車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.12 / 掲載日:2010.05.27
【徹底紹介】メルセデス・ベンツ Cクラス
メルセデス・ベンツ Cクラス×中山エミリ
環境技術ブルーエフィシェンシーは自動車のこれからを見据えた新しい価値を提案する

写真●内藤敬仁 ヘアメイク●土橋大輔 スタイリスト●長谷川睦子 衣装協力●rev k shop TEL:03-3407-0131
メルセデスのもっとも小型なサルーンであるCクラス。
そこには、まじめなクルマ造りの伝統と次世代に向けての革新性が共存していた
伝統を受け継ぎつつ進化したコンパクト・メルセデス
「メルセデスらしさ」のカギは人それぞれ。だが、後輪駆動のドライブトレーン、3BOXセダンを基本とするボディ体系という“伝統”に、こだわるファンは多い。となると、FFのAクラスやBクラスは異端か、新種という扱い。190シリーズから発展し、現行のW204で3代を数えるCクラスが、もっとも身近なメルセデスということになる。
W203からの世代交代は07年だが、話題を呼んだのはルックスの変化だ。ピーナッツアイ採用の先代は柔和な印象だったが、W204はカチッとシャープなスタイルに変身。とくに目を引くのは、スリーポインテッドスターが中央に輝くSLグリルを採用するアバンギャルドで、Cクラスがスポーティに、若々しくなったことをわかりやすく物語る。
パッケージに関してはホイールベースを45mm、全幅を40mm拡大するなど、ボディを少し大型化したのが見どころ。目的は、室内空間の拡大と安全性向上にある。とはいえセダンで全長4585×全幅1770mmのボディサイズは、ライバルと比べればまだコンパクト。小まわり性も優秀で、メルセデス伝統のまじめなクルマづくりを今も継承する。
また、まじめといえば環境対応も見逃せない点で、直噴ガソリン+ターボの4気筒CGIモデルを09年秋から導入。「ブルーエフィシェンシー」の旗印を掲げて、エコの時代をリードする存在になっている。

アバンギャルド エレガンス
キャラクターの異なる2つのモデルを用意したのが、現行型Cクラスの特徴。エレガンスが従来のイメージを踏襲するのに対し、アバンギャルドはグッとスポーティ。
写真●内藤敬仁 文●森野恭行 GooWORLD お問い合せ●メルセデス・コール Tel 0120-190-610
Detail

10年 メルセデス・ベンツ C250CGI ブルーエフィシェンシー アバンギャルド(5速AT)
全長×全幅×全高 | 4585×1770×1445mm |
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ホイールベース | 2760mm |
トレッド前/後 | 1535/1535mm |
車両重量 | 1550kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1795cc |
最高出力 | 204ps/5500rpm |
最大トルク | 31.6kgm/2000~4300rpm |
サスペンション前 | 3リンク |
サスペンション後 | マルチリンク |
ブレーキ前・後 | ベンチレーテッドディスク・ディスク |
タイヤサイズ前後 | 225/45R17 |
新車価格
C200CGIブルーエフィシェンシー(5速AT) | 440万円 |
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C200CGIブルーエフィシェンシー エレガンス(5速AT) | 485万円 |
C200CGIブルーエフィシェンシー アバンギャルド(5速AT) | 492万円 |
C250CGIブルーエフィシェンシー アバンギャルド(5速AT) | 567万円 |
C300アバンギャルド(7速AT) | 630万円 |
C63AMG(7速AT) | 1060万円 |
C200CGIブルーエフィシェンシー ステーションワゴン(5速AT) | 460万円 |
C200CGIブルーエフィシェンシー ステーションワゴン エレガンス(5速AT) | 505万円 |
C200CGIブルーエフィシェンシー ステーションワゴン アバンギャルド(5速AT) | 513万円 |
C250CGIブルーエフィシェンシー ステーションワゴン アバンギャルド(5速AT) | 587万円 |
C300ステーションワゴン アバンギャルド(7速AT) | 650万円 |
C63AMGステーションワゴン(7速AT) | 1080万円 |
HISTORY
2007.06 | Cクラスセダンをフルモデルチェンジ 丸みのある先代からシャープなデザインになった新型(W204)。アバンギャルドとエレガンスでフロントデザインも差別化。エンジンは3機種設定された。 |
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2007.10 | 高性能モデル「C63AMG」を設定 新型のAMGモデルが登場。先代は5.4L V8だが、今回はAMGが手がけた6.2L V8を搭載。出力も大幅にアップし、457馬力を発生。フロントサスも専用設計された。 |
2008.04 | エントリーグレード「C200コンプレッサー」を設定 「エレガンス」や「アバンギャルド」が付かない素の「C200コンプレッサー」が登場。内装トリムや装備を一部簡素化することで価格を引き下げている。 |
2008.04 | Cクラスステーションワゴンをフルモデルチェンジ テールゲートの角度を立たせたリヤエンド、エッジの効いた面構成など、より重厚感が増した新型のワゴン。エンジンは、3Lが設定されない以外はセダンと同じ。 |
2008.07 | Cクラスの装備/仕様を一部変更 全グレードにSRSニーバッグやアダプティブブレーキライトなどを新採用したほか、一部モデルにダイナミックハンドリングパッケージが設定された。 |
2009.08 | 低燃費を実現する「C250CGIブルーエフィシ 「C250」のエンジンが2.5Lから1.8L直噴ターボに変更。トルクアップを果たしながら燃費を20%も向上した。また、ほかのモデルにも省エネ技術が採用された。 |
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2010.02 | 新たなエントリーグレード「C200CGIブルーエフィシェンシー」を設定 スーパーチャージャー搭載の「C200コンプレッサー」に代わり、1.8L直噴ターボモデルが登場。従来比で燃費性能を4%向上、二酸化炭素排出量を7%低減している。 |
わずかに拡大したボディサイズにより居住性を改善。装備もより充実

190シリーズを原点とするCクラスは、モデルチェンジのたびに少しずつボディサイズを拡大してきた。その成果は居住性に表れていて、W203に対してショルダールームを前席で40mm、後席で20mm広くし、後席レッグルームを11mm拡大することに成功。トランク容量も10L増しの440L(セダン)になった。
で、もうひとつの進化はインテリアの質感向上。樹脂類にしっとり感が加わり、メッキパーツの採用部位も増えた。写真は、ブラックバードアイメープルのウッドパネルと、チタニウムシルバー・メーターパネルを組み合わせたアバンギャルド。シートはレザーツインと呼ばれる人工皮革+ファブリックが標準だ。
このようにスポーティな装いのアバンギャルドに対して、エレガンス内装は上質感や落ち着きが特色。ウォールナットのウッドパネル、ファブリック地のシートが標準で、内装色はブラック、グレーに加えてベージュも選べる設定になっている。
もちろん装備の充実度も高く、HDDナビとオーディオ、テレビなどを統合したCOMANDシステムを全車に採用する。
C250とC200の最新型はリヤにCGI、フロントサイドにブルーエフィシェンシーのエンブレムを装着。
アバンギャルドの標準シューズは225/45R17。エレガンスは205/55R16だ。
アバンギャルドはいわゆるSLグリルを採用。
最新モデルは鏡面を大型化した新型ドアミラーを採用。アローデザインのLEDターンシグナルが目印だ。
HDDナビを核とするCOMANDシステムのコントローラー。
見やすい三眼式メーター。写真はアバンギャルド。
ナビモニターはスッキリと格納できるタイプを採用。
ATは全車ティップシフト付き。4気筒モデルは5速、6気筒以上は7速を採用する。
先代の基礎を発展させハイテク化で全方位に進化
プラットフォームの基本は先代の発展型。だが、ホイールベースやトレッドを拡大し、アジリティコントロールや車速感応式パワステ(ベースモデルを除く全車に標準)に代表される新技術を導入することで、操安性と快適性のバランス点を大きく高めることに成功した。安全面に関しては、8エアバッグやESP(挙動安定装置)、ヒルスタートアシストを全車に標準化。08年の改良時に運転席ニーエアバッグやアダプティブブレーキライトも加えて、守りをより強固にした。
ENGINE
メルセデスの直噴ガソリンはCGI。欧州ではV6自然吸気もあるが、日本では4気筒ターボからの導入だ。SUSPENSION
熟成を図った前3リンクストラット/後マルチリンク式サスを採用する。新搭載のアジリティコントロールはパッシブ制御の油圧式可変ダンパーで、確かな走りと快適な乗り心地を両立させる。BODY
高張力鋼板を多用して高剛性化と軽量化を両立。衝突安全性の能力も高度なもの。
ルックス同様、スポーティになった走り味

ルックスから思い描くとおり、W204世代となって、Cクラスは走りの印象もスポーティに変わった。その象徴は14.5とギヤ比をシャープに設定したステアリングで、応答遅れが気にならないリニアなハンドリングを実現している。アバンギャルド系では、スポーティな走り味はよりわかりやすい演出となる。
だが、反応はけっして過敏ではなく、高速域ではステアリングが中立で自然にしっかりと据わるから、長距離走行でもリラックスや安心を保つことが可能だ。また、導入当時のアバンギャルドは乗り心地がハードめだったが、モデルを重ねるごとに快適性が向上。熟成でバランス点をより高めた走りに、メルセデスの伝統や良心を実感することができる。
で、もうひとつのトピックは、排気量やシリンダー数の概念を打破するCGIブルーエフィシェンシーモデルの登場。コンプレッサー時代はまだ高級車の心臓になりきれていない印象があったが、直噴+ターボに進化した1.8L直4は、低回転のトルクがより強力になり、回転フィールやサウンドも上質に変身した。
加速時や高回転まで引っ張る場面では、より上質な味を提供するV6と7速ATのコンビに後ろ髪を引かれる面もあるが、CGIになったC250の動力性能はV6時代を凌ぐレベル。なのに燃費を20%も改善し、CO2排出を大きく減少させたのだから、CGIはまさに時代が望んだ技術といえる。加えて、ノーズの軽さが生む軽快な身のこなしも、CGIモデルの隠れた魅力となっている。
BODY VARIATION
ステーションワゴン
ワゴンもスポーティなルックスを持つ。にもかかわらずラゲッジは450~1465Lと十分な容量で、レジャーユースでもいい仕事をしてくれる。展開はセダンと共通。C63AMGも設定する。AMG
Cクラスの皮を被った怪物。6.2L V8は他の“63モデル”より控えめなチューンだが、C63には小さく、軽いボディという武器がある。0→100km/h加速4.5秒の速さはまさに圧巻!
初期のC200コンプレッサーがねらい目
輸入車のなかでもとくに人気が高いCクラス。それゆえ、登場から3年近くが経過しても価格は安定している。グレードの内訳を見ると、C200コンプレッサーがもっとも多く、350万円前後(セダンの価格)が平均相場となる。なお、C250は380万円、C300は430万円、ハイパフォーマンスモデルのC63AMGは790万円前後のプライスタグが付けられる。
現行型は、ボディタイプはセダンとステーションワゴンの2モデルで、先代に存在したスポーツクーペは設定されていない(欧州ではCLCに名称を変え、デザインを一新して継続販売)。中古車市場を見ると、物件数はセダンとワゴンの比率は4対1程度。ワゴンが割高となる。また、09年に登場したブルーエフィシェンシー系は、4月現在、数台程度存在していた。
ねらい目は、C200コンプレッサー。初期型ならば200万円後半だ。
エコからスーパースポーツまで選択肢は幅広い
C200がコンプレッサーからCGIに進化したことで、W204の魅力はさらに高まった。余裕や速さを求めるなら高過給圧型のC250CGIを選ぶのが正解だが、コストパフォーマンス重視の場合はC200CGIが本命となる。人気のアバンギャルドは“200”にも設定され、電制可変ダンパーとよりクイックなステアリングで構成されるダイナミックハンドリングパッケージや245/40リヤタイヤ、強化ブレーキ、AMGエアロパーツを標準装着する「AMGスポーツパッケージ」まで用意されるのだから、選択の幅は広い。
では、高級と上質にこだわるなら?心臓に重きを置くなら3L V6+7速ATのC300アバンギャルド、リラックス感に富む穏やかな走り味が好みなら標準サス+16インチのC200CGIエレガンス。エレガンスのグリルは伝統のデザインで、ルックス面でも旧来からのファンに魅力を訴求する。
MARKET DATA
グレード
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エントリーモデルである1.8L S/Cが全体の7割弱を占める。V6の物件は比較的少なめ。なかでもAMGを除けば最上級モデルのC300は探すのに苦労するかもしれない。09年からブルーエフィシェンシーが順次導入されたが、市場にはほとんどないようだ。
ボディカラー
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ドイツ系プレミアムブランドの文法どおり、ホワイト、ブラック、シルバーの3色がほとんどを占める。なかでもCクラスはホワイトの割合が多い傾向。しかし、じっくり探せばレッド、ブルーなどのレアカラーも見つけられないことはない。
年式
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デビューした07年のモデルが多い。さらに今年で車検を迎える車両が多いので、今後は一層この年式の物件が増えていくはず。ちなみにこの年式の平均相場は350万円前後。人気モデルだけに新車から値下がりの割合は少ない。今後の動向に注目だ。
走行距離
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日常使われることの多い乗用セダン/ワゴンだが、1万km以下の物件が4割と、低走行車が多い。伸びていても3万km前後だ。価格の相場は、走行距離および年式と比例して上がっていくので、少し距離が伸びた物件のほうがより安くねらえる。