天下無敵のKing　of　4WD　トヨタ ランドクルーザー

【本記事は2007年10月にベストカーに掲載された記事となります。】威圧的なまでの存在感、道なき道をも走ることができる強靱なボディと走破力を持つことから、世界中で『King　of　4WD』として認知されているランドクルーザー。旧型の100系からは、力強さだけではなく高級感も手に入れた。約520万台のシリーズ累計世界生産台数を誇るランクルがほぼ10年ぶりにフルモデルチェンジ。新型ランクルは、型式が100系から大きく飛んで200系（ランクル200と呼ぶのはそのため）となり、その開発コンセプトは、（1）新エンジンと新プラットフォームによる基本性能の向上、（2）オフロード性能向上のための新技術の採用、（3）先進／快適装備の充実という3点。第1トヨタセンター　エグゼクティブ　チーフエンジニアの渡辺秀樹氏は、「新型ランドクルーザーは、今後も本物の4WDワゴン車の王者として世界をリードするにふさわしい車に仕上がったと確信」と、自信満々。10年ぶりの新型。次のフルチェンジの時、担当は51歳かァ。（編）は死んでいないかも……、と言っているし、今回のフルチェンジは感慨深いものがある。

・ランクルらしさと新しさを兼ね備えたエクステリア新型のランクル200を写真で見た第一印象は、100からあまり代わり映えがしない、というものだったが、本物を目の前にすると、縦方向の厚みが増し大型化されたフロントマスク、シャープな形状の採用で精悍な印象を与えるヘッドライト、肉感的だが滑らかな一体感を見せる前後フェンダーなどにより、ランクルらしさを継承しながらもモダンなテイストがふんだんに盛り込まれている。が、期待していたわりに平凡な感じ。いっぽうリアは特徴的なバンパー形状、左右独立のリアコンビ、リアハッチまで回り込んだCピラーなどにより個性を主張し、ランクル100とは違うテイストに仕上げられている。全長4950×全幅1970×全高1880mmという堂々たるボディサイズは、ランクル100に比べて全長で60mm、全幅で30mm、全高で20mmサイズアップ。ホイールベースは60mm延長された2850mmで、室内スペース拡大に貢献。車重は2500kgの超重量級。

・大幅に改良されたエンジンランクル100に搭載されていた4.7L、V8は吸気側をVVT-i化（連続可変バルブタイミング機構）することによって288ps／45.7kgm（ランクル100に対し53ps／2.7kgmアップ！）をマーク。排気量が同じということを考えると強烈な進化。それと同時に10・15モード燃費はランクル100の6.5km／Lに対し6.6km／Lとわずかだが向上させ、★なしから★★★に大幅昇格させている。いっぽう現在注目度抜群のディーゼルについては今のところ設定はされていない。この新しい4.7L、V8に組み合わされるトランスミッションは、静粛性、ドライバビリティのよさで定評のある従来の5ATだが、新たにシーケンシャルシフトマチックが組み合わされ、意のまま操るを得た。そしてHDDナビ装着車には、これまでトヨタの一部のセダンに搭載されていた、ナビの持つ道路勾配情報やコーナー情報を組み合わせて実際の道路形状に応じた変速制御をするNAVI連動AIシフトも設定。

・King　of　4WDの名にふさわしい技術満載！オンロード重視のSUVがモノコックを採用するのに対し、ランクルは従来どおりフレーム構造を踏襲し、そのフレームを刷新し、剛性を格段アップ。走破性抜群のフルタイム4WDのセンターデフにはトルセンLSD付きトランスファーを新採用し、泥濘地、砂漠、深い雪道、がれ場での安心感は抜群。前後のスタビライザーを油圧システムとリンクさせ、路面状況に応じて作動／非作動をコントロールするKDSS（キネティック・ダイナミック・サスペンション・システム）、エンジンとブレーキを自動制御して極低速をキープしつつホイールスピンやロックを最小限に抑えるクロールコントロール、マルチテレインABS、アクティブトラクションコントロール、ヒルスタートアシストコントロールなど、オン／オフともにドライバーを手厚くサポート。

・高級セダン系とはひと味違うゆとりの空間オフロードを走らせれば世界一の実力を持つランクルだが、それと相反する高級感たっぷりのインテリアも魅力のひとつ。2眼タイプのスポーティな計器類、ドッシリと鎮座するセンターコンソール、高級ソファのようなシートなど、オーナーの心をくすぐる。ランクル100に比べて室内長は130mm長くなり、2列目シートにはスライドが追加。ニースペースは2列目が＋35mm、3列目が＋45mmとなり、左右、天地の広がり感は、LS600hでも味わえないランクル200独自の世界を演出している。

・内容を考えると格安！グレードは、AX、AX　Gセレクションという2タイプのシンプルな構成。Gセレクションに標準のKDSS、バリアブル・ギア・レシオ・ステアリング、プリクラッシュセーフティシステムがAXには設定がないほか、Gセレクションが本革シートに対し、AXはモケットとなるなど装備差はかなりある。価格はAXが470万円、Gセレクションが540万円。旧型ではレクサスLX470をシグナスとしてラインアップしていたが、このモデルからレクサスブランドは、LX570とまったく別ものになるため、シグナスの設定は当面ないと思われ、LX570自体の日本導入も今のところないもよう。旧型のVXリミテッドが445万2000円、Gセレクションが495万6000円というのを考えると、う～ん、ちょっと高い、と唸ってしまう値上げ幅だが、進化の内容を見るかぎり、金額以上の満足感はありそう。日本を我が物顔で走っている高級外車SUVに一矢報いる実力を持っている！

世界最先端の4WD技術の数々ランクル200は原点回帰でオフロード性能を重視。プロ、マニアをも唸らせる最新技術がいろいろ盛り込まれている。はっきり言って日本でこれを使いこなすケースはほとんどないと思われるが、中東をはじめ世界では走破性の高さが求められ、ある意味ランクルの生命線、存在意義でもあるわけなのだ。もちろんオンロードでの快適性は格段にアップしている。先進安全技術満載Gセレクションには緊急ブレーキ連動方式のプリクラッシュセーフティシステムが標準装備され、ミリ波レーダー方式の先進プリクラッシュセーフティシステムがクルーズコントロールなどとセットでオプション設定されている（AXには設定なし）。ミリ波レーダーセンサーはフロントグリルにあるトヨタのエンブレムの下に装着。VSC、全席用カーテンシールドエアバッグ、歩行者傷害軽減ボディ、アクティブヘッドレストが標準。エアコン吹き出し口はなんと28ヵ所！エアコンは大容量かつ高効率化を図った前後左右独立温度調整オートエアコンを採用。天井、2列目にはフェイス＆フット、3列目にはフットダクトを新設し、その吹き出し口数は合計28カ所と強烈！もしかしたら一番大事かも？最新盗難防止システム車両盗難阻止はランクル200の必須テーマ。魔の手からクルマを守るためにさまざまなアイデアが盛り込まれている。

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