カーライフ・ドライブを楽しむ
更新日:2025.10.10 / 掲載日:2025.10.10
日本全国の秋を堪能する「秋道」〜Autumn road in Japan〜 Part.1

残暑が徐々に和らぎ、季節は秋へと変わっていく。
朝晩が涼しくなり、日中も過ごしやすい秋は、クルマでの移動も快適な時期だ。
そんな秋の醍醐味といえば、紅葉。
今回の特集では、クルマでドライブや旅行をしながら、秋の色づく景色をこれから楽しめる道やスポットを中心に紹介する。
日本各地の場所によって、紅葉が見頃となる時期は多少異なるものの、10月中旬〜11月頃になれば秋の絶景が楽しめるだろう。
ぜひ参考にしてもらって、秋の行楽シーズンを満喫してほしい。
写真:木村博道
(掲載されている内容はグー本誌 2025年10月発売号掲載の内容です)
◎掲載されている写真(画像)は、2025年9月上旬に撮影したものです。
紅葉の時期にイメージを近づけるために一部画像を加工しています。
Part.1 東日本編
東北の豊かな自然を訪ね歩く周遊ドライブ
野山を美しく彩る木々と清く豊かな水に癒やされる
首都圏から遠く離れているが故にゆったりと静かな時間が流れ、時には繊細であり、時には壮大な景色に身も心も委ねられる東北地方。なかでも注目の北東北こそ、秘められた魅力を持つエリアといえるだろう。
まとめ&写真:佐藤 圭
車両協力:パルスポーツ https://www.palsports.co.jp

見知らぬ絶景を発見できるスポット間の移動も楽しい
『2023年に行くべき52ヶ所』にニューヨーク・タイムズ紙で盛岡市が紹介され、昨今、国内のみならず世界中からの注目度が高まっているのが岩手・秋田・青森の3県。東北地方を縦断する奥羽山脈を源流とした豊かな水が育んだ木々、また各地に点在する美しい湖や渓流は紅葉のシーズンに限らず、自然を身近に感じられる景勝地としても知られている。そんな北東北のクルマ旅に最適なスポットや道を改めて紹介したい。
国の特別名勝および天然記念物に指定された奥入瀬渓流、その源となる青森県と秋田県にまたがる雄大な十和田湖、少し南に位置する日本百名山のひとつでもある八幡平は、十和田八幡平国立公園に属し、とりわけ人気のエリア。さらに日本で第1位の深度を誇る田沢湖を加えた4ヶ所が、紅葉と自然の共演を満喫したい人に必ず訪れてほしい場所だ。
ほかにも決して知名度こそ高くないが、見劣りしない穴場も存在する。例を挙げれば盛岡と田沢湖を結ぶ国道46号や、田沢湖から青森へ向かう国道341号の沿線だ。ガイド本に載っていないような隠れた名所も多く、今回の撮影で北東北の奥深さを再確認できた。そんな自分だけのお気に入りを発見し、時間を気にせず風景を堪能できるのも、自由なクルマ旅ならではの魅力だろう。

[取材車両]トヨタ コペンGRスポーツ
軽快な走りを楽しめる適度に固められたサスペンションや、ホールド性に優れ、長距離ドライブの疲労を軽減するレカロシートなど、数々の専用装備とGRの名を冠したオープンスポーツだ。
新車価格:250.14~255.64万円
中古車価格帯:169.8〜295万円
奥入瀬渓流(青森県十和田市)
十和田湖の東岸に端を発し、約14㎞におよぶ奥入瀬川の渓流。川に沿って遊歩道が整備されているので、時間があればトレッキングも楽しめる。散策の拠点となる奥入瀬渓流館カフェなども併設。
Data (奥入瀬渓流館※代表地点)
住:青森県十和田市奥瀬栃久保183
営:9:00〜17:30(冬季は16:30まで)
休:年中無休

秋のベストシーズン
十和田湖に近い上流が10月中旬~下旬、下流の焼山地区は11月上旬に見頃を迎える。
ワンポイント情報!!
◦紅葉の時期は交通量が増え何ヶ所かある駐車場が早々に埋まってしまうので注意しよう。
◦全行程のトレッキングは4~5時間。阿修羅の流れや雲井の滝など部分的に歩いてもいい。

秋本番になると♪
美しい紅葉を楽しむために日本中から多くの人が訪れる。撮影で三脚などを使う際は周囲への配慮を忘れずに。また路上駐車も危険なので絶対に避けよう。
十和田湖(青森県十和田市)
周囲を山に囲まれた十和田湖は、湖を俯瞰できる場所が多数ある。標高583mの絶壁から見下ろす瞰湖台や、第一と第二がある発荷峠展望休憩所は、公衆トイレを備えているのでありがたい。湖をクルマで1周すると約1時間。

秋のベストシーズン
10月中旬から11月上旬。周囲の山から紅葉が始まり、徐々に湖畔へと下がっていく。
八幡平アスピーテライン
岩手と秋田をまたぐ約27㎞の八幡平アスピーテライン。山頂レストハウスに隣接した展望台から360度の眺望を堪能でき、1時間ほどで走破できるトレッキングコースも整備されている。近年は5月の中旬から6月の上旬にかけて出現する、神秘的な通称『ドラゴンアイ』でも有名だ。
Data (八幡平展望駐車場※代表地点)
住:秋田県仙北市田沢湖玉川八幡平頂上
営:通行可能期間:4月中旬〜11月上旬(冬期通行止め)
※17:00〜8:30は通行止めとなる場合あり
駐車料金:500円(八幡平展望駐車場)

秋のベストシーズン
9月中旬に紅葉が始まり10月中旬に麓が見頃となる。ドライブしながら楽しむのもアリだ。
ワンポイント情報!!
◦ハイシーズンは頂上の無料駐車場が満車になり、有料駐車場でも待ちが発生することも。
◦このエリアは熊の目撃情報も多い。徒歩で散策するときは熊よけグッズを忘れずに!

秋本番になると♪
紅葉の美しさは岩手県と秋田県のどちら側からでも変わらない。いずれの県にもビジターセンターがあるので、山頂を目指す前に立ち寄って情報を収集しよう。
角館武家屋敷通り(秋田県仙北市)
江戸時代の初期に武家屋敷を中心とする町並みが作られ、紅葉の時期はもちろん春は桜の名所として知られている。武家屋敷通りは駐車禁止のため、近隣のパーキングを利用しよう。夜間のライトアップも見事だ。

秋のベストシーズン
例年10月下旬から11月中旬に見頃を迎える。週末は混雑するので平日または早朝がオススメ。
田沢湖(秋田県仙北市)
古来より瑠璃色と表現される美しい水を湛えた田沢湖。最大深度は423.4mで日本一深い湖として有名。近隣にはキャンプ場を始めとするレジャー施設が多く、紅葉シーズン以外でも観光客で賑わっている。十和田湖よりコンパクトで道路の勾配が少ないため、自転車で周遊するのもいいだろう。
Data(田沢湖・たつこ像※代表地点)
住:秋田県仙北市西木町西明寺字潟尻

秋のベストシーズン
10月下旬から11月上旬。田沢湖から少し南の抱返り渓谷も紅葉の名所として名高い。
ワンポイント情報!!
◦水上から紅葉を眺める遊覧船も人気。発着は田沢湖レストハウス前の白浜となっている。
◦散策路も整備されている。田沢湖ブルーと呼ばれる青と紅葉のコントラストを楽しもう。


永遠の若さと美貌を願ったと語り継がれるたつこ姫のブロンズ像は、田沢湖を代表する人気のフォトスポット。近くには小さいながらも無料の駐車場がある。
御所湖(岩手県盛岡市・雫石町)
盛岡インターからクルマで約20分とアクセスの良好な御所湖。雫石川をせき止め1981年に完成したダム湖で、北上川五大ダムのひとつにも数えられている。近隣には繋温泉や小岩井農場といった観光地も多い。

秋のベストシーズン
10月下旬から11月中旬にかけてが見頃。繋大橋を歩きつつ紅葉を楽しむのもいい。
玉川ダム(秋田県仙北市)
田沢湖から十和田湖へ向かう途中にあるダムで完成は1990年。宝仙湖とも呼ばれる人造湖。雪解けで水量が多い時期には水没林が、水の少ない時期には湿原のような風景と、季節によってさまざまな姿を見せる。

秋のベストシーズン
例年なら10月中旬から下旬。玉川ダム下流公園や宝仙湖展望所が人気のスポットだ。
ドライブ中に気になって食べたご当地グルメ♪
十和田名物牛バラ焼き定食(1890円)
牛肉もしくは豚肉と玉ねぎを甘辛いタレで味付けした料理。提供する店舗は十和田市だけで80を超え、それぞれ個性があるので食べ比べもおもしろい。定食はバラ焼きにライスと味噌汁、小鉢も付いて満足感が高い。

全国「スカイライン」カタログ Part.1 東日本編
山脈が形作る美しい地形と河川が織りなす魅惑の平野
東日本の地形的特徴といえば、南北方向に伸びる山脈と、それによって育まれる広大な平野部が挙げられるだろう。フォッサマグナを境界に西日本とは山脈の走向が異なり、内陸に位置する山脈と海岸との距離が長いため、長く流れる大河が土砂を運び広大な平野を形成している。
このような地形により、山地には山地の、平野には平野に適した道路が設置されている。奥羽山脈を代表とする前者では、雄大な連山の眺めが、関東平野を代表とする後者では、大きな川が近いこともあって水辺や水面、緑を基調とした樹木などが楽しめる道路が多い。また、東北や北陸の雪国地域は、災害に強い道路作りを推進していることも特徴だ。
【青森】津軽岩木スカイライン

69のカーブが連続する名峰コース
青森県の岩木山は「津軽富士」と呼ばれて古くから人々に親しまれてきた。この岩木山の麓から8合目までを結ぶ観光道路が津軽岩木スカイラインで、69個のカーブが連続するつづら折りの道になっている。ブナの原生林を通り抜けながら、日本海や北海道を望む雄大な景色を楽しむことができる。
DATA
●総延長:約10㎞
●通行料金:2000円(普通車)
●駐車場の有無:あり
●所在地:青森県弘前市大字常盤野黒森
●アクセス方法:東北自動車道大鰐・弘前ICから約40分
●紅葉の見頃:10月上旬〜下旬
【福島】磐梯吾妻スカイライン

吾妻小富士の変化に富んだ景色を堪能
吾妻連峰の山並みを縫うパノラマコース。日本初の山岳道路であり、平均標高1350mを彩る絶景は「日本の道100選」にも選ばれている。道中には一切経山、吾妻小富士などがあり、気軽に絶景ドライブが楽しめる。春には雪の壁が出現する「雪の回廊」も見られるが、積雪期は冬季閉鎖されている。
DATA
●総延長:約29㎞
●通行料金:無料
●駐車場の有無:あり
●所在地:福島県福島市高湯温泉〜土湯峠
●アクセス方法:東北自動車道福島西ICから約50分
●紅葉の見頃:9月下旬〜10月中旬
【栃木】中禅寺湖スカイライン

中禅寺湖の雄大な景観を味わう
中禅寺湖の東側を走る元有料道路で、中禅寺湖と男体山の眺めが楽しめる。日本百景にも選定されている中禅寺湖は、四季折々の自然景観を味わえるスポット。道中には展望台も点在し、紅葉の季節はひと際美しい景観を体感できる。日本の名道50選にも選ばれており、「天空ロード」とも呼ばれている。
DATA
●総延長:約8㎞
●通行料金:無料
●駐車場の有無:あり
●所在地:栃木県日光市歌ヶ浜〜半月山
●アクセス方法:日光宇都宮道路清滝ICから中禅寺温泉方面へ約30分
●紅葉の見頃:10月中旬〜11月上旬
【茨城】表筑波スカイライン

筑波山を望む絶景のワインディング
県道236号筑波公園永井線の一部で、風返峠から朝日峠までの尾根沿いを通る幅員5.5mのルート。かつては有料道路「パープルライン」と呼ばれており、現在は無料で走行できるようになっている。マンガ『頭文字D』にも登場しており、朝日峠展望公園はカーマニアが集まる場となっている。
DATA
●総延長:約10㎞
●通行料金:無料
●駐車場の有無:あり
●所在地:茨城県土浦市小野〜石岡市小幡
●アクセス方法:常磐自動車道土浦北ICよりから約30分
●紅葉の見頃:11月下旬
【神奈川】芦ノ湖スカイライン

一度は走ってみたい“クルマの聖地”
箱根外輪山の西側を南北に縦断し、標高約1000m付近の三国山の尾根沿いを走る有料道路で、箱根峠から湖尻までの一般区間と湖尻から湖尻水門までの特別区間で構成されている。山伏峠、杓子峠、三国峠などの絶景スポットがあり、晴れた日には富士山と駿河湾のパノラマや伊豆の山並みまで見渡せる。
DATA
●総延長:約11㎞
●通行料金:1000円(普通車)
●駐車場の有無:あり
●所在地:神奈川県足柄下郡箱根町
●アクセス方法:東名高速御殿場IC、あるいは小田原厚木道路から約40分
●紅葉の見頃:11月上旬〜下旬
【新潟】弥彦山スカイライン

山頂の絶景スポットまで気楽に走れる
日本海に面した弥彦山の山頂付近に整備されている山岳ドライブコース。途中に150台ほど停車できるスペースもあり、山頂の弥彦山頂公園には回転昇降展望台「パノラマタワー」やレストランもある。日本海沿岸の雄大な景色や越後平野の景観、夕日や満天の星なども楽しめる。
DATA
●総延長:約14㎞
●通行料金:無料
●駐車場の有無:あり
●所在地:新潟県西蒲原郡弥彦村弥彦
●アクセス方法:北陸自動車道三条燕ICから約25分
●紅葉の見頃:10月中旬〜11月中旬
※紅葉の見頃時期は、同スカイライン周辺地域の目安です。ご確認のうえお出かけください。
Column[ドライブ×高速道路]
日本各地で高速道路はどう違う?
日本全国、高速道路の規格は同じなので、道路そのものには、地域による特色はない。ただ日本には、A、B、C、3ランクの高速道路がある。Aは新東名・新名神。基本的に片側3車線でカーブと勾配が少なく、圧倒的に走りやすい。制限速度120㎞の区間もある。Bランクはその他の幹線高速で、地形に沿ってカーブや勾配がそれなりにある。Cランクは暫定2車線の対面通行路線。中央分離帯がないので、対向車線に飛び出しての正面衝突事故が多発し、大きな問題になった。その対策として近年、多くの区間で中央線にワイヤー製のガードロープが設けられた。正面衝突は防げるが、ワイヤーだけに、軽く接触しただけで車体の損傷は甚大。わき見は絶対禁物だ。

TEXT/清水草一
軽自動車からフェラーリまで、広い守備範囲を持つベテラン自動車評論家。高速道路研究家としても活躍しており、複数の著書を上梓している。