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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.30
ビッグチェンジで現われたレクサスLSの「F」は本物か? ついにLSにも設定された走りのグレード「F スポーツ」の実力は?
すばらしいクルマに生まれ変わったのか?

【本記事は2012年12月にベストカーに掲載された記事となります。】先月、サンフランシスコで行なわれた先行試乗会で激賞されていたレクサスLSのマイナーチェンジモデルを公道で試す。果たしてすばらしいクルマに生まれ変わっているだろうか? 結論から書くと「確かにいいけど……」でございます。
LS460

まずはガソリン仕様のLS460に試乗
まずLS460のFスポーツから。Dレンジをセレクトして走り出すと、なるほどすばらしい! 実は’09年に行なわれたマイナーチェンジに匹敵する改良で、ショックアブソーバーを変更していた。この時点からLSの乗り心地は大きく進化していたのだけれど、今回さらによくなっている。
リニアなステアリングフィール

専用の足回りを持つことでノーマルよりも「走り」を重視したしなやかなセッティングとなるF SPORTS
試乗したグレードはハンドリング重視のFスポーツながら、サスペンションの動きが滑らかで上質。むしろ柔らかく感じるほど。それでいてコーナリング性能もすばらしい。ショックアブソーバーをキッチリ動かしているため、ステアリングフィールからしてリニア。初期型に乗っている人がハンドル握ったら、思わず「今までのLSは何だったんだ!」とウなることだろう。「BMWに勝るとも劣らず」、という評価は大いに納得出来ます。ウソ偽り誇張なく、BMW7シリーズの90%くらいの仕上がりになった。
正直なプレミアムモデルになったのか?

今回のマイチェンで最も大きなポイントとされるのがフロントマスク。スピンドルグリルの迫力が凄まじい
これだけよくなれば、大半の人は互角と評価するだろう。私も異論なし。ただしばらく乗っていると、いくつかの「?」を感じるようになってくる。レクサスが日本進出をした際、関係者は「正直なプレミアムモデルを作りたい」と言っていた。ドイツ車を見ると、同じエンジンで排気量だけ違うクルマを100万円以上の金額差をつけて売っている。レクサスはトヨタ車より高価なぶんを利益にするのでなく、機能や品質としてユーザーに還元したいと熱く語ってました。大いに納得す!それから7年。レクサスは正直なプレミアムモデルになったのか? 例えば40km/hであれば停止可能な緊急ブレーキシステム。機能を見ると10万円で買えるアイサイトと大差なし。なのにLSのオプション価格は105万円! ユーザーが事故に遭遇するのを防止したい、と願うのなら、買いやすい価格にするべきだと思う。しかも今やドイツ車では当たり前の装備になっている(BMW M5までエンジン止まる)アイドルストップも付いておらず。いろんな意味でレクサスはBMWやベンツより古い?
ハイブリッドのLSは?

続いてハイブリッドのLS600hにも試乗。ハイブリッドでさらに燃費もパワーも向上している
■ハイブリッドのLSは?続いてLS600hに乗る。このクルマ、本来ならメイン市場という位置づけだったアメリカの今年1月~9月の販売台数は、わずか41台。驚くほど少ない。地震による減産なく、リーマンショックからも回復していた’10年だって、日本の3733台に対し129台だ。今やメイン市場は明らかに日本。それなら日本市場を重視し、日本の速度域で徹底的に快適なクルマ作りをすればよかった。なのにこれまたドイツ車と同じ方向性のハンドリングや乗り味を目指してます。
ハードの一新をするべき?

けれど車重2.4トン! 速度域を上げると、ボディ剛性という点で厳しい感じ。バッテリーも今までと同じ容量ニッケル水素を使うため、回生エネルギーも充分に回収できていない。現行LSって’06年のデビュー。時代の流れの早さを考えると本来ならフルモデルチェンジに匹敵するようなハードの一新をするべきだったかもしれません。厳しいことを書いたが日本におけるLS600hの需要は根強い。そもそも普通に使っていれば積極的によいクルマである。今まで通り売れると思います。