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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.28
日本人が待っていた5ドアのBMW MINI初試乗!
ハッチバックはやはり5ドア

ラインアップは192ps/28.6kgm(オーバーブースト時30.6kgm)を発生する2L直4ターボのクーパーS(6ATのみ、350万円)と136ps/22.4kgm(オーバーブースト時23.5kgm)のクーパー(6ATのみ、298万円)の2グレード。両グレードともに3ドアに比べたったの18万円高
【本記事は2014年11月にベストカーに掲載された記事となります。】10月2日発売、価格は3ドアの18万円高!軽自動車であれB~Cセグメントであれ、ハッチバックとあらば5ドアの用意がなければ話が始まらない。そんな日本市場にあって、ミニが3ドアで健闘していたのは、オリジナルの存在に日本人が強い親近感を抱いていたからだろう。が、さすがにマルチドアモデルの選択肢が増えれば、販売動向はそちらに傾くのは致し方ないわけで、現在はクラブマンやクロスオーバーといった派生車種群の総計が、3ドアの販売台数を上回るのが現状だ。
ミニシリーズに5ドア登場

そんななか、ミニシリーズを検討する向きにはさらに悩める選択肢として5ドアモデルが10月2日から発売開始となった。5ドアのラインアップはクーパーとクーパーSでいずれも6ATのみ。価格はクーパーが298万円、クーパーSが350万円と、各グレードともに同グレードの3ドアの18万円高で、かなり魅力的な価格設定である。
3ドアに近い5ドア

全高が15mm高いが、デザインは3ドアとほぼ変わらない!
今回はひと足早く、ミニ5ドアの国際試乗会へ参加してきたので試乗レポートをお届けしたい。試乗会の開催地は、ミニの聖地オックスフォード郊外。その周辺にある英国特有のカントリーロードで徹底チェックした。3ドアモデルをベースにかぎりなくそれに近いサイズやプロポーションを持ちながら、純粋に後席ドアが追加されたカタチとなるミニ5ドアは、車格はミニクロスオーバーより小さく、サブのドアが右側のみとなるミニクラブマンよりも室内へのアクセス性で勝り走りの軽快感はかぎりなく3ドアに近いという個性をセリングポイントとする。

ミニクーパー5ドア(6AT)298万円
ボディサイズは全長4000(クーパーSは4015mm)×全幅1725×全高1445mm。サイズをわかりやすくいえば、全長3955mmのフィットや全長3995mmのアクアよりも大きい。全長はミニ5ドアが3ドアに対して、165mm長く、そして70mm延長されたホイールベースの伸びしろはそのまま後席周りの居住性へと充てられ、足元スペースは72mm広がるほか、ルーフデザインやトリムの工夫で天井高も15mm、室内幅も最大値で61mm拡張されている。また、後席を倒さずとも使えるラゲッジスペースの容積は、3ドアモデルの約3割増、278Lを確保と、総合的なユーティリティは大きく向上したとみていいだろう。対するクロスオーバーは全長4105×全幅1790×全高1550mmと、クロスオーバーがミニ5ドアに比べ、全長が105mm長く、全幅が65mm広く、全高が105mm高く、そしてホイールベースが30mm大きい。加えて室内高も高いぶん若干アップライトに座ることもあって後席への足入れのしやすさ、前後左右の広々感および荷室容量は確実に5ドアより上という印象だ。つまり大は小を兼ねるという観点でクロスオーバーやクラブマンを選ぶのもありはあり。いずれのモデルも、パブリックな駐車場での寸法規定に引っかかることはまずないと考えれば、ミニ5ドアは生活ジャストサイズのユーティリティと3ドアと見まごうデザインが欲しい人のために最適な選択肢ということになるだろうか。
3ドア=5ドア

ミニ3ドア
3ドアのミニと走りは違うのか?加えてミニ5ドアの、クロスオーバーやクラブマンと決定的に違うポイントといえば走りの質感が挙げられる。ミニ5ドアの運動性能は試乗したかぎり、寸法上の不都合は一切感じられず、かぎりなく3ドアモデルと同等だと思ってもらって差し支えない。開発側もホイールベースの延長ぶんをカバーするアジリティを追求しながらサスペンションのセットアップを変更し、3ドアに対して遜色のないゴーカートフィールを実現したとしている。いっぽうで、ホイールベースの延長が乗り心地面で3ドアモデルに対して巧く作用しているかといえば、正直なところ、その差はほとんど感じられなかった。試乗車が最もスポーティなセットアップが与えられたクーパーSだったことも影響しているかもしれないが、荷重増のうえで機敏な動きを実現するために足回りは若干引き締まった設定となっているため、結果的には相殺されたかたちということになるだろう。もっとも、アーキテクチャーが刷新されたミニは3ドアモデルであれ、ハンドリングと乗り心地の折衷点が非常に高いレベルにあるので、Bセグメントとしてみればあらかたの場面で快適性に不満を覚えることはない。特に舗装状態のよくない路面では、リアにマルチリンクサスを奢った4輪独立懸架ならではの、横揺れが少ないフラットな乗り味を実感できる。
5ドア期待大!

今年のジュネーブショーで公開された新型ミニクラブマン。現行の2ドア+1ドア+観音開きゲートから通常の4ドア+観音開きゲートに変更。まだコンセプトだが全長4223×全幅1844×全高1450mmとミニ最大
日本におけるミニ5ドアのグレード構成は1.5L3気筒のクーパー、2L4気筒のクーパーSという構成。パワーは136ps/192psとなるが、後席を常時使うという前提でいえばパワー的にも必要十分なところが確保されるクーパーがベストバランスとなるだろうか。同門でいえば、すでに今年3月のジュネーブショーでコンセプトモデルが発表され、2+1ドア+観音開きのゲートから、一般的な4ドア+観音開きゲートになったミニクラブマン以上にライバルとして想定されるのはクロスオーバーとの競合だが、同じクーパー同士の比較とすれば、エンジンの違いをどう評価するかもポイントとなってくる。5ドアの3気筒ユニットは実用回転域における音・振動など快適性の面ではクロスオーバーの1.6L4気筒とほぼ遜色がなく、そのうえで力強さでは大きく勝る。発進停止の多い街中走行はさておき、中高速での巡航といった定常的なアクセルワークにおいてはクロスオーバー以上の燃費が期待できるだろう。ユーティリティ的な余剰を我慢する代わりに得られるものは想像以上に大きい……というのがミニ5ドアを選ぶうえでのポイントとなる。いずれにしてもミニ5ドアは、日本での大ヒット間違いなしといえそうである。