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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.01
疾走!リーフ NISMO RC!!
「でも」に対するカウンターパンチ

その背中にはモータースポーツの未来がかかっている!?
【本記事は2011年7月にベストカーに掲載された記事となります。】エコまっしぐらな現在。環境に優しいことこそ正義とされ、ハイブリッド、電気自動車(EV)と、多くのクルマが登場してきた。しかしそれらのクルマ、キャラクターを説明する時、その大半に「でも」という言葉が使われてしまいがち。むろん、その「でも」に続く言葉は「面白くは……」というもの。そう、多くのクルマにとって、「環境に優しい」ということと「スポーツ」という要素を並立させるのは、やはり難しいことなのだ。しかし、今回ニスモが開発し、そのテスト風景を公開した『NISSAN LEAF NISMO RC』は、その「でも」に対する強烈なカウンターパンチになりえる一台だ。
Z33型フェアレディZのような迫力

カーボンモノコックが採用された運転席まわり。シートはBRIDEのフルバケットタイプが使われ、どこから見てもレースカーというスパルタンな雰囲気
日産のEV、リーフをベースとし、モーターやバッテリー自体は不変としながらも、カーボンモノコックによる大幅な軽量化、サス形式の変更、そして何より駆動方式のFFからMRへの変更などにより、もはや別物といった雰囲気を周囲にまき散らす『NISSAN LEAF NISMO RC』。低く構えたボディは、まるでスーパーGTに出場していたZ33型フェアレディZのような迫力だ。むろん、その迫力あふれるボディは伊達ではない。筑波サーキットでのベストラップは、1分7秒16。今回テスト風景が公開された袖ヶ浦フォレストレースウェイでは、1分17秒を切るタイムも記録している。このタイム、数字だけいわれてもピンとこないだろうが、例えば筑波を例にした場合、レクサスのIS F(423ps)と変わらないタイムということになる。最高速は150km/hと発表されているから、いかにコーナリング性能、そしてモーター+ミドシップによる加速とトラクション性能が優れているかの証拠といえるだろう。
クルマ好きの魂揺さぶる!

開発ドライバーを務めるのは、今シーズンのスーパーGTにGT-Rで参戦中の松田次生選手。アウトラップ含め14周のテスト走行を2回行ない、コンスタントに1周1分17秒台のタイムを記録した。レースペースをこれだけの周回キープするというのもEVからすれば驚異的なことで、バッテリーとモーターを冷却するラジエターが、いかに効果的に働いているかがわかる。テスト走行を終えた松田次生選手は、「コーナリングでのスタビリティも高いし、加速力はすごい。ドライブしていても、室内に回転の上昇とともに高まるモーターの音が入ってくるので、気分も盛り上がるんです。楽しいですよ。今後としては、変速機構が付くと、最高速も伸びると思うんですけどね」とコメント。少なくともこの『NISSAN LEAF NISMO RC』に関しては、「エコカー=つまらない」の方程式は当てはまらないようだ。むろんコース脇で見ていても、「ヒュゴオ!」というタイヤノイズを響かせながら、目の前をアッという間に通りすぎる様には、ちゃんとクルマ好きの魂を揺さぶるものがあった。
新しいモータースポーツ形態を模索

右はノーマルリーフ。デザインアイコン的な部分は踏襲されているが、それ以外はほとんど別物といっていい仕上がりだ
200psまでチューンされたホンダのCR-Zとともに、6月11~12日にかけて開催された「ル・マン24時間レース」でデモ走行を行なったという『NISSAN LEAF NISMO RC』。日産とニスモはこの車両を使用した新しいモータースポーツの形態を模索しているという。現時点ではタイヤノイズ以外の大きな音もなく、排ガスも出ないというメリットを利用し、街中でもできる競技スタイルで行なえれば、と考えているとか。『NISSAN LEAF NISMO RC』、このクルマは未来のモータースポーツの可能性を見せてくれる、極めて重要な存在なのかもしれない。