カーライフ
更新日:2025.03.10 / 掲載日:2025.03.10
やっぱり気になるハイエース
幅広いニーズに対応できる人気車

中古車市場で人気車といえば、皆さんは何を思い浮かべますか? じつは長い期間にわたり人気の車種があるんです。それが「ハイエース」。本誌やグーネットでも引き合いが多く、加えて一般ユーザー向けの新車受注が1月いっぱいまで停止していたため、現在、中古車がより注目を集めています。街なかやいろいろな場面で見かけることの多いハイエース。でもどんなクルマなのか? どんな楽しみ方ができるのか? 意外と知らない人も多いのではないでしょうか。そこで、本特集ではハイエースをクローズアップ。クルマの基本解説から、人気の理由や流行りのカスタム、また実際にハイエースでカーライフを満喫しているユーザーの声をお届けします。
写真:渡部祥勝
(掲載されている内容はグー本誌 2025年3月発売号掲載の内容です)

[取材協力]CRS横浜
200系ハイエースの新車や中古車のコンプリートカー・カスタムカーを販売するハイエースのスペシャリスト。オシャレな雰囲気の店内ではパーツも展示して販売。当然、取り付けまで任せられる。
住所)横浜市都筑区川向町889-4
☎045-532-9000
営業時間)10:00~19:00、(日曜のみ18:00)
定休日)第2週・第4週火曜日/毎週水曜日
https://www.crs9000.com/
気がつけばよく見かけるアイツ! 意外と知らないハイエースってどんなクルマ?
ハイエースを見かけることはかなり多いと思います。ただ、たくさん走っているからなのか、商用色が強いからか……、意識してハイエースの詳細について見ることって少ないですよね。まずは、ハイエースの基本事項について解説します。
はじめに…… ハイエースには3つの車両タイプがある
Aバン
バンは商用車扱いになり、乗車定員は2名〜最大で9名。全幅は標準とワイドボディの2種類。ナンバー区分は1ナンバー(普通貨物)か、4ナンバー(小型貨物)での登録になります。

Bワゴン
ワゴンは乗車定員が10名。全幅はバンと比べてわかりやすく、ワイドボディのみの設定となっています。ナンバー区分は乗用ベースのため3ナンバーとなっています。

Cコミュター
コミューターは、乗車定員14名。運転には「中型免許(8t限定解除)」か「大型免許」が必要になります。ナンバー区分は2ナンバーとなります。
※コミューターは定員14〜15名で普通免許では運転できないため今回は対象外

「まずは基本から」
Aバンを解説 広い荷室が魅力! たくさんの荷物が運べるうえに好みのカスタムが可能な商用車
ボディ形状やルーフの種類が多く、ちょっと複雑
ボディの区分が特に複雑なのがハイエースバン。グレードは「スーパーGL」と「DX」をベースにバリエーションがあり、用途にあわせた選択が可能となっています。右の表にもあるとおり、全幅は2タイプで全高がルーフ形状によって異なるため、使用環境に応じた高さを選択するのがよいでしょう。エンジンはガソリン(2ℓ/2.7ℓ)と2.8ℓディーゼルの計3種を用意しています。燃料代が高騰するなか、ディーゼルはありがたい存在といえます。


「まずは基本から」
Bワゴンを解説 10名までの多人数で移動できる乗用車。乗り心地もソフト
全幅1880㎜のワイドボディでエンジンもガソリン仕様のみ
ワゴンは「GL」「DX」「グランドキャビン」の3つのグレードから選べます。全幅は共通で1880㎜のワイドボディ。GLとDXはロングボディにミドルルーフというスタイル。グランドキャビンのみが全長が長いスーパーロングボディにハイルーフとなり、さらにゆとりがある仕様となっています。搭載するエンジンは、2.7ℓガソリンのみを設定。ワゴンは乗用車扱いとなるため荷室は乗員スペースとなり、スライドドアは左側1箇所のみになります。



現行型は200系8型!
5代目となる現行型200系の登場は、なんと2004年!
2004年8月に15年ぶりにフルモデルチェンジしたのが現行型200系。登場から20年以上が経ち、マイナーチェンジや一部改良を経て、最新型は通称8型と呼ばれている。200系は長い販売期間の間に性能を着実に進化させ、今では安全性能もしっかり向上しています。
多くの支持を集めるハイエース なぜこんなに人気が高いのか?

Point
圧倒的な実用性の高さ
なんといっても魅力は車内空間。特にアウトドアが人気の近年では、バンの広い荷室を車中泊仕様にしたり、ワゴンでも居住性を高めるキットが人気。自由自在の使い勝手で快適な移動を楽しめます。

Point
用途に応じてカスタムできる汎用性バンやワゴンといった車両タイプに加えボディ形状もバリエーション豊富で、趣味や遊び、多人数乗車など目的に応じた理想の形を、数多く販売されているパーツでカスタムすることで実現できます。

Point
リセールバリューの高さ
今や状態のよい中古車は、新車より価格が高い場合もめずらしくない状況。走行距離がある程度かさんだ車両でもハイエースは高値で売却でき、リセールバリューは高いといえます。これも人気の一因です。
専門誌『ハイエーススタイル』編集長に聞きました! 今どきのハイエース事情
流行りのエクステリアや“映える”インテリアでさらに人気増!
“ド定番のカスタムは不変! 新たな流行りでユーザーが拡大”
20年という長きにわたり販売を続ける200系ハイエース。この人気の高さはまさに異例。なぜそこまで多くの人たちに愛されるのか?
その要因はやはり多種多様なユーザーのカーライフをなんなくこなしてしまうハイエースのドンピシャなボディタイプや、豊富すぎるほど存在するカスタムパーツにほかならない。そんなハイエースで当初からロングランで人気があるカスタムは、フルでエクステリアパーツを装着し、ローダウンフォルムに仕上げるスタイル。これは、ハイエースにおいて定番であり、ハイエース人気の原点ともいえるだろう。
ローダウンフォルムに近年割って入ってきたのが、クラシカルな丸目のヘッドライトに換装し、オフロード系のホイール&タイヤを組み合わせ、さらにパステル調にボディを全塗装することで女子の心もガッチリと掴んだアウトドアスタイルだ。 インテリアもデニム素材やアンティーク系やヴィンテージレザー、などを素材としたカラバリ豊富なアイテムが揃えられ、自分好みの“映える”インテリアに仕上げることができ、これまでのユーザー層とは違う、新たな層がハイエースカスタムを楽しむようになった。
また、アウトドアブームで注目を集めたキャンピングカーの存在も、ハイエース人気をさらに高めた要因といえる。
ハイエースが1台あるだけで大きく変わるカーライフ。ほかのクルマでは味わえない「カスタムする楽しさ」や、仲間や家族で「自由な形で遊べる楽しさ」など、その魅力が、さらに広がりをみせているため、多くの人から選ばれているのだろう。



『ハイエーススタイル』編集長 中尾公一
インポートカー系のカスタム雑誌からハイエース専門誌へと移り変わり約16年。車高短特有の「段差は斜め」にという走り方で3インチローダウンのハイエースを颯爽と乗りこなす。
実際に乗って走って使ってみました! ハイエースのリアルな印象をレポート!
実際、ハイエースってどんな感じのクルマなの? ここではそんな疑問に答えるべく、今までハイエースに乗ったことがない編集部員と一緒にハイエースを試乗してみました。はたして結果はいかに?

[試乗したのは]
ハイエースワゴン DX(ロング・ミドルルーフ)
今回、エントリーモデルのDX(2WD・ガソリン)に試乗した。2017年の一部改良以降、Toyota Safety Senseが標準装備され(クルコンの機能はない)、安全性能にもぬかりはない。
気になるチェックポイント
走りの質はイマイチかもしれないけど……その分圧倒的な広さがもたらす実用性がカバーする?

試乗したワゴンは10人乗りの標準的な仕様。車内は多人数乗車でも余裕がある圧倒的な広さ。ハイエースは豊富なパーツが販売されているため、この空間をベースとしてニーズに応じたカスタムを楽しめる。


ワゴンは片側のみのスライドドアとなるが、開口部が広くステップもさほど高くないため、クルマの乗り降りはかなりしやすい。


アイポイントが高いため、広い視界が確保される。四角いボディ形状は見切りがよいため運転しやすいが、加速時のエンジン音は少し騒々しい感がある。
気になるチェックポイント
たくさんの荷物や多人数乗車が前提のため、乗り心地はそんなに期待できないもの?


段差に対して若干ゴツゴツとした突き上げ感はあるが、それぞれのシートが独立していてリクライニングも可能なため、個人的には許容範囲の乗り心地だ。

全長は4840㎜あるが、ボディ形状が把握しやすく、車庫入れや駐車がしやすい。前方も見切りがよく、切り返し時も前方の状況をしっかり目視できるので、クルマの大きさが意外と苦にならない。
広大な空間とそれによる実用性の高さがほかのクルマにない大きな魅力
ワンボックスというと運転しづらいイメージがあるかもしれないが、アイポイントが高く、四角いボディは狭い路地や曲がり角でも見切りがよく、想像以上に運転しやすい。ただし、乗り心地や静粛性も含めて走行性能自体はミニバンと比較すると、やはり劣る感をところどころで覚えてしまう。
その代わり広大な室内がほかにはない魅力で、足もとや頭上空間に余裕があり、大人数の移動でもまったく問題なし。スライドドアの開口部は広くて乗降性にも優れているなど、実用性は高い。試乗したワゴンのシートは意外と厚みがあり、リクライニングも可能で、ミニバン的に使えるのもよかった。ハイエースはカスタムパーツが豊富で、広い空間を好みの仕様に変更できる自由度の高さが人気の理由といえるだろう。
文:近藤暁史 写真:渡部祥勝
カスタムカーの祭典「大阪オートメッセ」に見るハイエース最新カスタム事情
2月7日から9日に開催された『大阪オートメッセ2025』には、有名メーカー&プロショップの
ハイエースが勢揃いした。今年のトレンドや最新のアイテムをピックアップして紹介する。

コロナ禍の収束でピークは去ったと言われつつも、コアなファンはまだまだ多いアウトドアブーム。大阪オートメッセに出展されたハイエースもそんな世相を反映してか、キャンプや車中泊を意識したクルマやパーツが中心だった。
外装は実用性を重視してシンプルに、ただしノーマルじゃモノ足りない。1~8型まで存在するハイエースは純正パーツを使った顔面スワップも人気だが、インパクトが強いのはクラシックな雰囲気に変える丸目キット。ローダウンやリフトアップなどスタイルを選ばず、ボンネットやグリルを含めキット化されているのもうれしい。
内装で人気のカスタムもやはり車中泊だ。就寝時はベッドで普段はリビングなど自由にアレンジでき、シートカバーやインテリアパネルでドレスアップも可能。また主要なパーツを組み込んだコンプリートカーも注目度が高かった。
TREND.1 EXTERIOR
フロントまわりの手軽なイメチェンに最適な丸目

Raptor
クラシックな見た目ながら、LEDバルブを採用。デイライトまで備えるなどスペックは最先端。ライトに加えショートボンネットやワイドグリルなど、取り付けに必要な部品がすべてセットになっている。

LEGANCE
大阪オートメッセで仮予約を受け付けていた新製品。スライドドアの窓が跳ね上がるガルウインドウで、網戸/シェード/開放の3パターンで使用でき、車内の通気性をよくし車中泊の快適性がアップ。
TREND.2 INTERIOR
初めの一歩にベストなインテリアパネル

Buttler
明るい木目で上質なインテリアを演出するインテリアパネル/ステアリング/シフトノブ。常に視界に入っている部分だからこそ色や材質は妥協せず選ぼう。デニム柄を採用したシートカバーもオシャレ。

BUAN JAPAN
BUANでは装着パーツやシートカバーの色が異なるコンプリートカーを多数展示。金利が低いオートローンを利用できるのも大きな魅力。もちろんパーツ単体を購入し、自分の好きなように仕上げることも可能。
TREND.3 WHEEL&TIRE
ホワイトレターの『オプカン』が不動の人気!

essex
人気車種のハイエースは、ホイールのラインアップも豊富で、好みに応じて選択できるのがうれしい。アウトドア系のカスタムでタフな印象に仕上げるなら、ディッシュ系か太めのスポークがよく似合いそうだ。

TOYO TIRES
近年、装着率が高まっているのはトーヨーの『オープンカントリー』シリーズ。オフロードとオンロードを両立するR/TやA/Tが主流で、ホワイトレターはドレスアップ効果も抜群で人気のアイテム。
文/写真:編集部
Enjoy! ハイエースカーライフ
自分色のハイエースで満喫する
人気のハイエースの乗り方は、仕事に利用するのはもちろん、車中泊を楽しんだり、トランポとして利用したり、オーナーによってさまざまなスタイルがあります。ここでは、普段からハイエースに乗ってカーライフを満喫しているオーナーを紹介します。
オンとオフがすぐに切り替えられる、自分が一番リラックスできる空間
ハイエースバン 標準ボディ スーパーGL
神奈川県横浜市 Yさん





最初は軽いカスタムから始まり、今では好みの仕様にバージョンアップ
若い頃からサーフィンやスノーボードを趣味としてアメ車を乗り継いできたというYさん。職人としての独立をきっかけに仕事と趣味にも使えるクルマへの乗り換えを検討。結果、ハイエースが気になったYさんは、今もスタッフと懇意にしているCRS横浜の店頭に並んでいた新車(6型)を見て即決した。オーディオ類は最初から装備が充実していたそうで、まずはホイールとオーバーフェンダーを付けた程度で購入したという。その後、荷物を積んだ際の走りにパワー不足を感じ、スーパーチャージャーを追加したり、足まわり強化などのカスタムを実施。自身で気になった部分を適宜バージョンアップして運転を楽しんでいる。
ハイエースの魅力について伺うと、「クルマというひとつの箱の中に仕事と遊びの道具が詰まっていて、気持ちひとつでオンとオフをすぐに切り替えられるので重宝しています。現場を終えた足でそのまま海に向かって、サーフィンを楽しむこともあります。自分好みに内外装をカスタムしているので、運転しているときが一番リラックスできる時間でもあり、ある意味、家より快適かもしれないですね(笑)」。とYさん。
アクティブなオーナーを支える相棒として、公私ともにハイエースは万能の活躍を見せている。

OWNER
プラント工事に携わるYさん。仕事現場が遠方で、長距離を走ることも多いという。そこで社外品のクルコンを装着して、運転の疲れを軽減する工夫もしている。
走行距離は30万㎞超えのタフさ。快適な車中泊を実現する旅の相棒
ハイエースバン デラックス・ハイルーフ
大阪府吹田市 稲垣朝則さん





OWNER
昭和34年生まれの65歳。35歳で独立以降、フリーランスで企画・執筆に勤しむ。現在は車中泊サイトの監修や自身の旅を記したウェブサイトの制作に傾注している。
総括

ユーザーごとに楽しみ方が広がる、今や多くの人から愛される万能車
今回の取材中に一番感じたこと「ハイエースって本当に多い……」。グーネットでの見積り依頼件数が1位なのはダテではない。至るところで姿を見かけ、駐車場にもこれまたハイエースが停められているではないか。商用ニーズがメインのため、見かけること自体はおかしなことではないが、改めて意識してみるとその台数の多さに驚かされる。そして、その多くがバンにしろ、ワゴンにしろ何かしらクルマをいじっているという点も見逃せない。ベース車両をカスタムすることで、ほかとは違う個性を大なり小なりアピールできるのもこのクルマのよさといえる。最近では新車・中古車ともに流通量が少ないため、ハイエースの人気はまだまだ続きそうだ。

