車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.10 / 掲載日:2012.08.23
【徹底紹介】ボルボ V70

ただ積めるだけでは足りない。どれだけ安全に、速く、快適に・・・そしてデザイン性も優れたエステート。そんな多才なモデルがV70である。登場から5年近くが経過し、いま中古車市場でも旬なV70を探ってみよう。
ボルボが贈るエステートのワールドスタンダードを知る

デザインや走り味を、どんどんスポーティでダイナミックな方向に変化させている近年のボルボ。S60/V60のヒットが示すように、大胆なチェンジを実践した新世代ボルボは、世界の市場で歓迎されている。しかしながら・・・長年のファンの中には、戸惑いを隠せない人もいるのでは!?
そこで注目したいのは、70年に迫る歴史を誇るエステートづくりのよき伝統を、今の時代に忠実に伝えるV70の存在だ。ちなみに、初代V70は850エステートのビッグマイナー版で、ボディサイズをひとまわり拡大してクラスアップを図った先代は2代目。07年に投入された現行型は、V70の第3世代にあたる。
自然吸気3.2Lと3Lターボがそろう直6ユニットを設定し、電動テールゲートや電制可変ダンパー採用のサス(FOUR-Cアクティブパフォーマンスシャシー)を新たに採用するなど、デビュー当初は高級路線を突き進んでいた印象が強いが、モデルを重ねるごとに方向を修正。

ダウンサイジングターボの思想で開発された4気筒ユニットを主力とする現行型は、上級ワゴンらしい豊かさを実感できるパッケージ、ボルボ本来の高度な安全性や安心感ある走りと、リーズナブルなプライスをバランスさせたモデルとなっている。
イメージがオーバーラップするのは、質実剛健なワゴンとして日本でも大人気を誇った240エステートや740&940エステートの姿だ。水平基調のベルトラインや切り立ったテールエンドは、全方向の広い視界や大容量ラゲッジを確保するための必然のカタチであり、ボルボエステート伝統のスタイルだといえる。
乗り手を急かさない性格、大らかな乗り味も特徴で、自然と乗員をリラックスへと導くボルボ伝統の魅力を、V70は全身から発散させている。
写真●佐藤亮太 文●森野恭行
お問い合わせ●ボルボ・フリーダイヤル
TEL:0120-55-8500
Detail
ボルボ V70 DRIVe(6速AT)
全長×全幅×全高 | 4825×1890×1545mm |
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ホイールベース | 2815mm |
トレッド前/後 | 1590/1585mm |
車両重量 | 1660kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1595cc |
最高出力 | 180ps/5700rpm |
最大トルク | 24.5kg m/1600~5000rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/マルチリンク |
ブレーキ前後 | ディスク |
タイヤサイズ前後 | 205/60R16 |
新車価格
V70 DRIVe(6速AT) | 449万円 |
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V70 T5 SE(6速AT) | 499万円 |
V70 T6 AWD TE(6速AT) | 699万円 |
HISTORY
2007.11 | 新型V70発売 7年ぶりにフルモデルチェンジされて3世代目となる。洗練されたデザインや充実の装備を誇る。ボディ構造やデバイスが進化することで、走りの質や安全性が大幅に高められる。 |
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2008.01 | グレード追加 5気筒ターボエンジンを搭載するベースグレードの2.5T LEと4駆の上級グレードの3.2SE AWDが追加される。488万円の2.5T LEにより、ベース価格はおよそ100万円下げられた。 |
2008.05 | 一部改良 全グレードで、メタリック・パールペイントが無料、ボルボ・サービス・パスポートが無償提供となる。2.5T LE、3.2SE、3.2SE AWDにフロント・ベンチレーションシートが標準装備に。 |
2009.01 | 2009年モデル発売 有害ガスを監視して車内への侵入を防ぐ「アクティブ・キャビン・フィルター」と本革シートが全グレード標準装備。「サヴィルグレーパール」と「ケイパーグリーンパール」の2色が追加。 |
2009.04 | 特別限定車 専用のスポーツサスペンションやアンチロールバー、18インチスポーツタイヤなどを装備するスポーティな特別限定車「2.5T R-DESIGN」が、50台の限定で販売される。 |
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2009.07 | 2010年モデル発売 低速での追突を回避するシティ・セーフティが全車に標準装備される。同時にHDDカーナビが無償提供(工賃は別途)となる。フロントグリルのデザインが変更される。 |
2009.09 | 特別限定車 4月に発売されたスポーティな限定車「R-DESIGN」が再び導入された。今回ベース車として、「2.5T」に加えて3Lターボを積むトップモデル「T6」も新導入。合計80台が販売された。 |
2010.07 | 2011年モデル発売 限定車「T6 R-DESIGN」が通常のラインアップとして設定された。また3L直6ターボが改良を受け、最高出力が304馬力にアップ。さらに室内の仕様や装備も一部見直された。 |
2011.02 | 一部改良 新開発の1.6L4気筒直噴ターボ「DRIVe」、2L4気筒直噴ターボ「T5 SE」の新エンジンが設定された。トランスミッションはデュアルクラッチ式6速ATが組み合わされる。 |
ゆったりとしたイメージと異なる細部へのこだわり

堂々としたボディの3サイズは4825×1890×1545mm。V60と比べ、195mm長く、45mmワイドで、65mm高い設定になっている。とくに余裕があるのはリヤオーバーハング。そこから生まれるゆとりは当然、広いキャビンと使いやすいラゲッジに活かされている。
荷室はV60の430~1241Lに対し575~1600L。3分割の後席の使い勝手も優秀で、ボルボらしい本物のエステートに仕上がっている。レザーシートはT5SEとT6AWD TEに標準で、DRIVe(ドライブ・イー)にはレザーパッケージとして設定。
そして2012年モデルの注目は、話題のシティセーフティ(低速用追突回避・軽減自動ブレーキシステム)とボルボセンサスの導入。ボルボセンサスは新しいドライバーインターフェイスで、インパネ中央に置いたモニターと、ステアリングおよびセンターパネルのコントローラーにより構成されている。安全に操作するという思想を具現化したものだ。
また、12セグのデジタルTVチューナーも標準装備され、新型リヤエンターテイメントシステムもオプションで用意。ドライブの楽しみの幅をさらに広げた点も見逃せない。
そして、ボルボがこだわる運転のしやすさ。ボディは大柄だが、最小回転半径は5.5m(AWDを除く)と意外なほど小さく、納得できる日常の取りまわし性を実現している。

2012年モデルでインパネをリニューアル。7インチモニターを埋め込み型として、視認性とデザイン性の向上を図った。大きなヘッドレストにも安全性重視の姿勢が表れる。後席は4対2対4分割で便利。
5人乗車でも575L(床下含む)の大容量。フラット&スクエアの使いやすい荷室形状にも注目。
長尺物を積む場合は中央部だけを可倒。
最大で1600Lの大容量を確保。後席ヘッドレストはインパネスイッチによる可倒もOK。
張り出したショルダー、大きなガラスエリアはボルボの伝統。
DRIVeは1.6L直噴ターボを搭載。
205/60R16を標準で履く。
ハイテク技術が可能にする進化したボルボのセーフティ
T6 AWD TEに標準、そのほかのモデルに「セーフティパッケージ」として設定されるのが、歩行者検知機能付き追突回避・軽減自動ブレーキシステムのヒューマンセーフティだ。作動は4km/h以上で、衝突の危険がある際には停止までの自動ブレーキを行う。35km/h以下では衝突を回避、それ以上の速度ではダメージを軽減させる。全車標準のシティセーフティと、それを発展させたヒューマンセーフティを導入することで、ボルボ自慢の安全性が飛躍的に高められたというわけだ。もちろん、パッシブセーフティも高度なもので、ハイレベルな衝突安全ボディと6つのエアバッグを採用。万が一の事態に備えている。
ドアミラーに内蔵されたカメラで斜め後方に迫る危険を感知して、注意喚起を行うのがBLIS(ブリス)。
ルームミラー前方に搭載したデジタルカメラは、フロントのレーダーセンサーとともにヒューマンセーフティを構成する電子の目だ。
目指すはスポーティさでなくゆとりのある快適な走り

V60に続いて投入されたDRIVeの心臓は4気筒の1.6L。大柄なボディを持つV70とは不釣り合いな印象が強いが、直噴ターボのおかげで180馬力/24.5kg mという余裕の性能を実現しているから心配はいらない。組み合わされるパワーシフトは流行のDCT(デュアルクラッチトランスミッション)で、半クラ制御を改善した最新型は微速のギクシャク感をほぼ克服。元気に走る際や、シーケンシャルシフト時の変速も、より速くスムーズになり、走りはグッと洗練されたものになった。
その完成度は、2.5LクラスのエンジンとトルコンATのコンビに迫るもの。加速は十分に力強く、高速走行時の静粛性も優秀だ。
そしてシャシー性能。ノーズが軽いDRIVeは、V70シリーズの中では軽快感のあるフットワークを特徴とする。だが、追求しているのはスポーティさではなく、ボルボエステートらしい安心感や、大柄なボディを活かした落ち着きのある乗り味が最大の魅力だ。それでいて、いざとなれば峠道でのハイペース走行も、さらりとこなす能力を秘めている。
走りへの期待値で選べるじっくり見比べたいラインアップ
231馬力の2.5L直5ターボを主力としていた時代もあったが、現在のV70は180馬力の4気筒1.6Lターボを積むDRIVe、240馬力の4気筒2Lターボを積むT5 SE、304馬力の6気筒3Lターボを積むT6 AWD TEのラインアップだ。お望みが良質なファミリーワゴンというのなら、性能はDRIVeで十分。コストバリューの面から見ても魅力ある存在だ。で、そこにゆとりや速さを加えたいのなら、かつての直5ターボと同等の性能を持つT5 SEがターゲットとなる。そして、パワフルかつ上質な走りが光るAWDのT6が気になるという場合は・・・。クロスオーバーテイストで仕上げた兄弟モデル、XC70との比較検討もマストといえる。
中古車市場データ
中古車市場データ
2007年末発売ということで台数は多く、また全年式とも豊富なので選びやすい。5気筒エンジンの2.5、6気筒の3.2もそれぞれ充実。ボディカラーはブラックとホワイトがかなり多い。