今度こそVWゴルフを超えたか！？　オーリス、マイチェンで1.2Lターボを搭載！！

【本記事は2015年5月にベストカーに掲載された記事となります。】4月6日にマイチェンしたオーリスは、もともとキーンルックを採用したフロントマスクだったこともあり、カローラほどの「変身感」はないものの、よりいっそうキーンルックを強調したフロントマスクは洗練された印象だ。全長は55mm延長された4330mmとなったのだが、これは主にフロントセクションのデザイン変更によるものである。また、RSグレードではフロントグリルがハニカム調のデザインになるほか、フロントアンダースポイラーやリアアンダースポイラーを装着するなど、よりスポーティなルックスに仕上げられている。とまぁ、内外装の変更もあるのだが、それよりもなによりもオーリスマイチェンの最大のトピックスは、新グレード『120T』が設定され、これに新開発1.2L直列4気筒ターボエンジンが搭載されたということだろう。いわゆるダウンサイジングターボで、120Tはオーリスの最上級グレードとなる。

NEWオーリスに搭載される注目の1.2L、直4ターボ徹底解剖！！ベストカー読者の皆さまとしては、オーリスの内外装の変更よりも、「で、新たに搭載された直4、1.2Lターボエンジンって、どうなのよ！？」と、エンジンに興味津々なのではなかろうか！？ ということで、ここでは120Tに搭載される『8NR-FTS』エンジンについて、解剖していきたいと思う。

■1196ccの直列4気筒ダウンサイジングターボということで、なにやら3気筒！？ という先入観をもたれた人もいると思うのだが、今一度確認しておきますが、この8NR-FTSは直列4気筒である。ボア×ストローク＝71.5×74.5mmのほぼスクエア（ほんのちょっとロングストローク）で総排気量は1196cc。圧縮比は10.0である。同じ1.2Lダウンサイジングターボで世界を見渡すと、VWゴルフとルノールーテシアは4気筒でミニONEとプジョー308は3気筒を採用する。「小型軽量化という観点では3気筒ということも視野に入れましたが、振動対策などを考えると4気筒。今回は、オーリスというクルマに搭載することも考えて、質感も重視して4気筒で行く決断をしました」と言うのは開発を担当した山田哲ユニットセンター・エンジン設計部エンジン企画3グループ主査。エンジン本体の重量は、ターボや水冷インタークーラーなどの補機も含めて114kgで、これは従来の1.5L NAエンジンとほぼ同じだという。「効率重視ならば間違いなく3気筒なんだけど、トヨタの場合、この120Tをプレミアムグレードにしたいという狙いがある。だとすればフィーリング重視で4気筒という選択は正しいだろうね。このエンジンは4気筒にしてはコンパクトにまとめられているし、重量も小さい。サイズや重量面でのデメリットが小さいのなら、4気筒のほうがいいと思う」と鈴木直也氏。

■116ps／18.9kgmでJC08モード燃費は19.4km／Lパワースペックを確認すると、最高出力116ps／5200～5600rpm、最大トルク18.9kgm／1500～4000rpmでJC08モード燃費は19.4km／Lとなる。「1.8Lクラスの走りを1.5Lなみの燃費で実現する」（山田主査）というように、最大トルクの数字は1.8LクラスのNAエンジンを上回り、2Lクラスの数字を実現。オーリスRSに搭載される1.8L NAエンジンは144ps／18.4kgmなので、トルクでは完全に1.8Lを上回っている。実際に乗ったわけではないのでなんともいえないけれど、車重1300kgということを考えれば、充分にパワフルな走りを楽しむことができるだろう。ちなみにVWゴルフTSIコンフォートラインの1.2L、直4ターボは105ps／17.8kgmでオーリスよりもパワー的には小さいが充分トルクフルな走りを味わえる。気になる燃費はJC08モード値で19.4km／L。ゴルフの21.0km／Lには負けているものの、ミニONEの6AT車の18.2km／Lには勝っている。3気筒ターボのプジョー308は16.1km／Lなのでオーリスの圧勝。

「通常運転時にはアトキンソンサイクルとして、過給と合わせてポンピングロスの低減を実現しています。バルブタイミングは連続可変で、作用角を拡大させています。熱効率は36％向上しています」と山田主査は説明。タービンはビックリするほどコンパクト。最大過給圧は200kPa（約1kg／cm2）。燃費について鈴木直也氏は以下のように分析する。「せめてゴルフの21.0km／Lは超えてほしかったね。でも、大切なのはモード燃費よりも実燃費。こればかりは走ってみなければなんともいえないんだけど、ある程度トルキーなフィーリングで気持ちよく走ってコンスタントに14～15km／L程度の実燃費が出れば、まあいいかな。過給をかけた乗り方をすると燃費はガクリと落ちそうだな。それと、18.9kgmの最大トルクであればレギュラー仕様にしてほしかった。ハイオク指定にするのなら、リッターあたり200Nm、つまり1.2Lターボならば24kgm程度のトルクが欲しいところだね」と。

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