車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.25 / 掲載日:2014.09.19
SUZUKI SWIFT 走りもルックスも欧州基準のコンパクト

激戦のコンパクトカテゴリーのなかでも、指折りの実力をもつモデルがスズキ スイフト。世界各国で生産が行われ、その走りはヨーロッパを中心に高い評価を獲得している。またエコテクノロジーも積極的に導入することで販売力を強化。完成度が高いモデルである。
スズキ スイフトはこんなクルマ!

新車価格帯 131.652万~192.456万円(全グレード)
キャビンの広さや価格の安さをアピールするライバルが多いなか、スイフトが主張するのは欧州仕込みの冴えた走り。洗練されたスタイルも高く評価される要点で、個性派コンパクトの地位を確立している。
走りのよさは世界基準新進気鋭のコンパクト
スズキ車のイメージは・・・圧倒的な存在感と認知度を誇るのはやはり軽自動車で、それに続くのはジムニーやエスクードが伝統を築いてきたSUVだろう。正直かつてのコンパクトカーたちの存在感は薄かった。
そんな流れを変えたのが、2代目スイフトの功績だ。軽の「Kei」のデザインを流用した中途半端な初代とは違い、「真のグローバルカー」という高い志を掲げて開発をしたのが2代目。スズキの威信を懸けたモデルと言っても過言ではない。
プラットフォームはもちろん新開発で、欧州市場でも通用する高度な操縦安定性を実現。加えて、シンプルながら、独自の個性も主張するスタイルの完成度も高く、2代目スイフトはコンパクトカー界に新風を吹き込む成功作となった。ライバルの後追いではなく、独自のキャラクターで勝負を仕掛けたことが、サクセスストーリーにつながったのだ。
そこでのキーワードは欧州。ハンガリーでも現地生産を行うスイフトは「欧州市場を勝ち抜けるクルマなら、どこへ行っても通用する」という信念のもとに開発したモデル。それが、これまでにない骨太な日の丸Bセグメントカーを生んだ要因だ。
つまり、実力派がひしめくコンパクトカー界において、スイフトの存在を際立たせるカギとなるのは欧州仕込みのテイスト。高速域になるほど安心感や操る楽しさの「差」を見せる走りの実力や、シンプルで洗練されたスタイルが、欧州志向のユーザーや走りにこだわる「通」を引きつけて止まない魅力となっている。
RIVAL ライバル
トヨタ ヴィッツ

新車価格帯 115.56万~199.4073万円(※全グレード)
マイナーチェンジでさらに魅力を増した新型ヴィッツ
3世代に渡って市場で大きな存在感を示してきたモデル。だが国内においては、主役の座をハイブリッドのアクアに譲った印象もある。そこで14年春に大改良を実施。フロントマスクやインパネを一新し、新開発の低燃費エンジンを導入した。
ホンダ フィット

新車価格帯 130.1142万~185.1428円(※全グレード)
力強く成長し続ける大人気モデル
誕生以来、3代に渡り日本のコンパクトカー市場を牽引するモデル。センタータンクレイアウトが生む高いパッケージ効率を特徴とし、広いキャビンと変幻自在の荷室を実現している。1.3L&1.5Lガソリンのほか、ハイブリッド車も展開。
日産 マーチ

新車価格帯 113.724万~182.088万円(※全グレード)
アイドリングストップを導入し燃費を追求するコンパクト
心臓を4気筒から3気筒の1.2Lに変更し、生産国を日本からタイへと移した4代目は、日産の小型車戦略の大変革を具現化したモデル。マーチ伝統の愛らしいスタイルと、低めのプライス設定がアピール点で、女性ユーザーを主な標的とする。
HISTORY OF SWIFT スイフト ヒストリー
PAST MODEL 過去モデル
平成12年2月 初代スイフトを発表
平成16年11月 2代目スイフトを発表
NEW MODEL 最新モデル
平成22年10月 3代目スイフトを発表
平成23年8月 スイフトにアイドリングストップ車を設定
平成23年11月 スイフトスポーツを発売
平成25年7月 一部改良
世代別中古車物件比率

現行型の割合が65%と圧倒的に多い。丸6年のモデルライフを経た先代は31%と、現行モデルに比べると控えめ。なお、初代モデルもわずかに流通している模様。とくに「スポーツ」が目立つ。ただし走行距離は伸びている。
※すべての価格は参考価格です

3rd[現行] 販売期間:平成22年~
内外装デザインは正常進化欧州仕込みの走りも健在
3代目は、先代モデルのコンセプトを踏襲しつつも、プラットフォームを一新して自慢の走りに磨きをかけた。また、人気のスイフトシリーズのスイフトスポーツも継続投入されている。

中古車参考価格帯 60万~200万円※平成22年~平成26年式の相場です。
スズキ スイフト XS(CVT)
全長×全幅×全高:3850×1695×1510mm
車両重量:990kg
排気量:1242cc
エンジン:直4DOHC
最高出力/最大トルク:91ps/12.0kg m
燃費:20.6km/L(JC08モード)
サスペンション前:ストラット
サスペンション後:トーションビーム
ブレーキ前/後:Vディスク/ドラム
タイヤ前後:185/55R16
新技術を投入して走りを磨いた3代目
スイフトの2代目から3代目への世代交代は、「正常進化」の典型的な例といえる。だが、その選択は失敗を恐れ、冒険を避けたのではない。2代目が確立した方向性に絶対の自信があったから、「モア・スイフト」のコンセプトを掲げて、軽快な走りのテイストや個性的スタイルにより磨きをかける作戦をとったのだ。
そこで注目したいのは、世代交代にあわせてプラットフォームを一新したこと。流用よりも開発コストは高くついたが、土台からの新開発だからこそ、時代が求める安全性や快適性のニーズを満たした上で、スイフトらしい軽やかな走りのテイストも進化させることができたのだ。
つまり、「走りが楽しい」、「飛ばして安心」のキャラクターは、3代目でより強固なものとなったわけだ。その頂点に位置するのはスポーツ(通称スイスポ)で、よりライトな感覚でスポーティな走りを楽しめるRSともども、高い人気を誇る。
また、たゆまぬ進化も3代目の要点。まずはアイドリングストップ機構を追加し、13年夏にはDJE(デュアルジェットエンジンとエネチャージに由来する名称)搭載車を新登場させた。そして14年6月には、ツートーンカラーのスタイルがデビュー。選ぶ楽しみがさらに拡大した。
EXTERIOR エクステリア

先代のイメージを洗練させたボディ
2代目のルックスがとても好評だったため、ひと目でスイフトとわかるデザインを踏襲したという。だが、全長を95mm、ホイールベースを40mm拡大するなど、ボディサイズはやや拡大。ホイール径を1インチアップしたことも見逃せない点で、見た目の安定感とスポーティさを進化させている。
INTERIOR インテリア

使いやすい室内はクラスの王道を行く
室内寸法はほぼ先代と同じ。だが、シートのつくりをグレードアップし、後席にリクライニング機構を採用(モデル別設定)するなどして、快適度を高める工夫をしている。ラゲッジはボードの高さを上下2段で使い分けられる設計で、フレキシビリティが自慢だ。

シルバー加飾を効果的にあしらって上質感を演出。XS-DJE、RS系、スポーツのCVT車は7速パドルシフトを採用する。
MECHANISM メカニズム

一部改良でデュアルジェットエンジンを新採用
エンジンは実績のある4気筒1.2LのK12B型を積む。13年7月には、ツインインジェクター採用の改良型ユニットに、減速エネルギー回生のエネチャージと新アイドリングストップシステムをドッキングした「DJE」を追加した。JC08モード燃費値は26.4km/Lだ。

CVTは副変速機付きの高効率タイプ。スポーツ、XS&RS系、4WD車は4輪ディスクブレーキが標準だ。
欧州仕様の足まわり採用の特別仕様車「RS」も設定

攻めの走りにも応える高度なハンドリングで、多くのファンを獲得しているのが特別仕様車のRS。ダンパーだけでなく、電動パワステやタイヤのチューンも、欧州仕様に準じた設定となっている。14年6月に「DJE」仕様を追加し、より魅力的な内容となった。
SPORT

スポーツカーファンも納得の“スイスポ”は健在!
日の丸ホットハッチの伝統を守る貴重な存在。心臓を125馬力から136馬力へと強化し、6速MTと17インチタイヤを採用したことが、先代からの大きな進化ポイントだ。キレのいいフットワークは「さすがスイスポ!」の印象で、峠道ではまさに水を得た魚。加えて高速スタビリティや快適性も磨いた3代目は、楽しみのフィールドを広げている。

7000回転近くまで鋭く吹ける1.6L NAユニットは、スイスポの快感の源泉。CVT車の出来もいいが、より刺激性が強いのはやはりMT車だ。コクピットは言うまでもなくスポーティな仕立て。
MARKET REPORT SWIFT 3rd
モデルライフ後半戦となり、中古車が充実している
現行型スイフトの市場を見ると、非常に多くの物件が流通していることがわかる。それでいながら標準グレードの「XG」における価格を見ると、1年落ちで98万円、3年落ちで82万円とかなり安い。走行距離もほとんどが1万km未満の程度良好車。今後も、価格は順当に下がると思われる。中古車市場における現行型は、大変お買い得!
走行距離×年式別相場
平成22年 | 平成23年 | 平成24年 | 平成25年 | 平成26年 | |
---|---|---|---|---|---|
5000km未満 | – | 75万円 | 112万円 | 112万円 | 122万円 |
5000km~1万km | 75万円 | 89万円 | 97万円 | 102万円 | 136万円 |
1万km~3万km | 79万円 | 87万円 | 97万円 | 97万円 | 119万円 |
3万km以上 | 69万円 | 87万円 | 89万円 | 97万円 | 120万円 |
5000km未満の低走行車が多く存在する。これらの相場は100万~120万円前後。3万km前後の物件に絞ると、ほとんどが100万円以下で買える。新車保証が残る条件でも、十分リーズナブル価格だ。
グレード×年式別相場
平成22年 | 平成23年 | 平成24年 | 平成25年 | 平成26年 | |
---|---|---|---|---|---|
XG | 72万円 | 82万円 | 87万円 | 98万円 | 112万円 |
XL | 79万円 | 89万円 | 88万円 | 116万円 | 133万円 |
XS | 101万円 | 101万円 | 116万円 | 137万円 | 136万円 |
スポーツ | – | 132万円 | 142万円 | 152万円 | 155万円 |
グレードは、おおまかに分けると上記の4つ。標準モデル「XG」がもっとも多く、3年落ちで82万円という魅力的な平均価格となる。なお、「スポーツ」の価格は高値安定。値下がりはまだ先だろう。
年式
デビューした当初の割合は少ないが、平成24年、平成25年にかけての割合が多くなっている。これは「スポーツ」の追加や一部改良による燃費向上の影響と考えられる。走行距離
5000km未満の低走行車両の割合が55%と、かなり多く存在する。次いで1~3万kmの車両が多い。3万km以上は10%。全体的に低走行車が多い状況となっている。

グレード
グレードは大別すると4タイプ。なかでも、スタンダードな「XG」が57%ともっとも豊富。「XL」や「XS」は少ないが、走りのモデル「スポーツ」は27%と十分な数が流通する。
2nd[先代] 販売期間:平成16年~平成22年
モダンなルックスと硬質な走り世界基準に大幅進化した2代目
軽自動車ベースの先代から一転、2代目スイフトはエンジン、シャシーともに専用設計に変更。洗練されたデザインとも相まって完成度は大幅にアップ。スポーティな走りも高く評価された。

中古車参考価格帯 20万~130万円※平成16年~平成22年式の相場です。
スズキ スイフト 1.5XS(4速AT)
全長×全幅×全高:3755×1690×1510mm
車両重量:1030kg
排気量:1490cc
エンジン:直4DOHC
最高出力/最大トルク:110ps/14.6kg m
燃費:16.4km/L(10・15モード)
サスペンション前:ストラット
サスペンション後:トーションビーム
ブレーキ前/後:Vディスク/ドラム
タイヤ前後:185/60R15
専用開発のシャシーが硬質な走りを生み出す
スイフトが人気車になったのは2代目から。だから、このモデルを「初代」と思い込んでいるひとも少なくはないだろう。欧州市場の攻略に本気で取り組んだことが成功の要因で、スズキのクルマづくりを根底から変える、歴史的な1台になった。
当初のラインアップは1.3L&1.5Lで、1.5Lモデルはゆとりある走りを持ち味としていた。そして、125馬力の1.6Lユニットを積むスポーツが加わると、2代目は秀でた走りのポテンシャルを存分に開花させることになる。身のこなしの軽さ、キレの鋭さに関しては3代目もたじたじの印象で、いまも2代目スイスポを愛し続けるマニアも存在する。
だが、ベーシックカーとしてのスイフトに注目するなら・・・2代目でもっとも完成度が高いのはやはり後期型1.2Lモデル。高効率を誇る新世代ユニットとCVTの投入により、エコ性能だけでなく、走りの楽しさも一段と高めることに成功した。
INTERIOR インテリア
質感アップとともに使える空間を確保
全長3.8mを切る小柄なボディの中に、大人4人が座れる十分な室内空間をパッケージしている。だが、それ以上に注目したいのはデザインの洗練度や質感の高さ。当時のコンパクトカーとしては特筆のレベルだ。そこに、2代目が欧州でも高く評価されたカギがある。

1.2L車はCVTだがほかの2ペダル車は4速ATを採用。荷室容量は定員乗車で213L、最大で949Lだ。
MECHANISM メカニズム

新型エンジンが力強い走りを支える
後期型のトピックは新世代1.2Lユニット(K12B型)とCVTの導入。燃費のよさはもちろん、走り味も従来型1.3L車より軽やかだったのだから、高人気を博したのは言うまでもない。すぐに主役になった。
SPORT

スイフトブームの立役者、スイフトスポーツの実力
小さく、軽いボディと、鋭いレスポンスを誇るハイチューンNAユニットの合体は、楽しいホットハッチをつくるための間違いのない法則だ。それを完成型としたのがこの2代目「スイスポ」で、軽快な加速と鋭いハンドリングでファンを魅了した。当時の世界ラリー選手権(WRC)のジュニアクラスで、海外版のイグニス・スーパー1600がチャンピオンに輝き、高い能力を実証した。

7200回転から始まるレッドゾーンが、特別なスポーツユニットを搭載する証。コクピットは全体がスポーティな演出で、抜群のホールド性を誇るRECAROシート装着車も用意していた。
MARKET REPORT SWIFT 2nd
多くの中古車が流通し、価格も安いオススメの1台
今から10年前にデビューした先代スイフトは、中古車価格が大きく下がりオススメできるクルマ。多くの物件が100万円以内で、物件数も非常に豊富である。ただし走行距離に注目すると3万km未満の物件はかなり減っている。走行距離と価格をどう折り合いを付けるかが購入のポイント。なお、5年落ち・5万kmで85万円がひとつの目安だ。
走行距離×年式別相場
平成16年 | 平成17年 | 平成18年 | 平成19年 | 平成20年 | 平成21年 | 平成22年 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
3万km未満 | 90万円 | 59万円 | 73万円 | 88万円 | 97万円 | 107万円 | 105万円 |
3万~5万km | 42万円 | 50万円 | 66万円 | 68万円 | 87万円 | 87万円 | 97万円 |
5万~8万km | 44万円 | 48万円 | 63万円 | 65万円 | 84万円 | 82万円 | 86万円 |
8万km以上 | 27万円 | 35万円 | 44万円 | 54万円 | 58万円 | 79万円 | – |
グレード×年式別相場
平成16年 | 平成17年 | 平成18年 | 平成19年 | 平成20年 | 平成21年 | 平成22年 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1.2L | – | – | – | 47万円 | 55万円 | 61万円 | 71万円 |
1.3L | 43万円 | 38万円 | 44万円 | 53万円 | 66万円 | 72万円 | 71万円 |
1.5L | 34万円 | 41万円 | 50万円 | 55万円 | – | – | – |
スポーツ | – | 74万円 | 76万円 | 82万円 | 91万円 | 99万円 | 106万円 |
設定されたグレードの数は多いが、大きくわけると1.2L、1.3L、1.5Lの標準モデルと、1.6Lを積む「スポーツ」の4タイプ。最初の3つは相場の差は小さいが、「スポーツ」は20万円ほど価格が高い。
1st[先代] 販売期間:平成12年~平成16年
シンプルながらも軽快な走りが魅力の初代
サイドビューは軽自動車のKeiとほぼ共通。いわば「Keiワイド」で、そのつくりは小型車としてはハンパなものだった。でも、115馬力の1.5Lユニットを積み、弾けるような走りを実現した初代スイスポの存在はいまも忘れられない。危なっかしさ(?)も含めて、愛すべきホットハッチだった。

中古車参考価格帯 10万~50万円※平成12年~平成16年式の相場です。
スズキ スイフト SF(4速AT)
全長×全幅×全高:3615×1600×1540mm
車両重量:930kg
排気量:1328cc
エンジン:直4DOHC
最高出力/最大トルク:88ps/12.0kg m
燃費:18.0km/L(10・15モード)
サスペンション前:ストラット
サスペンション後:I.T.L
ブレーキ前/後:Vディスク/ドラム
タイヤ前後:165/70R14

ジャーナリスト・森野恭行の
歴代スズキ スイフトインプレッション
3rd(現行)質感の高さは誇れるレベル

ボディ剛性の強化やサスの一新で、しっかり感や安心感のレベルを高めたのが3代目の見どころ。静粛性も向上し、トータルとしてより上質な走りを楽しめるようになった。だが、10mmローダウンの足を採用する「DJE」の2WD車は、街乗りの速度域の乗り心地が硬め。その点は熟成を期待する。
2nd(先代)日本を、世界を驚かせた革命児

「キビキビ」というと、「軽さ」をネガなイメージでとらえるひともいるだろうが、2代目スイフトは高速走行における安定性や安心感も高いレベルで両立させていた。それは、当時の日の丸コンパクトとしては画期的なことで、スイフトが高く評価されたカギでもある。欧州コンパクトを思わせる味わいだ。
※すべての価格は参考価格です