中古車購入
更新日:2020.07.21 / 掲載日:2017.11.30
モデリスタ マークX+Mスーパーチャージャーの極上のフィールに思わずニンマリ
新しくなった+Mスーパーチャージャー

こちらがノーマルのマークX。+Mのほうがシックな仕上げ
【本記事は2012年11月にベストカーに掲載された記事となります。】トヨタマークXのマイナーチェンジに伴い、モデリスタから発売されているコンプリートチューンドカー“+Mスーパーチャージャー”も新しくなったので、山梨県の河口湖周辺で早速試乗してきた。
ノーマルでは実現できないホットな味つけ

右リアコンビの下に+Mのエンブレムが装着され、ただ者ではない雰囲気を醸し出している
メーカー直系カスタム工房たるモデリスタは、トヨタの市販車に飽き足らないユーザーの要求に応えるのが使命。デザイン面でもメカニズム面でも、ノーマルでは実現できないホットな味つけにトライしている。
目玉はスーパーチャージャーの装備

約20mmローダウン 20mmのローダウン、360ps/50.8kgmの強心臓により気持ちのいい走りを実現。フル加速中はミャーというスーパーチャージャー独特のサウンドを奏でる
今回試乗したクルマでいえば、横3本スリットのフロントグリル、よりアグレッシブなデザインのフロントスポイラー、サイドとリアのスカートで外観をモデファイ。“X”をかたどったフロントグリルがやけに目立つノーマルに対し、むしろスポーツセダンとしてはこちらのほうがオーセンティックな印象で、いわばシブめのデザインで決めたドレスアップとなっている。エンジンについては、車名のとおりスーパーチャージャーの装備が目玉だ。ボンネットを開くと専用デザインのエンジンカバーや美しくアルミ鋳造された吸気パイプが目に入る。このあたりの整然としたレイアウトや細部の仕上がりのよさは、メーカー純正といわれても納得してしまうレベル。用もないのについボンネットを開けて人に自慢したくなるようなメカ的魅力を備えている。トムス製のスーパーチャージャーはクランクプーリーからベルト駆動されるルーツ型で、エンジン右バンク下のスペースにコンパクトに収まっている。そこで過給された吸気は水冷インタークーラーと一体化された専用インテークマニホールドを経て、Vバンク間の吸気ポートに導かれるレイアウト。スーパーチャージャーは電磁クラッチによって必要に応じて断続され、アイドリングやアクセル開度の小さな時には燃費性能に影響を与えないよう配慮されている。注目のパフォーマンスだが、これはもう申しぶんのないレベルにあるとしかいいようがない。そもそも2GR-FSEはノーマルですら318ps/38.7kgmという高性能エンジン。3.5L級V6として世界レベルでもかなり上位にランクされるパワーユニットだ。それをスーパーチャージャーで過給してるんだから鬼に金棒。公表スペックは360ps/50.8kgmまでスープアップされている。ここで注目してほしいのは、馬力は13%アップとほどほどだが、トルクが31%も増強されていること。最大過給圧はおそらく0.4バールほどと思われるが、ブーストのピークを中低速寄りに持ってきて、過給ラグのないスーパーチャージャーの特性を生かしたダイレクトなトルク感を強調するセッティングとなっているのだ。パワーフィールはこのコンセプトどおりで、下のトルクをスーパーチャージャーが持ち上げ、回転上昇とともにだんだん過給フィールが薄くなり、GR系V6らしくスムーズに伸びるトップエンドにつなげてゆくという味つけだ。0~100km/h加速のようなシチュエーションを例にとると、パワーカーブがすごくフラットだから同乗のパッセンジャーにはあんまりチューンドカーっぽさを意識させないが、運転しているドライバーは100km/hまでの到達時間がノーマルよりずっと短くなっていることでその実力を体感するというタイプ。もちろん、最初の蹴り出しやシフトアップ直後のグイグイッとくる加速感は過給エンジンならではの力強さなのだが、荒っぽさとは無縁だから助手席に乗っているとあんまりスゴミを感じないのだ。
“普段は意外にジェントル”

タイヤサイズは245/40ZR19で、ホイールは19×8Jが奢られる。オプションで40万1100円
この“普段は意外にジェントル”というキャラクターは足回りにも共通していて、高速を100km/hでクルーシングしている時など、同乗のBCスタッフから「あれ? ノーマルのマークXより乗り心地が断然イイじゃないすか?」という声が出るほど快適性が高い。実際には、サスペンションには20mmローダウンのバネ/ダンパーキットが組み込まれ、タイヤは19インチホイール+ミシュラン・パイロットスポーツ3(245/40ZR19)がチョイスされているから、ワインディングを攻めた時の手応えはノーマルとは大違いなのだが、日常的なスピードではそういうハードな部分を不思議なくらい感じさせないのだ。強いてこのクルマに注文をつけるとすれば、高いロール剛性と圧倒的なグリップにリアサブフレームのマウントが負け気味で、荒れた路面で大きな横Gをかけると時として減衰しきれないバタつきが出ること。これはこの世代のトヨタFRプラットフォーム全体に見られる欠点なのだが、サスを固めてハイグリップタイヤを履くほどここにシワ寄せがくる傾向が高まるようだ。
価格

インテリアはノーマルのまま
さて、このモデリスタマークX+Mスーパーチャージャーの516万円というプライスをどう見るかだが、ぼくはなかなか絶妙な値付けだなーと感心。確かにマークXのエントリーモデルは250万円を切るから、そこを基準とすれば高い。しかし、同じプラットフォームのクラウンは3.5アスリートだと487万円する。価格的にはほぼ同レベルだ。ノーマルのクラウン3.5アスリートを選ぶほうが多数派なのは間違いないが、この種のコンプリートカー好きのクルマ観からすれば、モデファイの内容を考えたらこのクルマはむしろお買得に見える。クルマ好きに多様な選択肢を提供するという意味で、モデリスタはなかなかイイ仕事していると思うなー。