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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.30
7月発表8月初旬発売決定 頼もしいリッターカー 三菱 新型ミラージュはたった870kg、ライバルを圧倒するJC08モード27.2km/L
予想外にいい加速性能を持つ

初代ミラージュ:1978年誕生のミラージュは三菱初のFF2BOXでS・スピルバーグの『未知との遭遇』とのタイアップを記憶されている方も多いだろう。いずれにしてもエポックなコンパクトカーで新型ミラージュは偉大な初代を超えられるか? 注目だ
【本記事は2012年7月にベストカーに掲載された記事となります。】予想外にいい加速性能を持つ三菱自動車にとって期待の星といえる存在が次期型ミラージュである。今や売れ筋のECOカーだし、何より久々の新型車。加えて先行販売されているタイで、早くも好調な売れゆきを見せているという。ベストカー5月10日号に1.2Lエンジンを搭載するタイ仕様の速報をお届けしたけれど、今回紹介するのは1Lエンジンの日本仕様(のプロトタイプ)。果たしてどんなクルマに仕上がっているだろうか?
コンパクトカークラスとして考えれば圧倒的な数字

シンプルでプレーンなコックピットデザインを採用し、広い視界を確保する。全車ワイドレシオとなった副変速機付CVTを採用している
車両解説は後回しにして試乗といきたい。エンジンを始動しDレンジをセレクトして走り出すと、予想外に元気いい。まだ車重を公表していないけれど、軽自動車と同等くらいしかない(870kg程度か?)ためだと思う。同じくタイで生産されるマーチはコストダウンのため高張力鋼板を使用しなかった。次期型ミラージュの開発担当者に聞くと「燃費を向上させるために高張力鋼板を多用させてもらいました」としっかり採用している。最近流行の副変速機付CVTも「元気のいい走り」に貢献している。ギアレシオをワイドに設定できるため、スタート時は低いギア比を使えます。アクセル全開すると3気筒独特の「ばい~ん!」という音を出しながら軽快に加速していく。ちなみにアイドルストップ付き(廉価グレード以外標準装備)を選べば停車中のエンジン振動なし。とはいえ滑らかでパワフルなエンジンかと聞かれれば「普通ですね」。つまり質実剛健なエンジンでございます。ただ燃費はすばらしい! 発表前なのに、JC08モードで27.2km/Lというデータを早くもプレスリリースに載せている。自信の表われか? この数値、すばらしいと思う。デミオSKYACTIVの25.0km/Lを軽く凌ぐだけでなく、フィットHVの26.4km/Lをも超えてしまう。ミラ・イースの30km/Lにこそ届かないが、コンパクトカークラスとして考えれば圧倒的な数字だ。
燃費だけじゃないミラージュの高性能

新開発の3気筒MIVECエンジン搭載 新型1L MIVECエンジンはGとMでアイドリングストップを装着。インテリジェントバッテリーセンサーが装着され、バッテリーの状態からも判断。アイドリングストップの作動頻度が向上した
燃費だけじゃないミラージュの高性能搭載されるエンジンは新開発と説明されているものの、三菱自動車によれば「スマートに搭載されている3気筒と親戚くらいの関係にあたります」という1Lの3気筒。出力やトルクに関しては未発表ながら、販売店資料によれば64ps/8.7kgmになるようだ。ちなみにタイで販売されているミラージュは3気筒1.2Lで78ps/10.2kgmだから妥当な数字か。弱点はアイドルストップ後の再始動時の音が多少賑やかなことです。感心したのは、ミラ・イースなどと同じ最小回転半径4.4mという取り回しのよさだ。試乗会場には縦列駐車と、テリー伊藤さんが「ココを走れるんですか!」とウナったほど狭いクランクのコース設定されていたけれど、試すとスイスイ走れてしまう。
新しい世代のベーシックカー

全幅1665mm:ボンネットの両サイドがよく見える親切な設計のため、狭い道でも運転がしやすい。またAピラーの位置が近いから視界もワイドだ
また、指定空気圧2.7kgと高いBSエコピアEP150を履いているにも関わらず、乗り心地良好。けっこうバランスのよいクルマに仕上がっていると思う。タイ製のマーチで大きな問題になったエクステリアやインテリアの仕上がりはどうか? 細かく見ていくと燃料補給口部分の塗装を省略していたり、ドアを車体に取り付けているボルトの色が違うなど、国産コンパクトカークラスの水準以下の部分もある。この点を開発担当者に聞いてみたら「次期型ミラージュの開発コンセプトは新しい世代のベーシックカーです。日本で生産したとしても、見えない部分の塗装は省略しました」とのこと。 しかし、興味深いのは「タイ製である」ということを隠していないこと。同じくタイで生産されているマーチの場合、日本のメディアに現地試乗を一切させなかった。私もタイで試乗したいとリクエストしたのだけれど、「品質面で問題があるので日本のメディアに乗せるな」という通達が出ていたそうな。日本発売後も、タイ製であることを表に出していない。しかし、今回三菱自動車は自信を持ってタイ製の新型ミラージュを売るという。この判断を100%支持したいと思う。東日本大震災の際、タイでは恵まれていない人達が住む地域でさえ、日本に対する義援金が集まったという。食費を削った貴重なお金を日本に送ってくれたのだった。世界有数の親日国です。何より品質のコントロールを日本でやるから、不具合の心配など不要。むしろガソリンを入れるたびにタイ人から「マイペンライ」(気にするな)と言われているようで楽しいかもしれない。