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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.30
スバル レガシィツーリングワゴンに久々設定された2Lターボ 2.0GT DITはベストなターボか?
09年来途絶えていたレガシィの2Lターボが新エンジンベースで再登場。そのできばえを国沢光宏が徹底解析!

18インチ専用アルミ、専用デザインマフラーカッター、専用エンブレムなどを装着する2.0GT DIT
【本記事は2012年6月にベストカーに掲載された記事となります。】09年来途絶えていたレガシィの2Lターボが新エンジンベースで再登場。そのできばえを国沢光宏が徹底解析!「全性能進化」を謳った今回のレガシィの改良。その目玉のひとつが、新たに追加された「2.0GT DIT」グレードであることは間違いない。搭載されるエンジンは、300ps/40.8kgmの出力を誇りながら、10・15モードで2.5GTグレードを2km/L上回る省燃費性能も獲得したという非常に力の入ったものだ。が、ここで気になるのがそのデキバエ。スバルは今時珍しいほどターボエンジン搭載車のラインアップが多い。前出の2.5GTもそうであるし、EJ20ターボを搭載する車種もインプレッサ、フォレスター、エクシーガがある。それらと比べてレガシィ2.0GT DITはどうなのか? 国沢光宏氏に詳しく解析してもらったぞ。
小排気量ターボ系を思わせるスムーズさ

充分な性能を持つEJ25ターボも、新型FAターボと比べると霞んでしまうという
小排気量ターボ系を思わせるスムーズささて、まずは2.0GT DITの総合的な印象から話を聞いた。FA型新直噴ターボエンジン+リニアトロニックCVTの組み合わせは、どんな走りを見せてくれるのか?正直なところ、試乗するまで期待度は低かった。なるほどスペックを見たら300psとパワフルながら、インプレッサにも308psエンジンが搭載されている。レガシィの車重を考えればソコソコ走るでしょうね、といった予想です。しかし! Dレンジをセレクトしてアクセル全開してみると、国沢光宏ぶったまげ! これほど速いとは思いませんでした。とうてい2Lと思えないほど。低い回転域からトルクが盛り上がり、そのまんまレッドゾーンに突入していく。いわゆる伝統的なドッカンターボじゃなく、最近世界的なトレンドになっている小排気量ターボ系なのだ。確かに圧縮比ひとつ取ってもインプレッサ用の8.0に対し、ターボなしエンジンといってもおかしくない10.6という高い圧縮比を持つ。気がつかないウチにトルク出て、そのまんま最後まで回りきってしまう感じ。エンジンパワー&トルクもさることながら、ハイパワーターボには珍しいCVTがすばらしい仕事をしている。アクセル全開にすると4800回転くらいでフル加速体勢に入るのだけれど、トルクを出しっぱなしのまま速度が乗っていく。シフトアップのたびに最大出力ゾーンから外れる多段ミッション車とはまったく違う加速なのだ。BMW328iの2Lターボと真正面から勝負しても負けないエンジンだと評しておく。
2Lターボの雄、インプSTIと比べると

唯一先代が継続販売されるインプSTI。走りのポテンシャルは今でも一線級のものを持っているが
2Lターボの雄、インプSTIと比べると2Lターボ搭載車と聞いて、真っ先に頭に浮かぶのは、やはりインプSTIの存在。308psの最高出力とWRCの血統からくる走りは、そうとう強力なものがあるハズだが……。インプレッサの2Lターボは「高性能ターボ」としちゃ、すばらしい仕上がりを持つが、前述のとおりドッカンターボ系。性能をフルに引き出そうとすれば「左足ブレーキ」に代表されるターボラグをカバーするテクニックを必要とする。しかも振動が少ないエンジンだと思ってきたけれど、レッドゾーンまでまったく振動を出さないFA20ターボを知ってしまうと、粗っぽさを感じるから面白い。長い間現役で頑張ってきたEJ20ターボながら、やっと後継者が登場した感じ。加えてクルマそのものもWRX STIは一世代前のシャシーを使う。路面のアンジュレーション(デコボコまではいかない路面のうねり)などを通過すると、安定しているレガシィに対しヒョコヒョコする傾向。考えてみたらインプレッサって新型が出ている。WRX STIが依然としてレガシィと同等の乗り味をキープできていれば、技術の進化なしということになってしまう。ハンドル握るとエンジン&シャシー共に古さが目立つ。そろそろFA系のエンジンを搭載したインプWRXに期待したい。
身内のレガシィ2.5GTと比べると

300ps/40.8kgmを発生するFA20型ターボエンジン。ブルーが配されたエンジンカバーも2.0GT DITの特徴だ
身内のレガシィ2.5GTと比べると現在レガシィはターボだけでも2Lと2.5Lが選択できるというある種、贅沢な状態。当然、どっちを選ぶのがベターなのか気になるワケですが……。教えて、国沢先生。レガシィ2.5GTに搭載されているEJ25ターボも基本設計は古い。もちろんスバルらしく改良に改良を重ね、無理なく最高出力285psを発生。35.7kgmを2000~5600回転で出す。ターボラグも気にならないレベルに仕上がっており、これといった不満なし。しかし新鋭FA20ターボと比べてしまうと、すべての点で届いていない。最も違うのはエンジンフィール。FA20に乗って心底感心したのは滑らかさ。アクセル踏み込んだ時から繊細なのだ。さすがの水平対向も、1シリンダーあたり600ccを超えると微妙な振動を出すようになる。左右のピストンやコンロッドの重量が数g単位で違うからだと思う。極端なことを言えば、4気筒と6気筒くらいの差を感じます。もちろん今や時代遅れになりつつある5速ATとCVTの差もあることだろう。もし同じ価格なら迷うことなくFA20ターボを選ぶ。
エンジン完璧。問題となるのは価格か?

写真はセダン、B4の2.5iアイサイト
エンジン完璧。問題となるのは価格か?さて、先ほど国沢氏から「同じ価格なら~」という発言があったが、2.0GT DITの不安材料に価格というのがある。国沢先生はどう考えるか?2.0GT DITの価格はワゴンで359万1000円。正直、ワタシはチト高いと考える。アイサイト付きの2.5GTワゴンは348万6000円だから10万5000円も高い。現状で2.0GT DITにはアイサイトもつかず。この状態で価格を含めて評価すると、いくらエンジンよくてもキビシイ。2.0GT DITを100点としたら、2.5GTアイサイトは110点です。おそらくアイサイト付きの2.0GT DITも年内には登場してくると思うので、その時が本当の勝負でしょう。そのアイサイト付き2.0GT DITを100点としたら、2.5GTは80点になると思う。価格も約10万円アップほどかと。
結論! スバルのベストターボはコレだ

充分な性能を持つEJ25ターボも、新型FAターボと比べると霞んでしまうという
結論! スバルのベストターボはコレださて、いよいよ最終結論。ターボモデルが豊富なスバルのなかの、ベストターボはどのモデルかを探ってみるぞ。エンジン単独の評価という点からすれば、FA20ターボはダントツでスバル製ターボ最上の仕上がりである。このエンジンを新型インプレッサに搭載したWRX STIなんか出てくれば文句なし! もちろん世界のスポーツモデルのトレンドである1.6L版でもよかろう。ただレガシィと組み合わせたら、けっこう厳しい。現行レガシィ、日本じゃ人気イマイチ。先代レガシィってBMWやアウディのように「大きくなくても上質」を追求したクルマだったものの、現行モデルになってアメリカで売るため、GMやフォードのようなコストパフォーマンス重視の姿勢が目立つ。すばらしいターボエンジンを搭載してきても、ウ~ン。ということでワゴンを求めていて、アイサイト不要という人なら現状でも選ぶ価値あるものの、スバルのベストターボは次期型フォレスターか、新型インプのWRX STI待ちとする。というわけで、やや高く感じる価格やアイサイトを選べないという状況もあり、手放しでほめるわけにはいかないが、ワゴン好きには価値があるという感じのレガシィ2.0GT DIT。担当個人的には「日本のワゴンはやっぱりレガシィだな」って感じたんだけどねー。
FB型2.5L NAも忘れるべからず

FB型2.5L NAも忘れるべからずさて今回は新登場のFA20および従来からのEJ系といったターボエンジンをフィーチャーしたが、2.5LのNAエンジンも従来のEJ型から新型のFB型に変更されている。出力的には170ps/23.4kgmから173ps/24.0kgmに若干向上した程度だが、低中回転域のトルクが向上したことで、より軽快な走行特性となっている。また、2.5iを除くグレードにアイドリングストップが装着され、アイドリングストップ装着グレードはエコカー減税およびエコカー補助金の対象にもなっている(2.5iアイサイトSパッケージは補助金のみ)ぞ。