車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.07 / 掲載日:2012.01.26
【徹底紹介】BMW X1
BMW X1 × 乙葉
どんなときも頼れてどこでも一緒に楽しめる!

写真●内藤敬仁 文●GooWORLD スタイリスト●奥田ひろ子 ヘアメイク●宮本洋平
手軽なスタイリッシュスポーツ。BMWの大人気「X」シリーズに登場したジャストサイズのX1は、SAVの新たな魅力を開拓する!
憧れのSUVをより身近にしたコンパクトSAV
BMWがSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)と呼ぶ新種のクロスオーバー車の原点は、99年投入の先代X5。モノコック式のボディや副変速機を持たないFRベースの4駆メカを特徴とし、高級セダンの流れを汲む走り味は、当時のSUVとしては新鮮な印象だった。
オンロードに軸足を置き、高級サルーンとSUVの魅力を融合させたSAVは、BMWのもくろみどおりに世界的な大ヒットを記録!新鉱脈を掘り当てたBMWは、04年に弟分のX3、08年にはクーペとの融合を図ったX6を投入し、「Xシリーズ」の充実に力を注いできた。
そうした流れを考えれば、「Xシリーズ」の入門モデルであるX1が投入されたのは、当然の成り行きと言っていい。そんなX1で、まず注目したいのはパッケージだ。
やや大型化した新型のX3と比べても全長は95mmしか短くないが、全幅は80mmナローな1800mm、全高は130mmも低い1545mmに設定されている。じつは、開発当初から日本市場を強く意識し、立体式駐車場を利用しやすいボディサイズ設定にしたという。
もうひとつの大きな見どころは、常時4駆のxDriveに加えて、2駆(FR)のsDriveを採用するモデルを用意したこと。扱いやすさ、乗りやすさ、買いやすさの点で、X1は「Xシリーズ」の存在をグッと身近にしたというわけだ。
写真●内藤敬仁 文●森野恭行、GooWORLD
お問い合せ●BMWカスタマー・サポート TEL:0120-55-3578
Detail

11年モデル BMW X1 xDrive25i(6速AT)
全長×全幅×全高 | 4470×1800×1545mm |
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ホイールベース | 2760mm |
トレッド前/後 | 1500/1530mm |
車両重量 | 1710kg |
エンジン | 直6DOHC |
総排気量 | 2996cc |
最高出力 | 218ps/6100rpm |
最大トルク | 28.6kg m/2500~3500rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/5リンク |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ディスク |
タイヤサイズ前後 | 235/40R19 |
新車価格
X1 sDrive18i(6速AT) | 363万円 |
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X1 xDrive20i(8速AT) | 424万円 |
X1 xDrive28i(8速AT) | 495万円 |
HISTORY
2010.04 | コンパクトSAV、X1を発表 Xシリーズの末弟となる新型コンパクトSAV。全幅1800mm、全高1550mm未満という立体駐車場にも収まるサイズに設計。2Lの「18i」と3Lの「25i」を用意する。 |
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2011.04 | Mスポーツパッケージを設定 Mエアロダイナミクスパッケージと18インチアルミなどで精悍な外観を構築するほか、スポーツシート、アルミインテリア、スポーツサスなども設定される。 |
2011.10 | 新世代エンジン搭載車2モデルを発表 新開発2L直4ターボを搭載する新グレード2モデルが登場。184馬力を発生する「20i」と245馬力を発生する「28i」。どちらにも8速ATが組み合わされる。 |
ゆとりの居住性と優れた使い勝手はサイズ以上
X1のステアリングを握ると、「想像より運転しやすい」と感じる人が多いのでは。それにはいくつかの理由がある。
まずはパッケージ。195mmの大きな最低地上高を確保するにもかかわらず、フロアやシート高を低めに抑えているため、乗り降りがすんなりできるのがいい。加えてドラポジも自然で、視界も「セダンよりやや高め」という自然な感覚なので、セダンからの乗り換えでもすぐに馴染むことができるのだ。
そして取りまわし性。ボディはCセグメント・ハッチバックより少し大きい程度で、最小回転半径も5.3~5.5mと小さめなため(FRベースの利点)、路地の走行や駐車の際にも持て余すことがない。日常的に使うクロスオーバーとしては、これは大きな魅力となる。
それでいて、キャビンの実用性も満足のいくレベル。2760mmの余裕あるホイールベースを活かして、大人4人が快適なドライブを楽しめる居住性を確保するとともに、荷室にもクロスオーバーならではの多用途性を盛り込んでいる。家族ユースにも、レジャーユースにも適合する能力の持ち主だ。
で、次の見どころはクオリティ。「Xシリーズ」の末弟だが、BMWに求められる質感と装備はちゃんと盛り込まれている。さらに、より高い質感や個性を求める人のために、「デザイン・クール・エレガンス」(撮影車)、「Hi-Lineパッケージ」、「Mスポーツパッケージ」も用意されるから、お気に入りのX1がきっと見つかるはず。自分なりのコーディネートを楽しみたい。

自然なドラポジが印象的。大人が十分くつろげる後席空間を確保し、前後席に180cmクラスの人が座ることも可能だ。後席にはリクライニング機構もつく。なお、レザー張りのスポーツシートはオプション設定のもの。
バイキセノンヘッドライトとフォグランプを標準装備。
広い視野を確保したドアミラー。助手席側にリバースポジション機能を採用。
ルーフレール(ブラックも用意)と電動パノラマガラスサンルーフはオプションのアイテム。
ランフラット仕様のサマータイヤを採用。標準は225/50R17だが、撮影車はオプションの225/45R18を履く。
後席は40対20対40の分割可倒式。定員乗車時420L、最大で1350Lの容量を持つ。
コンソールボックスの内部にもカップホルダーを装備。
右のスイッチはHDC(ヒル・ディセント・コントロール)。低ミューの急坂を下るときに、自動ブレーキをかけて安全と安心をサポートする。
クロスオーバーながら本格的な走りのクオリティ
xDriveは、電制油圧多板クラッチを核とするセンターカップリングユニットを介して、状況に応じた前後駆動力配分の制御を行うメカニズム。通常時はFRに近い配分だが、後輪が空転したり、挙動が不安定になった場合は、瞬時に駆動力を最適化して安定を保つ。後輪の駆動力および左右輪のブレーキ力を制御することで、積極的にヨーモーメントをつくりだす「パフォーマンス・コントロール」(オプション)をプラスすれば、ハンドリング性能はさらに向上!BMWの“SAV”ならではのアクティブな走りを楽しむことができる。
20i&28iが搭載するN20B20A型ユニット。4-1番と2-3番シリンダーで集合させた2系統の排気系が、ツインスクロールターボの証でもある。
現行のxDriveモデルは8速ATを採用。動力性能、燃費、静粛性の向上に大きく貢献する。ATセレクターの後方はiDriveのコントローラーだ。
xDriveは、BMWが伝統とするFRをベースにした高度なトルクスプリットタイプのフルタイム4WDメカだ。
飛躍的に洗練度を高めたオンロードでの身のこなし

新しいパワートレーンを導入することで、xDriveを搭載するX1の走りは、グッと洗練度を高めた。まず気づくのは、全体的に重く、中立付近では抵抗感も感じたステアリングが改善され、操舵フィールが自然になったこと。低速域における扱いやすさや走りの軽快感が大幅に向上している。さらに乗り心地も、よりしなやかかつ快適に変化した。
なら、2L直噴ターボ+8速ATの実力は?「18i」より優れている燃費値から、エコ度の進化は明らかだが、走りの能力も大きくレベルアップした。ターボというと応答遅れや「ドッカン」とくるトルク特性を連想する人もいるだろうが、最新のターボは優等生に躾けられている。
1000回転台前半から太いトルクを発生し、そのトルクを多段ATが活かすセッティングだから、発進の瞬間から十分な力感が得られる。そこから踏み込んでいったときの加速感も、「20i」から連想する以上の力強さで、旧「25i」に肉薄する。
また、パーシャルスロットルでの加速時に発生する「ブーン」という音はやや耳につくが、クルージング時の静粛性も優秀だ。回転フィールも「18i」以上に軽やかかつスムーズな印象だから、走りはすこぶる上質な仕上がりだと言っていい。
そして、フットワークのよさもX1の大きな魅力。コンパクトで、重心が低いというパッケージの利点を活かして、素直な身のこなしとダイナミックなハンドリングを実現している。目線が低めなことも手伝い、峠道や高速を飛ばしていると「今、操っているのは3シリーズか!?」という錯覚に陥ってしまうほどだ。
スポーティーさは「Xシリーズ」共通の美点だが、とくにX1は軽快感が光る。そこで、なにより軽やかさを重視するならsDriveの「18i」、高度なバランスを追求するならパフォーマンス・コントロールを搭載したxDriveモデルがお薦めだ。クロスオーバーと思えないほどFUNな走りを披露してくれる。
また低重心と長めのホイールベースは、高度な高速安定性にも貢献する。これまた感覚はセダンに近い。加えて、ランフラットタイヤを履くことを忘れさせる洗練された乗り心地(とくに17インチ)も見逃せない。走りの完成度は文句なしに高い。
よりスポーティーなM-Sportsも用意
BMW車でおなじみの「Mスポーツ・パッケージ」は、X1でも高い人気を持つ。Mエアロダイナミクス・パッケージ(サイドスカートやワイドホイールアーチも装着)で武装した迫力あるルックスと、パフォーマンス・コントロール(18iには非設定)+スポーツサス+前後異サイズ18インチタイヤのコンビが生むダイナミックなハンドリングが、「Mモデル」ならではの魅力と言える。スポーツシートやMスポーツ・レザーステアリング、Mロゴ付きドアシルプレートなども標準で、インテリアにもスポーティームードが漂う。

もっとも選びやすいFRモデルがねらい目
使いやすいサイズと軽快な走りが評価され、非常によいスタートダッシュを切ったX1。発売からまだ1年半くらいだが、中古車はまずまずの数が市場に存在する。価格を調べてみると、300万円から460万円くらいの幅がある。新車が363万円~だから、まだそれほど大きな値落ちは見られない。人気車なので在庫の入れ替わりも早く、こまめなチェックが必要だ。
先日、新開発エンジン搭載車が設定され、グレード体系も変更された。市場のグレード体系は、当初から設定される後輪駆動の「sDrive18i」が8割以上を占め、残りが3.6気筒の「xDrive25i」となる。高効率エンジン+8速ATを搭載した新グレードがほしければ、もう少し待ちとなる。ボディカラーはホワイト、ブラックなどが目立つ。走行距離はもちろん低めだ。
自分に合ったグレードを見極めたい
2011年10月の改良は「20iおよび28iの追加」となっているが、実質はxDriveモデルのパワートレーンの変更。同時にシャシーにも改善のメスが入れられているから、ベストバイはエコカー減税にも適合する「20i」だ。そこに、より以上の力強さと速さをプラスしたい場合は、上級の「28i」が適任となる。
だが、ムード優先ならxDriveの必要性は低く、FRの「18i」でも十分な満足度を提供してくれる。操舵感はやや重シブの印象だが、フットワークそのものは軽やかで、動力性能も十分納得のレベルにある。
ちなみに、ナビゲーション・パッケージを選ぶと、ルーフアンテナ装着で全高1575mmとなり、1550mm制限の立体式駐車場に対応できなくなるから、その点は留意したい。