車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2015.03.12 / 掲載日:2010.06.24
【徹底紹介】フィアット 500
フィアット 500×照英
この小さなクルマは人々の暮らしを楽しく、自由にする

写真●内藤敬仁 ヘアメイク●平元敬一(BRAVO BRAVA) スタイリスト●笹岡京美 衣装協力●オンワード樫山 TEL:03-5476-5811
小粒にして小粋、そんなフィアット500は日本でも人気上昇中。
オープンの500Cやアバルトも登場したことで注目度がさらに高まっている
見るものを虜にするイタリアンスモール
フィアット500が復活したとき、「柳の下にどじょうは何匹もいるだろうか!?」と、少しいじわるな見方をした人もいるはず。だれが見てもニュービートルやMINIの後追いで、戦略やコンセプトの新鮮さは乏しかった。しかし・・・フィアットの目論見は大当たり!MINIを追走し、瞬く間におしゃれなスモールカーを代表する存在に上りつめた。
成功のカギは、言うまでもなくデザインの力。ボディサイズはふたまわり以上大きくなったが、キュートな個性は原作のヌーヴォ500(チンクエチェント)そのままといった印象で、世界中のファンの目をハートマークにしてしまった。
日本で目立つのは若者や女性のファン。チンクエチェントの名は知らなくても、ルパン三世が乗っているクルマというだけで「大好き!」の反応が返ってくるのだから、アニメの影響も少なくはないだろう。
だが、もちろんデザインだけで支持されているわけではない。スモールカーとしての機能や性能も、満足のいくレベルに達している。ベースは現行パンダで、2300mmのホイールベースは共通。3545mmの全長や1515mmの全高も近似値だが、全幅(35mm)やトレッド(45mm)を拡大し、シャシーに改良を加えることで、操縦安定性や快適性のレベルアップを図っているのだ。08年欧州カー・オブ・ザ・イヤーに輝いたことが、高い実力を証明している。
写真●内藤敬仁 文●森野恭行、GooWORLD
お問い合せ●チャオ・フィアット Tel 0120-404-053
Detail

10年 フィアット 500 1.4 16V ラウンジ(5速AT・デュアロジック)
全長×全幅×全高 | 3545×1625×1515mm |
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ホイールベース | 2300mm |
トレッド前/後 | 1415/1410mm |
車両重量 | 1050kg |
エンジン | 直4DOHC |
総排気量 | 1368cc |
最高出力 | 100ps/6000rpm |
最大トルク | 13.4kg m/4250rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/トーションビーム |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ディスク |
タイヤサイズ前後 | 185/55R15 |
新車価格
500 1.2 8V ポップ(5速AT・デュアロジック) | 195万円 |
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500 1.2 8V ラウンジ(5速AT・デュアロジック) | 225万円 |
500 1.4 16V ポップ(5速AT・デュアロジック) | 222万円 |
500 1.4 16V スポーツ(5速AT・デュアロジック) | 243万円 |
500 1.4 16V ラウンジ(5速AT・デュアロジック) | 250万円 |
500C 1.2 8V ポップ(5速AT・デュアロジック) | 239万円 |
500C 1.4 16V ラウンジ(5速AT・デュアロジック) | 289万円 |
アバルト500(5速MT) | 295万円 |
HISTORY
2008.02 | 新型フィアット500が日本上陸 57年に登場した2代目のデザインを現代に蘇らせた新型500。メカニズムはオーソドックスなFFレイアウトを採用。当初導入されたのは1.2L(68馬力)の「ラウンジ」。 |
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2008.05 | 「1.4 16V ポップ」を設定 新グレード「1.4 16V ポップ」を設定。エンジンは使いやすさとパフォーマンスを備えた1.4L(100馬力)。内装は、シート座面とヘッドレスト色がツートンとなる。 |
2008.06 | 「1.4 16V ラウンジ」を設定 1.4Lエンジンを搭載し、快適装備を充実させた「1.4 16V ラウンジ」。アルミホイールのほか、フォグランプ、クローム外装、リヤプライバシーガラスなどを装備。 |
2008.10 | 「1.4 16V スポーツ」を設定 1.4Lエンジンにスポーティな内外装を奢った新グレード。シフトチェンジをステアリングのパドルで行えるのが最大の特徴。ホイールは専用の15インチが与えられる。 |
2009.01 | 「1.2 8V ポップ」を設定 シリーズ中、もっともベーシックな新グレードが加わった。電動パワステのアシスト量を増やす「シティモードスイッチ」、レザーステアリングなどが標準装備される。 |
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2009.04 | スポーツモデル、アバルト500がデビュー 新ブランドのアバルトから、500の高性能モデルが登場。外観はノーマルとは異なるアグレッシブなデザインに。135馬力の1.4Lターボに5速MTが組み合わされる。 |
2009.06 | オープンモデル、500Cが登場 ピラーを残し、ルーフの前端からリヤウインドウの位置までソフトトップを開くことができるオープンモデルが登場。リヤウインドウはガラス製で視認性も高い。 |
2009.09 | アバルト500に左ハンドルを設定 右ハンドル仕様のみの設定だったアバルト500に、こだわりのユーザー待望の左ハンドル仕様も選べるようになった。性能や価格は、右ハンドルと同じ。 |
毎日、おしゃれをして乗り込みたくなるファッション性と遊び心があふれる室内
やっぱりイタリアのファッションセンスは違う!どんな人をも納得させる魅力を、フィアット500のインテリアは備えている。モチーフのヌーヴォ500を彷彿とさせるレトロ調デザインをベースとしながら、要所に現代的なアイテムを盛り込み、質感高くまとめ上げたセンスには脱帽する。ボディ色パネルやメッキのあしらい方もうまい。
着座位置はやや高めで、外観から想像するより視界は開放的。ステアリングの前後調節はできないが、チルトステアやシートハイト調節をすれば、十分しっくりくるドラポジが得られる。
でも、後席の評価は分かれそう。180cmクラスのドライバーが乗ると、後ろに無理なく座れるのは165cm程度の人までだ。母体の現行パンダと比べると、やはり居住性は犠牲になっている。とはいえ、おしゃれでかわいいスタイルを見れば、文句は出ないのでは?ラゲッジも、日常生活のパートナーとして不満のない容量を確保している。
ちなみに、写真のモデルはラウンジ。ポップやスポーツは、シートファブリックが異なり、ブラックは内装も黒基調となる。

ライトは丸型。ヘッドライトの下にスモールランプ、その下にフォグ(ラウンジとスポーツに標準)を配置する。
1.2Lのポップは14インチ、そのほかのモデルは185/55R15を標準で履く。
後席は5対5分割可倒式。4人乗車で185L、左右後席を倒して550Lの容量は納得のレベル。
レトロ調のインパネとハイテク感漂うメーターの組み合わせがおもしろい。スピードメーターの内側にタコメーターを配置。
デュアロジックのシフトレバー。自動変速とシーケンシャルの基本2モードに対応する。
ラウンジに標準のガラスルーフ。明るいキャビンを演出してくれる。
充実のセーフティメカ&装備をベースグレードにも標準化
スモールカーに安全面の不安を抱く人もいるが、フィアット500はESPや前席ウインドウ&運転席ニーエアバッグを標準装備。ベースのパンダからの進化は明確だ。また、電子制御メカの充実度も高い。パワステは車速感応の電動式で、1.2Lには低速で軽い操舵力設定となるCITYモードを設定。そして1.4Lには、電制スロットル、デュアロジックと連携させてパワステ特性を可変制御するスポーツモードを設定する。状況にあわせ、走り味をスイッチで変えられるわけだ。
デュアロジックは5速オートメーテッドMT。1.2LにE(エコノミー)モード、1.4Lにスポーツモードを設定する。
現行パンダで熟成された前ストラット/後トーションビーム式サスを採用。1.4Lはフロントベンチレーテッドの4輪ディスクブレーキを採用する。
前席サイド、前席ウインドウ、運転席ニーを含む7つのエアバッグを搭載。挙動安定化メカのESPも全車標準だ。
スポーティな走りだって楽しめる1.4 16V

フィアット500がピタリとはまるのは、ショッピングや家族の送り迎えなどで、街中をアクティブに駆けまわるシーン。それをベースに考えれば、性能は1.2Lで満足できる。
Eモードの走りは正直かったるいが、ノーマルモードの加速はけっこう軽快。微速のギクシャク感や、シフトアップ時のつんのめり感が気になったデュアロジックも、500への搭載を前に洗練度が高められた。だから、69馬力/10・4kg mのスペックから想像するより、ずっとキビキビとした走りを提供してくれる。
でも、活発な走りや、高速走行の余裕も求めるなら、適応力が高いのは1.4Lだ。ノーマルモードでも能力は十分。さらにスポーツスイッチを押せば、エンジンの応答が鋭くなるとともに、デュアロジックも回転を引っ張り気味にした変速制御に変わり、スポーティと表現できる活気ある走りを楽しませてくれる。
そしてシャシー性能。電動パワステにはまだ人工的な感触が残るが、本質の操縦安定性の能力は高い。意外なのは高速走行の安心感で、ホイールベース2300mmのスモールカーとは思えない安定性を実現している。初期応答こそ穏やかだが、操舵の正確性は高く、ハンドリングも洗練されている。そう、チンクエチェントはかわいい顔に似合わず、優れた運動神経を持つクルマなのだ。
速度域にかかわらずピッチングは大きめだが、タイヤのあたりがマイルドなため、全体にやさしい乗り心地を提供してくれるのも見逃せないところ。静粛性も及第点以上だ。
BODY VARIATION
500C
コンバーチブルではなく電動キャンバストップを採用。でも、リヤウインドウ部分までスライド開閉する方式のため、ガラスルーフとはレベルの違う開放感を味わわせてくれる。快感度は抜群。
アバルト
元気印の1.4Lターボと5速MTのコンビ。ブースト圧がより高まるスポーツモードでは刺激的な加速が楽しめ、好き者を虜にする。小さく、軽いボディが生むキビキビした操縦性も光る才能だ。
程度良好の中古車が揃う新型500
歴史的名車のリバイバルデザインということもあり、日本でも高い人気を誇る新型500。ゆえに中古車の物件も豊富で、デビューからさほど時間が経ってない現在でも、中古車探しは容易だ。気になる価格だが、平均価格は200万円前後。やや高く感じるかもしれないが、低走行物件が大半の真新しい車両が多いので、「ユーズド」ということが気にならなければ、新車を買うよりもリーズナブル。
またグレードやカラーが豊富なのも特徴である。エンジンは1.2L、1.4Lとも同程度存在し、グレードも「ポップ」や「ラウンジ」が多い。ちなみに高性能版のアバルトは、数がかぎられていて、まだ価格も高め。また、数々の限定車がリリースされているが、これらは高めのプライスが掲げられることが多い。中古車を選ぶポイントは、メカニズムの差は大きくないので、カラーや装備などを主軸に置くとよい。
トータルバランスで選べば1.4 16Vが最右翼
往年のチンクエチェントの熱狂的ファンは、心臓と駆動輪が後ろから前に移った事実だけで「後継車として認めない」と突っぱねるかも。しかし、21世紀のフィアット500は、クルマ好きなら納得の魅力を持つ。スタイル、質感、走りのバランスは、スモールクラスのトップレベルにある。
まずは心臓選びだが、ドライブや旅行を含めて幅広く使いたいなら1.4Lがお薦め。だが、街乗り中心なら1.2Lで不満はない。ポップ、ラウンジ、スポーツのグレード選びに関しては、「好きなのを選んで」が唯一の回答。カラーや装備にまでとことんこだわってほしい。500Cはなにより個性と開放感にこだわる人向き。ボディ剛性が落ちているため、操安性や乗り心地が少しスポイルされているのと、後方視界に難があるのが気になる点。最後はアバルト。とんがったものを愛する好き者なら虜になるはず。

マーケットデータ
グレード
1.4 | 54% |
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1.2 | 46% |
エンジンは1.2Lと1.4L、仕様はベーシックな「ポップ」、装備充実の「ラウンジ」、スポーティな「スポーツ」と、多くのグレードが存在する500。エンジンは1.4Lのほうがやや多め。仕様は「ポップ」と「ラウンジ」がほとんどを占め、「スポーツ」は少ない。
ボディカラー
ブルー | 42% |
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ホワイト | 31% |
レッド | 14% |
ブラック | 10% |
その他 | 3% |
とにかく豊富なボディカラーがウリのフィアット500。カタログカラー以外にも、限定車のピンクやイエローなどレアカラーも存在する。とくに多いのがブルー系。淡いブルーとダークブルーどちらも多い。ホワイトも定番のカラーで、豊富に存在する。
年式
2009年 | 46% |
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2008年 | 35% |
2010年 | 19% |
デビューからまだ時間が経っていないが、中古車の数は比較的多い。年式は、デビューイヤーの2008年よりも、ラインアップが揃ってきた2009年のほうが多い。また2010年のモデルも2割ほど存在する。年式による価格差はまだ大きくない。
走行距離
~5000km | 67% |
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5000km~1万km | 23% |
1万km~ | 10% |
中古車市場にある物件は、かなり程度がよいものが多い。5000km未満の物件が7割近くも存在。1万km未満でも9割と、ほとんどが低走行車となっている。全体の平均価格は200万円前後と、やや値落ち。しかし、限定車は高値がつけられている。