カーライフ
更新日:2022.04.01 / 掲載日:2021.12.09
永福ランプのマニアック車パトロール隊 〜日産 パルサー〜
【今回のマニアック車】日産 パルサー(4代目モデル)

「宿敵を発見したから!」
近所の街道を走っていて、つい「はうっ!」と声を上げてしまった。自分の斜め前に、パルサーGTI-Rが走っていたのである!
私が激しく反応するマニアック
カーは、たいてい自分と因縁があるのだが、このクルマは、“敵”として本当に思い出深い。
ちょうど30年前のこと。私は師と仰ぐ池沢早人師先生の代役として、先生のスカイラインGT-Rで、筑波サーキットのレースに出場することになった。GT-Rは1台だけ。優勝のチャンス!
が、そのレースには、新たな強敵が参戦していた。それがパルサーGTI-Rだった。コンパクトなボ
ディに230馬力のパワフルなエンジンを搭載したこのマシンは、WRCにも参戦が予定されており、当時は「狭いツクバではGT-Rより速いかも……」と噂されていた。
私は緊張した。なにしろGT-Rだから勝ってアタリマエ。その焦りから、1周目で見事にスピン! 最後尾近くまで落ちてしまった。
しかし奇跡が起きた。ライバルのパルサーがエンジンブローでリタイヤ。おまけに大量のオイルを最終コーナーにブチ撒いたのだ! オイルに乗って、前を行くシビック勢は次々とスピン。我がGT-Rは4WDの優位を生かし、いつのまにかトップに返り咲き、逆転(?)優勝を果たした。私にとって、生涯唯一のレースでの優勝だった。
じつはパルサーGTI-Rには、エンジンルームの熱対策に大きな問題があった。そのため、レースでもラリーでもあまり活躍できなかった。中古車も超レアで、執筆時点での流通台数はわずか1台のみ。価格は200万円以上だ。
ただ、GTI-Rではない普通の4代目パルサーは、50万円以下で買うことができる。あまり特徴のないモデルだが、頂点にGTI-Rという特別なモデルが君臨していたことを、マニアは決して忘れない。
経歴
1978年 初代パルサーが誕生
コンパクトクラスのハッチバック&セダン(時にはクーペも)として1978年に誕生。その後、日本では5代目まで続く定番モデルとなった。
1990年 4代目モデルデビュー
欧州テイストのデザインをまとった4代目モデルは1990年に登場。当初から、ハイパフォーマンスモデル「GTI-R」も設定されていた。
1992年 マイナーチェンジ
発売から2年経過して、初のマイナーチェンジを敢行。内外装を変更しながら、装備を充実化させて、コンフォート性が高められている。
1992年 WRCから撤退
「GTI-R」は同車のイメージリーダーとしてさまざまなモータースポーツに参戦。特にWRCは注目を集めたが、この年で撤退している。
1995年 5代目へモデルチェンジ
年明け1月にフルモデルチェンジ。4代目モデルのイメージを残しつつも、丸みを帯びたスタイリングの5代目モデルが誕生している。
マニアック指数 95点

グーネット掲載車価格帯 40万〜230万円

自動車評論家 永福ランプ
かつて(今も)清水草一、以前はMJブロンディ、そして現在は永福ランプと名乗る。カーマニアを自称し、街中を走るマニアック車を見つけ出すことに老後の楽しみを見つけた。
(掲載されている内容はグー本誌2022年1月号の内容です)※中古車価格はグーネット 2021年11月調べ。記事中の価格は参考であり、中古車価格を保証するものではありません。