車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.08 / 掲載日:2015.09.30
【気になる中古車試乗判定】ポルシェ ボクスター

2006年ポルシェ ボクスター(type987)
GooWORLDの掲載物件のなかでも、とくに人気の高い中古車をモータージャーナリストとともに試乗チェック!注目モデルは本当にお買い得なのか!?リアルなレポートをお届けしたいと思います!
文●森野恭行、竹岡圭、GooWORLD 写真●GooWORLD
今月の中古車は ポルシェ ボクスター
ボクスターは数あるポルシェのなかでも人気の高い1台。とくに今回の先代ボクスター(タイプ987)は、価格もこなれていて、現在市場での動きも活発。とくにMTモデルは今後も値下がりしにくいモデルと言われている。
シンプルでありながら質感についても合格点
シンプルでありながら質感についても合格点
機能的デザインを特徴とするコクピットは、いかにもピュアスポーツらしいムード。初代の986型と比べると、質感の向上を図り、格納式ドリンクホルダーなどの便利装備を充実させたのが注目点だ。メーターは3眼式。ダッシュ中央のメーターは、オプションのスポーツクロノパッケージのものだ。
多くのドライバーが適切なドラポジを設定できる
多くのドライバーが適切なドラポジを設定できる
ヒップポイント設定は低いが、シートやステアリングの調整機構を充実させて、さまざまな体格の人に適切なドラポジを提供できるように設計されている。フロントスクリーンの傾斜は適度なもので、オープン時には大きな開放感が得られる。左右シートの後方には、強固なロールバーを装備する。
走行中でも操作できて耐候性も十分の幌
走行中でも操作できて耐候性も十分の幌
ソフトトップはもちろん電動式。フロントのロック解除は手動だが、開閉操作はスイッチひとつで、約12秒で完了する。50km/h以下なら操作可能という点が便利だ。ドイツ車らしく幌の建て付けはしっかり。耐候性にも優れる。リヤスクリーンは当然、熱線入りガラスで、良好な視界をキープする。
長尺物さえなければバカンスも楽に行ける収納
長尺物さえなければバカンスも楽に行ける収納
ボクスターの意外な才能は収納性。フロントに約150L(深さが魅力)、リヤに約130Lのラゲッジを備えるため、2人でバカンスに出かけることも可能だ。でも、長尺物は苦手で、ゴルフのキャディバッグは助手席に積むことになる。ゴルフ好きがハッチバック採用のケイマンを選ぶ理由はそこにある。
ポルシェ ボクスター 試乗判定レビュー

編集部●中古車市場で人気のモデルを、なんと実際に試乗チェックしちゃいましょう!という新企画。記念すべき第1回目は、ポルシェボクスターをご用意いたしました!
森野●2006年モデルというと、先代の987型初期にあたるモデルだね。でもって、これは・・・素の2.7Lモデルにオプションを加えた6速MT仕様というわけだ。
竹岡●とても9年落ちとは思えないほどキレイ!走行距離も2万3000kmと、まだまだこれからって感じですね!
編集部●今回はオーナー車両を借りてきたのですが、過去すべてディーラーで整備を受けてきた個体で、この5月に車検を継続したばかり。19インチの高いタイヤ(N指定)も交換後4000kmとのことでした。
さすがポルシェ 中古車でもしっかり走る
森野●ポルシェにかぎらない話だけど、中古車のチェックポイントは、やはり過去の整備履歴。その点、この個体はかなりの優等生だね。
竹岡●ポルシェは中古車市場でも筆頭の人気銘柄でしょう。市場全体からすると、お買い得なのかしら?
編集部●2006年モデルに限定すると200万~335万円。当時の新車価格572万~737万円からすると、お買い得感は感じにくいかもしれません。
森野●新車時にさらに高い911は、中古車になってそれなりの値頃感があるかもしれないけど(グレードにもによる)、元々が買いやすいボスクターの場合は、判断が難しいよね。
竹岡●相場形成にそのモデルの人気が表れているってことよね。つまり、ボクスターは人気が高いと。
編集部●そう判断して間違いないと思います。この個体のようなMT仕様は、今後ますます下がりにくいとも聞きます。
森野●さっそく乗ってみよう。圭さんからどうぞ!

竹岡●まずしっかりドライビングポジションがとれるのがいい。身長161cmの私でも、ステアリングのチルト&テレスコ機能とシートのリフターのおかげでバッチリ決まる。
森野●ポルシェは年々、快適になってるからね。
竹岡●ちょっと拍子抜けするくらいに乗りやすい~!さすがに現行モデルにはかなわないけど、十分以上に快適。シフトも小気味よく決まるし、エンジンの吹け上がりもポルシェらしく密度感ありますね。ポルシェ風味が存分に味わえます。大きすぎず小さすぎない・・・このサイズ感にも、好感が持てますよ。
編集部●オーナーさんが、19インチの乗り心地を気にしていました。
竹岡●タイヤが新しいこともあると思うけど、私は嫌な感じはしないかな。サイズは見た目のカッコよさとバランスさせると、難しい選択よね。
森野●17、18、19の3種類が選べたんだけど、中古車の場合は履き替える場合はホイールとタイヤを合わせるとかなりの出費になるからね。
竹岡●続いて森野さん試乗どうぞ。
森野●やっぱりこのボディの剛性感がポルシェだよね。これまた現行モデルにはかなわないけど、とてもしっかりしてる。(ここで幌を閉める)幌も開閉タイムの短さがいい。約12秒だから信号待ちでササッとできちゃう。ちなみに時速50km以下でも開閉できるんだよ。
すばり、300万円以下のボクスターはあり!

竹岡●そういうスマートなところは女子ウケにもいいですよね(笑)。
森野●うーむ、かなりいいね。こと走りの機能に関しては、全般的にヤレがほとんど感じられない。個体のコンディションのよさもあるけど、さすがポルシェだなって思わせるね。逆に内装でエアコンとオーディオ部分の操作部の塗装がベタベタになっているところが唯一気になるところ。
編集部●オーナーさんは車庫保管とのことなのですが、それでもこうなっちゃうんですね。
森野●この時代のプロテイン塗装は弱いんだよね。この部分だけ手直しできるから、購入したらこういうところはきっちり直したいね。
竹岡●今回試乗して、私自身いい勉強になりました。多少年式古くても、ポルシェはイケるぞって(笑)発見がありました。
森野●相場的には決して安くはないかもしれないけど、それでも買うひとがいるからこの価格帯が形成されているわけだし、新車だと最低限のオプションでオーダーしても650万円は下らない。そう考えると、300万円以下のボクスターはありだと思う。俺も改めて触れて見直したよ。
編集部●この個体以前の2005年モデルでは200万円を切る個体もあります。逆に2007年以降だと285万以上という感じです。最終モデルでは500万円を超える物件もあります。
竹岡●そう考えると、中古車選びって本当に奥が深く、難しいですね。
森野●いや本当に(笑)。
ボクスターレビュー評価

人気自動車ジャーナリスト(と編集スタッフ)によるポルシェ ボクスターレビュー評価をまとめます。
※各項目に対して10点満点評価。
自動車ジャーナリスト 森野 恭行のコメント

値頃感が出てきた987ボクスターはスポーツカーの優良物件。求めるのが爽快なオープンエアクルーズなら、性能は「S」ではなく「素」のモデルで十分。
自動車ジャーナリスト 森野恭行
●関東版創刊時より健筆をふるう自動車ジャーナリスト。ポルシェはタイプ964の911を新車から23年所有するなど大好物。試乗中も常時ハイテンション!
ポジショニング 9点
ポルシェの入門モデルの位置づけだが、ボクスターはけっして「911への通過点」ではない。光るのは、ミッドシップならではのシャープな身のこなしと、オープンエアがもたらす爽快感だ。987は後期型でDF(I直噴)とPDK(DCT)を導入したが、メカのこなれ度をみれば・・・986から継承する第一世代水冷フラット6を積む前期型に軍配が上がる。
装備 8点
豪華さや安楽さに重きを置く人は、そもそも「ボクスターを買おう」なんて考えないはず。オプション装備のない「素」の仕様でも、不満を抱くことはないだろう。ちなみに、今回の試乗車はスポーツパッケージ付きの19インチ装着車。パフォーマンスは一級で、ルックスもイケているが、距離が進んで交換、補修となると費用が高くつく。
走り 9点
スポーツカーのわかりやすい魅力は速さ。ゆえに3.2Lの「S」の支持者も多いが、987ボクスターには軽快な吹け上がり感とサウンドを特色とする2.7L(後期型は2.9L)の心臓がピッタリ。5速ティプトロニックS(後期型はPDK)とのコンビでも、ポルシェの名に恥じない速さと刺激を味わわせてくれる。ハンドリングも一級だ。
自動車ジャーナリスト 竹岡 圭のコメント

価格を考慮すると、987ボクスターは大いにあり!男子的には「男ポイント」もかなり上がると思います。911よりカジュアルな点も魅力だと思います。
自動車ジャーナリスト 竹岡 圭
●人気TV番組「おぎやはぎの愛車編歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2015-2016日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
ポジショニング 9点
現行ボクスター。正直言ってカッコイイし、乗りやすいと思います!でもだんだんと、いわゆるポルシェ風味というのものが、マイルドに中和されてきている気もするんですよね。プロダクトとしては正しい方向だし、毎日乗ることを考えたら、より普段使いしやすくなってはいるんですが、この味の方が好きっていう人も多いのでは?
装備 7点
やっぱり時代の流れと言いますか・・・、デザインに新鮮味はないですよね。こういうシンプルなのがイイんだよっていう、ストイックさもわかりますが、個人的にはちょっと素っ気なく感じちゃいますね。装備内容的にはシートリフターもきちんと装備されていて、身長161cmの私でもきちんと前が見えるから、安心して乗れたのは高ポイント。
走り 9点
「ちゃんとポルシェじゃん!」と、目からウロコものの走り味にビックリ!正直言っちゃうと、このイヤーモデルが出たころ試乗したときには、もう少しガサツなイメージを持っていたんです。でも、今回改めて試乗してみたら、しっかりポルシェの味わいが伝わってきたんですよね。現行モデルほどの乗りやすさはないけれど、街乗りもOKです!
GooWORLD編集部
GooWORLD.jpでの掲載物件は常時100台前後と、けっして数は多くありませんが、新車時オーナーのこだわりが反映された物件が多数。見ていて楽しい。
ポジショニング 10点
初代986ボクスターは最終モデルでも11年落ち。そう考えると、先代987ボクスターは価格と程度がバランスされた、いわゆる中古車での注目物件と言えるでしょう。市場での動きが活発というのも頷けます。購入は専門店でも、ディーラー系でも、しっかり整備管理されていた個体をじっくり探したいものです。思わぬ満足感を提供してくれること間違いなし!
装備 9点
快適装備は十分。ナビこそ未装着なものの、これはインパネまわりの美観とも関わるところなので、購入後に自分流にアレンジを加えればOK!また、電動オープンは開閉時間約12秒と、まったくのストレスフリー。状況に応じて何度も開け閉めしたくなるほど便利。本文にも記していますが、内装の一部にベタベタが発生しているため、そこはリペアしたい。
走り 9点
987ボクスターは、MTも5速と6速(素のモデルにオプション。ボクスターSは標準)がありました。ATは前期モデルがティプトロニック、後期モデルはPDKとなっています。走りはそれぞれに味があり、編集部で甲乙つけることは難しい!今回は素のボクスターにPASMとセットオプションだった6速MTが装着されていましたが、この仕様は市場でも人気。
ポルシェ ボクスター DETAIL CHECK

06年 ポルシェ ボクスター(5速MT)
全長×全幅×全高 | 4330×1800×1295mm |
---|---|
ホイールベース | 2415mm |
車両重量 | 1360kg |
エンジン | 水平対向6DOHC |
総排気量 | 2687cc |
最高出力 | 240ps/6400rpm |
最大トルク | 24.5kg m/4700-6000rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/ストラット |
ブレーキ前後 | Vディスク |
中古車参考価格帯
200万円~550万円(2005年~2011年スパイダーをのぞく) |
モデル主要変遷
2004.11 | 2代目ボクスターを発表 |
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2005.08 | 06年モデルを発表 ←今回の認定中古車 |
2006.08 | 07年モデルを発表 |
2007.08 | 08年モデルを発表 |
2008.11 | 09年モデルを発表(マイナーチェンジ) |
2009.07 | 10年モデルを発表 |
2009.11 | ボクスタースパイダーを発表 |
2010.07 | 11年モデルを発表 |