車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.10 / 掲載日:2017.10.19
メルセデス・ベンツ Eクラス クーペ 試乗レポート

「美しい」と評判を集めて登場した新型Eクラスクーペ。しかし、実際に触れてみると、そのスタイリッシュさはもちろんのこと、懐の深いしなやかな走りと高い実用性、圧倒的な快適性に魅了されてしまう。
大人が買いたくなる洗練さを極めたクーペ
最近のメルセデス・ベンツは、セダンやSUVにクーペを融合させたモデルの展開にも積極的だが、正統派のEクラス・クーペが醸す優雅さは、やはりひと味もふた味も違う。
いかにもコンパクトなキャビンに伸びやかなフォルム、美しいルーフライン。贅沢な大人のためのモデルは眺めているだけでため息がでる。
室内に目を移すと、新世代のインテリア・デザインは、クーペにベストマッチだ。緩やかな弧を描くダッシュボードがなんとも艶めかしい。スポーツカーは航空機のコクピットをイメージしたタイトな空間であることが多いが、Eクラス・クーペのそれは大型クルーザーのようにゆったりとしている。伝統的なラグジュアリーな趣の中に、先進的な大型ディスプレイが違和感なく馴染んでいるのが不思議な感覚でもある。
エンジンは直列4気筒2L直噴ターボが2種類あり、E200クーペは最高出力184馬力、最大トルク30.6kgm、E300クーペでは245馬力、37.7kgmとなる。E400クーペはV型6気筒3L直噴ターボで333馬力、48.9kgmで唯一の4MATICだ。
今回はベーシックなE200クーペに試乗した。正直に言って、エンジンは官能性や楽しさなどで惹きつける類ではないものの、スペックから想像するよりもずっと頼もしくて従順だ。以前のメルセデス・ベンツのダウンサイジングターボは、あまりトルクフルに思えなかったが進化がみられ、9速ATとのマッチングもいい。控えめなエンジン・サウンドも含め、Eクラス・クーペのキャラクターには合っている。あえて存在を主張せず、きっちりと仕事をこなす縁の下の力持ち的でラグジュアリーな雰囲気があるからだ。

昨年フルモデルチェンジを受けたEクラス・サルーンの美点はクーペにも受け継がれている。ボディは軽量にして高剛性。振動やノイズは細かなものまできっちりとシャットアウトされ、各部の動きは滑らか。何気なく市街地を走らせているだけで、そのスムーズさや静けさには高級感がある。E200クーペ・スポーツは19インチのランフラットタイヤを履く。スタンダードタイヤに比べれば、目地段差の乗り越えなどでタイヤの硬さを感じさせることもあるが、基本的には乗り心地はいい。コンベンショナルなサスペンションは硬すぎず、柔らかすぎず、安定感と快適性のバランスが絶妙。高速道路をダイナミックに走らせれば、メルセデスらしいフラット感。路面のうねりや凹凸をものともせず、あまりロールやピッチングを感じさせないままビシッと突き進んでいく。どこまで走っていっても疲れなさそうなロングドライブ性能の秀逸さも魅力だ。
コーナリングは適度にシャープ。フロントタイヤが路面をわしづかみにして、ステアリング操作に対して正確にノーズがインへ向いていく。タイヤの性能を最大限引き出すような走りをして限界に近づいても舵の効きがよく、どこまでもドライバーの意志に忠実に応えようとする懐の深さがある。どんなにタフな状況になっても安心感を与え、自信をもたせてくれるのだ。ラグジュアリーで快適なクーペではあるが、走りのレベルも相当に高く、ワインディングランを楽しませてくれるのだった。E400クーペになればエアサスペンションが装着され、快適性と安定性が高まるはずだが、スタンダードにも素直な動きという美点がある。
メルセデス特有の快適で頼もしい感覚は、正統派のEクラス・クーペにぴったりの特性。生活を共にすれば気持ちまで豊かになれそうだ。
文●石井昌道 写真●グーワールド
問い合わせ メルセデス・コール TEL:0120-190-610
Detail Check

フロントからはじまり、全体としてロー&ワイドな印象を与えるクーペらしいスタイリング。横長のテールライトもワイドな印象を強める。
コクピット
コクピット
機能的なラグジュアリーのひとつの完成形ともいえるメルセデスのコクピット。視認性、操作性の高さはさすがのレベルで、快適この上ない。
インテリア
インテリア
快適なシートからラグジュアリー感が伝わる前席。後席は頭上まわりにやや圧迫感がある。だが、Eクラスセダンよりも7センチほどホイールベースが短いとはいえ、足もとのスペースは余裕だ。
エンジン
エンジン
1200回転から最大トルクを発生する直4ターボは、日常のさまざまなシーンで快適。静粛性も高く、13.9km/L(JC08モード)と低燃費だ。
ラゲッジスペース
ラゲッジスペース
スタイリッシュなリヤエンドと後席の居住性を確保しながら、400Lを超える大きなラゲッジを備えるパッケージングの秀逸ぶりには脱帽だ。
マフラー&タイヤ
マフラー&タイヤ
流麗で一体感のあるクーペスタイルで、マフラーも埋め込み型だ。標準で19インチのランフラットタイヤを履くが、しなやかな足さばきを見せる。
主要諸元:メルセデス・ベンツ E 200 クーペ スポーツ(9速AT)
全長×全幅×全高 | 4855×1860×1430mm |
---|---|
ホイールベース | 2875mm |
トレッド前/後 | 1600/1590mm |
車両重量 | 1740kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1991cc |
最高出力 | 184ps/5500rpm |
最大トルク | 30.6kg m/1200-4000rpm |
サスペンション前/後 | 4リンク/マルチリンク |
ブレーキ前後 | Vディスク |
タイヤサイズ前・後 | 245/40R19・275/35R19 |
全国メーカー希望小売価格(発売 2017年5月)
E 200 クーペ(9速AT) | 682万円 |
---|---|
E 200 クーペ スポーツ(9速AT) | 750万円 |
E 300 クーペ スポーツ(9速AT) | 835万円 |
E 400 4MATIC クーペ スポーツ(9速AT) | 1037万円 |
Body Color
■エメラルドグリーン □ダイヤモンドホワイト ■オブシディアンブラック ■セレナイトグレー ■カバンサイトブルー ■ヒヤシンスレッド |
「後席が狭いから・・・」などと言い訳させない実用派クーペ
これまでCクラスのプラットフォームをベースとしてきたEクラスのクーペだが、新型はEクラスのプラットフォームをベースとしている。けっして「プラス2」ではなく、快適に座れる後席を持ちながら、リヤエンドを短く切ったスタイリッシュな「クーペらしい」造形を実現している。