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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.02

ハイブリッドよりもクリーンディーゼル!? エクストレイル

パワフルで静かディーゼルの走りは楽しい!

パワフルで静かディーゼルの走りは楽しい!

【本記事は2010年9月にベストカーに掲載された記事となります。】国産SUVとして唯一ポスト新長期規制をクリアしていたX-トレイルに待望の6ATが追加された。いよいよ日本にもディーゼル時代がくるか? そしてハイブリッドよりもいいか?X-トレイルにディーゼルエンジンのGTグレードが追加発売されたのが’08年9月のこと。このモデルは評論家各氏の絶賛をうけ、ベストカーのランキング特集でもSUV部門で堂々の1位を獲得している。意外な気がするが、’10年6月までのその数字は5711台(X-トレイル全体の9%)も売れており6ATの追加で月販300台(全体の15%、ATは240台、MTは60台)を目標にするという。

車内ではまったく気にならないアイドリング音

車内ではまったく気にならない 車外ではチカチカというディーゼルエンジン特有の音が聞こえるものの、車内に入れば耳障りな音はいっさい聞こえない。アイドリング時に室内で計測した、騒音は48dB、100km/h巡航時は66dBと数字も高い静粛性をもの語る

車内ではまったく気にならない 車外ではチカチカというディーゼルエンジン特有の音が聞こえるものの、車内に入れば耳障りな音はいっさい聞こえない。アイドリング時に室内で計測した、騒音は48dB、100km/h巡航時は66dBと数字も高い静粛性をもの語る

待望の6ATは車外でアイドリング音を聞いていると「チカチカ」というディーゼル特有のノイズが気になるが、車内ではまったく気にならない。ガソリンモデルにはない1から6まで並んだギアポジションが入った大径の新型メーターが新鮮だ。ステアリングに手を添えても振動は感じない。発進加速は6MTに比べると若干かったるいが、これは制御のせい。マニュアルモードの1速で走り出せばそんな小さな不満も解消する。

2000回転から豪快な加速が味わえる

ガソリンよりも速いかも!? 750回転で173psの最高出力を発生するが2000~4000回転が特にパワフルでレスポンスもよく気持ちいい。また低速域でもぎくしゃくしたところはまったくない。マニュアルモードが付きだから6速から5速へ1速落とすだけで、ぐっとトルクが出る。なお超低速トルクがあるから渋滞時の走行もとてもラクだった

ガソリンよりも速いかも!? 750回転で173psの最高出力を発生するが2000~4000回転が特にパワフルでレスポンスもよく気持ちいい。また低速域でもぎくしゃくしたところはまったくない。マニュアルモードが付きだから6速から5速へ1速落とすだけで、ぐっとトルクが出る。なお超低速トルクがあるから渋滞時の走行もとてもラクだった

いったん走り出せば快適だ。36.7kgm/2000rpmという最大トルクからわかるように低速のトルクは強烈。アイドリングよりも少し上、1000rpmから2000rpmまで充分なトルクが溢れ、それ以上では一気にパワーが盛り上がってくる印象だ。だから高速道路では速い、速い。追い越し車線で遅いクルマにひっかかっても6速のままアクセルを踏み込むだけで伸びやかに加速していく。このあたりは掛け値なしに3.5L級、ムラーノなどよりも速い気がする。ちなみに6MTの最高速は200km/hと発表されているが、この6ATも200km/h近く出るはずだ。ちなみに100km/h巡航時のエンジン回転数は1800回転で静粛性もガソリン車と変わらないと日産のM9Rエンジン担当の方は語っていたが、実際に試乗してみてその静粛性はホンモノと実感。さらに今回からATもMTもASCD(オートスピードコントロール)が付いた。俗にいうクルーズコントロールでこいつが燃費を大幅に伸ばしてくれるはずだ。

高度な浄化装置の開発

ところで6ATの投入になぜこんなに時間がかかったのか? 再びM9Rエンジン担当の方に聞いてみた。「ATはご存じのようにMTに比べて動力伝達がよくありません。MTと同じ加速をしようとするとアクセルの踏み込み量が増えてしまい、エンジンの負荷も大きくなります。そうなると当然排ガス中の窒素酸化物(NOx)が増えてしまいます。だからATでポスト新長期規制をクリアするにはより高度な浄化装置の開発が必要でした」なるほどそうでしたか。わかりやすくいうとMTをそのままATにするとNOxは約30%も増えてしまうそうだ。今回投入されたX-トレイルディーゼルの6ATではエンジン制御で約20%、新型触媒で約10%NOxを減らしてポスト新長期規制をクリアできたという。

きめ細かいニュートラル制御で高効率化

もう少しその内訳をみてみよう。エンジン制御の内容はEGRと呼ばれる排ガスの再循環量を増やして燃焼温度を低下させNOxの発生を抑えるとともに、エンジンの常用域での平均燃料噴射圧を6MTに比べ300気圧ほど高い1000気圧にして、こちらもNOxを抑えこんでいる。当然騒音は大きくなるが2回にわたるパイロット噴射(メイン噴射の前後に薄い噴射を2回ずつ噴射するというもの)によって制御するとともにエンジンルーム内の遮音材も増量している。今回新技術となるのが「高分散型リーンNOxトラップ触媒」と呼ばれる新触媒。白金など貴金属の粒子を約40%微粒子化することで従来の触媒にみられた貴金属粒子の凝集を防ぐことに成功。つまり排ガスに触れる表面積の減少を抑え、触媒の効率ロスを大幅に低減させている。しかも貴金属の使用量は3分の2程度にすむというからコスト的にもいいのだ。燃費効率のアップという点ではジャトコが開発した6速マニュアルモード付きのATも見逃せない。アイドリング時のニュートラル制御がきめ細かく行なわれていてフリクションを低減、高効率化が図られている。

気になる燃費はどんなもの?

堂々15.2km/Lを記録 燃費コース約250kmを走ったところ15.2km/Lの好燃費。渋滞がなかったとはいえこの数字は驚き。逆に都内の渋滞路を50kmほど走った時の燃費は8.3km/Lだった。大きく見やすくなったメーターには平均燃費と巡航可能距離が表示される

堂々15.2km/Lを記録 燃費コース約250kmを走ったところ15.2km/Lの好燃費。渋滞がなかったとはいえこの数字は驚き。逆に都内の渋滞路を50kmほど走った時の燃費は8.3km/Lだった。大きく見やすくなったメーターには平均燃費と巡航可能距離が表示される

いつものように東京は江戸川橋のベストカー編集部から東名を使って御殿場ICへ、そこから一般道で山中湖~籠坂峠~河口湖を抜け、河口湖ICから中央道をつかって編集部に戻る約250kmを走ったところ、15.2km/Lの好燃費。10・15モード燃費の14.2km/Lよりもいい数字にビックリだ。トルクを生かしながら、早めのシフトアップという燃費を上げるための条件がATとなったことで自然にできる効果だろう。

ガソリンモデルを上回ったか?

X-トレイルGT 6ATはもちろんエコカー減税が100%うけられるほかクリーンディーゼル自動車導入費補助金が最大21万円うけられる。合わせて37万4500円、2011年2月8日までで、エコカー補助金が9月末で終了となった以降も受給できる。ただしエコカー補助金との併用はできず13年超のクルマからの乗り換えならば、9月末までに登録して、エコカー補助金25万円をもらい、計41万4500円をもらったほうがお得だ。20GT 6AT上出来です。が、今回のマイナーチェンジで2Lのガソリンモデルも進化した。まずは乗り味のしなやかさが増している。ベーシックな20S以外17インチタイヤとなってハンドリングの剛性感もアップし、静粛性も上がっている。装備のいい20X 4WDの価格は244万9650円。この20X4WDもエコカー減税対象車でこちらは補助金を合わせると最大39万3200円と、実質200万ちょいとなる。ディーゼルとガソリンの価格差は約70万円、やはりその差は埋まらない(国が本気ならクリーンディーゼル補助金を50万円くらい出すべきだ)。かなり頑張ったけれど、ガソリンモデルとまだイーブンではない、これが20GT 6ATに乗った印象だ。ただし、猫も杓子もハイブリッドだらけの時代だからこそ、ディーゼルを選ぶのがスマートな選択だと思う。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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