車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2019.04.23 / 掲載日:2017.10.26
第2回目 ポルシェまるごと
レースで培った技術を市販車に取り入れる

今日自動車レースに参加しているカーメーカーは多い。日本でもポピュラーなF1グランプリをとっても、フェラーリ、メルセデス、ルノー、マクラーレン、そしてホンダといった名前が挙がる。
また、最近かなり盛り上がっているスーパーGTもそう。レクサス、ニスモ(日産)、ホンダといったワークスを中心に、サテライト的にサポートしているメーカーもある。
ではポルシェはどうか。まず浮かぶのがル・マン24時間耐久レースであろう。LMPクラスというトップカテゴリーで毎年ポディウムを競い合っているのはご承知のとおり。今年も919ハイブリッドが19回目となる勝利をもたらした。
さらにいうと、同レースのLM-GTEカテゴリーには911 RSRを投入している。今年からミッドシップになったそれはデビュー戦としては大いに健闘。ポディウムこそ逃したものの4位入賞した。
ル・マンばかりではない。年間シリーズ戦となる世界耐久選手権(WEC)にも積極的に参戦しているばかりか、北米最大のシリーズ戦となるIWSCにもエントリーしている。後者はアメリカ・ル・マン・シリーズとグランダム・シリーズが統合してできたものだ。ポルシェにとってアメリカは販売面で重要なマーケットではあるのは確かだが、レースで結果を出して存在をアピールするところなどはまさに彼ら流である。
こうした背景があり、ポルシェはクルマを開発している。そう、「サーキットは最大の実験室」を地で行っているのである。
たとえば、今年の英国グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで発表されたポルシェ911GT2 RSもそんな1台。580馬力の911ターボS用3.8L水平対向6気筒+ツインターボをベースに700馬力までスープアップさせている。0‐100km/h加速は2.8秒、最高速度は340km/hに達する。まさにロードゴーイングレーシングカーといったプロファイリングだ。こんなのがルームミラーに映ったら、瞬時に道を空けるのが賢明だろう。
では911以外はというと、パナメーラターボS Eハイブリッドが目につく。ターボSのさらに上をいくパナメーラのトップエンドだ。
おもしろいのは、ポルシェはそのポジションにハイブリッド車を据えたこと。そのことでハイブリッド技術の高さと環境問題に対する配慮、それと新世代ポルシェを示唆したのだ。世界的なスポーツカーブランドの1モデルのトップエンドがハイブリッドカーなのは衝撃的である。
最高出力は550馬力を発揮する4L V8ツインターボとモーターで合計680馬力となる。最大トルクはなんと86.7kgm。この技術は918スパイダーからスライドされる。パワーに対する貪欲なポルシェの姿勢はまだまだ続きそうだ。
スピードのあくなき探求 MORE POWER
911 GT2 RS
黒を基調とするインテリアだが、ステアリング、バックレスト、ドアトリムの一部に赤が配色される。ドライバーを刺激するコーディネートはさすがである。
911 TURBO S EXCLUSIVE SERIES
911ターボS エクスクルーシブ シリーズ
ポルシェはこの夏のグッドウッドでのイベントで“Porsche Exclusive Manufaktur”ブランドの第一弾モデルを発表。このブランドはポルシェ社内での特注車を専門に扱うセクションを意味する。つまり特別な1台だ。
発表されたモデルは世界限定500台。日本での発売は6台のみで、右ハンドル4台、左ハンドル2台となる。最高出力は607馬力を発揮。

シートやトリムはオリジナル。各所にゴールデンイエローが配色されるのも特徴。また車両と同じ500個限定で、ポルシェデザインのクロノグラフ時計もリリース。
新時代を切り開く力 ELECTRIC
PANAMERA E-HYBRID
パナメーラ Eハイブリッド
7月のカナダで行われた国際試乗会ではサーキット試乗が行われた。最大限パワーを体験するためだ。ターボS+モーターの加速は想像を絶する世界となる。
技術的なノウハウは918スパイダーのそれを取り入れる。彼ららしく前後の重量配分も十分な配慮がなされた。
サイズを変えずに容量を上げたリチウムイオン電池を搭載。モーターでのレンジは最大50km。
NEW CAYENNE
より911のテイストを取り入れたデザインで登場
去る8月30日にドイツのポルシェ本社で新型カイエンが発表された。3世代目となる今回はカイエンらしさを残しながらも911に代表されるスポーツテイストが濃くなっている。ボディは従来型に比べ若干だが低くなり、タイヤサイズも前後で異なるものを履くようになった。
また、ハードウェアでは2種類のV6エンジンや8速ティプトロニック、4WDシステムなどが新しくなるなど見るべきポイントは多い。
インターフェイスも一新され、新たなコネクティビティが備わった。アップデートされたそれらが快適なドライブを約束するに違いない。

先にリリースされた新パナメーラにも採用される12.3インチのタッチスクリーンがすべての操作をこなしてくれる。ボイスコントロールも当然装備。
累計走行距離は約440万km! リアルワールドで磨き上げる
走行テストでは日本の夏も体験済み
走行テストでは日本の夏も体験済み
ポルシェはこのカイエンを開発するにあたり、2014年以降で累計440万kmに渡る走行実験を行った。環境はまさに市街地からサーキットまでで、ニュルブルクリンクも当然テストコースに含まれる。寒暖差では極寒のアラスカから灼熱のアフリカ、ドバイまで。おもしろいのは日本の夏もテストしていたという事実。スパイ写真が撮られなかったのが不思議だ。マーケットを全世界と設定した新型の耐久性は期待できそう。

ドバイの砂漠を走ると細かな砂が駆動系を壊してしまうことも。その辺も新型はかなり精緻に対策されている。品質面のライバルは日本製SUVになるかも。