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更新日:2025.09.03 / 掲載日:2025.09.02
オールシーズンタイヤの新基準! ミシュラン クロスクライメート3【九島辰也】

文●九島辰也 写真●ミシュラン
言わずもがなだが、日本のように東西南北に国土が広がっている国では様々な気象環境が存在する。同じ緯度でも北海道がヨーロッパの都市より豪雪だったりするのもそうだし、雪など一切降らない南の島もある。となると、装着するタイヤが1種類で事足りないのは明白。ドライバーはそれを見極めてカーライフを送る必要がある。
事実、夏タイヤと冬タイヤを分けて使う人は増えている。特に冬タイヤをスタッドレスタイヤに限定している人は多いようだ。ある時期タイヤメーカーが一斉にスタッドレスを発売してから、その風潮は根付いている。
とはいえ、実際にスタッドレスタイヤの機能をフルに使うエリアはおおよそ決まっている。北関東以北の山に近いところだ。圧雪路や凍結した路面でその威力をふんだんに発揮する。最近のスタッドレスは性能がいいから、そういった路面を高いスピード域で走れる。しかも、乗り心地は良くロードノイズもそれほど気にならない。
ただ、そこまでスタッドレスを必要としない場所でもそれに履き替えている人もいるだろう。テレビCMやタイヤショップ、ガソリンスタンドでのキャンペーンを見ていると、そんな気になる。もちろん転ばぬ先の杖としては有意義な選択ではあると思われるが。
話がまどろっこしくなってしまったが、そこまでスタッドレスを必要としない方々にお勧めのタイヤがある。ミシュランのクロスクライメートシリーズだ。この秋、それが進化し、クロスクライメート3、クロスクライメート3スポーツという名で登場した。

このシリーズは2015年にヨーロッパで誕生し、2019年から日本で発売を開始している。そして2021年にクロスクライメート2、同2 SUVに進化し、今回の新型へ移行した。なので、すでに存在を知っている方は少なくないはず。個人的にも日本での発売のタイミングで愛車のフィアット500に履かせたことがある。その意味ではすでにリアルに体感したことのあるシリーズだ。
では特徴だが、ひと言で言うなら「雪も走れる夏タイヤ」。ミシュランが提案するオールシーズンタイヤということになる。もちろん、この場合に冬は関東より西や南の平野部や海岸線のことで、山岳部は含まない。要するに年に1回か2回雪が降るか降らないかのエリアだ。もう少し具体的に言うと、ドライとウェット性能は夏タイヤ同等。でもって夏タイヤの不得意とする圧雪路やシャーベット状態での走行を可能にする。高速道路の冬用タイヤ規制もチェーン装着なしで通行が可能だ。



それじゃスタッドレスとの違いはというと、凍結路面を不得意とする。要するに、あくまでもデフォルトは夏タイヤで、限られた冬の路面をクリアするといった感じだ。
さらに言えば、このタイヤは季節を問わない高性能を持っていながらロングライフ性能を持ち合わせる。コンパウンドの減りを遅くし、長く愛用できる様に設計された。これはミシュランという企業の考え方に沿ったもので、持続可能な社会に貢献するためにロングライフのタイヤを作っている。
実際、ミシュラン主催のタイヤの試乗会では新品タイヤの性能を体感するのは当然のこと、50%以上削ったタイヤを使用してその性能を確かめるプログラムも用意される。その状態では新品タイヤよりパフォーマンスは若干落ちてしまうが、想像以上にきっちり働いてくれるから驚かされる。かなり自信がないと出来ないワザだ。また、環境性能で言えば、転がり抵抗にも優れていて、新型は初めて[AA]のラベリングを獲得した。これはそのままクルマの燃費にも関係する性能である。

サイズはクロスクライメート3が16~20インチで扁平率は35~65となる。同3スポーツは18~21インチで35~55だから、その違いは名前の通り。スポーティなクルマに振ったのがクロスクライメート3スポーツとなる。
ということで、クロスクライメート3が気になった方は詳細を調べるといい。タイヤのことはもちろん、冬の自分の行動範囲を再確認すると色々見えてくるだろう。もしかしたらスタッドレスはトゥーマッチかもしれない。そうそう、それとこのタイヤの特徴をもうひとつ付け加えよう。それはこのVシェイプ。スポーティにも見えるし、水はけが良さそうにも見える。いずれにせよかなり個性的でクセが強い。この大胆なトレッドパターンもまたミシュランの新たな提案に感じられる。