カーライフ・ドライブを楽しむ
更新日:2025.09.19 / 掲載日:2025.09.19
気になるEV、1週間徹底試乗レポート![TESLA MODEL Y(テスラ モデルY)]

文と写真⚫︎ユニット・コンパス ※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。
自身も「ホンダe」オーナーである編集部 大塚が、さまざまな電気自動車に乗って何を感じるのか? いろいろなEVを1週間ほど借り出して、シチュエーション別にテストしていきます。テーマはもちろん「徹底的にユーザー目線」で!
前回の記事はこちら▼
【今回のテストモデル】テスラ Model Y ロングレンジ(デュアルモーターAWD)

全長 | 4800mm |
全幅 | 1980mm |
全高 | 1625mm |
ホイールベース | 2890mm |
車両重量 | 1990kg |
乗車定員 | 5名 |
駆動方式 | 四輪駆動 |
サスペンション(前/後) | ダブルウィッシュボーン/マルチリンク |
ブレーキ(前/後) | Vディスク/Vディスク |
バッテリー総電力量 | 非公表 |
バッテリー種類 | リチウムイオン電池 |
最高出力(前) | 158kW |
最大トルク(前) | 240Nm |
最高出力(後) | 220kW |
最大トルク(後) | 350Nm |
一充電走行距離 | 635km(WLTCモード) |
タイヤサイズ 前 | 255/40R20 |
タイヤサイズ 後 | 255/40R20 |
最大受電能力 | 250kW |
車両本体価格(標準):647万6000円(消費税込み)
オプション:
グレイシャーブルーペイント 18万9000円
ブラック/ホワイト プレミアム インテリア 12万6000円

家族も仕事も支える、未来の相棒!?

今回のテスト車は「テスラ モデル Y」である。アメリカ本国では2019年に発売され、日本国内では2022年に登場したコンパクトクロスオーバーSUVである。コンパクトセダンの「モデル3」と基本構造を共有しており、ともにテスラの屋台骨を支える中核モデルだ。
コンパクトSUVとされるが、日本国内では十分にミドルサイズとして通用する高い居住性を持つモデルYは、2023年、2024年と2年連続で全世界で100万台以上を納車し、2025年もトヨタ RAV4と「世界最多販売SUV」の座を争う。EVとして初めて世界の車種別販売台数でトップに立った歴史的モデルでもある。その人気のモデルYが今年、デビュー以来初めて大幅改良を受け、SUVとしての日常生活におけるポテンシャルがさらに引き上げられた。

大きく変わったのがまず外観。細く光るLEDライトバーのヘッドライトを採用し、光を柔らかく拡散する間接照明のようなテールライトも存在感が抜群である。テスラブランドの真骨頂である「未来感」をより鮮明に印象付けるデザインとなっている。一見、実用性の高い5ドアSUVとは思えない流麗なボディラインは、このクルマのクオリティの高さを語りかけてくる。
あまり目立たない細部にも多くの改良が施されている。セーフティ面では、チップ性能が従来の5倍に向上した次世代運転支援システムHW 4.0を搭載して安全システムの精度を高めている。さらに超音波センサーが廃止され、フロント、リア、サイドのリピーターカメラは高解像度カメラに変更された。また機能面では、フロントボンネット下のラゲッジスペース「フランク」の容量が117Lに増加し、仕切り板や排水口が追加されて多用途に使用できるようになっている。センターコンソールに15.4インチのディスプレイが搭載され、より鮮明で滑らかな操作性が実現されている。快適性では、運転席と助手席にシートベンチレーション(通気機能)が標準装備され、長時間ドライブもより快適になった。さらに後部座席にもタッチスクリーンが追加され、空調やエンターテイメントの操作が可能になっている。
空力性能の進化も注目したい。新型はSUVとしては驚異的なCd値0.22を達成し、燃費性能を向上。また、リアディフューザーは形状を変更して効果的なダウンフォースを確保。さらに、改良されたサスペンションは高速道路からワインディングまで質の高い走りを実現。モデル3と同様に、高強度スチールとアルミを効果的に用いることで高剛性を実現しており、ボディはユーロNCAPで5つ星を獲得する高い安全性はもちろん、静粛性や快適性にも寄与している。

モデルYの日本仕様は2グレードをラインアップ。ロングレンジAWDは635kmの航続距離、最高速度201km/h、0-100km/h加速4.8秒の駆け抜ける性能を誇る。RWDは547kmの航続距離、最高速度201km/h、0-100km/h加速5.9秒の十分な性能を持つ。価格設定も明快で、RWDが558万7,000円(税込)、ロングレンジAWDが647万6,000円(税込)からとなっており、EVの新しいスタンダードを提案するモデルとして幅広い層に届きやすい設定である。さらに、テスラ モデルY(全グレード)は国からCEV補助金が87万円交付されるため、より負担が少なくなることも注目すべきポイント。さて、残暑の厳しい中、5日間・約600kmのテスト走行では実際どうだったのだろうか。
【通勤テスト】自宅~勤務先の片道約25km(往復約50km)をテスト! 普段使いの電費や乗りやすさをここでチェック!~まずは引き渡しで第一印象を~

編集部 大塚「テスラ モデルYは、プライベートでも何度か乗ったことがあります。そのとき最初は“これって本当にファミリーカーなのか?”と思ったんです。とくにインテリアのデザインがあまりにシンプルすぎて、普通に運転できるのだろうかと。しかし、実際に生活で使ってみると便利さは想像以上で、乗るたびに『あ、未来ってこういうことか!』と納得させられることに感動したのを思い出します。今回はさらにじっくり見ていこうと思います!」
朝、子どもを学校に送ってそのまま会社へ向かうなど、朝の忙しい時間こそクルマの快適性は重要。モデルYは、前もってスマホでエアコンをつけておけば、乗り込むときには車内が常に快適になるのも魅力です。音や振動がほとんどないため、BGMも心地よく響き、出社後にはフルパワーで仕事に取り組めそうではないか。
編集部 大塚「クルマ通勤の私は、朝の会社までの時間はとても大切(笑) 出社したら一気に仕事モードに入れたいじゃないですか。これは実際に体感しないと伝わりにくいのですが、モデルYの「オートシフト」は、朝シートベルトを締めてブレーキを踏むだけで自動的に『D』にシフトが入ります。これが素晴らしくいいなと思いました。慣れてしまうと物理的なシフトレバーはもう本当に不要だと思えてきたほど。そして、発進も停止もワンペダルでOK。信号の多い通勤路でもアクセルとブレーキを踏み替える必要があまりなく、ここまでストレスフリーになると、朝の「無」の時間をもっと楽しみたくなります。往復30kmの通勤なら、毎日乗っても週1回の自宅充電で十分なのも嬉しいポイントですね」
【寄り道テスト】/会社からの帰り道、買い物やちょっとした寄り道での、使い勝手やワクワク感をチェック!

編集部 大塚「操作系がストレスフリーだからなのか、今回初めて妻が運転したがったことに驚きました。たとえばウインカー。車線変更が終わると自動でオフになり、手動でも軽くレバーを動かすだけでオフになります。逆方向のウインカーが誤って点くこともありません。さらにウインカーを出すとモニターに死角が映るので、安心して車線変更できます。こういった機能で私がスマートに運転しているのを横で見て、そう思ったのでしょう。週末の買い物でも大活躍です。最初は「ちょっと大きいかも」と運転を渋っても、360度カメラや狭い駐車場で便利な自動駐車機能があるため、安心感があります。荷物も後部だけでなくフロントの「フランク」にも分けて収納でき、整理しやすい点も好評です」
細かい改良も見逃せません。新型モデル3でボタン式に変わったウインカーレバーはここで復活しており、従来のレバー操作を好むユーザーの声を反映しています。
今回充電状況はどうでしたか?

編集部 大塚「今回は2回、スーパーチャージャーで充電を行いました。1回目は途中から隣のスーパーチャージャーも使用されたため少し遅くなりましたが、35kWh(残走行距離171km→417km)充電できました。2回目は私だけで使用したため、52kWh(残走行距離79km→408km)と大きな充電量。充電ネットワークも発達していて充電スピードも速いため、これまでのEVの中でもっとも長距離を走りたくなる1台と思いました」
自宅での充電はどうでしょう?
編集部 大塚「自宅に200Vコンセントを設置すれば、毎晩寝ている間に満タンになります。平日の通勤が往復50kmほどなら、買い物を含めても週1回の充電で十分でしょう。月々の電気代は約3000~4000円で、ガソリン代より圧倒的にお得です。出先で充電が必要な場合も、スーパーチャージャーなら30分の休憩で約250km回復するので、長距離ドライブも安心でいますね」
【お出かけテスト】ロングドライブでの電費や、快適性などを同乗者の意見も交えてチェック!

編集部 大塚「アクセルを踏むとまるでロケットが発射されるかのように、スーッと滑らかに加速します。ガクンとくる衝撃やエンジン音は一切ありません。このEVならではの圧倒的なトルクと静粛性は、一度体験するともうガソリン車には戻れない感覚があります。乗り心地と重さに関しては、ランドローバー·ディフェンダーに乗ったときよりも軽く感じます。当たり前と突っ込まれそうですが(笑) また、高速道路やワインディングでは快適ですが、未舗装の一般道では横揺れがあり、少しストレスを感じることも。これはボディ剛性が高いのとタイヤのサイズにも起因するからかもしれません。ただ、それを補って余りある魅力があります。特に長距離ドライブでの安心感は素晴らしいですね」
今回、サスペンションが再調整され、悪路での振動吸収性能が51%向上しています。これによって、今まで以上に快適な乗り心地が実現されています。また、新しいシーリング材やサイドミラーの変更により、風切り音が約20%、ロードノイズも22%低減されルナ度静粛性が向上。まさに全方位的に改良が入っています。
装備面はどうでしょうか?
編集部 大塚「家族での遠出でもモデル Yは大活躍です。後部座席にはUSB-Cポートが2つあり、長距離移動中に動画を見せても充電切れの心配はありません。頭上のガラスルーフから空を見上げられるため、開放感も楽しめました」
~試乗を終えて~

編集部 大塚「やはりモデルYで驚いたのがオートシフト(ベータ版)です。先ほども触れましたが、シートベルトを締めてブレーキを踏むと自動でDに入り、停車してシートベルトを外すとPに。動作のタイムラグもほとんどなく、手でシフトレバーを操作しているかのような感覚です。本当に実用レベルまで仕上がっていて、これにはほんとに驚きました!」
モデルYはウインカーレバーも秀逸。車線変更が終わると自動でオフになり手動でも進行方向・逆方向どちらでもオフになるため、誤操作の心配がないのだ。加えて、ウインカー作動時に死角をモニターに映す機能もあり、安心感はかなりのもの。マイカーアプリも便利で、物理キーなしでエアコン操作や施錠·解錠が可能。指示の反映も早く、ストレスなく使用可能。モデル Yには物理ボタンがほとんどなく、15インチ大型タッチパネルであらゆる操作ができる。音声認識も優秀で、「窓を閉めて」「グローブボックスを開けて」など声で操作できる。

編集部 大塚「よくモデルYはガジェット的な例えがなされますが、個人的には忙しい毎日を快適に、静かに、スマートにしてくれます。運転していてもワクワクする『未来感』があり、『カッコよくて、強くて、優しい』、家族思いの1台と思います。百聞は一乗にしかず。試乗すれば、これまでのクルマとの違いにきっと驚くはずだと」
新車のテスラは、すべてのモデルに4年間または8万km(いずれか早い方)の保証が付与される。またバッテリーやドライブユニットは、RWDが8年間または16万km、ロングレンジが8年間または19万2,000kmの保証が設定され、EVモデルとしての安心感も提供されている。
今回のまとめ
〇 子どもが寝てても起きない静かな走り
〇 オートパイロットで通勤のストレスを軽減
〇 低ランニングコストで家計にも優しい
〇 巨大な荷室で家族の荷物がたっぷり積める
〇 優秀な充電網とナビゲーションで長距離移動も安心
△ 舗装されていない道の乗り心地や、自宅充電の安定性に課題あり
今回の充電データ
急速充電(35kWh) | 残走行距離 171km → 417km |
急速充電(52kWh) | 残走行距離 79km → 408km |
貸与期間中走行距離:407.4km
エネルギー:68.4kWh
電費:5.96kW(かなり優秀!)
次回予告
次回は「ホンダ N-VAN e:」をじっくりテストします!

リポータープロフィール:自他共に認めるクルマ好き、キャンプ好き、ウインタースポーツ好きにして、気になることは徹底的に調べるのがモットー。今回は企画を成立させるために、ローンを駆使して自らEVを購入。これからEVにまつわる諸問題に体当たりしていきます! プロトコーポレーション 執行役員/2025-2026 日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。