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更新日:2020.01.07 / 掲載日:2018.06.25
【トヨタ】自動車をより強固に安全にする「ホットスタンプ材」とは
グーネット編集チーム
安全性能と走行性能を高めるにあたり、より強固なボディ構造と構成部材が求められます。
新型プリウスを皮切りに採用された、トヨタの新型プラットフォーム「TNGA」。TNGAは「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー」の略で、新型プリウスに次いで、SUVのC-HRやプリウスPHV、新型カムリに続々と採用されています。
TNGAプラットフォームを支える造りのひとつに、通常の鋼板を凌ぐ強度を持つ超高張力鋼板である「ホットスタンプ材」の採用を大幅に拡大している点があります。
今回は、より強固で安全に寄与するトヨタのホットスタンプ材について、また、積極的に使用できるようになった背景について解説します。
ホットスタンプ材とは
車の骨格部材の随所に、高張力鋼板が使用されています。
鋼板を加熱し、特殊加工して作られた超高張力鋼板が「ホットスタンプ材」と呼ばれます。
超高張力鋼板は、一般的な鋼板と比較して、約4~5倍の引張強度を持っており、板の厚みを薄くしても通常の鋼板を凌ぐ強度が得られます。
同時に、軽量化にも貢献しています。一般的な鋼板の引張強度が300MPa程度であるのに対し、1,500MPaの強度を誇る超高張力鋼板を用いて、自由に部材をつくり出すことが可能となりました。
本来、超高張力鋼板は高強度のため、変形しにくく加工しづらい素材です。
しかし、鋼板を加熱して特殊加工できるホットスタンプ工法の開発により、超高張力鋼板をBピラー部分やロッカー部分など複雑な形状の部分にも積極的に使用できるようになり、より強固なキャビンとボディ構造を実現しました。
ホットスタンプ工法は、平らな状態の鋼板を加熱し、熱した状態でプレス機にかけた直後に瞬間冷却して反発を抑制し、形状を固定化するものです。
この技術により、高い強度を誇る超高張力鋼板を用いて、自由に部材をつくり出すことが可能となりました。
トヨタは、今回新たに、電気で熱を加える設備を導入して、ホットスタンプ工法の実現をしています。
プリウスのホットスタンプ材適用拡大で衝突安全面に貢献
ホットスタンプ工法の採用により、Bピラーやロッカーといった面積の狭く、また複雑な部品への加工が可能になったため、3代目プリウスでの使用範囲が3%だったのに対して、4代目プリウスでは19%に大幅拡大されました。
高強度な超高張力鋼板であるホットスタンプ材を、乗員を守るキャビンまわりに多く使用できることにより、衝突安全面にも大きく貢献しています。
TNGAプラットフォーム採用のホットスタンプ材採用拡大の車種
ホットスタンプ材が採用されている車種は次の通りです(2017年12月現在)。
・プリウス
・プリウスPHV
・C-HR
・新型カムリ