車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.10.24 / 掲載日:2014.10.23
【徹底紹介】ジープ グランドチェロキー

オンもオフも頼もしい大きく進化したSUV

高い快適性とステイタス性を兼ね備えるプレミアムSUVは、欧州ブランドの専売特許だと思ったら大間違いだ。なにしろ、アメリカの老舗4WDブランドであるジープは、63年にワゴニア、84年により豪華なグランドワゴニアを送り出しているのだから。年季が違うと言っていい。
そして、そうしたプレミアム系ジープのDNAを現代に継承するのは、言うまでもなくグランドチェロキーだ。93年に、大型&豪華版のチェロキーとして誕生して以来、4世代に渡って進化を続けてきた。
現行4代目のデビューは2011年モデルだが、そのモデルチェンジ手法はまさに革命的なものだった。なにしろ、リヤサスを5リンクリジッド式からマルチリンク独立式に全面変更し、ジープ初の電子制御エアサスまでを設定したのだから。
そんな驚きの世代交代の背景には、世間をアッと言わせたダイムラーとの合併がある。ダイムラー・クライスラーの蜜月は長くは続かなかった。だが、セダンの分野ではEクラス(W210)の技術を投入した先代クライスラー300C、SUVの分野ではMクラス(W166)と基本技術を共用する4代目「グラチェロ」を生み出したのだから、クライスラーにとっては得るものが大きかった。

でも、デザインなどはあくまでもジープ流。押しだし感の強いマスクや、直線基調の堂々としたフォルムを特徴とし、今のジープのフラッグシップに相応しいモダンな仕立てとなっている。2014年モデルではフェイスリフトを実施したが、ここで現行クライスラー300にも共通する薄目ヘッドライトを採用し、デザインの洗練度をより高めた。
なら、心臓の変遷は?先代は4.7L V8SOHCがメインだったが、現行型は286馬力を生む新世代3.6L V6DOHCを導入。当初は5速だったATを、2014年モデルからは8速として、性能と効率を一段と高めた点にも注目したい。
もちろん、伝統のV8OHVのHEMIエンジンも健在だ。サミットには352馬力の5.7Lを採用し、SRT8には468馬力/63・6kgmという途方もない性能を発揮する6.4L版を搭載する。こちらも最新型は8速ATとなり、パフォーマンスをさらに進化させている。
文●森野恭行 写真●GooWORLD
お問い合わせ●ジープフリーコール TEL:0120-712-812
Detail
ジープ グランドチェロキー ラレード(8速AT)
全長×全幅×全高 | 4835×1935×1825mm |
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ホイールベース | 2915mm |
トレッド前/後 | 1630/1635mm |
車両重量 | 2160kg |
エンジン | V型6気筒DOHC |
総排気量 | 3604cc |
最高出力 | 286ps/6350rpm |
最大トルク | 35.4kg m/4300rpm |
サスペンション前/後 | ダブルウィッシュボーン/マルチリンク |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ディスク |
タイヤサイズ前後 | 265/60R18 |
新車価格
グランドチェロキー ラレード(8速AT) | 450万3600円 |
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グランドチェロキー リミテッド(8速AT) | 569万1600円 |
グランドチェロキー サミット(8速AT) | 699万8400円 |
グランドチェロキー SRT8(8速AT) | 756万円 |
HISTORY
2011.03 | グランドチェロキーをフルモデルチェンジ 新開発3.6L V6を搭載する新型グランドチェロキー。エアサスペンションをオプション設定したのも新機軸である。 |
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2011.07 | 限定車「70thアニバーサリーエディション」を発売 ジープブランド生誕70周年を記念した限定車。20インチアルミホイール、木目調インパネ、レザーシートなどが採用される。 |
2011.12 | 2012年モデルを発売 従来のラインアップに加えて最上級モデルの「オーバーランド」を新設定。5.7L V8を搭載し、力強い走りが魅力。 |
2012.08 | 限定車「アルティテュード」を発売 エントリーモデル「ラレード」をベースにした限定車。クォドラリフトエアサスペンションを標準装備し、価格を抑えた。 |
2013.03 | SRT8を追加 6.4L V8を搭載する高性能モデルが登場。468馬力/63.6kgmという高い動力性能を持つ。外観、足まわりも専用設計。 |
2013.11 | マイナーチェンジ 内外装デザインをリニューアルしたほか、燃費と走りの性能を高める8速AT、タッチスクリーンなどの先進装備を採用。 |
洗練度を増してトータルの質感をレベルアップ

コマンダーのポジションもカバーするように企画された4代目は、先代と比べて全長、全幅とも大きめのボディを採用する。とくに注目したいのは2780mmから2915mmに延ばされたホイールベースで、キャビンの拡大にも貢献している。大柄な男性4人が、快適にロングクルーズを楽しめるだけの空間を有する。
だが、より多くのひとが高く評価するのは、全体にレベルアップされたインテリアの質感かもしれない。正直言って、先代はプレミアムSUVらしからぬチープな点もあったが、現行型では大きく改善されている。
さらに、2014年モデルでの改良も見逃せない。マルチディスプレイ(7インチカラー液晶を採用)を中央に配置するメーターパネルや電気式シフトセレクター、そしてUCONNECTを新たに搭載。グッとモダンなコクピットを完成させた。
なら、内装の仕立てはどうだろう?機能性重視のラレードはクロス地シートを採用するが、リミテッド、サミット、SRT8はレザーシートを標準装備する。とくにラグジュアリー指向が強いのはサミットで、レザーシートをプレミアムナチューラ・プラスタイプに格上げし、ハーマン・カードン製の19スピーカーオーディオシステムをおごっている。
ちなみに、リミテッド以上のモデルは、パワーリフトゲートや電動チルト&テレスコピックステアリング、前後席シートヒーターなどの快適&便利アイテムも標準で装備する。
ラレードは高いコスパを誇るモデル。コイル式サスを採用し、235mmという余裕のロードクリアランスを誇る。
大柄なアメリカンSUVへの期待を裏切らない広大なラゲッジ。通常時で782L、6対4分割の後席を倒した際には1554Lの大容量を確保する。
2014年モデルから8.4インチタッチスクリーンを核とするUNCONNECTを全モデルに導入。オーディオやエアコンなどを、音声操作でもコントロールできる。当然、ハンズフリー通話機能も持つ。
タフなオフロード性能は使いやすさも手に入れた
都会派指向を強めても、なお正真正銘のジープであることを証明するのは、SRT8以外のモデルが搭載するローギヤ(副変速機)付きのタフな4駆システムだ。その操作は一気にモダンになり、ダイヤルにより5つのモードを簡単に切り替えられるようになった。ローレンジの選択やヒルディセントコントロールの作動、さらにはエアサスの車高調整もスイッチ操作でスマートに行える。それが、最新「グラチェロ」自慢のセレクテレイン・トラクションマネジメントなのだ。オフロード走破性は折り紙付き。
V6モデルとサミットの4駆メカはセレクテレインシステム。ロータリーダイヤルにより「スポーツ」から「ロック(岩場)」までの5つの走行モードを簡単に選択できる。
サスは前がダブルウィッシュボーン、後ろがマルチリンク式。クォドラリフト・エアサスをリミテッドとサミット、アクティブダンピング機構をSRT8に搭載する充実の内容だ。
ナチュラルで快適な走りのフィーリング

アメリカンSUVというと、大味なイメージを抱く人が多いが、4代目となった「グラチェロ」の走りはビシッと決まっている。中立で自然に据わるフィーリングのいいステアリングや、しなやかに凹凸を吸収して高いロードホールディング性と良質な乗り心地を保つサスペンションは、とくに印象的だ。ひと言で言えば、基本がしっかりつくられている。
走りと快適性のバランスを考えれば、とくに出来がいいのはリミテッドとサミットに搭載されるクォドラリフト・エアサス。乗り心地の快適度は高級サルーンに迫るレベルで、車高15mmダウンの「エアロモード」となる高速域では、高い安定性と安心感をもたらしてくれるのだ。
で、いかにもジープらしいのは、2つのオフロードモードを設定しているところ。最大で276mmのロードクリアランスを確保することができるのだから、なんとも心強い。
また、新世代の3.6L V6の完成度も高い。中高回転域まで元気に吹ける活気ある性格を持ち、回したときのサウンドもスポーティなもの。車重はリミテッドでは2.2トンに達するが、どんな場面でも満足のいく動力性能を発揮する。そこで燃費にも注目すれば、JC08モード値はV6が8.6km/L、5.7L V8が6.4km/L。やはり、差は小さくない。
クオリティアップによってリーズナブル感が高まった
コスパ重視のひとや、オフ走行を存分に楽しみたいひとには、400万円台半ばの価格を実現したラレードをお薦めする。そこにプレミアム性を加えたいのならリミテッド。「やっぱりV8」という場合は、サミットが最有力候補となる。で、怒濤のパフォーマンスに酔いしれたいのなら、「ワル」なルックスも魅力のSRT8。6.4L HEMIは落雷をイメージさせるバラついたV8サウンドも最高に刺激的だ。なお、V8は可変シリンダーシステムを採用。低負荷域では4気筒となり、燃費をセーブする機能も持つ。
中古車市場データ
中古車市場データ
お買い得感のある相場形成となっている。2013年の11月下旬からリリースされたマイナーチェンジモデルはまだ下がらず、2013年、2014年の高値を引き上げている。