車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.07 / 掲載日:2016.10.27
【気になる中古車試乗判定】アウディ TTクーペ

2011年モデル AUDI TT Coupe
一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション!果たしてその結果やいかに!?
文●竹岡圭、九島辰也、GooWORLD 写真●GooWORLD
今月の中古車は アウディ TTクーペ
半円を組み合わせた初代TTのフォルムを受け継ぎながら、よりスポーツカー的に進化したスタイル。高速域では電動でリヤスポイラーがせり出してくる。
いまの目線で見ても 十分にハイクオリティ
いまの目線で見ても 十分にハイクオリティ
スポーツカー的な包まれ感を演出しながらも、おしゃれさを失っていないのがプレミアムブランドのアウディらしいところ。円をモチーフにしたエアコン吹き出し口などデザイン性も高く、アルミを各所に配したインテリア全体の品質感も高い。異形ステアリングにはパドルシフトも備わる。
トーチカにいるような 包まれ感のある室内
トーチカにいるような 包まれ感のある室内
ウインドウが縦方向に狭く、肩口の高さまでインテリアの内張りに囲まれる独特の居住感覚。シートはサイドサポートが充実したスポーティなデザインで、実際のホールド感もしっかりしている。後席も用意されているが、これはあくまでもエマージェンシー。ラゲッジルーム容量は標準で290L。
パワフルさでは前期型の 2Lターボに軍配が上がる
パワフルさでは前期型の 2Lターボに軍配が上がる
今回試乗した2.0TSFIは、最高出力200馬力を発生する2L直4DOHCターボを採用。最大トルクの28.5kgmは1800から5000回転と幅広い領域で提供されるため、パワフルな印象。上級グレードの3.2クワトロは、250馬力の3.2L V6を搭載し、4輪を駆動する。12年から1.8Lターボも追加された。
スムーズなSトロニックに 自慢のクワトロも用意
スムーズなSトロニックに 自慢のクワトロも用意
トランスミッションは、MTのダイレクトさとATのなめらかさを両立するSトロニックを採用。2.0TFISおよび3.2クワトロは6速で、1.8TFSIは7速となる。サスペンションはフロントがストラット式でリヤが4リンク。クワトロはフルタイム4WDで、より高いロードホールディング性能を披露する。
アウディ TTクーペ 試乗判定レビュー

室内のクオリティの高さに関心するふたり。今回試乗したクルマは走行距離が多めだったが、それでもしっかり感が残っていたのも好印象。アウディの実力が証明された形だ。
アウディのイメージを変えたクーペモデル
編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回は、ドイツのプレミアムブランドであるアウディからTTクーペの登場です。お借りした車両は個人所有で2011年モデル、グレードは「2.0TFSI」、走行距離は6万km弱となります。3年前に2年落ち走行距離3万kmの中古車を専業店にて購入したとのことです。
九島●輸入車は、こういう大人が乗れるスポーツカーがあるのも魅力のひとつなんだよね。
竹岡●たしかに。国産車だと性能を重視した「走り系スポーツカー」はあるけど、お洒落かというとちょっとね・・・。
九島●その点、このアウディTTクーペはいいね。スーツ姿で乗っても似合うと思うよ。
竹岡●TTってアウディのイメージリーダー的なところもあるじゃない。シンプルなデザインなんだけどクオリティが高くて、選ぶと「あのひとちょっとセンスいいじゃん」って思われそうというか(笑)
九島●アウディ自体は歴史あるブランドだし、80年代から4WDの有用性に着目してWRCで戦いながらクワトロを育ててきたんだよね。だからヨーロッパでは評価が高かったんだけど、たしかに日本ではまだまだ一般的な知名度が低かった。そこに登場したのが初代TTで、みんなあのデザインに一発でやられちゃった。それ以来、「アウディはクール」っていうイメージが定着したって言えるんじゃないかな。
編集部●初代が出たのは1998年なので、もう18年も前のクルマなのですが、いまだに中古車も人気です。今回紹介するのは、その後継モデルで、日本では2006年から2015年まで販売されていました。
竹岡●そんなに前から販売されてたんだ。それにしても9年ってけっこう、モデルライフ長かったんだね。

編集部●2代目TTクーペは基本的に2グレードで、前輪駆動モデルとクワトロに分かれています。ただ、時期によって搭載されるパワートレーンが変わっていまして、初期型から2009年まではFFが2Lターボ(200馬力)でクワトロが3.2L V6(250馬力)。2010年9月にマイナーチェンジがあり、そこでクワトロもFFと同じ改良版2Lターボ(211馬力)になります。そして2012年にFFのエンジンが1.8Lターボ(160馬力)に変更、同時にSトロニックも7速になっています。最高出力は下がりましたが、50万円近く値下げとなりました。
九島●それで、それが中古車になるといくらくらいなの?
編集部●相場は100万円後半から300万円後半で、年式から考えるとけっこう強気ですね。今回試乗した2011年モデルで、だいたい240万円程度でしょうか。
竹岡●値段が落ちないっていうことは、人気があるってことじゃない?
九島●なるほど。でも、見た感じでは5年落ちでもカッチりしているし綺麗だね。やっぱり、高いクルマはユーザーもそれなりにちゃんと扱うから、中古車で買うときにもいいのかもしれないよ。
編集部●それでは、そろそろおふたりには試乗をお願いします。
編集部●さて、試乗が終了したようなので、さっそく走りの感想から伺ってみましょう。
竹岡●TTクーペって、独特の世界観があるよね。スポーツカーなのに、不思議と気持ちが熱くならない。すごく真面目なクルマ。文武両道の学級委員長がスポーツしてみましたって感じ。走り終わっても汗のひとつもかかないイメージ(笑)
九島●そう、見た目よりも走り味はスポーティに振ってない。サラッとスラッと走る。速く走らせようとすればちゃんと速いんだけど、キャラクターとしてはクールだね。
竹岡●受け止めるひとによっても評価は変わってくるかも。「冷静すぎて色気がない」という言い方もできるけど、「クールで頭がよさそう」と感じるひともいると思う。
編集部●ある意味、とてもアウディらしい個性を持ったスポーツカーということですね。
九島●アウディのプレミアムブランドという側面に期待するユーザーはきっと多いだろうし、このクルマは女性ドライバーにも人気だよね。中古車はけっこう高いっていう話だったけど、今日試乗したクルマも、年式や走行距離のわりにしっかりしゃっきりしていたから、王道外しの選択肢としてアリだね。
竹岡●個人的にTTに乗るなら、クーペよりもオープン版のTTロードスターがいいかな。キャラクター的にもしっくりくるし。
編集部●ちなみにロードスターの中古車相場は、クーペの30万円プラスとなっております。ただ、残念ながらクーペに比べて物件がかなり少ないので、いいクルマが見つかったら、迷わず「買い」です。
※ナンバープレートはハメ込み合成です。
TTクーペ レビュー評価

円形の計器が並ぶメーターパネルは見やすく機能的。メーター中央には各種情報を表示する液晶モニターを配置する。
人気自動車ジャーナリスト(と編集スタッフ)によるアウディ TTクーペ レビュー評価をまとめます。
※各項目に対して10点満点評価。
自動車ジャーナリスト 竹岡 圭のコメント

TTクーペを、「どんなひととでも仲良くなれる、細マッチョの学級委員長」と表現した竹岡さん。だれが乗っても文句なしの完成度を的確に表現してくれました。
自動車ジャーナリスト 竹岡 圭
●人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2016-2017 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
ポジショニング 9点
元々TTクーペって、まだまだプレミアムブランド化していなかったアウディのイメージリーダーとして登場したクルマだったんですよね。最初はチャライ優等生的な感じが強かったけれど、徐々にスポーティ方向に向かっていって・・・。いい意味での中途半端というか、突き抜けてないところが、多くの方に選びやすいモデルになっている気がします。
装備 8点
すっかりプレミアムブランド化したアウディが送り出すスポーツカーだけのことはあって、作り込みはしっかりしていますね。でも細かなスイッチ類を見ると「あっ!これってA3と同じじゃん・・・」っていうものがけっこうな数あったりして、そういうところが残念に感じちゃうのは私だけでしょうか?コスト考えると理解はできるんだけど・・・。
走り 8点
わりと距離を乗ったクルマでも、シャキッと感が薄れていないのは、さすがのアウディクオリティ。人気があるのも頷けます。パワーは文句ナシなんだけれど、乗り心地はもう少しイマドキのしなやかさがあってもよかったかなと・・・。そしてモノ足りないのはワクワク感。だからこそ日常でも使いやすいのかもしれないけど、スポーツカーですからねぇ・・・。
自動車ジャーナリスト 九島 辰也のコメント

「能ある鷹は爪を隠すだね」とTTクーペの走りを評価した九島さん。普段乗りに言い訳なしに使える洗練性が、女性ユーザーに評価されるのでは、とコメント。
自動車ジャーナリスト 九島 辰也
●男性ファッション誌副編集長を経験するなど、ファッションにも造詣が深い自動車ジャーナリスト。プライベートでは、各国のクルマを乗り継ぐ。
ポジショニング 8点
乗り換え候補として、「その手があったか!」と思わせてくれるのがTTクーペ。ライバルに比べると自己主張しないタイプだから、本命としてつねに頭のなかにあるクルマではないけど、よく考えたら、サイズ、性能、デザインそれぞれが高レベル。ボディサイズが都市部での普段使いにもちょうどいいから、さらっとセカンドカー的に使いたい。
装備 8点
必要なものはすべて揃ってるし、室内全体のクオリティが高いから満足度は高いだろう。ステアリングにパドルシフトもある。5年落ちのクルマなのに全体がカッチリした印象なのは、品質の高さの証拠。ドアひとつとっても、作りがしっかりしていて、女性にはちょっと重く感じるかもしれないほど。でも、その分ドアを閉めたときの音はまるで高級セダンだ。
走り 8点
スポーツカーといっても乗り心地が硬かったり、跳ねたりすることはなくて、アウディのセダンにも通じる上質さが印象的。だけど、ワインディングに持ち込んで攻めてみると、コーナリング能力も高くて、けっこうスポーティな走りを見せてくれる。今回試乗したクルマはかなり走ってたけど、まだしっかりしてた。そこにもアウディのクオリティを感じる。
GooWORLD編集部
初代のデザインに衝撃を受け、いつか乗ってみたいなと思っていたTTクーペも気がつけば3代目。価格と内容のバランスを考えたら2代目はまさにベストバイ。
ポジショニング 9点
初代TTクーペは、その高いデザイン性によって自動車専門誌だけでなく、ファッション誌にもこぞって取り上げられました。そして2代目は、エポックメイキングだった初代のモデルチェンジ版として、非常に力を入れて開発されたことが伝わってくる、完成度の高さが魅力です。物件数が少なく、人気も高いため中古車相場は高めですが、きっと満足できるはず。
装備 9点
必要な装備がひととおり揃っているのは、プレミアムブランドのクルマならでは。アウディはクオリティが高いというイメージがありますが、2016年の水準で見ても高級感のある内外装には所有欲がくすぐられます。よりスポーティなルックスがお好みの方は「Sライン」がオススメ。なお、2012年モデルからは、SDナビも標準となっています。
走り 9点
パワフルな2Lターボエンジンとデュアルクラッチ式トランスミッションによって、どこまでもスムーズに加速が続き、コーナーもなに食わぬ顔でクリアしてしまう高性能車。さらなる性能を求めるなら上級モデルの「3.2クワトロ」または「2.0TFSIクワトロ」ですが、FFでも速さは十分。「TTRS」はパワーも価格も2倍なので、別モノと考えてください。
アウディ TTクーペ DETAIL CHECK

2011年 アウディ TTクーペ 2.0TFSI(6速AT・Sトロニック)
全長×全幅×全高 | 4190×1840×1390mm |
---|---|
ホイールベース | 2465mm |
車両重量 | 1340kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1984cc |
最高出力 | 211ps/4300-6000rpm |
最大トルク | 35.7kg m/1600-4200rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/4リンク |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ディスク |
中古車参考価格帯
170万円~370万円(2006年~2015年 ※TT RSクーペを除く) |
モデル主要変遷(アウディ TTクーペ)
2006.07 | フルモデルチェンジ |
---|---|
2007.08 | 一部改良 |
2008.09 | 「TTSクーペ」を追加 |
2009.08 | 一部改良 |
2010.09 | マイナーチェンジ |
2011.07 | 一部改良 ←今回の中古車 |
2012.01 | 「1.8TFSI」を設定 |
2014.04 | 価格改定 |
※ナンバープレートはハメ込み合成です。