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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.04

新旧子ねずみ上陸 フィアット500

【本記事は2008年4月にベストカーに掲載された記事となります。】ついについに、世界中から愛された「チンクエチェント」が日本の公道に姿を現わした。3月15日より発売された新型フィアット500は発売日の時点ですでに納車待ち4カ月。フィアットオートモビルズCEOのロレンツォ・システィーノ氏に「イタリアデザインの象徴」とまで言わしめたフィアット500を、本誌はチンクエチェント専門店、「TCガレージ」店長の清水隆氏にご試乗いただいた。50年前にデビューした先代チンクとどれほど違い、どれほど共通点が残されているのか。徹底チェックで明らかにする!

「伝統の車種」を現代的に復活させる

リアフォルムも非常にキュート。メッキモールは日本仕様の専用装備だ

リアフォルムも非常にキュート。メッキモールは日本仕様の専用装備だ

まずスタイリングのチェックからしてみましょう。サイズは先代と比較してみるとひと回り以上大きくなっていて全長3545×全幅1625×全高1515mm。そうは言ってもパッソが全長3600×全幅1665×1535mmですから充分すぎるほどコンパクトです。安全性を考慮しなくちゃいけない現代のクルマとしては、頑張ったほうではないでしょうか。フロントマスクやフォルムも「よくぞここまでチンクエチェントらしさを残してくれた」と言えるレベルです。ちゃんと「つながり」があって、現代的な可愛さもあります。「伝統の車種」を現代的に復活させる、という流れはVWニュービートルからですよね。それからMINIが発売されて、今度はフィアット500。どれも非常にうまくいっていると思います。個人的には、次に復活を狙うのはシトロエン2CVじゃないかな、と思っています。数年後にフランスの威信をかけて登場するだろう、と読んでいますけれど。さてフィアット500に戻りますが、内装もセンスよくまとまっていていいですね。インパネ回りがサッパリしているところも先代からの継承でしょう。この手の国産車と比べるとシートがしっかりしていて、座り心地がいいのもグッドです。僕は昨夏にトリノのフィアット本社ショールームで開催された「新型フィアット500発表会」にも参加してきましたが、お披露目となるとイタリアのお婆ちゃんなどが大勢見にくるんです。「私たちのチンクエチェントはどう変わったのかな?」と言って、見物にくる。そういう庶民に深く愛されたクルマだからこそ復活できたのでしょうし、フィアット側も力が入っているな、というのがよくわかります。

注目のハンドリングはどうなの?

エンジンは水冷SOHC1.2L、69ps/10.4kgm

エンジンは水冷SOHC1.2L、69ps/10.4kgm

乗ってみると、これまたいいですね。大きくなって重くなってしまったのが少しだけ気がかりでしたが、1.2Lでちゃんと「ついてくる感じ」があります。レスポンスも充分よくって、スイスイ走れます。先代フィアット500は非常に軽くて小さいのですが、それでも500ccでは力が足りず、650ccのエンジンに積み替えてなんとか坂を上る感じでしたからね。ミッションは好き嫌いがわかれるところでしょう。いま発売されたのは「ディアロジック」と呼ばれるATモード付き5速シーケンシャルミッション(いわゆる2ペダルMT)のみの設定ですが、慣れるまでちょっと時間がかかるでしょうね。慣れればそれなりに使いやすくなると思うので、しばらくはギクシャクするのは我慢すればいいでしょう。個人的にはMTモデルの輸入開始を急いでほしいな、と思います(編集部注/未定だそうです)。足回りもカチッとしていて好感度は高いです。サスは前がストラットで後ろがトーションビームですね。都内をしばらく乗ってみましたけれども、ほどよい固さでコーナリングでもちゃんと路面に張りつく感じです。タイヤサイズは185/55R15。このクラスにしては大きめで、これがしっかりした走りを支えているんでしょうね。標準のアルミもセンスよくまとまっています。モデルスケジュールとしては3月15日の発表時点では最上級グレードの「ラウンジ(225万円)」と、それにフォグランプやオートエアコン、フロント同色サイドモールなどの装備が追加された「ラウンジSS(230万円)」が発売されるそうです。これに5月頃にベーシックグレードの「ポップ(190万円)」、夏頃にはスポーツキットが装着された「スポーツ(価格未定)」、それに1.4L搭載モデルが準備されるとのこと。おそらく近い将来これに、アバルトが追加されるでしょう(ジュネーブショーに出展すみ)。こうして着実に進歩していくところ、長く愛されるべくモデルサイクルが長いことも、新型に期待したいところですね。一点注文があるとすれば、車高はもう少し下げられるのではないかな、と思いました。これは個人的な好みの話になってしまうんですが、ダウンサスを入れればもっとサイドビューが締まるし、洗車の時にルーフの上まで手が届きますね(笑)。ただこれはまあ「そちらのほうがいい」という人が後付けで交換すればいい話だし、そういう「あとから自分好みに変えていける楽しさ」もまた、フィアット500の魅力のひとつだと思うので、それほど気にならないですけれども。いや本当にこれはよくできたモデルです。10年乗っても20年乗っても「古い」とは感じられないだろうし、何よりオシャレですよね。ぜひ売れてほしいな、と思います。

スペックやサイズ、安全性を考えればバーゲンプライス

シートもポップ調な雰囲気で座り心地も◎。後席も大人が座れる広さ

シートもポップ調な雰囲気で座り心地も◎。後席も大人が座れる広さ

エンジンフィールもハンドリングもスタイリングもほぼ100点だとのことで、大変好評価の試乗記とあいなった。少し補足しておけば、清水氏も語っていた「安全性」は欧州でもトップクラスのできばえ。車両姿勢制御装置であるESPに加え、ニーエアバッグを含めた7つのエアバッグを装着したコンパクトカーは、日本車にさえ存在しない。ユーロNCAPで最高レベルの5つ★を獲得しており、この点を考えれば日本の軽自動車やコンパクトカーと比べても、競争力は高い。昨年の欧州カー・オブ・ザ・イヤー受賞はダテじゃないのだ(このほか19もの賞を獲得)。小さなサイズだから、室内の大きさや荷室も気になるだろうが、ラゲッジルーム容量は185L(後席背もたれ格納時最大で550L)と、3ドアモデルではトップレベル。運転席回りには細かな収納も用意され、使い勝手は充分。リアシートは分割可倒式で大変便利。大人4人が乗るとさすがに少しキツいが若夫婦などはこれで充分。エンジンは横置き直4の1.2L、69ps/10.4kgmで、ユーロ5にまで対応するクリーンさ。唯一気になるところといえばハイオク仕様であることだが、スペックやサイズ、安全性を考えればバーゲンプライスといえる。本企画担当は大変気に入りました!

フィアット500 50年の歴史

先代フィアット500が登場したのは1957年。インフレの激しい戦後イタリアで、「大衆でも買えるクルマを」という社会要請にともないミニマムモデルとして登場した。空冷直列2気筒、500cc、16.5psのエンジンをリアに搭載し、イタリアを代表する小型車となった。’75年の生産中止まで数多くのマイナーチェンジを受け、アバルト、ジャンニーニといった名チューナーからのチューニングモデルも発売。生活に密着した「足」としてだけでなく、キビキビとスポーティに走る「イタリア大衆車」のイメージリーダーとなった。日本では’79年に公開された『ルパン三世 カリオストロの城』でルパンの愛車として登場し、有名となる。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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