日産ジュークはやっぱりターボだ！

【本記事は2010年12月にベストカーに掲載された記事となります。】久しぶりに興奮するエンジンだ。2000回転で24.5kgmもの最大トルクを発生するジュークのターボエンジンは、ターボラグなど皆無。ひとたびアクセルを踏み込めばターボらしい猛るような加速をみせ、あっという間に100km／hにメーターは到達している。エコではあるが、日産車らしい走りにふったターボだったことがうれしい。

1.6L、直噴ターボを搭載するGTは190psとFFならそのパワーウェイトレシオは6.79と2.5Lのスカイラインの7.02よりも小さいのだから、下克上走りが楽しめそうだ。新開発のMR16DDTエンジンは欧州車でトレンドになっている、小排気量ターボの流れを国産車として初めて取り入れたエンジン。2クラス上のパワーとトルクを手に入れながら、燃費は大きな落ち込みをみせないというもの。190ps／24.5kgmというスペックは2.5LのNAクラスのものといえよう（ティアナに搭載のQR25DEは185ps／23.7kgmだ）。

具体的なポイントは、吸気側はもちろん、排気側にも可変バルブタイミング機構を持つ、ツインCVTCとし、吸排気効率を大幅にアップ。ターボにありがちな、低中速のトルク不足をしっかりと改善している。またピストンオイルジェットや中空ナトリウム封入バルブを採用するなどの工夫によって燃焼温度を低め、燃焼効率を向上させることに成功。その結果、低速から高速まで淀みない一気の加速フィールを実現している。

また視覚に訴えるジュークの演出はターボとなって過激さをまし、スポーツモードにすれば、エンジン回転数を高めにし、過給域を維持する設定となり、インテリジェントコントロールディスプレイにはターボブーストや前後、左右にかかるGをグラフィカルに表わしてくれる。これだけなら他社もやれるが、NAには設定のなかった4WDを設定。トルクベクトル付きとなったALL MODE4×4-iを搭載してきたところが日産たるところ。この4WDシステムはリアの左右輪のトルクスプリットが可能でコーナーで外側のタイヤにトルクを多くかけ、旋回性を高めているのだ。1.8L以下で装着されるのは世界初。SUVならではの高いアイポイントで、圧倒的なコーナリングスピードを楽しめるから、まさに痛快だ。ジュークはSUVのカッコウをした現代のスペシャルティカーであることが、このターボの追加でより明確になるはずだ。

弱点を挙げるとすれば燃費。FFで14.4km／L、4WDで14.0km／Lという10・15モード燃費の数字は同じ直噴の1.6Lターボを搭載するMINIのクーパーS（10・15モード燃費は15.6km／L）に劣り、正直物足りない。また価格はFFが218万9250円、4WDが245万1750円と2LのX-トレイル（20Xは244万9650円）よりも高い値段となり、趣味性の高いクルマとはいえどう受けとめられるだろうか。

Powered by ベストカー