車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2015.01.28 / 掲載日:2001.07.01
ホンダ インテグラ タイプR 中古車購入チェックポイント
ホンダ インテグラ タイプR
中古車購入チェックポイント
■全体のチェックポイント
タイプRは、レースサーキットでスポーツ走行が楽しめる仕様が、クルマ好きに人気がある。中古車は、実際にサーキット走行をしていたかどうかがポイント。特に初期型は3年を経過しているので、車体の疲労に注意。エンジンは、スムーズな回転が重要だ。車体まわりをはじめ、エンジンやサスペンションなど、走行に関わる部分などから異音が出ていないかも、できるだけ試走して、各部を念入りにチェックしよう。
1.全体の雰囲気から探る
車両からやや離れて、車体に映る周囲の景色を見てみよう。見る角度によって、歪みや凹み、あるいは波打っているのを見つけることもある。塗装表面が肌荒れ状態になっている場合も、事故を起こして板金塗装した修理跡かもしれない。正面、左右、上から、下から、見る角度を変えてみると、異常を見つけやすい。また、ナンバープレートは曲がっていないか?左右のヘッドライトの色は同じか?バンパーは車体とずれていないか?車体の切れ目の隙間(チリ)は真っ直ぐか?どこかがくすんでいたり、一部だけ艶が違って見えたら修理したことも考えられる。
2.固定している金具に注目
2.固定している金具に注目
インテグラの場合、フェンダー類は薄い鉄板の金具(ステー)を介して固定している。ステーは、ぶつかった時の衝撃を吸収するようになっているので、不自然に曲がっていないか、チェック。また、フェンダーを固定しているネジの頭の塗装に傷あるなど、工具を使ってネジを脱着した跡があれば、フェンダーを交換した可能性がある。フェンダーを交換していても事故車(修復歴車)扱いにはならないが、車体の前部を広範囲にわたって修理しているかもしれない。交換していなければ、大きな事故を起こしていないといえる。
3.ボンネットの交換は?
3.ボンネットの交換は?
車体前部をぶつける事故などでボンネットにまでダメージが及ぶと、新しいボンネットと交換することが多い。ボンネットを支えている金具(ヒンジ)を固定しているネジに工具をかけた跡を発見したら、ボンネットを交換した可能性が高い。ただし、まれにエンジンを修理するためにボンネットを外す場合もある。もし、エンジンの整備などのために外したのなら、記録が残っているはず。整備手帳を確かめてみよう。
4.不自然な部分や新しい部品
4.不自然な部分や新しい部品
ボンネットを開けて、エンジンルーム内各部の塗装の様子を観察しよう。車体と左右のフェンダーをはじめ、ラジエターを支えているラジエターサポートの色を見比べてみる。色の違いがポイントだ。一部だけ色合いが異なっていれば、修理して再塗装した可能性がある。周囲と比べて異常にきれいな部分も、修理した跡かもしれない。さらに、細部も観察しよう。ゴムホースやベルトなどの消耗部品の劣化や、オイルのにじみや汚れにも注意。周囲と比べて新しく見える部品は、交換している。整備手帳の記録を参考にすると、トラブルが発生した箇所や修理などの経緯がわかるはずだ。
5.前部のダメージ
5.前部のダメージ
フロントグリルの後ろにあるラジエターサポートと呼ぶ鉄板を観察しよう。前部をぶつけると、高い確率でラジエターサポートを修正あるいは交換することになる。歪みや手を加えた痕跡がないか、念入りにチェックだ。周囲と色が違っていたら、交換した証拠と思っていい。フェンダーとの接合部も、不自然なところはないか点検しよう。
6.左右を比べてみる
6.左右を比べてみる
車体側面のドア部分に損傷を受けると、ドア自体を交換してしまうことも多い。交換する際は、ドアを支えている金具(ヒンジ)を固定しているのネジを脱着するので、ネジの状態をチェックしよう。左右のドアを見比べて、一方のヒンジだけネジの頭に傷があるなど、工具を使った形跡があれば、脱着したことが疑える。ただし、新車組み立て時やドアの立て付けを調整するためにネジを回すこともあるので、ネジを脱着しているように見えても、必ずしもドアを交換しているとはいえない。
7.色と隙間を見る
7.色と隙間を見る
外板(車体の外側のパネル)の修理や交換をする場合は、再塗装したり新しい外板部品を塗装することになる。しかし、色合わせの作業は難しく、塗装した色調が微妙に合わないこともある。隣り合う外板の色が違っていないかチェックしよう。また、隣り合う外板の隙間を「チリ」と呼ぶが、新しい部品を組み付ける際に誤差が出ることがある。隙間の間隔が均一でなければ、どこかの外板を修正または交換した可能性がある。
8.給油口の蓋を外す?
8.給油口の蓋を外す?
車体後部にあるフューエルリッド(給油口の蓋)もチェックポイント。リアフェンダーを板金修理するために外すことがある。ネジを脱着した形跡がないか点検してみよう。また、フューエルリッドの色を参考にして塗料を調合するために外すこともある。取り外した形跡があれば、再塗装したり交換部品に塗装するなど、他の部分を修理したことも考えられる。
9.床下のダメージ
9.床下のダメージ
日頃あまり見ることがない、クルマの床下もチェックしよう。鉄板の歪みや部分的な変形をはじめ、マフラーなどの床下の部品類に傷や凹み、交換した形跡がないかどうかも探ってみよう。外観はきれいに修理しても、走行に影響がなく見えない部分は、そのまま手を付けていないことがあるので、大きなダメージを発見することもある。
10.支え金具と周辺をチェック
10.支え金具と周辺をチェック
リアドア(ハッチ)は面積が大きく、後部をぶつけるとダメージを受けやすい。修理や交換したかどうかの目安として、ドアを支えている金具(ヒンジ)と、ヒンジが接している車体部周辺をチェックしよう。まず、ドアがしっかり閉まるかどうか、確かめてみる。ドアが微妙にずれていたり、車体が歪んでいるせいで、スムーズにロックできないケースもある。そして、ヒンジを固定しているネジを見て、脱着した形跡がないか点検。さらに、車体側のヒンジの付け根に板金した痕跡や、周辺に歪みや凹みがないかも見てみよう。
11.溶接の状態でも修理歴がわかる
リアドア(ハッチ)を開けて、開口部を見ると、左右両側共に鉄板が横から回り込んで、スポット溶接で固定されている(小さな窪みが点状に並んでいる)のが見える。追突をはじめ、後部が変形するようなダメージを受けて修理した車両の場合は、溶接部分が均一に揃っていないし、車体の左右で違っている。また、板金塗装をしていれば、周囲と色の雰囲気が違って見えることもある。さらに確かめるには、鉄板の継ぎ目に盛って隙間を埋めているシール材を爪で押してみよう。表面が硬くても内部が柔らかい(爪で押すと「プチッ」と表面が割れる)ようなら、修理の際に新しいシールを盛ったということがわかる。
■点検記録に目を通す
点検記録簿などに記入されたデータにも目を通して、定期的に点検や整備を受けているかどうかもチェックしよう。詳細な記録が残っている車両は、走行距離が伸びていてもコンディションがよく、走行系の機能部分には大きな問題を抱えていないと推測できる。
■インテグラ・タイプRのコンディションはここで見極める!
1.異音や振動に注意
1.異音や振動に注意
エンジンを始動してみよう。異音が聞こえり、大きな振動が出ているようなら、トラブルを抱えている可能性がある。実際に走ってみるのが望ましいが、エンジンが暖まってからアクセルペダルを軽く煽ってみて、スムーズに回転が上下するかも試してみよう。
2.トランスミッションのチェック
2.トランスミッションのチェック
トランスミッションは、できるだけ試走して、異音が発生していないか、確実に切り替えができるかどうかを確かめること。タイプRはマニュアルトランスミッションなので、各ギヤにスムーズに入るかどうかと同時にクラッチの繋がり具合も、実際にシフトレバーを操作してチェックしよう。
3.ホイールとタイヤを調べる
3.ホイールとタイヤを調べる
走行距離とタイヤの減り具合を見よう。高年式車で走行距離が少ない場合、極端にタイヤの一部が減っている、いわゆる偏摩耗の状態に注意。アライメント(タイヤの取り付け角度)が狂っているだけなのか、あるいは事故で受けたダメージなどで車体が歪んでしまったのかを確かめる必要がある。また、タイヤの接地面だけでなく角や側面まですり減っていたら、激しい走り方をしていたと推測できる。その場合は、車体やエンジン、サスペンションなど各部に負担をかけていると判断できるし、走行に関わる部品などの消耗も進んでいるはずだ。また、メーカー純正以外の太いホイールとタイヤ、あるいはサスペンションを交換している(たいていは色が付いた目立つ部品が付いている)車両は、専門家に見てもらうほうがいいだろう。
4.扱い方を推測する
4.扱い方を推測する
バケットタイプのシートは、乗り降りによってサイドサポート部(座面横の高くなっている部分)がすり切れてくる。ひどくなると表皮が切れて中身が露出することがあるので、傷み具合をチェック。また、走行距離とインテリアの状態とのバランスを見てみよう。タイプRは古くても3年ほどしか経っていないので、汚れや傷が目立つようなら、扱い方が悪く、走行関係の整備状態にも疑問があるとみていいだろう。
■今回の車両のプロフィール
2001年7月から発売されているタイプRは、現行モデル。軽量化やしっかりした車体などに重点を置いたモデルとして開発されたこともあって、それまでのインテグラとはまったく違ったスタイリングとなっている。エクステリアには、フロント/サイド/リア/テールに専用のエアロパーツが装着され、インテリアには、レカロ製バケットシートやモモ製本革巻き小径ハンドルなどを装備。220馬力のエンジンに、クロスレシオ6速マニュアルトランスミッションやトルク感応ヘリカルLSDなどを組み合わせたスポーティな走行機構も、クルマ好きには魅力のポイントだ。isという160馬力仕様もある。