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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.28
スバルWRX STI&S4電撃試乗!その走り異次元
待望の新型WRX

ボディサイズは旧型比、全長+15mm、ホイールベース+25mm拡大。全長4595×全幅1795×全高1475mm(ルーフアンテナを含む高さ)。大型リアスポイラー未装着、ガンメタリックの8.5J×18の鍛造アルミホイールが標準モデルのSTIの特徴。STIオーナメントはフロントメッシュグリル右側とリアエンド、フロントフェンダーには金属調のSTIフェンダーガーニッシュを装着
【本記事は2014年9月にベストカーに掲載された記事となります。】待ちに待った新型WRX STI&S4が8月25日から発売された。その発売を前に、スバルは富士スピードウェイを借り切り、我々プレス関係者向けにサーキット試乗会の機会を与えてくれた。そう、新型WRX STIとくれば、テストドライバーは、全日本ラリー選手権で6回のチャンピオンに輝いているSTI使いの勝田範彦選手以外にはいまい。さらにS4のテストドライバーとしてエボ親父こと、我らがレジェンド、竹ちゃんマンを招聘した。はたして2人のレジェンドはWRX STI、S4をどう評価するのか?試乗記を紹介する前に、WRX STIとS4について、概容を解説していきたい。先代のWRXはSTIの4ドア、5ドアに加え、ATモデルがラインアップされてきたが、今回の新型WRXシリーズにはスバルブランドを牽引するスポーツモデルのトップモデル、STIに加え、スバルはS4という、新たなスポーツセダンを提案してきた。このS4の詳細については後半ページに譲るとしてSTIから迫っていきたい。
ラインアップと価格

STI標準車とSTIタイプSの違いは大型リアスポイラーとビルシュタイン製ダンパー(フロントは剛性の高い倒立式)、STIの鍛造アルミホイールに対し、1本あたり1kg軽い18インチBBS製鍛造アルミホイール、オールウェザーパック(スーパーUVカット&撥水加工フロントガラスなど)の4つ。車重はSTIタイプSのほうがSTI標準車に比べ10kg重い。とにかく洗練されていて、作り、質感、完成度が高い
まずはラインアップと価格から。STIの標準グレードは379万800円、STIの装備に加えてビルシュタイン製ダンパー(フロント倒立式)やBBS製18インチアルミホイール、お馴じみの大型リアスポイラーを装備するのがSTIタイプSで価格は411万4800円。5ドアはなく、4ドアのみの2グレード展開である。STIとS4のボディ&シャシー、エクステリアは基本的に同一。究極のピュアスポーツモデルのSTIと新提案のスポーツセダンというキャラクターに合わせ、エンジンや4WD方式、トランスミッション、タイヤ&ホイール、ブレーキなど異なるメカニズム、装備を与えている。全長4595×全幅1795×全高1475mmというボディサイズも同じ。先代STI4ドアに比べ、全長が15mm、ホイールベースが25mm拡大されている。
信頼性の高いEJ20型フラット4ターボを搭載

STIは従来通りのEJ20型2Lフラット4ターボ!
エンジンは、モータースポーツで使うことを考慮し、信頼性の高いEJ20型フラット4ターボを搭載。308ps/43.0kgmのパワースペックは従来のままだが、エンジン特性を3つの特性に切り替えられるSI-DRIVEと連動し、どのモードにおいても素早く反応し、加速の軽快感を高めている。
マルチモードDCCDも先代からの継続採用

センターデフに機械式と電子制御の2つのLSDを内蔵しドライバーの好みや走行状況に応じてセンターデフの作動制限をコントロール
4WDもマルチモードDCCDも先代からの継続採用。センターデフに機械式と電子制御式2つのLSDを内蔵し、ドライバーの好みに応じてセンターデフの作動制御トルクをデフフリーの前41:後59から直結状態の間で変化させる。これにフロントヘリカルLSD、リアトルセンLSDを組み合わせている。
STI専用6速MT

メインロッドにディテント(戻りどめ)を追加してシフトレバーのニュートラルポジションのがたつきを抑えた。滑らかさと節度感を併せ持つ心地よいフィーリングを実現
トランスミッションはSTI専用6速MT。シフトのガタツキを抑え、シフトを入れた時の滑らかさと心地いいシフトフィールを実現している。
進化したボディ

ボディは各結合部を徹底的に強化。高強度&高剛性ボディのボディ骨格で足回りをしっかり動かすことで意のままに操れるコントロール性能と質感の高い走りを実現した。車体のねじり剛性係数は40%以上、曲げ剛性係数は30%以上向上。また約10mm重心高を引き下げ走行安定性と運動性能の向上に貢献
最も大きな変更が行われたのはボディ。フロントサスやフロントフレーム、サイドストラクチャーの結合構造を見直すことで操舵に対する応答性を向上。ねじり剛性係数で先代比40%以上、曲げ剛性で30%以上向上させた。床下部材もリアフレームとフロントフロア、サイドシルとの結合部強化、リアサスとボディの結合強化など多岐にわたっている。シャシー開発は「ステアリングレスポンス」、「リアグリップ」、「フラットライド」、この3つをテーマに掲げ徹底した剛性強化とジオメトリーの最適化により先代STI比でフロントトレッドの剛性は14%、リアトレッドは38%向上させている。ここまで進化していたとは驚いた!さて、こうした進化の内容を踏まえてSTIに試乗した、勝田範彦氏の印象を紹介しよう。
予想に反して軽快な走り

富士スピードウェイで、STIのノーマルとリアウイング付き&ビルシュタインサスペンションのSTIタイプSに試乗。試乗する前はボディが若干拡大されたこともあり速くなったように見えないと語っていた勝田さん。でも試乗を終えると笑顔で戻って来た……
ボディサイズが少し大きくなっているので、走りは大丈夫かなと不安だったのですが、乗ってみると、予想に反して軽快なのにビックリしました。富士スピードウェイの本コースを走って、一番に感じるのはブレーキング時に不安定さを感じないことです。1コーナーやシケインの手前で、ブレーキを思いきり踏んでも、先代のSTI5ドアなら、少し浮いて、どこかに行きそうになってしまうのですが、この新型STIはそれを感じません。コーナーの進入でオーバースピード気味に突っ込んでいってもアンダーが出るのですが、そこでアクセルを抜けばちゃんとリニアにインに入ってくれる。もの凄く素直なハンドリングだと思います。ステアリングレスポンスもいい。油圧パワステなのでクルマの動きがわかりやすく、グリップがあるうちは、意のままにトレースしたように曲がっていきます。ブレンボ製ブレーキも凄くいいですね。安定感が先代よりも増していますし、ブレーキの限界性能が上がっているのがよくわかります。ブレーキの限界性能が上がっているということはリアグリップが上がることにつながります。コーナーの進入時にブレーキを抜いた時、フロントがインに入り、リアがスーッと流れて挙動が乱れた時も、スパーンと行かずにゆっくりなので不安感はなかったです。すばらしい!EJ20エンジンは先代から基本的に変わっていませんが、アクセルレスポンスが確かに向上しています。欲をいえばもうちょっとリニアに反応してほしいですね。でもこれはあくまでも競技車レベルの話になってしまいますが………。先代STI5ドアは重心が高く、荷物を多く積んだ船という感じがしますが、このSTIは空荷の軽い船って感じがします。
STI標準車とSTIタイプSとの違いは

乗り心地のよさが特徴のSTIタイプS専用のビルシュタイン製ダンパー
■STI標準車とSTIタイプSとの違いは?ビルシュタイン製サスペンションを装着したタイプSは乗り心地方向に振られていますね。サーキットではKYB製ダンパーを装着したSTI標準車のほうがレスポンスがいい。タイプSはステアリングを切ってからの反応が鈍い。ダンパーの伸び側の減衰が低くて、伸び上がってきてしまいます。ところが外周路に出て試乗してみると、KYB製のSTI標準車はピッチングを感じます。サーキットではSTI標準車、街中&高速ではSTIタイプSですね。
これまでの歴代STIの進化の幅をポーンと飛び越えた

リアグリップを徹底的に高めて回頭性が先代に比べ大幅に向上 先代STIに比べ、その進化度は歴代の進化度に比べポーンとぬきんでていて、よく曲がり、俊敏でしかも安定性が凄く高いという
最後にS4&STI開発責任者の高津益夫さんに聞いてみた。「私のなかでは、これまでの歴代STIの進化の幅をポーンと飛び越えて、外れるくらいのところまで進化させた、といっても言い過ぎじゃありません。特にハンドリングには自信があります。ボディの曲げ剛性、ねじり剛性を上げたのが大きいと思います。ボディ剛性を上げたことによって、足回りがしっかり動くようにしましたので、よく曲がりますし、俊敏で、しかも安定性が凄く高い。海外仕様同士ですが、ランエボⅩと筑波サーキットのようなコースで比較テストをしましたがSTIのほうが速いです!」