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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.30
ライバルステップワゴンと真っ向勝負!! 日産セレナSハイブリッドの実力は?
マイクロハイブリッドの効果はどれだけあるの!?

ライバルステップワゴンと真っ向勝負!! セレナSハイブリッドの実力は?
【本記事は2012年10月にベストカーに掲載された記事となります。】マイクロハイブリッドの効果はどれだけあるの!?ミニバン販売ランキングのトップを堅持するセレナに、さらに強力なカンフル剤として投入されたのがSハイブリッドだ。従来からセレナにはオルタネータを始動モーターとして兼用するアイドル停止システムが装備されていたが、Sハイブリッドの変更点はオルタネータを強化(発電150A→200A、出力1kW→1.8kW)し、補助電池(普通の鉛バッテリーだが充電バッファ用に適した特性を持つ)を追加したこと。このセレナSハイブリッドは商品力という点ではじつに魅力的なニューモデルだ。ほぼ価格据え置きにもかかわらず、JC08モード燃費15.2km/Lを達成し、減税ではなく免税をゲット。また、大仕掛けなハイブリッドと違ってバッテリー搭載スペースで荷室が狭くなるといったデメリットもない。いっぽう、対抗馬として持ってきたステップワゴンも、4月のマイチェンで新型CVTを投入するなど燃費性能を大幅アップ。販売ランキングでセレナを急追するライバルだ。先のマイチェンで達成したJC08モード燃費15.0km/Lは、この時点でのセレナ(14.6km/L)をしのぐクラストップの数値。
多様な走行で燃費計測

セレナSハイブリッドvsステップワゴン 車載燃費計ではステップワゴンが勝利満タン法ではセレナが好燃費だった!
■多様な走行で燃費計測今回はこの2台でシチュエーションごとに細かく燃費データをとりつつ、その乗り味を比較してみようというのがテーマ。音羽のBC編集部から一般道で東名用賀インターへ向かい、高速、山道などをおりまぜながら箱根をぐるーっと一周して帰ってこようという計画だ。燃費の詳細は次ページを参照ください。
燃費とドライバビリティ

シャープなステップワゴンに対しセレナは軽快なハンドリングで扱いやすさは互角だ
燃費とドライバビリティに注目してこの両車の走りを比較すると、特徴的だなぁと感じたのはステップワゴンのCVTシフトプログラムだ。最近のCVTのトレンドとしては当然だが、ステップワゴンは、とにかく動き出した途端に早め早めに高いギアに移行し、徹底してエンジン回転を低く保とうとする。これはもちろん、ポンピングロスを低減して熱効率を上げるためだが、エンジン側のトルク特性がよくないとここまで徹底できない。ステップワゴンのR20A型は、直噴でもなんでもないSOHC4バルブだが、アクセル開度1/3あたりまでの粘りは驚異的。ドライバーにストレスを感じさせることなく、きわめて効率よく燃費の目玉ゾーンを維持してくれる。これに比べると、セレナSハイブリッドのCVTは少し“緩い”印象があった。信号が青になってスタートするような普通の発進モードでも、いったんスッとエンジン回転が上昇してから車速が追いついてくるイメージ。ドライバビリティとしては軽快でぜんぜん不満はないのだが、ステップワゴンよりちょっとずつエンジンを多く回してる印象がある。
対照的な味付けの2台

100km/hはから追い越しをかけるとセレナSハイブリッドはすぐに回転を上げがちなのに対し、ステップワゴンはスロットル開度の浅いうちはなるべくトルクで持っていこうと粘る。エンジン特性も対照的な2台といえる
■対照的な味付けの2台感覚的にはセレナSハイブリッドの走りは軽快でいいんだけど、実用燃費をもっと上げるにはより穏やかなスロットルワークが必要なのかもしれない。そこでひとつの提案なのだが、「だったらもっとエコモードを活用したら?」と思う。最近のトレンドどおり、両車ともいわゆる“エコモード”を設定するスイッチが付いていて、われわれも当然のごとくそのモードで走ったのだが、セレナSハイブリッドに関してはエコモードとノーマルの差がほとんど感じられないのがもったいない。ここで、エンジン/CVT制御をもう少し燃費指向にメリハリを利かせたら、ドライバーに依存せず実用燃費が向上するような気がするのだがいかがだろう?パワートレーンの印象をひと言で表現すると、セレナSハイブリッド=繊細で軽やか、ステップワゴン=骨太で手応えアリというイメージだが、ワインディングを走って感じたハンドリングの感覚も似ている。
セレナは?

SERENA:1991年デビュー。4代目となる現行型は’10年11月に登場した。’11年の年間販売トップ
広々スペースが売りのセレナは、サスペンションは乗り心地重視と割り切った設定。だからといって山道でヨタヨタするわけじゃなく、ロールが大きめで操舵レスポンスはスローながら、穏やかで不安を感じさせないハンドリングにまとめている。
ステップワゴンは?

STEPWAGON:1996年デビュー。’09年10月に現行型の4代目登場。’10年の年間販売で11年ぶり首位
いっぽう、ステップワゴンは低重心が売り。ミニバンとしてはいかにも精悍だし、コーナリングも得意そうに見える。実際、ステアリングを切りはじめてからノーズが回頭していく一連の動きがとてもソリッド。低重心といってもスポーツカーとはワケが違うから、それ以上攻め込むと早々に前輪からグリップ限界に達するのだが、フィーリングとしてはうまくキビキビ感が演出され走りが楽しめる。徹底してファミリー向けにチューニングされているセレナSハイブリッドの商品企画のシャープさは見事だし、ミニバンだって走りが楽しいほうがイイじゃないというステップワゴンのメッセージも秀逸。いやー、この2台、ほんとうに甲乙つけ難いいライバルだなぁ。