車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.01 / 掲載日:2013.10.24
【徹底紹介】BMW X3

走りも質感も一流の都会派クロスオーバー

クロスオーバーSUVの存在感は、プレミアムブランドにおいても増すばかり。そうしたトレンドをいち早くキャッチして、流れをリードしたのは・・・99年リリースのX5でこのジャンルに参入したBMWだ。
X5に続いたX3(04年)、X6(08年)、そしてX1(10年)は、いずれもクラスのトレンドセッターとなり、新たな需要を掘り起こした立役者。そして、「Xモデル」を積極的に投入することで、BMWはブランド力をより強固なものとした。
いまや、「Xモデル」を抜きにしてBMWは語れない・・・と言っても過言ではないほど。とくに、ファミリーユースにも適したDセグメントに属するX3の重要性は高い。
E83からF25と、X3が世代交代を行ったのは10年(日本市場は11年の投入)だが、大きな注目を集めたのは「エフィシェントダイナミクス」の理念に基づく環境性能の改善だ。その方向性は、「28i」のエンジン変更(3L直6から2L直4ターボにチェンジ)、エントリーモデルの「20i」の追加、クリーンディーゼルを積む「20d」の投入を経て、一段とクリアなものになった。
そんなF25型X3のメカ構成を見ると、現行型はすべて直噴+ターボの心臓を積み、ブレーキエネルギー回生システムやオート・スタート/ストップ、そして8速ATを採用している。なかでも「20d」の注目度は高く、日本においてもX3の価値をさらに高める決め手となった。
また、スポーティさを強化したルックスもF25の見どころで、E83と比べるとイメージはグッと都会的になり、洗練度も大幅にアップ。「BMWらしく変身した」と、好評を博している。一段とスポーティな装いが目を引く、Mスポーツパッケージ(写真は20d)の人気も高い。
文●森野恭行 写真●佐藤亮太
お問い合わせ●BMWカスタマー・インタラクション・センター TEL:0120-269-437
Detail
BMW X3 xDrive20dブルーパフォーマンス(8速AT)
全長×全幅×全高 | 4650×1880×1675mm |
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ホイールベース | 2810mm |
トレッド前/後 | 1615/1630mm |
エンジン | 直4DOHCターボディーゼル |
総排気量 | 1995cc |
最高出力 | 184ps/4000rpm |
最大トルク | 38.7kg m/1750-2750rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/5リンク |
タイヤサイズ前後 | 225/60R17 |
新車価格
X3 xDrive20i(8速AT) | 541万円 |
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X3 xDrive20dブルーパフォーマンス(8速AT) | 564万円 |
X3 xDrive28i(8速AT) | 599万円 |
X3 xDrive35i(8速AT) | 695万円 |
HISTORY
2011.03 | X3をフルモデルチェンジ よりモダンになったスタイルと、さらに磨きがかけられた走りの新型X3。環境性能を高めた3L直6(28i)と同ターボ(35i)の2モデルをラインアップ。8速ATを搭載したのも新しい。 |
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2011.05 | Mスポーツパッケージを設定 外観をスポーティに仕立てるMエアロダイナミクスパッケージ、19インチホイールのほか、スポーツサスペンションやスポーツシート、室内のアルミトリムなどが採用される。 |
2012.03 | xDrive20iを追加 エントリーグレード「20i」は、184馬力を発揮する新開発2L直4ターボエンジンを搭載。ほかのグレードと同様、HDDナビ、リヤビューカメラ、アダプティブヘッドライトなどを標準装備。 |
2012.05 | xDrive28iに新世代2Lターボを搭載 「28i」のエンジンが、3L直6を搭載から新世代2Lターボに変更された。245馬力という高出力を発揮しながら、13.6km/Lという低燃費(JC08モード)&低排出ガスを実現。 |
2012.09 | xDrive20dブルーパフォーマンスを追加 クリーンディーゼル「20d」が追加された。最高出力184馬力、最大トルク38.7kg mという力強い動力性能が自慢。それでいながら、18.6km/Lという低燃費(JC08モード)を実現する。 |
素材を見直して質感を大幅に向上させた現行型X3

2代目は全長を81mm、全幅を23mm拡大したが、スリーサイズはそれでも4650×1880×1675mm。ワイドな全幅には気を遣うが、全体としては日常ユースにも苦のないサイズ設定となっている。だからF25は「X5では大きすぎる」というユーザーの支持も集める。
キャビンに関してはE83時代から十分なスペースを有していたが、後席の足元空間と左右の乗員間隔をそれぞれ20mm拡大した現行型は、ゆとりが確実に向上。ラゲッジも広いため、家族や仲間とのレジャーユースにまできちんと対応してくれる。
そして、F25で大きく進化したのはクオリティ。マテリアルから見直すことで、インパネの質感は大きくレベルアップし、シートやドアトリムもより高級な仕立てとなった。なお、最上級の「35i」にはネバダレザーシートが標準(ほかのモデルはオプション)で装備される。
内装色はアンソラジット(ダークグレー)、ベージュ、ブラックが用意され、インテリアトリムとのコーディネートによりさまざまな演出が可能。写真はMスポーツパッケージで、ブラック基調のスポーティ仕立てとなっている。“Mロゴ”入りのスポーツレザーステアリングやドアシルプレート、ホールド性の高いスポーツシートなどのアイテムを標準採用し、スポーツ心を刺激するコクピットをつくりあげている。ちなみに、全モデルが「右ハンドル」の設定となる。
ブラックパネルテクノロジー採用の高質なメーター。
iDrive用ディスプレイは8.8インチワイド。HDDナビを標準装備する。
床下収納も便利なアイテムのひとつ。
ラゲッジ容量はE83比70L増の550L。40対20対40分割の後席を倒せば1600Lにまで拡大できる。またパーセルレールと収納ネットを併用すれば、荷物をフレキシブルに固定することが可能だ。
Mスポーツパッケージはランフラットのサマータイヤを装着。写真は18インチだが19インチの選択も可能だ。
均等な前後重量配分はSUVでも例外ではない
気持ちよさと安心感を高次元で両立させたフットワークの秘密は、50対50を基本とする均整の取れた前後重量配分と、高度に調教されたサス、そしてxDriveにある。ファンには言わずもがなだが、xDriveはリヤ寄りの駆動力配分を基本として、状況に応じて電制多板クラッチを制御することで、瞬時に最適な駆動力配分をする賢い駆動メカ。「Xモデル」ではすでに定評のあるものだ。多くのSUVの4駆メカは安定性重視の方向でしつけられているが、BMWが目指しているのはハンドリングとの高度なバランス。日常はBMWらしいスポーティなフットワークを楽しめ、いざぬかるみや雪道という場面では、4駆ならではの頼もしいトラクション性能をもたらすのだからごきげんだ。
xDriveはFRをベースとした高度な電制フルタイム4駆メカ。欧州ではsDriveに2WDも設定される。力感あふれる走りが体感できる。
全車8速AT。エコ・プロモード付きドライビング・パフォーマンス・コントロールの選択により、状況に応じた走りが引き出せる。
パワフルな走りが持ち味のディーゼル

荒削りな印象も残るE83に対して、走りの洗練度を大きく高めたのがF25の見どころ。操縦安定性はワンランク上のレベルに引き上げられ、セダンライクな走りに磨きが掛けられた。と同時に、乗り心地の快適度もアップしたのだから、満足度が一気に向上したと言っていい。
パワートレーンについては、どのユニットも魅力を備えているが、マッチングの面で頭ひとつ抜け出している印象なのはクリーンディーゼル。1750から2750の広い回転域で38.7kg mの図太いトルクを生む2L直4直噴ディーゼルターボは、どんな場面でも余裕たっぷりの走りを楽しませてくれるからだ。
ディーゼル特有のカラカラ音が耳につくのはアイドリングや低速の加速時のみで、クルージングの静粛性は優秀だから、失うものは極めて小さい。4気筒ディーゼルとは思えない滑らかな回転フィールや、高回転域で見せるスポーティさは「さすがBMW」の印象で、走りの質感にこだわる人をも納得させる出来だ。
で、この「20d」のもうひとつの魅力は、バランスのいいハンドリング。前910/後930kgの軸荷重は伊達ではなく、その気になれば峠で攻めの走りを楽しむことだって可能なのだから、ディーゼル搭載のクロスオーバーをなめてはいけない。
Mスポーツパッケージを選べばスポーツカー顔負けの走りに
速さとスポーティさを重視するなら、306馬力/40.8kg mの3L直6直噴ターボを積む「35i」で決まり。人気のMスポーツパッケージは、ハンドリング面でもスポーツカー顔負けの走りを披露してくれる。だが、エコや経済性との調和を考えるなら・・・イチ押しは「20dブルーパフォーマンス」だ。直噴ガソリンターボを積む「20i」や「28i」のエコ度も優秀だが、高速域における燃費のよさと運転の快適度ではクリーンディーゼルが確実に上を行く。「ロングドライブが好き」という人には最適なチョイスとなる。そこで走り味にこだわるなら・・・バリアブル・スポーツ・ステアリングやダイナミック・ダンピング・コントロールが注目のアイテム。トータルの走りのレベル向上を実現する。
中古車市場データ
中古車市場データ
デビューから2年しか経過していないので、中古車はかなり高値傾向。物件数は少ないものの、グレードはまんべんなくあるようだ。2013年モデルは、まだほとんど流通していない。