カーライフ
更新日:2023.01.28 / 掲載日:2023.01.28
【KINTO Unlimited】アップグレードに旧車に、進化するサブスク

文●九島辰也 写真●トヨタ、KINTO
「装備が充実する分、毎月の支払いは安くなるんです……」。KINTO(キント)のプレゼンテーションを聞いていると不思議な文言が耳に入ってきました。「ん? 装備を充実した方が安いのか?」という疑問です。フツーに考えれば装備が充実したら支払いは高くなるはずですよね。それがどういうわけか安くなる。
説明が続くと色々わかってきました。装備が充実して引き取り価格が高くなれば、毎月の支払い金額は低く抑えられるというわけです。要するにクルマの価値を下げないという新たな取り組みなんですよね。
それが実現したのは新型プリウス、そのKINTOバージョンともいうべきモデルで行われます。サービス名は「KINTO Unlimited(キント・アンリミテッド)、クルマは1.8リッターモデルのUグレードのみを対象とします。


これは既存の月額一定支払いのサブスクリプションサービスを進化させたものです。乗り出したクルマを後からソフトウェアとハードウェアのアップグレードをしたり、クルマを見守るコネクティッド(コネクティッドドライブトレーナー、コネクティッドカーケア)の利用を可能にします。
結果、前述したようにクルマの価値を保ち月額使用料が下がるというのです。アップグレードのためにハードに手を入れるという荒技ですから驚きます。
これは“アップグレードレディ設計”と言って、生産ラインから普通と異なります。バンパーの裏などにセンサーなどを後付けするブラケットやボックスを用意し、将来登場するであろう装備に対応します。現在はブラインドスポットモニターやパノラミックビューモニター、ステアリングヒーターなどがラインナップしているそうです。要するにこれまで新車注文時にしか装備できなかったものを後付け可能にしました。しかも、アップグレードする装備の支払いは一括だけでなく、サブスクの月額使用料に加算することも可能だとか。そこ肝心ですよね。
そんなことができるのはKINTOがトヨタグループで、トヨタファイナンスを株主に持つからです。なので、出来上がったクルマだけでなく、こうして生産ラインまで味方につけることができるんです。さすが。

それだけじゃありません。昨年からKINTOの事業の中に旧車のレンタルが始まっているのをご存知ですか? “Vintage Club by KINTO”と呼ばれるのがそれで、トヨタと新明工業によってレストアされたクルマをラインナップします。初代ソアラや70型スープラ、ダルマと呼ばれた時代のセリカなどです。いやはや懐かしい。「あの頃を思い出して、もう一度だけハンドルを握りたい!」、なんて方にはピッタリですよね。まさにグループ会社ならではのワザです。

それに新車販売のイメージが強いKINTOですが、高年式の中古車も扱っています。サブスクの満了期間は3年、5年、7年となりますが、それがじわじわと戻ってきているとか。中古車もサブスクなんて興味津々ですよね。しかも、どれも良質であることが予想できます。「トヨタの正規販売店でメンテナンスされました」、なんて言葉に誘われます。
ということで、今回はKINTOの新たなサービスを紹介しましたが、このサブスクリプションサービスについてまだ十分理解していない人も多いと思います。月々の支払いの中には車両代だけでなく、自動車税、任意保険、消耗品やタイヤ交換代なんかも入っているんです。まぁ、その辺は興味ある方はじっくり探ってみてください。「クルマの新しい買い方」は日々進化していますから。