車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.07 / 掲載日:2010.11.25

【徹底紹介】BMW Z4

BMW Z4×平山あや
美しいヒトをも魅了する究極のエレガンス、夢のロードスター

BMW Z4×平山あや

写真●内藤敬仁 文●GooWORLD ヘアメイク●SAKURA(アルール) スタイリスト●宇賀 愛

2シーターのオープンという成り立ちはピュアスポーツを連想させるが、新型Z4はそれにエレガントさを加え、独自の魅力を獲得する

エレガント志向を目指した新世代Z4

 Z3から発展した初代Z4(E85)は、ボクスターを強く意識することで全体に「スポーツ」の方向に振れた印象。頂点にはZ4Mが君臨していた。だが、2代目のE89は、市場ニーズを正確に分析した上で、「エレガント&プレミアム」の方向に進化のベクトルを切り替えた。

 その象徴は、より伸びやかになったスタイル(全長を150mm拡大)と、幌から格納式ハードトップ(オールアルミ製)に変更されたルーフ。容姿はグッとエレガント、コクピットはさらに上質に変身した。そして、生産拠点がアメリカからドイツに移されたことも、大きな変更点だ。

 こうした変更により、Z3時代から存在していたクーペは廃止。格納式ハードトップは、ロードスターとクーペのいいとこ取りといえる形式なのだから、これは理解しやすい。

 では、現時点でもまだMモデルが存在しないのは?新作のMモデルを仕立てるには、現行M3の4LV8をぶち込むのがファンの納得するやり方だが、V8搭載は容易ではないこと。35iをベースに性能アップを図った「35is」を追加して、パフォーマンス指向のファンの声に応えたのは、新型Z4のキャラクターを考えればいい落としどころだ。

 なにしろ、340馬力の3L直噴ツインターボと7速DCTで武装した35isは、0→100km/h加速を4.8秒でこなす韋駄天。「もっと速く」と望む人はひと握りだろう。

写真●内藤敬仁 文●森野恭行、GooWORLD
お問い合せ●BMWカスタマー・サポート Tel 0120-55-3578

Detail

BMW Z4(正面・側面)

10年モデル BMW Z4 sDrive35is(7速AT・DCT)

全長×全幅×全高4255×1790×1285mm
ホイールベース2495mm
トレッド前/後1510/1535mm
車両重量1600kg
エンジン直6DOHCターボ
総排気量2979cc
最高出力340ps/5900rpm
最大トルク45.9kgm/1500rpm
サスペンション前/後ストラット/セントラルアーム
ブレーキ前後Vディスク
タイヤサイズ前/後225/40R18 255/35R18

新車価格

Z4 sDrive23i スタイルエッセンス(6速AT)485万円
Z4 sDrive23i(6速AT)523万円
Z4 sDrive35i(7速AT・DCT)695万円
Z4 sDrive35is(7速AT・DCT)815万円
発売・発表:2009年4月・2009年5月

HISTORY

2009.04Z4がフルモデルチェンジ
基本プロポーションはそのままだが、ソフトトップからリトラクタブルハードトップに変わったのが最大の特徴。エンジンは2.5Lまたは3Lターボが設定される。
2010.05最上級モデル「sDrive35is」を設定
ブースト圧をアップすることで最高出力&トルクを高めたトップグレードがsDrive35is。専用の外観やサスを含むMスポーツパッケージも標準装備されている。

大幅に高められた内外装の質感は、プレミアムロードスターの指針となる

 E89・Z4のコクピットは、独特のムードで乗員を包み込む。スポーツカーの文法どおりに低くセットされたシート座面に対し、ボンネット高やベルトラインを高めに設定して、意図的に強い囲まれ感を演出しているのがその理由だ。

 長いノーズがさらに長く感じられるため、最初は「乗りにくい」と感じるはず。でも慣れると、フロントエンジンの高性能スポーツを操る感覚に快感を覚え、はまってしまうに違いない。ちなみに、シート高調整を上端に設定し、ステアリングのチルト&テレスコピック調整をあわせれば、小柄な人でも適切なドラポジが得られるから心配は不要。奥さんや恋人にも安心してハンドルを委ねられる。

 もうひとつの注目点は、先代のE85から一段と強化されたクオリティ。シートカラーやインテリアトリムも数種が用意され、組み合わせによりZ4の持つスポーティさやエレガントさをより際立たせることが可能だ。23iスタイルエッセンスを除く全車にHDDナビを標準化するなど、装備メニューも充実している。

  • BMW Z4(コクピット)

  • BMW Z4(外装1)

  • BMW Z4(外装2)

  • BMW Z4(キドニーグリル)

    キドニーグリルは23iがブラック、35i系がアルミ調。

  • BMW Z4(エンジンフード)

    アルミ製エンジンフードはサイドからガバッと開く。sDriveはいわゆるFRを表す。

  • BMW Z4(バイキセノンヘッドライト)

    精悍さを強調したデザイン。バイキセノンヘッドライトを全車に採用する。

  • BMW Z4(ドアミラー)

    シルバーのドアミラーは35isの証。エアロパーツも専用デザインだ。

  • BMW Z4(タイヤ)

    35isの標準は18インチだが、撮影車はオプションの前225/35・後255/30の19インチタイヤを装着。

  • BMW Z4(トランク)

    容量はルーフ閉時で310L、ルーフ開時で180L。

  • BMW Z4(スキースルー)

    小物ならシートの背後に置ける。スキースルーもオプション設定。

  • BMW Z4(オートエアコン)

    オープンエアモード付きのオートエアコンを採用。

  • BMW Z4(メーター)

    メーターはシンプルな2眼式だ。

先代モデルよりレベルアップしたメカニズムと電子制御

BMW Z4(エンジン)

 2495mmのホイールベースは先代と共通だが、フロントのストラットサスはシングルジョイント式からダブルジョイント式に格上げされている。そして電制可変ダンパー採用のアダプティブMサスペンションの新導入も、E89の大きな進化点といえる。DCTや電動パワステに見られるように、電制メカの導入には積極的。最新BMWでおなじみのダイナミックドライビングコントロールは、エンジン、ミッション、パワステなどを統合制御し、モード切替えを可能にしたシステムだ。

  • BMW Z4(ミッション)

  • ミッションは、直噴ツインターボの3Lには7速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)、自然吸気2.5Lには6速ATを組み合わせている。写真はDCTのセレクターで、右脇にダイナミックドライビングコントロールのスイッチを配置している

  • BMW Z4(ハードトップ)

  • 格納式ハードトップの動作はスムーズ。スイッチ操作ひとつのフルオート式で、わずか20秒ほどで開閉を完了する。

もっとも辛口な35isでも快適さは高水準 日常にスポーティな刺激を提供する

BMW Z4

 アクセルを踏むと腹に響く排気音が存在を主張するが、340馬力の3L直噴ツインターボは、実用域では従順な性格を持つ。また7速DCTも、発進や低速での加減速でクラッチの滑りを少し意識させる点を除けば、トルコン式ATのようにスムーズな自動変速をこなしてくれる。

 加えて、ダイナミックドライビングコントロールを「ノーマル」にしておけば、アダプティブMサスも快適方向の制御となる。ゆえに、オプションの19インチタイヤを履いていても、ドタドタとした不快な乗り心地にさらされることはないわけだ。

 つまり、もっともとんがったモデルでも、Z4は日常の走りで我慢を強いることはない。時速50km程度までの乗り心地は絶対的にはハードめだが、19インチのランフラットタイヤを履くことを考えれば、意外なほど高い快適度を備えている。

 なら、340馬力の心臓に鞭を入れるとどうなるのか?高速道路はもちろん、峠道においても速さは文句なしだ。だが、本気で峠道を攻めると、いくつかの不満が生じてくる。

 まずはボディ剛性。とくにオープンの状態でねじれを意識させられ、ハンドリングの一体感や限界時のコントロール性は満足とまではいかない。さらに、ステアリングシフトのイマイチの操作性も、本気の走りに水を差す要素だ。こうした点が物語るのはE89の本質。速さを突き詰めるのではなく、ゆとりや適度な刺激として楽しむことが、Z4とうまくつきあうカギといっていいだろう。

今は新車と比較検討して買いたい1台

 高級なオープンスポーツカーとして日本でも大ヒットした先代Z4。その勢いは衰えず、新型でも高い評価が下されているが、中古車を見ると市場が完熟されるのはまだ先のことのようだ。先代モデルは豊富にあるが、新型はまだ数が少ない。

 とはいえ、中古車ならではの利得もないわけではない。現在、Goo-netに登録されている物件は、50台前後。ほとんどが走行距離が5000km未満の良質なものばかりで、年式的にみても新車保証が付く。それでいて、価格は50万~100万円ほど新車価格よりも低いとあれば、十分に検討する余地はあるだろう。

 ただし、グレードのほとんどがスタンダードな「sDrive23i」となり、「35i」をねらうならば、粘り強く探すことになる。また物件数の少なさから、ボディカラーなどの仕様もかぎられてくる。熟考のうえ、購入したいところだ。

シーンを選ばない万能オープンスポーツ

 日常はクーペ。気分が乗ったときや、絶好のシチュエーションに恵まれたときにはオープン。そのようにして、スポーツカーに乗る楽しさと気持ちよさを、幅広いシーンで味わわせてくれるのが新型Z4の魅力だ。

 そう考えれば、動力性能は23iのレベル、タイヤは17インチでなんの不満もない。23iは、BMWの自然吸気直6ならではの澄んだサウンドと、35iとは趣の異なる軽快なハンドリングも楽しませてくれるのだから、多くの人に推奨できる存在だ。こいつを駆る喜びは、たんなるベース車のレベルには終わっていない。

 だが、圧倒的な速さや加速力がほしいとなれば、照準は自然と35iに定まる。アダプティブMサスを選択すれば、冴えたハンドリングと快適な乗り心地の両方が手に入る。でも、走りを突き詰めるなら・・・BMWでもお薦めはZ4ではなくM3となる。

BMW Z4

マーケットデータ

グレード

sDrive23i 77%
sDrive35i21%
sDrive35is2%

 エンジンラインアップは、2.5Lと3Lターボが設定される。また3LターボはMスポーツパッケージを装備した「35is」も設定。そのなかで中古車が多いのは「23i」で、全体の8割弱を占めている。なお、両者のあいだで相場の差は100万円ほどある。

ボディカラー

ブラック40%
ホワイト25%
シルバー21%
ブルー14%

 スポーツカーゆえ、おしゃれに乗りこなしたいZ4だが、市場にあるボディカラーはサルーンと代わり映えはしない。ブラックがもっとも多く、次いでホワイト、シルバーとなる。ごく稀に、レッド、ダークブルー、ゴールドのようなカラーも存在する。

年式

2009年74%
2010年26%

 デビューイヤーの2009年モデルは、当然ながら圧倒的に多い。年式による相場の差は、気になるほど大きくはない。ただ、トータルで見ると物件数自体がさほど多くないのが現状。いずれも保証期間内のため、年式にはこだわらなくてもよさそうだ。

走行距離

~5000km41%
5000km~1万km35%
1万km~24%

 まだ出たばかり・・・という印象の新型Z4。走行距離が5000km未満の中古車が多く、1万kmオーバーの物件を探すほうが大変だ。当然ながらコンディションも抜群なので、どの物件を選んでも基本的には大丈夫。グレードやカラーを軸に探していこう。

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グーネットマガジン編集部

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