORT”と“COMFORT”の間に位置する“B”マークポジション。実はこれが一番おすすめなんです。
“B”マークポジションは、言うなればいいとこ取り。アクセルなど操作系のレスポンスは“SPORT”寄りで、乗り心地は“COMFORT”に寄せている感じです。なので、ベントレーのステアリングを握るときはいつも、デフォルトを“B”に定めています。オートマチックにベントレーのおいしいところを楽しめるといったところでしょう。なんたってベントレーマークの“B”が描かれているんですからね。ブランドとして自信たっぷりと言っても過言ではないはずです。

そんなベントレーですが、2030年までに全車完全なEV、いわゆるBEVになることを発表しているのをご存知ですか? “ビヨンド100”というこれからの100年のビジョンとして、それを決定しています。その序曲として2026までに、全モデルをプラグインハイブリッドとBEVに切り替えます。いわゆる電動化ですね。現在はベンテイガとフライングスパーにのみプラグインハイブリッドがあるくらいですから、これから怒涛の電動化が始まるといった感じでしょう。でもどうなんですかね。ベントレーが味付けしたBEVに興味はありますが、現在の6リッターW12と4リッターV8が消えてしまうのはいささかもったいない。大排気量エンジンを楽しむ特権階級感はベントレーを選ぶ醍醐味ですから……。
そんな感じでベントレードライブを楽しみつつ、スプレンドーレ東京は定刻通り無事終了。表彰式ではちゃっかり小さな楯をいただいちゃいました。来月のクラシックカーラリーは愛車で参加予定ですが、久しぶりのコンチネンタルGT V8ドライブはとても楽しかった。なんでしょうこの和み感。不思議なことに癒された気がします。もしかしたら世界中のセレブに愛される理由はそんなところかもしれませんね。「速く」て、「快適」で、「癒される」クルマなんてそうあるもんじゃありません。