カーライフ
更新日:2026.08.25 / 掲載日:2026.08.25

夏休みのジェントルマンレーサー【九島辰也】

文●九島辰也 写真●ガレージハウスINCELL

 この夏、何十年か振りにレースに参加しました。30代まではワンメイクレースにスポット参戦したり、クラシックカー耐久レースにシリーズ参戦したり、メディア対抗耐久レースなどに出ていましたが、サーキットをレーシングスーツで走るのは久しぶりです。同じクルマ競技でもラリーは走っていましたから勘所はありますが、それでも一台ずつコドラを乗せてSSをタイムアタックするのは違います。サーキットはコーナー入り口で何台も一線に並ぶ時がありますからドキドキですね。

 そんな体験をしたのは、仲間たちに誘っていただいたから。仲間といっても皆さんワタクシより若い方々ですが、それなりに事業に成功されていて、仕事も遊びも本気で向き合っています。今回のレース参戦もそう。何回もミーティングを重ねて車両やギアを揃え、準備万端でレースに臨みます。

 本格的な活動は今年春からで、まずはアイドラーズの6時間耐久レースに1台体制でチーム参戦し、この夏ワタクシも合流し、同12時間耐久レースに参加しました。しかも、今回は2台体制。そもそもの車両ポルシェケイマンGT4RSに続いて、ポルシェ911GT3が加わりました。レーシングスーツもお揃いのデザインでオーダー。大人のレーシングチームとして雰囲気づくりから入ります。

 個人的にこれは重要なことだと思います。若いうちは先輩が着ていたレーシングスーツをリサイズしたりして、なるべくお金をかけずに走ることに重点を置きますが、大人は違います。見た目で意識を高めたり、安全を担保したりすることを優先します。まさに、ジェントルマンズレーサー。モータースポーツの起源はそこで、大人がお金を出し合ってレースに参戦したのがことの始まりです。20世紀初頭のフランスでのレースカルチャーはそうでした。パリ/ニース都市間ラリーやル・マン24時間レースに代表されるサーキットでのレースはそうして発展したのです。

 参加したレースの正式名称は「Starfield idlers Games 耐久第2戦 夏の12時間耐久 モビリティリゾートもてぎ」でした。日本アイドラーズクラブが主催するアマチュア向けのモータースポーツです。彼らはドライビングレッスン、スプリント、耐久レースなどを企画し、運営しています。

 我チームのクルマは“ガレージハウスインセル インセル992GT3号”と“ガレージハウスインセル インセルケイマンGT4RS号”です。ワタクシはケイマンGT4RSの第2ドライバーを担当しました。

 チームは前日ピットの設営とクルマの搬入で集合、夜は決起大会で盛り上がりながら、サーキットホテルに早めに戻ります。なんたって翌日は午前4時すぎにピット集合ですから。エントラントの受付は4時スタート。5時半にはブリーフィングが始まり、6時には車検です。そして、スタートは7時55分からローリング方式で行われます。

 参加車両は70台に近い数が集まりましたが、予選がないのでグリッドはくじ引きとなります。そこで、なんとインセル992GT3号は1番グリッドを掴みました。スタートを正面から撮った写真を見るとわかりますが、かなり目立ちます。カッコいい! インセルケイマンGT4RS号は20番グリッド。悪くありません。インセル992GT3号のドライバーはチームの中心人物須田氏と堀口氏を含んだ3名、インセルケイマンGT4RS号はこちらもチーム運営に大きく関わっているS氏を中心としたワタシを含む4名です。レース経験2戦目のルーキー2名がチームメイトとして参加してくれました。

 チーム編成はこれだけではありません。それぞれのクルマにチーム監督を雇いレースの流れに応じた指示を出してもらいます。耐久戦はスプリントと違って燃費が関係しますからね。特に我がチームの車両は両方とも燃費が良くない。となれば、最後まで燃料をもたすため燃費走行はカギとなります。そしてそのジャッジは無線で伝えられます。イエローフラッグやグリーンフラッグなどの情報もそう。どこでクルマがスピンしているとかクラッシュしているとかやりとりします。いやぁ、無線は便利です。

 走行中はケイマンGT4RSのポテンシャルの高さに驚かされました。街中では何度も試乗していますが、サーキットで踏み込んだのは初めて。日曜日にサーキットへ持ち込めるナンバー付きスポーツカーという意味がわかります。それとミシュランのパイロットスポーツカップ2はすごかった。絶対的なグリップ力の高さがドライバーを安心させます。横剛性の高さは尋常じゃない。この信頼性を多くの方が語るのがよくわかります。

 レース展開については省きますが、終盤には雨が降るなどのハプニングもありました。が、事前にレインタイヤに替えていたので無事に二台ともゴール出来ました。チェッカーは20時少し前。ピットにクルマが戻ると、12時間を共に過ごしたみんなとハイタッチです。レース結果は、インセル992GT3号はクラス3位の総合10位、インセルケイマンGT4RS号はクラス7位の総合31位でした。レース後のみんなの笑顔は印象的です。これこそモータースポーツの原点 “ジェントルマンズレーサー”ですね。真夏のサーキットで過ごしたクルマ好きの大人の大運動会でした。

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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