車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.12 / 掲載日:2011.11.24
【徹底紹介】メルセデス・ベンツ Eクラス
メルセデス・ベンツ Eクラス×井上和香
たとえ言葉で説明しなくても確実に伝わる真のポテンシャル

写真●内藤敬仁 文●GooWORLD スタイリスト●鬼塚美代子(アンジュ) ヘアメイク●菊池かずみ
群雄割拠のEセグメントにおいて、圧倒的な存在感を誇るEクラス。現行型はクーペやカブリオレも携えてライバルを引き離す
歴史に裏打ちされた格式の高い上級サルーン
「Eクラス」と呼ばれるようになったのは、現行の3世代前にあたるW124時代の後期から。だが、それ以前に「ミディアムクラス」、「コンパクトメルセデス」と呼ばれていた時代があり、直接のルーツと言えるW120(ポントン)から数えても、歴史はなんと58年におよぶ。
そこで見てほしいのは、現行W212のリヤフェンダーに刻まれたキャラクターライン。ポントンをモチーフとした造形で、由緒の正しさをさりげなく表現している。たんに歴史が長いだけでなく、いつの時代もアッパーミドルクラスの中心にあって、高級セダン界をリードしてきたという事実がEクラスの誇りだ。
とはいえ、競争の激しいEセグメントに属するだけに、守りに徹していては市場での存在感が危うくなる。そこでW212は、よりダイナミックに、若々しくという方向で、改革を実践した。スクエア基調に変身した眼光鋭いツインヘッドライトや、エッジを効かせたボディラインが、時代に合わせた変革を象徴する。
ひと言で表現すれば、新しいEクラスはグッと精悍になった。
そのうえで、守るべき伝統は継承しているのがW212のいいところ。「安心」を伝える走り味や、充実のバリエーションはその典型と言っていい。ベーシックなE250から怪物E63AMGまでを揃え、クリーンディーゼルや4WDも選べる展開なのだから、まさに選り取り見取りだ。
写真●内藤敬仁 文●森野恭行、GooWORLD お問い合せ●メルセデス・コール Tel 0120-190-610
Detail

2011年モデル メルセデス・ベンツ E350 ブルーテック アバンギャルド(7速AT)
全長×全幅×全高 | 4870×1855×1455mm |
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ホイールベース | 2875mm |
トレッド前/後 | 1580/1600mm |
車両重量 | 1910kg |
エンジン | V6DOHC |
総排気量 | 2986cc |
最高出力 | 211ps/3400rpm |
最大トルク | 55.1kgm/1600~2400rpm |
サスペンション前/後 | 3リンク/マルチリンク |
ブレーキ前後 | Vディスク |
タイヤサイズ前後 | 245/45R17 |
新車価格
セダン
E250 CGI ブルーエフィシェンシー(5速AT) | 634万円 |
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E250 CGI ブルーエフィシェンシー アバンギャルド(5速AT) | 698万円 |
EE300(7速AT) | 730万円 |
E300 アバンギャルド(7速AT) | 780万円 |
E350 ブルーテック アバンギャルド(7速AT) | 798万円 |
E350 アバンギャルド(7速AT) | 850万円 |
E350 4マティック アバンギャルド(7速AT) | 895万円 |
E550 アバンギャルド(7速AT) | 1080万円 |
E63 AMG(7速AT) | 1495万円 |
ステーションワゴン
E250 CGI ブルーエフィシェンシー ステーションワゴン(5速AT) | 669万円 |
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E300 ステーションワゴン(7速AT) | 765万円 |
E350 ブルーテック ステーションワゴン アバンギャルド(7速AT) | 833万円 |
E350 ステーションワゴン アバンギャルド(7速AT) | 885万円 |
E350 4マティック ステーションワゴン アバンギャルド(7速AT) | 930万円 |
E550 ステーションワゴン アバンギャルド(7速AT) | 1115万円 |
E63 AMG ステーションワゴン(7速AT) | 1530万円 |
クーペ
E250 CGI ブルーエフィシェンシー クーペ(5速AT) | 668万円 |
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E350 ブルーエフィシェンシー クーペ(7速AT) | 865万円 |
E550 クーペ(7速AT) | 1095万円 |
カブリオレ
E350 ブルーエフィシェンシー カブリオレ(7速AT) | 913万円 |
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HISTORY
2009.05 | Eクラスセダンをフルモデルチェンジ エッジの効いたエレガントなデザインと質感を追求した新型Eクラス。ボディサイズもひとまわり拡大した。E300、E350、E550の3機種を設定。 |
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2009.07 | Eクラスクーペを発売 14年ぶりに復活したクーペで、2ドアながら4人がくつろげる室内を実現。3.5L(E350)、5.5L(E550)を搭載。特別仕様車「デジーノエディション」も同時発売。 |
2009.08 | E63AMGを発売 525馬力を発生する6.2L V8を搭載したハイパフォーマンスモデル。湿式多板クラッチを採用したAMGスピードシフトMCTを組み合わせ、痛快な走りを実現する。 |
2009.10 | E250CGIブルーエフィシェンシーを発売 新開発の1.8L直噴ターボを搭載し、輸入車のガソリン車では初のエコカー減税対象車となる省燃費グレード。セダンのほか、クーペにも設定された。 |
E350 4マティックを発売 新世代フルタイム4輪駆動システムとエンジン出力やブレーキを制御する4ESPを採用したモデル。システムは小型・軽量化された。3.5L V6(E350)を搭載する。 |
2010.02 | E350ブルーテックを発売 ブルーテックと呼ばれる先進のクリーンディーゼルを搭載。この3L V6ターボは、ガソリンの5Lクラスのトルクを発揮し、燃費やCO2排出量を大幅に低減する。 |
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Eクラスステーションワゴンを発売 スタイリッシュな外観と高い機能性が自慢のステーションワゴン。「SRSぺルビスバッグ」を始めとする最新の安全装備も充実。エンジン設定はセダンと同じだ。 | |
2010.04 | Eクラスカブリオレを発売 1年中快適なオープンドライブが可能な装備「エアキャップ」や「エアスカーフ」などの装備が採用されるオープンモデル。エンジンは3.5L V6のみの設定。 |
2010.08 | Eクラスを一部改良 全車のフロントバンパー内にLEDドライビングライトを搭載したほか、セダン全車に側面衝突時に乗員にかかる負荷を低減する「SRSぺルビスバッグ」が装備された。 |
2011.01 | 特別仕様車「125!エディション」を発売 自動車生誕125周年を記念した特別モデル。18インチアルミやスポーツサスなどを含むエクステリアスポーツパッケージ、メモリー付きパワーシートなどを装備。 |
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2011.04 | 特別仕様車「125!エディション」に7速ATを搭載 1月に発売された「125iエディション」のミッションが5速ATから7速ATに変更された。これにより燃費効率を最大で17%高め、エコカー減税車の認定を受けた。 |
2011.07 | E350クーペ/カブリオレを一部改良 新開発となる3.5L直噴V6「ブルーダイレクト」エンジンと高効率ミッション「7Gトロニックプラス」を搭載。最高出力を高めながら燃費を大幅に低減している。 |
より快適な移動空間とするべく、先進装備の数々を奢ったインテリア

アッパーミドルのど真ん中に鎮座するEクラスだけに、パッケージはセダンの正攻法。心と体を自然とリラックスさせ、くつろいだドライビングを楽しめるキャビンとしている。W211からW212への世代交代では、セダンとワゴンはホイールベースを20mm、全幅を35mm拡大したが、ここで生まれたゆとりのほとんどがキャビンの拡大に活かされ、快適度がより高まった。
そして、コクピットデザインも大きく変身。Sクラスなどでおなじみのダイレクトセレクト(E250、E63AMGを除く)や、7インチワイド液晶ディスプレイを導入し、マン・マシン・インターフェイスを一段と進化させたのが見どころだ。と同時に、全体のクオリティレベルも引き上げられた。
当然のように高級装備は充実していて、前後左右独立調整のオートエアコンやCOMANDシステム、パークトロニック(駐車アシスト)をはじめ、前席パワーシート(上級モデルはメモリー付き)を全車に標準装備。加えてガソリンV6&V8モデルは、キーレスゴーや電動チルト&テレスコピックステアリング、イージーエントリーも標準だ。
そして高人気なのは、E250&E550アバンギャルドに標準、E350&E350ブルーテックのアバンギャルドにオプションで設定されるAMGスポーツパッケージ。内外装をAMG流のスポーティーセンスで仕立て、18インチタイヤや強化型ブレーキを奢ったモデルだ。
アローデザインのウインカー内蔵ドアミラーは新世代メルセデスの証。
2010年8月の改良時にLEDドライビングランプを採用した。
ブルーテックはクリーンディーゼルの代表格。
見やすい3眼式メーター。液晶ディスプレイの情報も充実。
人気のAMGスポーツパッケージは前後異サイズの18インチタイヤを標準装備。
HDDナビとAVシステムを統合したCOMAND(コマンド)システムのコントローラー。
セダンとワゴンの主要モデルに、コラム式ATセレクターのダイレクトセレクトを採用する。
セダンのトランク容量はモデルにより若干異なり515~540Lとなる。E250とブルーテックを除くモデルは分割可倒機構を採用。
上質な乗り心地と鉄壁の安全性を実現する数々のハイテク装備
シャシーは確実に進化。油圧セレクティブダンピングシステムの「ダイレクトコントロール」が導入され、舵角に応じてギヤ比が変化する「ダイレクトステアリング」がセダンとワゴンに採用された。また、E550にはAIRマティック、E63AMGにはリヤエアサスの専用スポーツサス、クーペ系の「ダイナミックハンドリングパッケージ」装着車には電制可変ダンパーが採用される。そして安全メカも充実。夜間の安全を高めるアダプティブハイビームアシストや、万が一の衝突時に歩行者を保護するアクティブボンネットは、とくに注目すべき装備だ。
E250CGIは、日本では久々の4気筒Eクラス。でも直噴ターボを採用し、2.5L級のパワーと3L級のトルクを発揮する。
サスは、フロントが3リンク式ストラット、リヤが熟成を重ねたマルチリンク。速度などに応じてパワステのアシスト量を調整するパラメーターステアリングを全車に採用する。
運転席ニーエアバッグに加えて、腰椎や骨盤を衝撃から守る前席ペルビスバッグも採用。万全の対策がメルセデスらしい。
サイズを感じさせない軽快さと落ち着いたフィールは唯一無二

膨大なバリエーションを抱えるEクラス。心臓だけを見ても、セダンとワゴンは204馬力(E250)から524馬力(E63AMG)までの5種を用意するのだから、走り味が多岐にわたるのは当然のことだ。
だが、基本となるテイストは、同じベクトル上にある。どのEクラスに乗っても感心させられるのは、ボディ寸法から想像するよりも日常の取りまわしが楽で、高速クルーズをリラックスした気分で楽しめるところ。メルセデス、なかでも中核に位置するEクラスが、「最上のツール」と高く評価される所以はそこにある。
W210・・・W211・・・W212と進化するたびに、走りのダイナミックさを強化してきたが、クルマの動きはアバンギャルドでもアッパーミドルらしい落ち着いた味つけ。妙に乗り手をせき立てたりはしない。
そうした印象がより明確なのは、長めのリヤオーバーハングを持ち、セルフレベリング付きのリヤエアサスを採用(E63AMGを除く)するワゴンだ。適度なペースでロングクルーズを楽しむのに、これほど適したクルマはないと言ってもいい。
ハンドリングに関しては、ノーズが軽い4気筒のE250は素直なフットワーク、V8のE550やディーゼルのE350ブルーテックはどっしりと落ち着いた安定感(ハンドリングもけっして悪くない)が持ち味。V6ガソリンモデルは基本的に、その中間的な位置にある。
で、スポーティーなフットワークとルックスを重視するなら、注目すべきはAMGスポーツパッケージ採用のモデルだ。操舵感は全体に手ごたえ感を増し、高速域ではハンドルが中立でビシッと据わる感覚、ワインディングではハンドリングの正確性がグーンと高まるから、走りのダイレクト感を好む人に向いている。
ただし、AIRマティックサスが組み合わされるE550を除けば、18インチタイヤがもたらす乗り味はややハードめ。とくに低速域で、タイヤの硬さや重さを意識させられる。その傾向がもっとも顕著なのは、E250セダンのアバンギャルドだ。
対照的に、ノーマルサス+16インチタイヤの素のE300(セダンは受注生産)の乗り味は、じつにしなやか。往年のメルセデスに通じるたおやかな走りを堪能させてくれる。
BODY VARIATION
ステーションワゴン
高級ワゴンの第一人者。大きく、使いやすいラゲッジは、旅行やレジャーだけでなく、日常の場面でも豊かさやゆとりを提供する。ブルーテックの人気が高い。クーペ
CLKの後継車という位置づけだが、内外装デザインはW212・Eクラスの直系。一段と優美になった。そのうえで、扱いやすいボディサイズもキープする。
カブリオレ
ゴージャス感を漂わす高級オープン。ベースプラットフォームはCクラスと考えていいが、つくりや走り味は確実に格上で、贅沢な気分を味わわせてくれる。AMG
E63AMGは、世界を代表する超高性能セダン&ワゴン。心臓だけでなく、ATやシャシーも特別仕立てだ。日常使いができる従順さを兼ね備えているのもすごい。
今後急成長しそうな現行Eクラスの中古車市場
輸入中古車市場にとってEクラスの存在感は絶大だ。先代は物件数も膨大で、生産終了した現在でも良質な車両がそろう。では09年に登場した現行モデルはどうか。およそ2年が経過し、徐々に物件が増えているが、絶対数はやや不足気味。それでも入念にチェックすれば、お買い得と言えるプライスの車両も存在する。400万円台後半からねらえるケースも見受けられるので、仕様や年式にこだわらない人にはうれしいだろう。
市場に存在するグレードの中心となるのはE250CGI、E300、E350の3モデルで、いずれも同じくらいの数。一方でE550やAMGはごくわずかしか存在しない。ところで現行型はクーペやカブリオレが設定されるのも魅力だが、これらの中古車もまだ少ない。ねらい目はセダンのV6モデルだ。
特別仕様車の「125!エディション」に注目
Eクラスのような高級車でも、ユーザーのエコカー減税への関心は高い。ということで、今とくに人気を集めるのはその対象車。E250CGIブルーエフィシェンシーのセダンアバンギャルド&ステーションワゴン、そして7速AT採用の特別仕様車「125!エディション」と、セダンとワゴンが揃うE350ブルーテック・アバンギャルドがこれに該当する。
とくに光るのは、ATが5速から7速になって走り、燃費、快適性のすべてが大きく進化した「125!エディション」。今風のダウンサイジング思想でEクラスを選ぶなら、こいつで決まりだろう。で、ワゴンフリークやロングラン派にお薦めなのは、クリーンディーゼルのブルーテック。E350は現時点では、新世代V6の投入を待つのが賢明と思われる。