車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.19 / 掲載日:2016.08.25

【気になる中古車試乗判定】メルセデス・ベンツ Aクラス

メルセデス・ベンツ Aクラス

2013年式 MERCEDES-BENZ A-CLASS

一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション!果たしてその結果は!?

文●竹岡圭、九島辰也、GooWORLD 写真●GooWORLD

今月の中古車は メルセデス・ベンツ Aクラス

  • クオリティが高くデザインも スタイリッシュに進化

    メルセデス・ベンツ Aクラス コックピット

  • クオリティが高くデザインも スタイリッシュに進化

     ナッパレザー仕上げのパドルシフト付きステアリングやクルーズコントロール、オートライトなど標準装備が充実。室内の質感も高く、プレミアムブランドのクルマであることを実感する。シフト操作を行うレバーがハンドル周辺にあるため、センターコンソールがすっきりとしている。

  • 充実した安全装備 とくに前席は快適性も高い

    メルセデス・ベンツ Aクラス 内装

  • 充実した安全装備 とくに前席は快適性も高い

     ハイバックタイプのシートは、レザーとクロスのコンビで質感も高い。また、A180スポーツでは運転席はフル電動調整と電動ランバーサポート、シートヒーターが標準装備。後席は2対1の分割可倒式で、長尺物にも対応。ラゲッジ容量は通常時が341Lで最大で1157Lまで拡大する。

  • パワー感はいまひとつだが 燃費に優れるエンジン

    メルセデス・ベンツ Aクラス エンジン

  • パワー感はいまひとつだが 燃費に優れるエンジン

     メイングレードとなる「A180」系に搭載されるのは1.6L直4DOHCターボエンジン。直噴テクノロジーとアイドリングストップ機能によって最高出力122馬力、最大トルク20.3kgmを発揮しながら、15.9km/L(JC08モード)という燃費性能を両立している。トランスミッションは7速DCT。

  • パッケージオプションにより 装備の充実度は異なる

    メルセデス・ベンツ Aクラス 液晶ディスプレイ・レーダーセーフティパッケージ

  • パッケージオプションにより 装備の充実度は異なる

     液晶ディスプレイにナビやオーディオ、車両情報などを表示するCOMANDシステムを標準装備する。ナビは販売店オプションであるため、中古車購入時は要確認。2015年のマイナーチェンジで、いわゆる自動ブレーキが含まれるレーダーセーフティパッケージがオプションとして登場した。

メルセデス・ベンツ Aクラス 試乗判定レビュー

自動車ジャーナリスト(竹岡 圭・九島辰也)

  • 自動車ジャーナリスト(竹岡 圭・九島辰也)

    シートの調整範囲が広く、ドライビングポジションが小柄な女性でもしっかりととれると評価する竹岡さん。九島さんは室内のクオリティ感を確認して満足のご様子です。

  • 自動車ジャーナリスト(竹岡 圭・九島辰也)

スタイリッシュな姿に生まれ変わった3代目

編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回はメルセデス・ベンツの最小コンパクトカー、Aクラスの登場です。お借りした車両は個人所有のもので、2013年式、グレードは「A180」、走行距離は3.6万kmとなります。現行型のAクラスが登場したのは2012年11月ですから、ほぼデビュー年ですね。

竹岡●現行型になって、それまでのおにぎりみたいなスタイルから一気にスポーティに変わったよね。

九島●初代と2代目のAクラスは、電気自動車を作ろうとしてサンドイッチ構造のボディとあのスタイルを採用したんだけど、現行型はその呪縛から解放されたんだ。

編集部●ちなみに、エクステリアのデザイナーはSLS AMGを手がけたマーク・フェザーストーンで、室内のジェット機のエンジンのようなエアコン噴き出し口の造形にもその面影を感じることができます。

竹岡●より多くのひとに受け入れられるデザインにしたわけね。

九島●メルセデスは日本に輸入されているモデルだけを見ているとわかりにくいけど、本当に全方位をカバーしているブランドなんだ。たとえば、Sクラスにはセダンのほかにクーペとカブリオレがあるけど、7シリーズにはないでしょ。

竹岡●たしかに、プレミアムブランドでメルセデスほどSUVをラインアップしているところはほかにない。余裕があるからできるのかな(笑)

自動車ジャーナリスト(竹岡 圭・九島辰也)

編集部●現行型Aクラスのプロフィールを簡単に紹介しますと、メイングレードが1.6Lターボの「A180」系、2Lターボの「A250」系、そしてハイエンドとしてAMGモデルの「A45」となります。ベーシックモデルが300万円を切ったことでも話題になりました。

竹岡●買いやすい価格だしカッコいいから、これまで国産車しか乗らなかったひとも興味出たんじゃない?

編集部●そして2015年11月にマイナーチェンジを受け、ルックスがさらに洗練されたことに加え、安全・快適装備が最新のレベルに引き上げられました。とくに、自動ブレーキや渋滞追従機能を備える高度なクルーズコントロールなどをパッケージ化した「レーダーセーフティパッケージ」は、オプションですがあると嬉しい装備ですね。「A250」、「A45」については、エンジンとサスにも改良が加わっています。

竹岡●このクルマ、シートがちょっといい感じだよ。カッコいい。

九島●ほんとだ。

竹岡●ちょっと乗ってみていい?(シート位置を調整してドライビングポジションを確認)座面の前が下げられるから、小柄な私でもちゃんとドライビングポジションが取れる。あ、これオートエアコンじゃないんだぁ。ちょっと残念(笑)

九島●シート自体も肉厚でしっかりと身体を支えてくれるし、安心感があるね。小さいクルマっていうことで女性向けって紹介されがちだけど、コーディネートによっては男性が乗ってもカッコいいと思うよ。

竹岡●せっかくだから、このまま試乗に行っていい?

九島●Aクラスに乗るのはひさしぶりだから楽しみだね。


編集部●試乗された感想はいかがでしたか?

九島●走り出してすぐに思ったのが、“メルセデス”という横軸でのセッティングがうまいなということ。ステアリングの手ごたえなんかにEクラスやSクラスに通じる重厚感がしっかりとあって、細かい気になるところはあるけど、いい速度域を使って走るとピタッと安定する。

竹岡●街中よりも、ちょっと高い速度で走ってるときが気持ちよかった。それと印象的だったのが、コーナーでステアリングを切ると、あるところでサッと向きを変えようとして「俺、曲がるのだって得意だぜ!」ってアピールしてくる(笑)

九島●最近のメルセデスはそれをやりたがってるね。

竹岡●ステアリングは街中でちょっと重さを感じるけど、高速ではそのしっかり感がいいと思うし。エントリークラスのクルマだけど、クルマに守られてる感覚があって安心して乗れるのはやっぱりメルセデス。あとは価格だね。

編集部●100万円台の後半から200万円後半が中古車的にはボリュームゾーンになってます。

九島●新車と比べたら諸経費コミで100万円以上安く乗れる。この価格帯での100万円は大きいよ。あんまりガシガシ使われるクルマじゃないでしょ? いいんじゃないかな。

竹岡●国産のちょっといいクルマを買おうとしていたひとなら、十分ターゲットに入るね。初期型はいろいろと手探りなところもあったけど、マイナーチェンジでずいぶんよくなったし。ブランドと安心感を考えたら十分アリ。安全装備もしっかりしているからオススメ!

Aクラス レビュー評価

メルセデス・ベンツ Aクラス

  • メルセデス・ベンツ Aクラス

  • 白い文字盤にカーボン調のデザインが組み合わされたメーターはスポーティ。中央には液晶が。

人気自動車ジャーナリスト(と編集スタッフ)によるメルセデス・ベンツ Aクラス レビュー評価をまとめます。

※各項目に対して10点満点評価。

自動車ジャーナリスト 竹岡 圭のコメント

自動車ジャーナリスト 竹岡 圭

勇ましい排気音としっかりしたシャシーの割にパワーがちょっと物足りないため、予算に余裕があればよりパワーのある「A250」系をオススメとのことです。

自動車ジャーナリスト 竹岡 圭
●人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2016-2017 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

ポジショニング 10点

 前のおにぎりみたいな形状から、ガラリと変わったAクラス。メルセデスベンツのエントリーモデルとして、以前より幅広い層の方が選びやすくなりましたよね。老若男女、とくに若い子が乗ったとしてもイヤミがなくてサマになるし、ユーティリティ的にも大体のことはカバーできる感じになっているのが、メルセデス・ベンツらしいなぁ~と思わせられます。

装備 8点

 今回はスポーツシートが装着されていて、さらにそのシートの調整が手動式だったんですが、座面の前側だけを下げられたりと細かい配慮が行き届いていたおかげで、私でもポジションバッチリだったんです!こういう心遣いがやっぱりメルセデス・ベンツらしいなぁ~と、思わせてくれるところなんですよね。でもエアコンはやっぱりオートがいいなぁ。

走り 7点

 登場当初から思っていたんですが・・・。このエンジンとトランスミッションとのマッチングがもうひとつ!なんですよね。その後の年次変更で、だいぶ改良されましたが、初期の頃のモデルは出足のダイレクト感が薄いんです。なのに変速ショックもある程度あったりするから、オイオイ!な印象なんですよ。シャシー性能はいいんですけどね~。

自動車ジャーナリスト 九島 辰也のコメント

自動車ジャーナリスト 九島 辰也

「これを普段乗っていると、自宅ガレージにはSクラスがあると思われそうじゃない」と冗談半分に話す九島さん。そう、ひとからどう見られるかも大切な要素。

自動車ジャーナリスト 九島 辰也
●男性ファッション誌副編集長を経験するなど、ファッションにも造詣が深い自動車ジャーナリスト。プライベートでは、各国のクルマを乗り継ぐ。

ポジショニング 10点

 輸入車エントリーモデルのイメージもあるが、それだけでなく、いろいろな輸入車を乗り継いだ人のダウンサイジングカーとしても十分耐えられるクオリティを持っている。小さいから初心者といったものではない。デザインから質感までメルセデス然としたつくり込みはさすがで、オトナの男性が所有しても説得力のある内容といえそうだ。

装備 8点

 装備内容はグレードによって異なるだけでなく、年式でも変わってくる。また日本のマーケットを鑑みた日本オリジナル装備もあるので、細かく内容を見ることが重要だ。このクルマに関してはシートのデザインと座った感じがすばらしかった。クラスを超えた装備ともいえる。“スポーツ”的。ただ、前後調整などは手動。このシートなら電動式がいい。

走り 8点

 小さくてもメルセデスらしいフィールは健在。少し重めのステアリングはその象徴で、走り出すとピタッと安定し、高速域では頼もしくもある。また、コーナーでの操舵感があり、左右に切るのが楽しくなる仕上がり。中速域でクルッと回る感じいい。乗り心地は若干硬めで路面によってはピッチングが気になるが、それも許容できる範囲だろう。

GooWORLD編集部

ホワイトやブラックの物件が目立ちますが、ブルーやレッドといった色味のあるクルマも選べるので、ボディカラーにこだわってみるのも楽しい1台です。

ポジショニング 10点

 コンパクトで価格も比較的手頃なのに、安全性や品質感はしっかりメルセデス・クオリティ。スポーティに生まれ変わったルックスもわかりやすくカッコいいため、男性、女性そして年齢問わず似合いそうなクルマです。まるでスポーツカーのようなフォルムですが、中身は使いやすい5ドアハッチバックなので実用的。そのあたりはさすが老舗ブランドですね。

装備 8点

 基本的な装備やクオリティは高いレベルにあるものの、スタートプライスを300万円以下にするために、エントリーグレードは質素な雰囲気。また、液晶モニターは全車標準装備なのに、カーナビは販売店オプションだったりします。さまざまな装備がパッケージオプションなので、中古車を選ぶ際には物件の装備内容をしっかりと確認したいところ。

走り 10点

 ラインアップの頂点にAMGモデルが用意されていることからもわかるとおり、シャシー性能のポテンシャルは高次元。それだけに1.6Lターボモデルは、エンジンに物足りなさを覚える一面も。そこで気になるのが2Lターボモデルですが、こちらは中古車物件が非常に少なく、価格も高め。しかし、装備面での充実も考えると予算のあるひとは一考の価値あり。

メルセデス・ベンツ Aクラス DETAIL CHECK

メルセデス・ベンツ Aクラス

2013年式メルセデス・ベンツ A180(7速AT・7G-DCT)

全長×全幅×全高4290×1780×1435mm
ホイールベース2700mm
車両重量1430kg
エンジン直4DOHCターボ
総排気量1595cc
最高出力122ps/5000rpm
最大トルク20.4kg m/1250-4000rpm
サスペンション前/後ストラット/マルチリンク
ブレーキ前/後Vディスク/ディスク

中古車参考価格帯

180万円~320万円(2013年~2016年※A45 AMGを除く)

モデル主要変遷

2012.11Aクラスをフルモデルチェンジ
2013.01「A250シュポルト」を追加
2013.07「A45 AMG 4マチック」を追加 ←今回の中古車
2014.04「A250 シュポルト4マチック」を追加
2014.12価格改定
2015.04価格改定
2015.11マイナーチェンジ
2016.06価格改定

※ナンバープレートはハメ込み合成です。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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